[レビュー] BGVP DMG (1) 低音の魅力を堪能!幅広くおすすめできるイヤホン

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レビュー済みイヤホンのリケーブル編準備がはかどらないので今回はBGVP DMG(マイクなし銀色ケーブル)のレビューです。第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。エージング後&付属ケーブルの最終評価だけでよろしければ『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。フィルターが3種類あるため長めレビューです。

BGVP DMGをテーブルの上に置いた画像
黒フィルター+付属黒シリコンイヤーピース+付属ケーブルの組み合わせ

製品仕様

  • ブランド:BGVP
  • 型番:DMG
  • ドライバ構成:4BA+2DD
  • インピーダンス:28Ω
  • 感度:110dB
  • 再生周波数帯域:15Hz-45000Hz
  • ケーブル端子:mmcx
  • マイクなし版は5N OCC銀メッキケーブル

*AliExpressのセール期間は8/26 16:00~

ハイレゾマーク付いてますね。

BGVP DMGの外箱の画像
ちゃんとハイレゾ…なのかな?
BGVP DMGの内箱の画像
シンプルな内箱

同梱物はイヤホン、フィルター、ケーブル、イヤーピース、ケーブルクリップです。

BGVP DMGの同梱物の画像
ケーブルクリップもついています。

イヤーピースは4種類(シリコン3種類各3サイズ、ウレタン1種類1サイズ)も付いていて、シリコンは色だけではなく形状も穴の大きさも異なります。

BGVP DMGの付属イヤーピースの画像
シリコンのイヤーピースは3種類3サイズ

基本となる黒フィルター、低音強化の金フィルター、高音強化の銀フィルターの3種類のフィルターノズルが付属しています。黒フィルターはあらかじめ本体に装着されています。

BGVP DMGと付属フィルターの画像
黒フィルターは本体に装着されています。
BGVP DMGの黒フィルターの画像
黒は荒いメッシュフィルター
BGVP DMGの金フィルターの画像
金は細かいメッシュフィルター
BGVP DMGの銀フィルターの画像
銀はフィルターなし

耳にフィットする形状です。

BGVP DMGのハウジング画像1
耳に沿った形状です。

ビルドクオリティも良いです。仕上がりで気になる点はありません。フィルターノズルの付け外しもスムーズ。むしろ黒フィルターはスムーズ過ぎて外れやすいかもしれません。

BGVP DMGのハウジング画像2
ビルドクオリティも十分

わりと小ぶりです。私は起き耳なため耳穴の入り口が広いのですっぽり収まります。

BGVP DMGを手の上に乗せた画像
サイズの割に重みはあるかも。

マイクなしバージョン付属は銀色の5N OCC(単結晶銅)銀メッキケーブルで撚り線タイプです。

BGVP DMGのマイクなし付属ケーブルの画像
なおマイク付きバージョンは被膜が黒いケーブルらしいです。
BGVP DMGのマイクなし付属ケーブルの拡大画像
銀メッキ線が見えます。

音質

商品説明

  • DD2基は中低 超低域を、BA4基は中高~超高域を担当
  • ボーカル域への音のかぶりを最小限に抑え、迫力で深みのある重低音まで
  • 原音に忠実な再現
  • 繊細で明確な高域
  • 穏やかで甘い歌声
  • 弾力のある低音

中華イヤホンの説明文で『原音に忠実な再現』のような表現を何度か見ていますが、モニター系もしくはそれに近いという意味ではないみたいなんですよね。フィルターが3種類ついている時点(音色が3種類ある)で判ると言えば判るんですけれども。

箱出し

  • 箱出しに少しこもりあり
  • 弱ドンシャリ

こもりはしばらく聞いていたら気にならなくなりました。30分くらいでだいぶ良くなるようです。

耳で聞き取った時の音量のバランスは弱ドンシャリです。低音が下の帯域からよく出ているため重厚感があり低音寄りに聞こえることもありますが高音もだいぶ出ています。

エージング200時間~

エージング前より低音が締まりました。こもりは短時間で取れますが低音の変化には少々時間がかかりました。

黒フィルター(原音タイプ)

■付属黒シリコンイヤーピース

付属の黒いシリコンイヤーピースは開口部が広いタイプです。このタイプのイヤーピースは中音域が若干あっさりすることがありますが、黒フィルターとの組み合わせでは濃さが適度になります。この組み合わせを基準に評価していきます。

高音域の音量
4.2
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.2
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.4
★★★★★
★★★★★
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な大きさです。
  • 弱ドンシャリ
  • 高音は主張し過ぎない
  • サ行の不快感はギリギリ
  • 低音のアタック感が音量的にやや強め
  • 低音域は下の方の帯域から出ている
  • 中低音域の解像度が高い
  • 分離・定位良し

周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは、高音域≒低音域≒中音域です。低音域の下の方の帯域から出ていることとアタック感が音量的にやや強いことから音楽を聞いていると低音域≧高音域≧中音域に聞こえることも多いです。

高音域は迫力を感じられるちょうど良い出具合です。高音が不足すると一気に迫力が低下する楽曲でも過不足なく鳴らしてくれます。金属音の主張は強過ぎず、金物系の楽器が多用されている楽曲がうるさく聞こえるようなこともありません。中低音域と比べると解像度がちょっと惜しく感じることがあるものの、価格を考えれば十分です。

中音域は情報量多め解像度高めで弦楽器の響きをきれいに再現していると思います。気になる凹みはないのですが、低音が強いせいで楽曲によっては少し引っ込んで聞こえることがあるようです。この点についてはイヤーピース選びで多少違いが感じられます。

低音域は下の方の帯域からよく出ているので厚みと重みがありますが濃すぎる印象はありません。アタック感は音量的にやや強く音に太さがあり、キレは適度です。低音域も情報量多め解像度高めです。

ボーカルは刺さりやすい歌手の楽曲でサ行の不快感がギリギリな感じです。耳が若い人で歯擦音が苦手な人は気になる可能性はありそうです。ブレスなどの息遣いは不快にならない程度に聞こえてきます。

人がマイクの周りを移動しながら話しかけてくるバイノーラル音源がなかなかリアルに感じられます。分離と定位も良いです。

音場は特別広くはありませんが、付属ケーブルでも明瞭なので窮屈さはありません。低音域はやや伸びが多めに感じられますが、中・高音域は適度で、過剰な反響も感じません。

■付属半透明シリコンイヤーピース

中低音を濃く、より強い低音が欲しいならこのイヤーピースが良さそうです。

  • 付属黒シリコンより高音が出る
  • 低音のアタック感が音量的に強め
  • 低音がやや響く
  • 中低音が濃い
  • 低音のキレがやや緩む

付属黒シリコンイヤーピースよりも低音のアタック感が音量的に強めでやや響くため、若干締まりが緩く感じられることがあります。また、リズムを刻む低音が強い音源で中音域の細部が低音に負けそうになり聞き取りづらいことがありました。

中低音が濃く聞こえます。人の話し声と活動音のバイノーラル音源は濃いなりにリアルに聞こえますが、映画などでは効果音やBGMがある分ちょっと低音が効きすぎていると感じました。

■付属青シリコンイヤーピース

付属シリコンイヤーピースの中では最も開口部が狭いタイプです。

  • 中高音はっきりめ
  • 音場は狭まる
  • 人の声が聞きやすい
  • 最も明瞭

中高音が他の付属イヤーピースよりもはっきり聞こえるので、中音域が低音に負けている・人の声が遠いと感じたらこれが良いかもしれません。ただし音が近くなり音場は狭まったように感じます。

高音域がすっきり聞こえることと低音域が広がりにくいため全体的に明瞭です。付属シリコンの中ではドンシャリ感が強いと思います。

■付属ウレタンイヤーピース

よく見る弾丸型のウレタンイヤーピースです。意外と密度が低すぎず使いやすいかも。しかしウレタンフォーム素材のイヤーピースは消耗品なので遠からず交換品を見つける必要は生じてきます。

  • 高音は付属黒シリコンより少し減衰
  • 低音が広がり過ぎない

ウレタンのわりに高音が減衰していないもののやはりシリコンには負けます。ウレタンの効果で低音が広がりすぎず適度に締まります。

金フィルター(低音強調タイプ)

■付属黒シリコンイヤーピース
高音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.4
★★★★★
★★★★★
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な大きさです。
  • やや低音寄り弱ドンシャリ
  • 高音がやや抑え気味
  • 高音域の情報量と解像度向上
  • 中高音域のリアリティ向上
  • 自然な伸び
  • 音場広め
  • 黒フィルターより耳触りの良い音色

高音域は黒フィルターで惜しいと感じた情報量と解像度が向上したように感じられます。伸びが感じられますが実際はじゃまな音が出ずにすっきりしたことから伸びやかさが聞き取れるようになったのではないかと思います。音量的には黒フィルターよりも抑え気味になりましたが不足は感じません。

中音域も自然な伸びで、黒フィルターよりもだいぶ音場が広く感じられます。低音も中音域のリアルさの邪魔になっていません。

低音域は特に重低音が出ているのが感じ取れ、しかしボワつかずどっしりと芯の太い音です。黒フィルターよりも締まり・情報量・解像度が上回っています。

3種類のフィルターの中では最も耳触りが良い音色です。ただ、高音域が明瞭でありつつもマイルドなため高音が欲しい楽曲では少々物足りないと感じました。

■付属半透明シリコンイヤーピース
  • 中低音域が強まった
  • 低音のアタック感が音量的にちょっとだけ増した
  • 人の声があっさりした

このイヤーピースは黒フィルターではやや低音が響いて締まりが緩く感じられましたが金フィルターではそのようには感じられません。アタック感が音量的にちょっとだけ増すのは黒フィルターと同様です。

付属黒シリコンイヤーピースより中音域の伸びが減ったような印象を受けます。ボーカルが微妙にあっさりしました。全体的に私の耳では付属黒シリコンイヤーピースの方が相性が良いです。

■付属青シリコンイヤーピース
  • 中高音が強まる
  • ボーカルが近寄る

中高音域が強まります。しかし黒フィルターほどの高音の主張はないので、金フィルターの中低音に強めの高音を足せているというほどではない気がします。やっぱり黒シリコンイヤーピースの方が相性が良いような。

銀フィルター(高音強調タイプ)

■付属黒シリコンイヤーピース
高音域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.2
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.4
★★★★★
★★★★★
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な大きさです。
  • 高音の主張が強め
  • 低音はタイト
  • 低音のアタック感が若干控えめに感じられる
  • 高音の自然さが衰えた

高音域の音量的な強まりは大したことがないのですが凹凸の凸が3種類のフィルターの中では最も激しく感じ、やや刺激が強めな高音になっています。金属音などの主張がくっきりはっきりしており、楽曲次第で刺さりも感じます。そのため音量的なバランス以上に高音に寄って聞こえます。

中音域は金フィルターと黒フィルターの中間くらいの聞き取りやすさだと思うのですが、高音の影響もあってこちらもよりはっきりしています。

低音域はタイトで広がり過ぎることはなく、おそらくそのためにアタック感が若干弱まったように感じられます。しかしよく聞くと音量のピークにあまり差はないようなので、あくまでそう感じるだけで実際は低音の音量的な変化はないのかもしれません。

高音の刺さりが強まったわりにボーカルのサ行の不快感はひどくないと思いますが、それでも黒フィルターと同等もしくはやや強めに刺さります。

DMGが元々持っているどっしりめな低音に加えて高音の刺激でシャリ感が強い音色です。聞き疲れるものの、高音好きならハマる人もいそうです。しかし耳の若い人だと辛い場合も少なくないと予想します。

■付属半透明シリコンイヤーピース
  • 中高音域の刺激が少し強まる

高音域だけでなく中音域の上の方の帯域でも刺激が強まったような音がします。タイトでしっかりとした低音のアタック感はあまり変わらないのでシャキシャキドンシャリな感じです。

電子音が多い楽曲ではメリハリがあって気持ちいいのかもしれませんが、中高音に寄り過ぎていて自然さはあまりありません。中年の私でもかなり聞き疲れるので若い人はどうでしょうか…。

■付属青シリコンイヤーピース

中音域が出て、ボーカルなどがやや近寄ります。なんとなくバランスが良くありません。

■付属ウレタンイヤーピース
  • 高音が適度に減衰
  • 中低音がタイト

高音が減衰してマイルドになります。黒フィルターと金フィルターではシリコンのイヤーピースの方が相性が良いですが銀フィルターではウレタンを選ぶのも良いと思います。

中低音の広がりも更に抑えられてタイトになります。黒フィルター+シリコンイヤーピースの対極の音ですね。低音は気持ちの良いアタック感ではあるので好みの範疇ではあると思うのですが、タイトになり過ぎているのか量感がだいぶ衰えます。

その他

装着感

わりと小ぶりで丸みのある形状なので装着感は良いです。耳穴とイヤーピースだけで固定する感じではなくハウジングが耳に沿っています。重みは気になりません。

音漏れ・遮音性

イヤーピースの穴を指で塞いで耳を近づけてみた限りでは音漏れは非常に少ないです。ハウジングの内側に穴っぽい窪みがありますがハウジング金型の出っ張りの痕ではないかと。

遮音性はイヤーピース次第ではありますがまあまあだと思います。

付属ケーブル

マイクなしバージョンに付属するのは銀色の5N OCC(単結晶銅)銀メッキケーブルなようです。マイク付きバージョンは皮膜が黒いケーブルで、芯材が同じかどうかは不明。ちなみに銀色の5N OCC銀メッキケーブルは別売りもされています。⇒BGVP Silver Cable For DM6 DMG DX3s – DD-Audio Store

マイクなし銀色ケーブルはDMGとの相性はかなり良く、適当にリケーブルするくらいならそのまま使った方が良いように思います。

総評

3種類のフィルターと4種類のイヤーピースでそれぞれやや音の傾向が異なりますが、基本的には低音のアタック感が強い弱ドンシャリ傾向です。

黒フィルターは低音域から高音域までバランスが良いところにやや強めな低音のアタック感で気持ち良いです。金フィルターは低音強化(実際は高音抑制?)ながらボワつかず明瞭で自然、音場広めでややマイルドなリスニング向きです。銀フィルターはDMGの低音のアタック感にシャープな高音が加わり、一番聞き疲れします。

BGVP DMGの魅力は低音だと思います。どのフィルターを使っても情報量と解像度の高い音を鳴らしてくれます。ボワつかず明瞭かつ適度にタイトでありながら量感があり、しかし濃くなり過ぎません。

付属OCCケーブルはDMGとの相性が良いです。低音の個性のわりに明瞭なのはOCCのおかげもありそう。

非常に良い出来のイヤホンです。販売価格以上の音で、価格込みで評価した時に突っ込むところはないと思います。バランスの良いやや弱ドンシャリ傾向のイヤホンが欲しい人には広くおすすめできます。原音再生、フラット、中音域寄りを望む人以外は満足できるのではないでしょうか。

大きい音量の低音のアタック音が含まれない楽曲では低音の強さはさほど気にならず、こだわらなければさほど楽曲は選びません。

ただひとつ指摘するなら、イヤーピースが惜しい。黒シリコンと半透明シリコンは形状との兼ね合いもあってか装着時にぐっと押し込むとペコペコして歪みやすいです。DMGの評価が下がるとしたら高い確率でイヤーピースと耳が合っていないことが原因だと予想できます。

これは市販の汎用イヤーピースに変えることで解消します。いつもは1回目のレビューにおすすめイヤーピースを書いているのですがDMGはフィルターが3種類あることに加えて市販の汎用イヤーピースに相性が良いものが多くレビューが長くなりすぎたので、記事を分けることにしました。次回はBGVP DMG おすすめイヤーピース編です。

  • 2019/02/28追記:おすすめイヤーピース編を公開しました。

*AliExpressのセール期間は8/26 16:00~