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[レビュー] KZ ZS7 (1) – 濃い低音寄りでZS6とは真逆

Yinoyoo V2のリケーブル編が途中だったりBGVP DMGのレビューが書きかけだったりしていますが先に記事が書けたので今回はKZ ZS7のレビューです。第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。エージング後&付属ケーブルの最終評価だけでよろしければ『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。

  • 中華イヤホンには個体差・ロット差がよくあります。必ずしも本レビューと同様の音が出るとは限りません。
  • イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
  • イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。

製品仕様

  • ブランド:KZ
  • 型番:ZS7
  • ドライバ構成:4BA+1DD
  • インピーダンス:24Ω
  • 感度:105dB
  • 再生周波数帯域:7Hz-40000Hz
  • ケーブル端子:2PIN(0.75mm)

*AliExpressのセール期間は8/26 16:00~

商品説明

Amazonの商品ページには以下の通り書かれています。

  • 中低域にフォーカスしたチューニング
  • 量感のある低音再生
  • 優れたボーカル再生
  • 全ての周波性能と音空間を描き出す事を向上
  • 驚くほどの原音再生

初期ロット第一弾だったからか黒箱です。

KZ ZS7の外箱の画像
KZの黒箱仕様は途中から白箱に変わることがあるようです。
KZ ZS7の内箱の画像
白っぽい筋は柄ではなく擦れです。

付属品はKZ標準の編組タイプ茶ケーブル(針金入り)と、同じくKZ標準の溝入りシリコンイヤーピース3サイズ。

KZ ZS7の同梱品の画像
付属品は最低限

ハウジングはKZ ZS6とほぼ同形状ですが微妙に違いも。ZS6との外装の違いについては比較レビューもご参考にどうぞ。⇒『KZ ZS7とZS6の外装比較とネットワーク基盤

KZ ZS7の拡大画像1

フェースプレートのみ暗めな青色でそれ以外は黒です。今のところ色違いは発売されていません。

今のところ色違いはないようです。

ステムは短いことはないのですがハウジング自体の角張りが耳に当たるのを回避できるほど長くはありません。

ステムの長さは普通

金属ハウジングとしてはさほど重くはない方だと思います。

KZ ZS7を手の上に乗せた画像
重さも大したことはありません。

フェイスプレートを外すと中にはネットワーク基盤が。

KZ ZS7のフェイスプレートを外した内部の画像
ZS7はネットワーク基盤あり

音質

箱出し

箱出しでも悪くなさそうですが、やっぱりKZ機はエージングが必要ですね。こもっています。

  • 低音寄り
  • ドンはあるけどシャリはない
  • 刺さりなし
  • 高音の主張は強くない
  • 低音は下の方の帯域から出ている
  • 低音のアタック感はやや重め
  • 少しこもっている
  • 音場は広め
  • 反響は適度

エージング200時間

ZS6でエージング200時間を超えても音が変わったと感じたため200時間行ってみたのですがZS7はそんなに長時間は必要なかったかもしれません。また、音のバランスなどもこれまでのKZ機のように激変することはありませんでした。こもりは取れます。

イヤーピースによる音の変化が大きいです。KZ付属イヤーピースは私の耳との相性はそう悪くはないので付属イヤーピースを評価して基準にします。耳との相性次第では私の評価と同じ傾向にはなりませんのでご了承ください。市販の汎用イヤーピースについては基本的には大きめサイズを選んでぎりぎりまで押し込んで密閉する使い方をしています。

付属イヤーピース

高音域の音量
3.8
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.2
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.4
★★★★★
★★★★★
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な大きさです。
  • 低音域>中音域≒高音域
  • 金属音の主張は適度
  • 音場はやや広め
  • 低音に厚みと重み
  • 低音のアタック感は強め
  • 反響は適度
  • 比較した中では低音が太い

周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは、音量バランスは低音域≒中音域=高音域の低音寄りです。低音が下の方からよく出ていて厚みと重みがあることとアタック感が強いため音楽を聞いていると一層低音寄りに聞こえ、低音域>中音域≒高音域だと感じる場合が多いです。

高音域は主張し過ぎず、しかししっかりと出ていて明瞭です。付属イヤーピースだと情報量と解像度が若干劣る帯域がごく部分的にあるような気がしましたが、イヤーピース変更で改善します。

中音域は情報量は多めで解像度も高いと感じられますが低音域と同様にやや濃いです。音に伸びやかな広がりと作られた立体感があります。この伸びやかさと立体感は気持ちが良い反面、不自然で好まないという人もいるのではないかとも思います。

低音が厚く強いため楽曲によっては中高音域が音量的に少し負け気味になることがあります。しかし中音域が凹んでいるとか高音の主張が足りないということはなく、紛れて聞き取りづらいということではありませんし、ボーカルがかき消されることもなさそうです。

低音域は下の方の帯域からよく出ていて、スイープ音源でチェックするとかなり早くからわりとしっかり聞こえてきます。厚みと重みがあり、しかしボワ付き・こもり・分離や解像度低下の原因にならない程度にコントロールされているようです。

低音のアタック感は強めです。リズムを刻む音が強く入っている楽曲では時々ドキッとするレベルの強さです。解像度は高めで、ドンドンと言うよりもドッドッと言うリアルな強弱を感じることができます。

全体的に自然な音色とは違っており、そのためクラシックやジャズなど生楽器メインの楽曲を味付けなしで楽しむのには向きません。私は生楽器の多い楽曲も好んで聴くので使い分けが必要だと感じました。ボーカルもなかなかリアルに聞こえるのですが現実の声よりも若干濃いと感じます。

音によってはやや近く感じられることもあります。しかし耳に張り付くような音はなく、むしろ全体的な音場は広めだと思います。ZS6と付属黒ケーブルとの組み合わせのように反響している印象は受けないのでベント(音抜け穴)による抜けと低音がうまく効いているようです。

分離は良いのですが定位は微妙です。離れた場所で弾いているはずの楽器の音がやや近めに聞こえたり、真横から聞こえるはずの音が若干後ろ寄りに聞こえることがありました。意図的に立体感を作り込む過程でそうなってしまっているのかもしれませんね。

ある程度の駆動力があるDAPやアンプを使った方が音質の向上を感じられますが、スマホ直挿しでも不満なく音楽を楽しむことができます。所有している5ドライバ以上のイヤホンの中では比較的再生環境を選びにくい方だと思います。

圧縮率の高い音源が聞きやすいです。私はAmazonプライムミュージックなどのストリーミング音源が耳障りに聞こえてイヤホンによっては聞いていられない(なぜか非常に苦痛なためPCスピーカーから流す程度でしか使わない)のですが、ZS7では普通に聞くことができています。

RHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース

RHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピースはイヤホン付属のイヤーピースが半透明で薄いタイプならそれの質を少し良くしたようなイヤーピースだと思います。付属イヤーピースをなくしてしまった時の交換品に合うことが多い汎用性の高いイヤーピースです。

  • 全体的に明瞭
  • 高音の主張がわずかに強まる
  • 低音のアタック感はわずかに弱まる
  • ボーカルが少し離れる
  • 音が伸びすぎない

全体的に明瞭になります。中低音の濃さがやや軽減されるため付属イヤーピースと比較するとあっさりめに聞こえます。高音の主張はわずかに強まり、低音のアタック感が音量的にわずかに弱まっている気がします。高音の主張はシャリ感を感じるほどではありません。

付属イヤーピースで感じるやや誇張された音の伸びは衰え、適度になります。これによって作られた感じの立体感もやや抑えられます。ボーカルは少し離れますが、中音域で近くなったと感じられる楽器の音もありました。

低音の個性が弱まるのでイヤホンとしての汎用性が高まります。濃密な音の広がりが気持ち良いと感じているなら、ややあっさりしてしまうのでおすすめしません。

NICEHCK スパイラルシリコン

AliExpressのNiceHCKで販売されています。Amazonの取扱いはありません。耳穴側の開口部が広いタイプ。

  • 高音の主張が強まる
  • 歯擦音が強まる
  • 低音のアタック感が少し衰える
  • 低音があっさりする
  • 中低音の解像度が衰える

付属イヤーピースと比較すると高音の主張が増し、ややシャリ感が感じられるようになります。歯擦音が苦手な人は歌手によっては辛くなるかもしれません。それに加えて低音がややあっさりしてアタック感が少し衰えるためわずかに高音側にシフトしたように感じられます。

ドンシャリで言うところの「シャリ」が足りないと感じる、低音が濃厚過ぎるならアリだと思います。難点はAliExpressからの取り寄せになることくらいです。

スパイラルドット

JVCスパイラルドットは内側にドット状のくぼみがあり開口部が広いイヤーピースです。ドットによってイヤーピース内の音を拡散させているとのこと。

  • 全体的に明瞭
  • 若干高音側にシフト
  • 中低音域の濃さが低減する
  • 立体感がマイルド

全体的にやや高音側にシフトしたような印象を受けます。低音がやや主張するように感じられますが低音域は音量的には強まってはいないようなので、明瞭になったことでそう感じるだけだと思います。

距離感がくっきりと分かれ過ぎることもある立体感が比較的自然につながるようになります。音の伸びもやんわりとします。立体感と音の広がりが不自然だと感じるならかなり良さそうです。

audio-technica SOLID BASS

audio-technica SOLID BASSは低音に効果が出やすいイヤーピースです。必ずしも強くするわけではなくその名の通り締まる傾向があるようです。私が使用しているのは半透明赤軸です。

  • 全体的に明瞭
  • ボーカルが出てくる
  • 低音がタイト
  • 低音のアタック感が音量的に強まる

ボーカルがやや遠めに感じやすい楽曲でそれを感じにくくなりました。ZS7でボーカル曲をよく聞きたいなら相性が良さそうです。

低音はタイトでアタック感は強めです。付属イヤーピースでリズムを刻む低音が弱い楽曲でぼんやり感じられるならそれが改善します。

A-Focus ハイブリッドイヤーピース

  • 全体的に明瞭
  • 中高音域がくっきりめ
  • ボーカルが出てくる
  • 低音がタイト

audio-technica SOLID BASSと音の傾向がやや似ています。ボーカルが引っ込みにくくなり低音はタイト。こちらの方がわずかにボーカルが近めで中高音域にメリハリが出てくっきりしますが低音のアタック感はさほど強まりません。

ボーカル曲をよく聞く人で明瞭さとくっきり感を求めるなら良さそうです。ボーカルが近いのが苦手な人にはおすすめしません。

radius DEEP MOUNT

radius DEEP MOUNTは先端が膨らんだ形状をしています。耳の入口をしっかり塞ぎ、低音への影響が出やすいイヤーピースです。

  • 全体的に明瞭
  • 低音のアタック感が音量的にやや強まる
  • ボーカルはやや近め
  • 全体的に音が近くなった

全体的に音が近くなります。その分、立体感が出すぎていると感じる楽曲では距離が縮まって不自然さが弱まりました。音場がやや広めだったのが普通程度になったようには感じられますが伸びはあるので狭いとまでは。

低音はタイトかつアタック感が音量的にやや強まり迫力が増します。高音はあまり変わらないようです。音場よりも迫力優先なら良さそうです。

AET07a

AET07aは耳穴側の口径が広めなイヤーピースです。軸はやや固めで厚みがあります。イヤホン本来の音のバランスを比較的変えないタイプじゃないかと思います。※現在ネットショップでの取扱いが見当たりません。パッケージ変更があったようなのでそのせいかも? [2019/02/01追記] 取扱いがありましたが送料が高いので待てるならAmazon入荷を待った方がいいかも…。⇒楽天市場

  • 全体的に明瞭
  • 高音の主張が少し強まる
  • 低音の濃さと太さが低減
  • 音が伸びすぎない
  • 低音のアタック感が力強い

全体的にやや明瞭になります。高音の主張が強まり、歯擦音の激しい歌手の曲では若干気になることがありました。また、低音の濃さと音の太さが低減します。ボーカルもややあっさりしますがまだ原音よりは濃いです。アタック感はやや力強くなります。

付属イヤーピースでは少し誇張したような音の伸びがありますがAET07aでは誇張気味ではあるものの誇張し過ぎだとまでは感じない程度だと思います。そのため作り込まれた立体感と広がりが少しだけ抑えられるようです。

クリスタルチップス

クリスタルチップスはウレタンフォーム素材のイヤーピースの中では比較的高音の減衰が小さく低音のタイトさが出やすいイヤーピースです。ZS7はシリコンの方が相性が良いようですがどうしてもウレタンが良いならこれが良さそうです。

  • 低音のアタック感が弱まる
  • 中音域の解像度は若干落ちる
  • 音状が少し狭まる

低音が少しタイトになりアタック感も音量的にちょっとだけ弱まります。クリスタルチップスはウレタンフォーム素材のイヤーピースの中では比較的高音が衰えづらいので、高音が強すぎないZS7では良い選択肢だと思います。

中音域の解像度は若干落ちた気がします。また、低音がタイトになったせいで音場の広がりが感じられにくくなりました。

リケーブル

試しに何本かリケーブルしてみたところ、はっきりと変化が感じ取れました。所有しているイヤホンの中ではリケーブルによる変化が大きい方だと思います。大抵は更に明瞭になります。個人的には銀メッキケーブルで低音の濃さを抑える方が好みに近くなりました。

ZS6などでは「不満がなければ付属ケーブルもナシじゃない」と感じる部分もあったのですが、ZS7は「ぜひリケーブルを!」と言いたくなる程に化けます。リケーブル費用も見積もって購入して欲しいイヤホンです。3千円前後のケーブルでも相当に満足できる結果になるはずです。

具体的に相性の良いケーブルについてはリケーブル編レビューで書いていきます。

その他

装着感

ZS6をお持ちなら装着感は同じだと思って良いです。角ばったハウジング形状なので耳に当たる部分があります。私はあまりにも長時間聞き続けるのは辛いです。

音漏れと遮音性

ベント(音抜け穴)があるので普通に音漏れします。ZS6と同程度です。遮音性はイヤーピース次第ですが付属イヤーピースでは特別遮音性が高いということはなく普通です。

ホワイトノイズ

ホワイトノイズが盛大に出る再生環境で無音の状態だと少しだけ聞こえますが気になるレベルではないと思います。

総評

ZS6の改良版のような音ではなく、全く方向性の違う音色でした。2018年末発売開始時の初期ロット(Amazon発注で中国から発送)で私の手元に届いたKZ ZS7の音のバランスは付属イヤーピース使用で低音域>中音域≒高音域です。重厚感と強めのアタック感で低音を楽しむイヤホンに仕上がっています。

ノリや気持ち良さを優先した音色です。そのため生楽器との相性はいまひとつで、クラシックやジャズなどでは不自然さを感じることが多いです。これはZS7の個性を出している低音だけが理由ではなく、音場感・立体感・奥行きも自然さを横に置いてコントロールされていると感じられます。また、付属ケーブルと付属イヤーピースではだいぶ軽快さに欠けるため、スピード感や爽快感のある楽曲では重苦しく感じます。

イヤーピースによって変化が大きく、相性が悪いと中音域が曇る傾向があります。付属イヤーピースで中音域の明瞭さが感じられないなら変更をおすすめします。

また、私の耳では付属イヤーピースが最も楽曲を選ぶ(相性が悪い楽曲がある)組み合わせです。市販の各種汎用イヤーピースは明瞭になり低音の太さがタイトになることが多いようなので、よく聞く楽曲との相性が悪すぎるならその場合もイヤーピース変更が有効かもしれません。

音同士が離れた感じのある立体感・分離・定位は気持ちが良いと感じる楽曲もあれば不自然過ぎると感じる楽曲もありました。これはよく聞く楽曲の好みで印象が左右されると思います。イヤーピースを変更してもすっかり自然になることはなさそうです。

低音のアタック感を強く表現できるイヤホンが欲しい、濃いめの音が好き、ドンシャリイヤホンの高音は主張が強すぎると感じる、ノリや気持ちよさを重視し生楽器演奏のリアリティにはあまりこだわらない、イヤホンの使い分けをする人におすすめです。

圧縮率の高い音源を楽しくも耳触り良く鳴らしてくれるので、音楽ストリーミングサービスにも向いています。また、電子音が多く使われだした頃の楽曲の中にはイヤホンによっては音が軽くなりシャリシャリだったりスカスカになってしまったりするものもありますがZS7だと音が古臭くなりません。

逆におすすめできないのは、味付けのある音を好まない人、生楽器がメインの楽曲を好む人、低音の主張し過ぎは好きではない人、シャキシャキした音が好きな人、高音好きな人、自然さを重視する人です。幅広い種類の音楽を聞く人でかつイヤホンを使い分けしない人にはおすすめしづらいです。

リケーブルで明らかに音質が向上したと感じることができました。リケーブル費用はぜひとも見込んで欲しいです。逆に言うと付属ケーブルとの相性が微妙なのかもしれません。

ZS7のレビュー、次回はリケーブル編です。Yinyoo V2のリケーブル編がまだ途中なので少し間が開きますがZS7は個人的リケーブル推奨イヤホンなので早めに頑張りたいと思います。

*AliExpressのセール期間は8/26 16:00~