[レビュー] BLON BL-03 – キビキビと締まった音色とアタック感が気持ち良いコスパ機

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本レビューのBLON BL-03は2019年の最初期ロットです。2020年に追加されたカラバリのパープルはチューニングが変更されています。また、シルバーとガンメタも近いタイミングでほぼ同じチューニングに変更された可能性があります。

今回はBLON BL-03のレビューです。いつもはまず付属イヤーピースで評価していくのですが、今回はどうしても私の耳に合わずBL-03を上手く固定することができませんでした。やむを得ませんので固定が良かったAZLA SednaEarfitおよびスパイラルドット++を使用したレビューになります。

第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。エージング後&付属ケーブルの最終評価だけでよろしければ『エージング100時間~』から後ろだけご覧ください。

BLON BL-03の画像1
イヤーピースはSednaEarfitを使用。
  • 中華イヤホンには個体差・ロット差がよくあります。必ずしも本レビューと同様の音が出るとは限りません。
  • イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
  • イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。

製品仕様

  • ブランド:BLON
  • 型番:BL-03
  • ドライバ構成:1DD
  • インピーダンス:32Ω
  • 感度:102dB/mW
  • 再生周波数帯域:20-20000Hz
  • ケーブル端子:2pin(0.78mm)

AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。

  • DDは10mmのカーボンナノチューブ振動膜
  • ケーブル端子は土台のある2pin
  • 付属ケーブルは4芯銀メッキ

外箱はTFZの製品にそっくりです…。

BLON BL-03の外箱の画像
中華イヤホンはこういうところが…。

付属品はケーブル(ケーブルバンド付き)、イヤーピース1種類3サイズ、巾着袋です。

BLON BL-03の付属品の画像
この手の袋、正直なところ使わないんですよね。

鏡面仕上げのハウジングには写ってほしくないものが映り込むので撮影に苦労。結局ちょっと加工しました。部分的に色合いがモヤついてますがご了承ください…。

BLON BL-03のハウジングの画像1
映り込みのある鏡面仕上げ。シルバーはもっとはっきり映り込みそうですね。

ステム先端のフィルタはメッシュ。ステム自体の長さは普通だと思います。ケーブル端子は土台のある2pinです。

BLON BL-03のハウジングの画像2
他のケーブル端子を採用して欲しかったな。

音質

箱出し

箱出しは軽く高音域寄りですが低音もしっかり出ています。全域でアタック感が音量的に少し強めなのでややドンシャリ感があります。メリハリが効いていて締まりもあってなんでも気持ち良く聞ける音じゃないでしょうか。クリアな音色です。

エージング100時間~

SednaEarfit

ケーブルは付属ケーブル、イヤーピースはAZLA SednaEarfitを使用して評価して行きます。イヤーピースの音の傾向も含まれるので付属イヤーピースをご利用の方とは評価が異なるかもしれません。

高音の主張*
4.2
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
3.9
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.2
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 全域の音量差は大きくない
  • アタック感が音量的にやや強め
  • 明瞭でタイト
  • 伸びはほどほどで残響音はやや短め
  • 低音の量感は少なめ

周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは全域の音量差は小さく、低音の下の方の帯域と高音の凹凸以外はわりとフラット傾向なようです。しかし全域でアタック感が音量的にやや強いため、音楽を聞いていると軽く高音域寄りのややドンシャリ傾向だと感じることが多いです。

高音域では金属音やスネアドラムの高音が音量的に少し大きめに出てきますが主張しすぎてうるさいとは感じません。伸びやかさはそこそこ程度です。情報量と解像度は付属ケーブルのわりに良いのではないでしょうか。

中音域は高音と低音の主張の影響で全音域の中では相対的にやや控えめに感じられることが多いです。しかし実際はちゃんと出ているので聞こえづらさはなく、むしろかなりきれいに聞こえてきます。全域でクリアめなので情報量はBL-03と付属ケーブルが出せている分だけちゃんと聞き取れていると思います。それに応じて解像度も高めです。

人の声や物音などは少しだけ高音寄りに出ているような気もしますがまずまず現実の音に近い方だと思います。ボーカルのサ行の不快感は歯擦音の強めな英語圏の歌手でも私はあまり気になりませんでした。

低音域の下の帯域からある程度出ているので一定の重みがありますが量感はやや控えめです。音量的には十分出ていてアタック感も音量的に少し強めなので、もしも不足していると感じられるならイヤーピースが合っていない可能性が高いです。また、再生環境に駆動力がないと弱まりがちです。

アタック感は全域で音量的にやや強め、立ち上がりは早めでキレもやや早くタイトです。箱出しはかなりキビキビした印象でしたがエージングで多少低音が出て伸びがちょっとだけ増したのかキレキレというほどではありません。残響音は短めです。

音の距離感は普通、音場の広さも普通ですが平面的ではなくまずまず奥行きもあると思います。分離は良く、定位はかなり良いです。

ちなみにクリアさのおかげで情報量が多く感じられ、この価格帯で付属ケーブルであることを考えると解像度も高いのですが、お高めリケーブルに変えてもどちらも大きくは向上しませんでした。付属ケーブルでも実力が出せていると取るか伸びしろが少なめと取るかは難しいところですが、リケーブルしづらい機種なので歓迎できることだろうと思います。

JVC スパイラルドット++

今のところイチオシのイヤーピースはスパイラルドット++です。基本的にはSednaEarfitと同傾向ですが、より音が広がります。ただし音が拡散するせいで力強さはSednaEarfitに劣ります。

また、周波数特性の小さな凹凸が聞き取れるようになり情報量が増え解像度が向上します。

逆に音の広がりや細かな機微を求めておらず元気なのが良いならSednaEarfitの方が押し出しが強い感じの音色になって良さそうです。

その他

装着感

前述した通り、私の耳には付属イヤーピースでは上手く固定できませんでした。私の耳は起き耳でハウジングに少し被るようになるため押されて抜けて来てしまいます。耳の入口の凹凸がなだらかで入口付近も広めなせいもあると思います。耳の寝ている方なら問題ないのかもしれません。装着が良いとツイートしている方もいらっしゃるようでした。

私は大きめのイヤーピースでぐっと栓をするようにし、耳にかけたケーブルを少し後方に引っ張って固定することで安定しました。一度きちんと装着できればずれることもないので、装着感自体は悪くありません。

音漏れ・遮音性

ベント(通気穴)はステムの根本に小さく1ヶ所開いているだけなのでそこからの音漏れは小さいです。装着した状態ならさほど気にしなくて良いのではないかと思います。

遮音性は、大きめイヤーピースを押し込んで装着している状態でもPCのキーボードの打鍵音が少し聞こえることがある程度。普通だと思います。

再生環境と駆動力

スマホでも音量は取れ、くもりやこもりも感じません。しかし駆動力が大きい方が低音、特にアタック感が音量的に強めに出ます。

所有しているイヤホンのうちBL-03と同じカーボンナノチューブのDDが採用されているのはLZ Z05A(Amazon/AliExpress)とNICEHCK N3(Amazon/AliExpress)で、NICEHCK N3の方は同じ傾向がありました。カーボンナノチューブは硬い素材なようですから十分に振動させるためにある程度のパワーが必要なのかもしれません。

付属ケーブルとケーブル端子

ケーブルは耳掛けタイプで4芯の細い銀メッキで、寒色系に寄りやすく少しシャリ感があるタイプだと思います。取り回しは普通、タッチノイズは気になりません。

BLON BL-03の付属ケーブルの画像
コスト的に安そうですが悪くはないです。

2pin端子はTFZのケーブルが使える形状をしていますがBL-03の方が2pinの土台のプラスチック部分に高さがあるため、TFZのケーブルを挿すとケーブル側が浮きます。なおqdc(KZ Cタイプ)は刺さりませんので念のため。

BLON BL-03にTFZのケーブルを刺した状態の画像
一応TFZのケーブルが刺さります。

リケーブル

BL-03リケーブルにおける注意点

CIEM向けに多い2pinの根本に土台があるタイプではないもので耳掛けチューブのカーブが固めならピンへの負担が小さくリケーブルすることは可能なようです。ただしそれでもやや高さが出るため耳掛けの根本を耳にしっかりフィットさせることが難しくなることがあります。

BLON BL-03に中華2pinのリケーブルを接続した端子部分の画像
端子がこのタイプならどうにかリケーブルできます。

端子の規格と耳かけチューブ付きの条件を満たしつつAmazonで現在入手できる高価格帯以外のケーブルの中から探すと選択肢が少ないです。耳掛けチューブなしのケーブルは根本にかなり負担がかかるようなのでおすすめしません。

TRN T2(16芯銀メッキ)

付属ケーブルから音質傾向を変えにくく付属ケーブルからグレードアップする感じになるのは16芯銀メッキのTRN T2(Amazon/AliExpress)です。高音が良く出て寒色系に寄りやすい傾向が付属ケーブルに似ています。それでいて付属ケーブルで少し感じるシャリ感を抑えつつ全体的に音質が向上します。

BLON BL-03と16芯銀メッキリケーブルTRN T2の組み合わせの画像
TRN T2は付属ケーブルと音の傾向が近いためBL-03ではあまりバランスを変化させません。

低音はわずかに強まっている気がしますが大きくは変わらないので音の輪郭が緩むこともありません。付属ケーブルで薄くベールが掛かったように感じる楽曲がある場合はそれが取れます。16芯はオーバースペックだと思うかもしれませんが、もはや少し前の8芯より安いのでアリでしょう。

YYX4819(8芯銀メッキ)

8芯銀メッキのYYX4819(Amazon/AliExpress)は高音の主張がわずかに抑えられつつ低音のアタック感がわずかに強まります。また、付属ケーブルで薄くベールが掛かったように感じる楽曲がある場合はそれが取れます。音のバランスは良いです。

BLON BL-03と8芯銀メッキリケーブルYYX4819との組み合わせの画像
YYX4819はちょっと固めで取り回しはそこそこですが音のバランスが良いです。

YYX4822(8芯銀メッキ)

8芯銀メッキのYYX4822(Amazon/AliExpress)は銀メッキとしては比較的低音が弱りにくく高音が強まりすぎないケーブルです。中音域がわずかに高音に寄る感じがなくなり、低音は付属ケーブルよりも太さと重みが増して寒色系な印象が薄くなります。そのぶん音の輪郭が柔らかいので、定位が甘くなりシャープさが足りなくなったと感じる場合があるかもしれません。

BLON BL-03と8芯銀メッキリケーブルYYX4922の組み合わせの画像
YYX4822では高音域寄りが緩和されます。柔らかく取り回しも良し。

NICEHCK CT4(16芯高純度OFC)

16芯高純度OFCのNICEHCK CT4(Amazon/AliExpress)はイヤホンの個性を上手く引き出してくれるケーブルです。銅線なのでBL-03では高音域がわずかに抑えられつつも弱りすぎず、低音域が少し持ち上がります。低音域と高音域が同程度に持ち上がった弱ドンシャリ傾向で、付属ケーブルほど高音域寄りではなくなり低音の量も増えます。

BLON BL-03とNICEHCK CT4の組み合わせの画像
NICEHCK CT4ではバランスの良い弱ドンシャリ傾向でリアリティ向上。

高音域寄りを変えたくない・高音の主張を弱めたくないなら向きませんが音色の耳ざわりが良くなることと派手さが少し抑えられるので、楽器の音も人の声もリアリティが向上していると感じます。また、付属ケーブルで薄くベールが掛かったように感じる楽曲がある場合はそれが取れます。

総評

個人的な問題は装着ですが、大きめのイヤーピースで栓をするようにすることで固定することができました。耳の形状に合わなかったり音がシャカシャカ過ぎる場合はイヤーピースを変えてみてください。

イヤーピースをいくつか試した中ではスパイラルドット++以外は音の広がり、艶っぽさ、情報量がいまひとつです。その辺りに不満がある場合、価格は少々高めですがスパイラルドット++をおすすめします。ちなみにサイズはXSが10mm、MSは11mm、Mは12mm、MLは13mm、Lは14mmです。

BLON BL-03はキビキビしたクリアな音色で気持ち良いアタック感の強さがある、音楽を楽しむタイプのイヤホンです。なかなかのコスパ機だと思います。

音楽を聞いている時はややドンシャリ傾向に感じられるもののアタック感の強さと高音の主張によるところが大きいようで、同じ音量で全域をチェックすると音量差は小さく低音の下の方の帯域と高音の凹凸以外はわりとフラット傾向に近いようです。そのおかげか意外と良いのが中音域です。高音と低音の主張が強い楽曲でも埋もれずにきれいに聞こえてきます。

音色はやや派手というか、少し演出的だと感じます。クラシックなどでは気になる人もいそうですが生楽器中心でもゲーム音楽のようなドラマチックさが欲しい楽曲では気持ちが良いと思います。

付属ケーブルとの相性は悪くありませんし、高音の主張と低音の量に不満を感じるのでなければ無理にリケーブルしなくても良いかもしれません。特にケーブルの根本のカーブをしっかり耳に掛けたい人はリケーブルによってそれが困難になる可能性があります。この端子を採用したことだけが不満点ですね。

BLON BL-03をおすすめできるのは、こもった音が嫌いな人、ある程度フラットに音が出てほしいけれどドンシャリの迫力や派手さも捨てがたい人、寒色系の音色が好きな人です。駆動力のあるアンプやDAPを持っている人には更におすすめできます。

逆にBLON BL-03がおすすめできないのは、どっしりした量感のある低音が好きな人、十分な残響と伸びやかさが欲しい人、暖色系の音色が好みな人です。

カーボンナノチューブのDDを採用したイヤホンが超長時間のエージングで更に音が変化したと感じた経験があるため、もしも使用を続けるうちに音色に変化が出るようなら追記します。

BLON BL-03のレビュー、第2回はおすすめイヤーピース編を検討していますが私の起き耳に固定できるイヤーピース限定となりだいぶ限られそうですので中止する可能性があります。ご了承ください。なお間に他の記事が入るかもしれません。

AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。