今回はYinyoo V2に引き続きZS6リケーブル編準備までの間のつなぎでBOT1のレビューです。リケーブル対応かと勝手に勘違いしていましたがリケーブル不可でしたので、リケーブル編はありません。
エージング後&付属ケーブルの最終評価だけでよろしければ『エージング100時間~』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
- イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
目次
製品仕様
- ドライバ構成:DD×3
- インピーダンス:16Ω
- 感度:105dB
- 周波数特性:20Hz-20000Hz
- 通常価格:2,999円(2018/11/23)
- Boollo BOT1
- 販売終了
- セール中US $19.68(約2,201円)- Easy earphones 3/28
*AliExpressのAnniversary SALE期間は3/28 16:00~4/1 15:59
外箱はシンプルな黒。
裏にスペック表記。
開けるとこんな感じです。
同梱物はイヤホンの他、イヤーピース、ケーブルクリップ、保存袋です。
ハート型に配置されたぐるぐるひとつずつがドライバ位置のようですね。画像では逆さまに写っていますが装着するとハート型状態になります。
ハウジングに厚みがありますがステムが長めで角度も悪くないのでイヤーピース選定の時に適切に耳に装着できないものはほぼありませんでした。
音質
商品説明
商品ページには以下のように書かれています。
- 芳醇かつ濃厚な低音
- 高感度、高解像度
- クリアに澄んだ伸びのあるボーカル
- 低音域でのスムーズなレスポンス
- 中高音域でのクリアなサウンドを再現
箱出し
ひとまず付属イヤーピースで聞き始めました。
- フラット傾向
- こもりがある
- クロストークはあるが少しだけ
- 音の距離感は近からず遠からず
- 音の距離感のわりに音場が広い
音量のバランスは低音域から高音域の前半まで音量差がないフラット傾向です。高音域の上の方は音量が小さくなるのが早く、その分カット気味かも。しかし音楽を聞いていて明らかに高音が鳴っていないと感じることはなさそうです。
音の距離感は近からず遠からずですが、そのわりに広がりを感じます。
部分的に音がこもっているので早速エージングします。
エージング100時間
時間の都合がつかなくて放置エージングしていたら100時間ほど経っていました。80時間頃とあまり変わっていませんが箱出しからの変化は感じるので、短くてもエージングはした方が良さそう。
付属イヤーピース
ひとまず付属イヤーピースで聞いて行きます。ただし付属イヤーピースでは私の耳穴をきっちり塞ぎきれいてないようなので、付属イヤーピースが耳に合う場合はAET07a使用時の評価の方が近いのではないでしょうか。レビューは付属イヤーピースを基準にしているので両方読んでいただけるとより伝わりやすいと思います。
- フラット傾向
- 高音域は十分だが全体の中では控えめ
- 中音域の凹凸はなさそう
- 低音域は十分
- 刺さりなし
- 少し曇った感じがある
- 音場は少し広め
- 定位と分離は良い
- 強い個性はない
- 装着位置が悪いとこもる
私の耳との相性なのか装着感だけで言うと良さそうな角度が1箇所だけではないようで、イヤーピースの穴が耳穴とずれてしまうことがありました。そうなるとこもった音になりますので、ある程度エージングしたのにこもりが強いと感じる場合は装着を微調整してください。
周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは、高音域にはやや凹凸があるものの低音が立ち上がって一定の音量になってから中音域にかけてはさほど凹凸はなさそうです。中音域≧低音域≧高音域ですが、かまぼこ型だと感じるほどの音量差はないので概ねフラット傾向だと思います。
音量をちょっとだけ上げると低音から高音までしっかりと出て、よりフラット傾向のバランスになります。普通の現象であると言われればそうなのですが、所有しているイヤホンの中では音量を上げることによる変化が大きいです。
高音域は14kHz辺りからカット気味にガクッと落ちているように感じます。低音域については20Hz以下からちゃんと聞こえ、厚みもあります。
箱出しのこもりは取れたのですがボーカルなど一部の音に若干曇ったような音がすることがあります。前述した装着時の角度だけの問題ではなく音量を上げても感じることがあるので、同様に感じる場合はイヤーピース変更が有効です。
曇りのせいで解像度が落ちている印象を受けます。曇りは全域で出ているわけではないので解像度の高さも音域や楽器の種類などによって異なって感じられます。しかしイヤーピース変更で曇りが取れればバランスが取れるようになります。
情報量は多くはありません。しかし5千円前後のイヤホンでもリケーブル前だとこの程度のものはあるので、3千円台なら妥当もしくは十分なレベルだと思います。
音場はやや広めです。横に距離感のある広さです。
高音域はやや控えめですが強さは十分です。刺さりを気にする必要はないと思います。
中音域は音量が小さい状態では一番良く聞こえる音域です。しかし高音域・低音域が負けるほどではありません。
高音域より低音域の方が音量的には出ておりアタック感も不足はないです。
次に音量を上げ気味で評価して行きます。
音量バランスの変化が高音域で大きく、控えめさがなくなりました。それによって高音不足で起こる迫力不足を感じにくくなります。ピークが極端に強くなるわけでないので刺さるようになることはないようです。
低音域は小音量でも十分でしたが更に出るようになります。アタック感が音量の大きさ的に強くなり、小音量の時に控えめな高音域につられて感じることのあるおとなしさがなくなります。
音場は全体的にわずかに近くなりました。しかしそれでもやや広めだと思います。
AET07a
AET07aは私の耳では比較的イヤホン本来の音のバランスを変えにくいイヤーピースです。コスパも良いです。
- 高音がやや強化された
- 中高音域がだいぶクリアになった
- 低音域に重みと厚み
- 曇りが取れる
- 中高音域の解像度向上
密閉度が上がったためか高音が出て低音もよりどっしり出るようになりました。もちろん音量は上げた方がより迫力とバランスは良いのですが、音量による変化の程度が付属イヤーピースよりは小さいです。
曇った感じもなくなります。商品説明に『芳醇かつ濃厚な低音』『中高音域でのクリアなサウンドを再現』とありますし、BOT1の本来の音はこれなのでは?
ただしAET07aでも装着位置がずれると音質が著しく低下します。音がおかしいと思ったら少し動かしてみましょう。
radius DEEP MOUNT
radius DEEP MOUNTは低音が出る傾向のあるイヤーピースです。
- 低音が強まる
- 高音もなかなか強まる
- 小音量でもおとなし過ぎない
- 高音域の解像度アップ
- 曇りが取れる
BOT1との組み合わせでは低音だけだなく高音も強まり、小音量でもおとなしさを感じにくいです。これはradius DEEP MOUNTが高音も引き出していると言うよりAET07aと同じく密閉度が上がったことによる恩恵かもしれません。
付属イヤーピースでは音量を上げると低音よりも高音の方がより強化されますが、radius DEEP MOUNTは音量を上げても低音の主張の方が強いです。高音も強まりつつも低音の強化の方が勝っているような印象も受けます。
Keepjoy
Keepjoyのウレタンイヤーピースはウレタン素材の中では高音が減衰しにくく、個人的に気に入っているイヤーピースです。低音への効果はコンプライほどではありませんが、コンプライは高音の減衰がありますからね。
- 高音はさほど減らない
- 低音が締まる
- 響きが抑えられる
とは言えそこはやはりウレタンフォーム素材なのでシリコンに比べれば高音は減衰しています。そのため楽曲によっては付属イヤーピースでも感じる曇りに加えてこもってしまうことがあります。基本的にはシリコンの方がおすすめです。どうしてもウレタンが良いならKeepjoyが一押しで、次点はクリスタルチップスとA-Focusのウレタンイヤーピースです。
シリコンよりも低音が締まるのでもしも付属イヤーピースで響きが気になるならウレタンの方が良いです。
アンプの使用
アンプを使用するとイヤーピースの相性がイマイチでもだいぶ曇りが消えてクリアになったように感じられます。わずかに高音域が出て凹凸が均される傾向があるようです。
アンプの種類で音のバランスの傾向が変わる場合がありますので必ず改善するわけではないかもしれませんが、イヤーピースを交換した上でまだ曇りを感じる場合はアンプを使うのも手でしょう。ただ良し悪しはちょっと楽曲によるかなと感じることはあります。
その他
装着感
前述した通り、耳に合ったイヤーピースを適切なポジションで装着できていないとこもるわ曇るわで音質の低下が著しいです。
シリコンのイヤーピースではBOT1を押し込むときっちり密閉されることで「ペコン」と言う音がします。これが嫌いな人もいるかもしれませんが、そこがベストポジションなはずです。
音漏れと遮音性
遮音性は特別高いわけでも低いわけでもありません。ちょっと音量上げ気味でも静かな音楽の時には自分が叩いているキーボードの音が聞こえます。音漏れはあまりしていないようです。
ケーブルの出来
張りのあるケーブルです。タッチノイズはそれなりですが耳掛けタイプなのですごく気になるほどではありません。クリップが付属しているのでどうしても気になる人は使うと良いです。
総評
エージングを終えて付属イヤーピースでいつもの音量で聞き始めた時には低音は十分なものの高音はおとなしく、フラットな万能型かと思っていました。しかしイヤーピースを変えることでおそらく本来の音が出て、バランスはフラットっぽいのですが低音域の下の帯域がよく出ているためやや低音寄りに聞こえます。低音がどっしりめなこと以外に強い個性はなく、楽曲は選びにくい方だと思います。
イヤーピース変更前は曇りが消えきれていなかったので、付属イヤーピースで少しでも曇った感じがあるなら変更した方が良いです。だいぶクリアになります。
装着位置が良くない場合のこもりと曇りはイヤーピース変更しても起こるので、耳の形との相性やイヤホン装着時のクセによってはぱっと付けてすぐ聞き始めることができないかもしれません。
また、イヤーピースで上手く密閉できていない場合は音量によってバランスが変わりやすいです。普段小音量で聞いている人は少しだけ音量を上げ、大音量で聞いている人はちょっと下げるくらいが良くなります。小音量ではややおとなしめ、中音量では迫力に過不足なくなり、大音量ではちょっと高音に寄りやすいです。
しかしちゃんと密閉できていれば(私の場合はAET07a)低音も高音も更に出て音量によるバランスの変化は大きくはなく、radius DEEP MOUNTでは高音と低音が強化されてさほど音量を上げなくても良くなります。
ボーカルはイヤーピースが合えばまずまずクリアではあるものの、艶が感じられません。ボーカル本来の声が艷やかであればあるほどBOT1の負け具合が耳に付きます。楽器演奏は良いのでちょっと残念です。艷やかなボーカルを聞きたいなら価格帯が上のイヤホンでないと難しいんでしょう。
音量を上げることを推奨はしますが音量が小さくても低音には厚みがありますし、音場がやや広めでなかなか気持ち良く、分離と定位も十分、解像度もなかなかです。
おすすめできるのは、3千円以下で楽曲を選びにくい低音がどっしりしたイヤホンが欲しい人、小さすぎる音量では聞かない人、個性的なデザインが気になっている人、高音の刺さりが嫌いな人、イヤホンにあまり投資できない人です。デザイン・音質・価格的にも若い人に良いんじゃないでしょうか。
逆におすすめできないのは、高音の刺激が欲しい人、リケーブルしたい人、上位価格帯のイヤホンに投資できる人です。
3千円以下の中華イヤホンは初めてだったので同価格帯の物を試していくうちに多少は評価が変わるかもしれません。しかしBOT1を聞き始めた時の印象は「よく出来てるなー」だったので、コスパも良いのではないかと思います。
- Boollo BOT1
- 販売終了
- セール中US $19.68(約2,201円)- Easy earphones 3/28
*AliExpressのAnniversary SALE期間は3/28 16:00~4/1 15:59