TRI-i3(Amazon/AliExpress)のレビュー、第2回はおすすめイヤーピース編です。TRI-i3のステムは鏡面仕上げで若干滑るため、イヤーピースの種類によっては引っ張るとゆるゆると抜けてくる場合があります。抜けやすいイヤーピースは除外しました。
音の基準は付属白シリコンイヤーピースと付属ケーブルです。音の違いで評価しているので、評価内容はイヤーピース自体の傾向とは必ずしも一致しません。ちなみに付属白シリコンは高音がちょっとだけ抑え気味で低音をよく拾う傾向があります。
人間の耳の形状は千差万別です。私が良いと思ったイヤーピースが必ず皆さんの耳の形状に合うとは限りません。また、微妙な装着の違いで変化が出ることもあります。ご了承ください。
レビュー第1回は以下からご覧ください。
付属白シリコンに近い
Sound Wave SW024
Sound Wave SW024(Amazon/12ペア895円)は Sは10mm、Mは12mm、Lは14mmです。
- 高音の主張がわずかに強まる
特別開口部が広いイヤーピースではないのですがTRI-i3のステムと直径が近いためステムの口がほぼ全開になり、ステム先端から出っ張っている部分は付属白シリコンと同じくらいです。おすすめする中では最も付属シリコン寄りなので付属白シリコンの交換用もしくは付属白シリコンが柔らかすぎて耳に上手くフィットしない場合におすすめです。
高音の主張を少しだけ強めたい
FIELD GEAR EP9
FIELD GEARのイヤーピース(Sサイズ/Mサイズ/Lサイズ/3ペア698円)は開口部の広いタイプです。あまり高さがないのでステムの先に出っ張る部分が少なくステムがほぼ全開になることが多いです。Sは10mm、Mは12mm、Lは13.5mmです。
- 高音の主張がわずかに強まる
開口部が広いことに加えTRI-i3では根本まで差し込めるのでステムから先にほとんど傘がはみ出さずステムの口がほぼ全開になります。減衰の余地がほぼなくなりTRI-i3本来の音がそのまま出ているのではないかと思います。
付属白シリコンが耳の形に合わない、高音のピークをもうちょっとだけ出したいならおすすめ。
JVC EP-FX2(クリア)
JVC EP-FX2(Amazon/3ペア303円)は背が低く開口部の広いイヤーピースです。他のカラーよりもコシのあるクリア限定でおすすめ。SSは9mm、Sは10mm、Mは12mm、Lは14mmです。
- 高音の主張が少し強まる
高音の主張が少し強まります。重低音の減衰はないようなのですが高音の主張とのバランスの変化で低音域が弱まったように感じられる楽曲があるようです。中低音域に寄りすぎている、高音が足りないと感じるならおすすめ。
AZLA SednaEarfit Short
AZLA SednaEarfit Short(Amazon/2ペア1,359円~)はSednaEarfit(Amazon)の軸が短いタイプで傘の部分は既存版SednaEarfitと同等なようです。開口部が広く軸が固めなドーム型のシリコン製イヤーピースです。SSは10.4mm、Sは11.2mm、MSは11.9mm、Mは12.6mm、MLは13.3mm、Lは14mmです。
- 高音の主張が強まる
- 低音域の量が少し減る
- 音の輪郭がくっきりする
- 定位が良くなる
高音も低音もしっかり出て重低音も衰えないので相性が良いです。ただし付属白シリコンは中低域を多く拾ったような音になりやすいため比較すると中低域の盛り上がりが少し低くなるようで、相対的に中音域の谷が浅く感じられます。低音の量も減りますがそれでもまだやや多めなバランスです。
低音の量が多すぎて間延びすることがあると感じるならおすすめ。駆動力の問題などでTRI-i3の明瞭さが引き出しきれない場合にも良さそうです。
低~中低域の濃さを薄めたい
スパイラルドット
JVCスパイラルドット(Amazon/3ペア983円)は内側にドット状のくぼみがあり開口部が広いイヤーピースです。ドットによってイヤーピース内の音を拡散させているとのこと。Sは約10mm、MSは約11mm、Mは約12mm、MLは約13mm、Lは約14mmです。
- 高音域の解像度が向上
- 音の広がり感が少しだけアップ
- ベースラインが若干衰える
スパイラルドットは特に高音域の周波数特性の凹凸を上手く拾うので高音域の解像度が向上します。TRI-i3では軸が埋もれて肝心のドットがほとんど隠れてしまうためドットの効果は薄めですがゼロではないようです。
ベースラインが音量的に若干衰えます。重低音も少しだけ減衰して厚み・濃さ・太さが軽減するので、低音域を少し軽くしたいならバランスは良さそうです。ただし力強さを衰えさせたくないならやめた方が良いでしょう。
SpinFit CP100
Spinfit CP100(Amazon/AliExpress/2ペア1,080円)は薄手シリコンの半球型イヤーピースです。SSは10mm、Sは11mm、Mは12.25mm、Lは13.3mmです。
- 高音の主張が強まる
- 低音の量が減る
- 低音のアタック感が音量的に強め
高音の主張がやや強く低音の量が減り、相対的に中音域の谷が浅くなります。低音のアタック感がしっかりめなので力強さがあります。
全体的な印象は付属白シリコンよりも付属赤軸シリコンに近いです。付属赤軸シリコンが気に入っているものの低音の量が多い、低音と高音の締まりのバランスが悪いと感じている人におすすめ。
メリハリを効かせたい
ePro Horn-shaped Tips
ePro Horn-shaped Tips(Amazon/3サイズ各1ペア2,700円)は軸のホーン形状が特徴のイヤーピースです。イヤホン本来の音色からあまりバランスを変えず低音から高音まで良く出ます。やや響きが抑えられ音の輪郭がはっきりしやすく、ベースラインが弱りにくいです。ややお高め。Sは約10mm、Mは約12mm、Lは約14mmで、いずれも縦長です。
- 高音の主張がやや強まる
- 響きが抑えられる
- 音の輪郭が少しくっきりする
- 適度にタイト
TRI-i3では少し差し込みづらいですがステムの根本まで入りますので奥まで入れ込んでください。付属白シリコンよりも音の響きが少なくフォーカスが合ったようなタイトさがありますがくっきりしすぎていません。高音とベースラインがしっかり出つつもメリハリすぎず。
付属白シリコンでは高音が少し物足りない、低音はあまり変えたくない、響きを減らしたいなら満足できそうです。
MandarinEs Symbio Eartips
MandarinEs Symbio Eartips(Amazon/楽天市場/eイヤホン/2ペア2,038円~)はウレタンをシリコンで挟んだイヤーピースです。力強い低音と抜けの良さが特徴。表面のシリコンのおかげで高音も本体がウレタンのわりには出ています。Sは11mm、Mは12mm、Lは13.5mmです。Amazonで高騰することがあるので高値になっている場合は他店で探してみてください。
- 高音の主張がやや強まる
- ボーカルのドライ感が改善
- 響きがやや抑えられる
- メリハリやや向上
- 音場の立体感が向上
Symbio Eartipsはシリコンとウレタンの良いとこ取りができ、高音を出しつつ低音も締まります。また、響きも抑えられるのでややメリハリが効いた印象になります。また、ボーカルのやや乾いた感じが改善します。
イヤーピースの傾向として音場に立体感を感じられるようになることが多く、元々広めなTRI-i3の音場と相性が良いです。個人的イチオシ。
A-Focus es-T1(傘がブラック)
A-Focus es-T1(Amazon/3サイズ各2ペア666円)は球形のシリコン製汎用イヤーピースです。KZのイヤホンとも相性が良いことが多いので中華イヤホンファンならストックしておいて損はないのでは。Sは約10mm、Mは約11mm、Lは約12mmです。
- 高音の主張がわずかに強まる
- 低音がややタイト
- ベースラインが少し強まる
- メリハリやや向上
高音は付属赤軸ほどは強まらないので白シリコンと赤軸シリコンとRHA デュアル・デンシティ(メリハリ強め)の中間くらいではないかと感じます。
白シリコンでは音が緩い、赤軸シリコンはバランスが良くないと感じるなら間を取りつつバランスを整えてくれそうです。
RHA デュアルデンシティ
RHA デュアル・デンシティ(Amazon/3ペア754円)は適度な固さの軸と柔らかめな傘のシリコンイヤーピースです。Mは約12mm、Lは約13mmです。
- 高音の主張が強まる
- 低音がややタイト
- ベースラインがやや強まる
- メリハリ向上
おすすめする中では比較的高音の主張がしっかり強めで、低音がタイトでベースラインもやや強まります。メリハリが効いてきます。付属赤軸シリコンの低音をやや引き締めたようなバランスだと思います。
付属白シリコンでは若干ぼやっと気味に感じる、付属赤軸シリコンでは高低の締まりのバランスが合っていないと感じるならおすすめです。
低音を強めたい
A-Focus 1es-powerbeats-16
(Amazon/各サイズ2ペア699円) Sは9.5mm、Mは12mm、Lは14.5mmです。Lサイズがかなり大きいので大きいサイズのイヤーピースでないと耳に合わない人には良さそうです。逆にSサイズは比較的小さめ。
- 低音が少し強まる
やや低音側に寄ったどっしりした感じになります。いっそ低音に寄ったバランスに変えてしまいたいならアリだと思います。サイズによる大きさの差が極端なので耳に合わない人も少なくなさそうではありますが…。
まとめ
付属白シリコンの音が比較的好みなら開口部の広いイヤーピース、付属赤軸シリコンの音が比較的好みなら開口部がやや狭い丸みのあるイヤーピースを選ぶと良いです。
付属シリコンの音が気に入っているけれど柔らかすぎて装着が良くないならSound Wave SW024(12ペア895円)がおすすめ。なくした時の交換用にも良いと思います。
付属赤軸では高音と低音の量感に差が出ている気がする、付属ウレタンは高音の減衰が気になる、でも付属白シリコンは耳の形に合わない、という場合は開口部が広い低価格シリコンイヤーピースがおすすめ。高音がやや強まる順にEP-FX2(3ペア303円)>SednaEarfit Short(2ペア1,400円前後)>FIELD GEAR EP9(3ペア698円)です。
付属イヤーピースでは低音が太すぎる、重低音がわずかに衰えても濃さを薄めたいならスパイラルドット(3ペア983円)、より赤軸に近いのが好みならSpinfit CP100(2ペア1,080円)が良いと思います。
高音は付属白シリコンと付属赤軸シリコンの間、低音はもっとタイトにしてメリハリを効かせたいならメリハリが強い順にRHA デュアル・デンシティ(3サイズ各2ペア666円)>A-Focus es-T1(3サイズ各2ペア666円)>MandarinEs Symbio Eartips(2ペア2,038円~)>ePro Horn-shaped Tips(3サイズ各1ペア2,700円)です。特にes-T1はKZイヤホンとの相性も良いので中華イヤホンファンならストックしておいても損はありませんよ。
更に低音側に寄せたいならA-Focus 1es-powerbeats-16(各サイズ2ペア699円)も面白いです。ただし各サイズの大きさの差が大きいため耳に合うサイズがないかもしれません。
個人的には付属イヤーピースが気に入っているものの高音の主張がもうちょっと欲しくボーカルのドライ感を好まないので、付属ケーブルならこれらを改善できるMandarinEs Symbio Eartipsを選択します。
TRI-i3のレビュー、第3回はおすすめリケーブル編を予定しています。間に別のイヤホンのレビューが入るかもしれません。
レビュー第1回は以下からご覧ください。
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コメント
私もこのイヤホンが気にいって使っているのですが、楽器系の音はすごくいいものの、もう少しボーカルに潤いがあればなあ、と感じています。おすすめリケーブル編を楽しみにお待ちします。
穂高さん、コメントありがとうございます。
リケーブル記事の公開にはもう少々お時間をいただきますが、私もボーカルのちょっとだけ乾いた感じを上手くリケーブルで調節できないかなと思っています。
ドライさを改善しやすいケーブルはあるものの高音の変化で生楽器の質感も変化するかもしれないのでイヤーピース変更とのあわせ技になるかもしれません。