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Hidizs MM2 – 広い音場と良好な定位を堪能するためにはクリアすべき条件あり

今回はHidizs MM2のレビューです。3種類のチューニングバルブごとに評価があるため長いです。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。

Hidizs MM2とチューニングバルブを並べた白背景画像
  • 私の耳は耳穴入り口付近から外耳道が太めです。これまでの経験上、深く装着しすぎるとバランスが崩れるイヤホンも少なくないためアジア人の平均から外れる程度には太めではないかと思います。
  • イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
  • イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。

製品仕様

  • ブランド:Hidizs
  • 型番:MM2
  • ドライバ構成:10.2mmDD*1+6mm低電圧静電磁気BMドライバー*1
  • インピーダンス:18Ω@1kHz
  • 感度:104±1dB@1kHz
  • 再生周波数帯域:20-40000Hz
  • 定格出力:5mW
  • ケーブル端子:2pin 0.78mm (金メッキ)
  • ケーブルプラグ:3.5mm(金メッキ)

DDは10.2mm、PEK(ポリエーテルケトン)高分子ポリマー振動膜を採用したHidizs独自DDの第2世代です。HDDに加えて低電圧静電磁気BMドライバー(Low-voltage magneto-static Balanced Membrane unit)が搭載されています。

なおidizsのDDの世代は振動膜以外の部分が共通なものを同一世代としており、第1世代はMS1 Mermaid、MS1 Rainbow、MS4に搭載されています。

  • MS1 Rainbow(1DD/Polymer bio-diaphragm)
  • MS1 Mermaid(1DD/Polymer Composite diaphram)
  • MS4(3BA+1DD/High-Sensitivity Polymer Diaphragm)

パッケージと外装

シックな黒いパッケージです。背面側にスペックが掲載されています。

Hidizs MM2の外箱の白背景画像 Hidizs MM2の外箱裏面の白背景画像 Hidizs MM2の箱の中の白背景画像

同梱物は交換用チューニングバルブ3セット(1セットはイヤホンに装着済み)、高純度OFC+銀線ミックスケーブル、シリコンイヤーピース2種類各3サイズ、合皮ポーチです。

Hidizs MM2と同梱物の画像
バルブは金属プレートに2セット収納できます。

ハウジングはドイツ製エコフレンドリーレジン、フェイスプレートとノズルはアルミニウム合金製です。フェイスプレート表面は加工が施されており汚れが付きにくいです。

Hidizs MM2のハウジング左右を並べた白背景画像
汚れてるなーと感じることがほとんどないですね。

耳側の凹凸は控えめです。以下画像ではチューニング用バルブは外しています。

Hidizs MM2のハウジングを真横から撮影した白背景画像1 Hidizs MM2のハウジングを真横から撮影した白背景画像2 Hidizs MM2のハウジングを真横から撮影した白背景画像3 Hidizs MM2のハウジングを真横から撮影した白背景画像4

付属品

チューニングバルブ

チューニングバルブは予め装着済みのBalanced(Rose gold)と、Treble(Silver gray)、Bass(Drak red)が付属します。

Hidizs MM2と交換用バルブの画像
チューニングバルブは3種類です。

背面のチューニングバルブは通気量を調整可能なベントとして機能しており、DDと低電圧静電磁気ドライバーの両方に影響を与えます。バルブ先端はフェイスプレート表面から出っ張っています。

Hidizs MM2のハウジングとチューニングバルブの画像 Hidizs MM2のハウジングとチューニングバルブを真横から撮影した画像

付属ケーブル

付属ケーブルは高純度OFC+銀線ミックスケーブルです。低音が濃厚で立体感が強調される傾向がありMM2の音色にもかなり影響を与えています。

Hidizs MM2の付属ケーブルの白背景画像 Hidizs MM2の付属ケーブルのプラグとスプリッターの白背景画像 Hidizs MM2の付属ケーブルの2pinコネクターの白背景画像 Hidizs MM2の付属ケーブルの線材拡大白背景画像

ケーブルとしての質は良さそうですし、別売りでバランスプラグを出して欲しいところですね。問い合わせてみましたがバランスプラグ版も含めて別売りの予定はないそうです。

MM2の低音が濃すぎるならリケーブルですっきりさせることが可能です。ただし付属ケーブルがミックス線でそれに合わせたチューニングなせいかミックスでないケーブルではバランスが崩れることも多そうです。

Hidizs MM2とTripowin C8との組み合わせの画像
ちなみにこのケーブルはTripowin C8(Amazon/AliExpress)。

付属イヤーピース

シリコンイヤーピースが2種類、各3サイズ付属しています。丸型の方が変化は控えめです。お椀型は低音が弱めで沈み込みごと衰えやすいためMM2との組み合わせでは不満を感じやすいです。付属品で使うなら丸型の方をおすすめします。

Hidizs MM2の付属丸型イヤーピースを斜め上から撮影した白背景画像 Hidizs MM2の付属丸型イヤーピースを上から撮影した白背景画像 Hidizs MM2の付属お椀型イヤーピースを斜め上から撮影した白背景画像 Hidizs MM2の付属お椀型イヤーピースを上から撮影した白背景画像

装着の深さと角度を調節しても中域が凹む場合はイヤーピースを変更すると改善される可能性があります。

付属ポーチ

見た目もおしゃれな合皮ポーチが付属します。サイズにも余裕があり、MM2持ち歩き用として問題なく使用可能です。画像2枚目はMM2が入った状態で蓋を閉めています。

Hidizs MM2の付属ポーチにMM2を収納し蓋を開けた状態の画像 Hidizs MM2の付属ポーチにMM2を収納し蓋を閉じた状態の画像

音質

エージング

いつも通り200時間エージングしました。方法はiPad Proで音量は私が普通に聴く(小音量)時よりやや大きめ、所有音源ランダムリピート再生です。

箱出し時は駆動力不足な場合に中低域の量が若干多くぼやけやすいのが気になっていましたが、エージングと装着位置の吟味で概ね解消されました。

装着の深さと角度

装着の深さが適切でないと低音の量が増えボーカルが鼻声になりやすいです。HidizsのイヤホンはKZなど他の多くのイヤホンでベストだと感じやすい深さ(私の耳では浅め)よりもイヤーピースの位置がやや深めに感じる位置に来ています。

また、装着角度の影響も大きいです。ノズルを外耳道の向きに極力合わせることで高音が明るく伸びてスカッと抜け、音場が拡張されます。きちんと耳が塞がれているのにまるでイヤーピースの一部が抜けて開放されているような音がするポイントがベストだと思います。

しかし角度が外耳道に向きすぎると中域が凹みやすいです。音場が広くボーカルが凹まない角度を探しましょう。ただし元々ボーカル帯域が近いタイプではないためベストな位置でも少し遠いと感じるかもしれません。

参考までに私の耳での微調整方法は以下のとおりです。

  • ボーカルが鼻声→より深めに挿れる
  • ボーカルが凹む→角度調整
  • ボーカルよりコーラスが目立つ→角度調整&ほんの少しだけ浅く
  • 音場が広くない→角度調整
  • 低音の沈み込みが浅い→深さ調整

評価環境

主な評価環境は以下の通りです。付属丸型イヤーピース使用時/1kHzテストトーンをほとんど騒音のない屋内で平均約51dB*1、室温約18℃で聴いていきます。音源はFLAC(一部WAV)です。他にAmazon MusicおよびYoutubeの動画なども使用しています。

Balancedバルブ(Rose Gold)

付属丸型イヤーピース

Balancedバルブ+付属ケーブル+付属丸型イヤーピースで聴いていきます。Balancedバルブは予め到着された状態で梱包されています。

Hidizs MM2の付属丸型イヤーピースを真横から撮影した白背景画像 Hidizs MM2に付属丸型イヤーピースを装着した状態の画像
高音の主張*
3.8
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
3.8
★★★★★
★★★★★
中高域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
3.0
★★★★★
★★★★★
中低域の音量
3.8
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
3.6
★★★★★
★★★★★
アタック感*
3.8
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 高音の刺激は強すぎず
  • 音場広め
  • 低音の解像度高め

周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックすると、超低域は25Hz以下から聴こえ30Hz台がわずかに強め、350~450Hz辺りにf特上の谷があり、中高域は強めで高域は7kHz付近にピークがあります。ベストと感じる位置に装着した場合、私の耳の外耳道閉鎖共振は7kHz台前半に来ますが7kHzのピークよりも少し弱め、8.7kHz辺りにもピークがあります。

高音域は刺激的すぎず刺さりなし、主張は強すぎず適度にシャープで、きらびやかさと厚みもあります。細やかではあるもののさほど抑揚がある鳴り方ではなく直線的です。高駆動力な方がより自然さが向上する傾向があります。

抜けと伸びも良いのですが高駆動力で鳴らさないと低音の量が増えてしまい伸びやかさが聴き取りにくいようです。また、装着角度の調整が甘いと超高域が衰えやすいのか抜けの良さが衰えます。

中音域はやや濃く厚みがあり重心が少し低めです。装着角度が良くないと凹みが気になる場合があります。ボーカルの歯擦音は控えめで人の声の高さは自然です。装着位置角度が良くないとボーカルが鼻声気味になりやすいので、この点を装着の深さの目安にすると良いでしょう。

機器によってはブレス(息継ぎ)の音が強いことがあります。ブレスが激しい歌手の楽曲ではかなり気になりました。しかしこの点は再生環境に左右されそうです。まったく気にならない場合もあります。

低音域は沈み込みがやや深め、抑揚があり弾むような振動が感じられます。重さと厚みがありますが重苦しくはなく、中音域ほどは重心を低めに感じません。駆動力不足でうっすらと量が増えて全体的に少し低域側に寄り、力強さが衰えおとなしい印象になります。

耳への挿入の深さが適切なら低音の量は特別多いというほどではなく、分離の妨げになることはありません。

音場はイヤホンとしては広めです。ホール録音されたクラシック音源を聴くとその広さがわかります。ただし広い音場のためには適切に装着する必要があります。装着角度が重要です。音場が広い装着位置角度なら定位もより正確なはずです。

最も近い位置の音が近すぎず、遠くの小さい音は遠くから小さい音としてくっきりしすぎずに聴こえます。静電磁気ドライバーが出す高音は直線的ながら繊細で、DDが再現する抑揚の質もレベルが高いのではないでしょうか。

チェロの胴鳴りや、ティンパニ、バスドラム、和太鼓など打楽器の低音の振動がうまく表現されています。アコースティックギターもなかなか魅力的で、胴が木の楽器らしさが出ています。しかし弦が擦れる音がもうちょっと欲しいとも感じます。高音の鋭さが控えめなためか、バイオリンの音色や、低音の金管楽器の金属の響きは少々惜しいです。

全体的に厚みがある濃いめの音色です。ただしこの濃さと立体感は付属ケーブルの影響が大きいため、リケーブルしてしまうとややあっさりしてしまいます。

音場の広さと立体感でホール録音のオーケストラも気持ちが良いです。音数の多い楽曲でも団子になったり聴き分けづらかったりはしませんが、楽器の数やコーラスの人数が聴き取れるような高解像度ではありません。音数が少なめな楽曲で打楽器の質感や湿度を感じるボーカルを楽しむのには特に向いていると思います。

ダイナミックレンジが広く、音量を上げ気味にするとより音が良く感じられるチューニングです。Balancedバルブに限ってはかなりの大音量で聴いても耳障りさがなく、どんどん細部が聴こえてくるためセーフリスニング的には危険ではあります。

付属お椀型イヤーピース

Balancedバルブ+付属ケーブル+付属お椀型イヤーピースで聴いていきます。このイヤーピースは低音が弱って全体的にややすっきりしやすいです。

Hidizs MM2の付属シリコンお椀型イヤーピースを真横から撮影した画像 Hidizs MM2に付属シリコンお椀型イヤーピースを装着した画像

周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックすると、超低域は25Hz以下から聴こえ30Hz台前半がわずかに強め、350~450Hz辺りにf特上の谷があり、中高域は強めで高域は6.5kHz付近にピークがあります。ベストと感じる位置に装着した場合、7.3~7.4kHzの私の耳の外耳道閉鎖共振は6.8kHzのピークよりも少し弱め、極端にガクッと落ちずに9.3kHz辺りにもピークがあります。

付属丸型イヤーピースよりも超低域~低域が弱いです。特に低音の沈み込みは物足りません。

残響音はやや短めです。全体的に若干繊細さに欠けますが、逆にとても力強い元気な音かと言われるとそういうわけでもありません。Hidizsらしい音だとは思うものの、個性が強そうで強くないように感じられます。

後述するTrebleバルブとBassバルブでも相性は微妙でした。MM2には丸型イヤーピースの方が好相性だと思います。

Trebleバルブ(Silver Gray)

シルバーのTrebleバルブは超低域~中低域を音量的に弱め中高域のバランスを少し変えるようです。付属お椀型イヤーピースは相性が良くなかったため評価なしとします。付属ケーブル+付属丸型イヤーピースで聴いていきます。

Hidizs MM2にTrebleバルブを付けた状態の白背景画像
  • 低音の量がBalancedバルブよりもだいぶ減る
  • 中域が後ろに下がりやすくなる
  • バランス的に中高域やや強め
  • ボーカルの声質の差異がより聴き取れる

低音からの厚みが全域に効いている、ごく軽く低域寄りなドンシャリ傾向です。Balancedバルブよりも低音が音量的に弱く量も減るものの沈み込みは深めで適度に厚みもあります。

Balancedバルブよりも2kHz辺りが強めで他の2種類のバルブよりもボーカル帯域が凹みにくいです。全体の音域バランス的にも中高域がやや強めなため耳への挿入の深さが適切でないと中高域が主張しすぎることがあります。

また、機器の影響で中高域が出すぎることがあり、低駆動力な機器の方がこの影響が弱めです。Trebleバルブは低駆動力で鳴らしても低音の量が増えにくいため、再生環境があまりパワフルでないならTrebleの方が印象が良いと感じる人も多いでしょう。

ですが音場はBalancedバルブの方が広いです。低音が音量的に弱ったことで低音が遠くなるのではなく、低音は単純に音量が小さくなって中~高域が近くなったように感じます。

ボーカルの情報量は向上し、ハスキーさなどの声質がより聴き分けやすくなります。ボーカル曲にはTrebleバルブの方が相性が良さそうです。

低音がやや弱いお椀型イヤーピースでも沈み込みは不満なく軽くもなりすぎません。ですがなんとなく相性の悪さを感じました。薄手のお椀型イヤーピースは私の広い耳穴では微調整して固定するのが少し難しいせいもあると思います。

Bassバルブ(Dark Red)

Bassバルブは超低域から中低域を音量的に強め1kHz~5kHzをやや弱めます。高域のピークの音量的強さはほぼ変わらないようです。全体的にかなり低音側に寄ります。こちらも付属お椀型イヤーピースとの相性が良くなかったため評価なしとします。付属ケーブル+付属丸型イヤーピースで聴いていきます。

Hidizs MM2にBassバルブを付けた状態の白背景画像
  • 低音が音量的に強まる
  • 低音の量が増える
  • 大音量向き

低音のドンが音量的に強まる他、低音の量がかなり増えます。高音の強さは変わらないためバランス的に低音の主張が強まったように感じやすく、ボーカル帯域は凹みやすくなります。好みが分かれそうな音色です。

音場は比較的広めなままではあるもののバランスの変化で中高~高域が近めに感じられ、Balancedバルブよりも音場は狭まりやすいです。また、装着位置が悪いとかなり定位が崩れます。

しかしこれが大音量で鳴らすと低音の濃淡が見えてきます。ガツンと大音量で聴くのに向いているようです。低音の量が多すぎる、ボーカル帯域が凹んで聴きにくいなら丸型イヤーピースよりもお椀型イヤーピースの方が良いでしょう。それでもまだぼやっとする場合は市販イヤーピースに変えるか、別のバルブで使った方が良さそうです。

音質まとめ

高音は細やかながら抑揚控えめでリアリティや解像度は低音の方が高く、木製弦楽器の胴鳴りや太鼓系打楽器の響きが気持ち良いです。

低電圧静電磁気BMドライバーは歪みが小さく、その点はDDも十分健闘しています。スマホ直挿しなどの低駆動力でも問題なく音量は取れるものの音色はだいぶおとなしくなり、高レベルでまとまっているのになんだか物足りません。『低電圧』とは言えある程度駆動力は欲しいと感じました。

DDも駆動力の影響を受けやすいです。駆動力で低音の量や沈み込み、全体の高音成分の多さに差が出ます。駆動力を要求する2種類のドライバーのためにアンプは欲しい気がします。再生環境のパワーが心もとないならTrebleバルブなら明瞭でバランスが良いかもしれません。イヤーピースを変更するのも効果的です。

Hidizs MM2とフィルターの拡大画像
本気を出すためにはけっこうパワーを要求します。

いずれのバルブでも私が普段聴くよりも大きい音量にベストな音量があるようです。Bass>Balanced>Trebleの順にその傾向が強いと感じます。少なくとも付属品のみで使用するなら小音量派は満足度が高くないかもしれません。

音場の広さはBalanced>Treble>Bassの順に広いです。Balancedの広い音場が気にいったなら他のバルブは物足りないと思います。

イヤーピースをKBEAR 07(Amazon/AliExpress)に変えると2種類の付属イヤーピースよりも高音の主張が少し強めで全体の高音成分がやや増えます。機器との相性や好みで低音が多すぎると感じるならイヤーピースを変更するのも良いと思います。

再生環境と駆動力

音量は取りやすくスマホ(Xperia 1 ii)直挿しでもボリュームは1/4~1/3、iPod touch 7Gでは1/4以下で十分です。しかし低駆動力な機器では音色がおとなしく、低音の量がうっすら増えたような印象になることがあります。付属イヤーピースで装着の加減を変えてもぼやっとするようなら市販イヤーピースに変更すると音の輪郭がくっきりします。

基本的には高出力な機器で使った方が音場は広く力強い音色です。試した限りゲイン切り替えがある機器はすべてでハイゲインの方が良いと感じました。

Hidizs MM2とFiiO Q5s Type-Cの組み合わせの画像
ローゲインでも普通に鳴るんですけど…。

FiiO Q5s Type-Cのハイゲインとは非常に相性が良く、ジャンルを問わず幅広い音楽に向きました。

バルブとイヤーピースの影響で多少機器との相性を感じることがあります。XDUOO XD05 Balは1000mW@32Ωの超ハイパワーなのにBalancedバルブではFiiO Q5s Type-C(220mW~@32Ω)よりもパワーが欲しいと感じる上にローゲインでは相対的に沈み込みが浅くなり物足りません。しかしイヤーピースをKBEAR 07(Amazon/AliExpress)に変えるとバランスが整い、より自然でありながら力強い音色になります。

中高域寄りになりやすい機器では見通しが向上しやすいものの中高域が出すぎて近づく場合があり、そのせいで音場が狭まることがあるようです。aune BU2やJCALLY AP90はあまり相性が良いとは思えませんでした。ですが音場広めでごく軽く中高域寄りな印象があるQuestyle M15はハイゲインなら非常に力強く音場も広めで良かったです。

同じくHidizsのAP80 Pro-Xとは相性良好でした。Hidizsの製品はバランス接続の方が音が良いことが多く、AP80 Pro-Xも同様です。付属ケーブルのバランスプラグ版が売られていればぜひ試したいところですが…。

Hidizs MM2とHidizs AP80 Pro-Xの組み合わせの画像
バランス接続で試したい!

その他

装着感

装着感は普通です。耳側の出っ張りも小さめで耳にぐっと押し付けて装着しても痛みはありません。

Hidizs MM2をシリコン耳モデルに装着した状態の画像(側面側) Hidizs MM2をシリコン耳モデルに装着した状態の画像(正面側)

前述した通りノズルを外耳道の向きに合わせるのが正解の角度らしく、音場の広さと定位、高音の残響の伸びに影響します。外耳道の向きが脳天方向の角度キツめに曲がっている私の耳ではケーブルの耳掛けが外れかかったV字な装着角度になっています。私は起き耳なので普通に耳が寝ている方で同じ外耳道の角度ならケーブルの耳掛けは外れると思います。

Hidizs MM2のハウジング左右を横向きで並べた白背景画像

外耳道の向きに合わせた方がバランスが良いイヤホンは他にも多くありますがMM2は角度のずれでバランスを崩すタイプだと思います。なんだか定位がおかしいなと思ったら挿入の深さよりも角度の影響が大きいのではないでしょうか。

音漏れ・遮音性

チューニングバルブからの通気の他、DDの真上にももう1ヶ所小さなベントが開いています。おそらくチューニングバルブには中に通気量調整用のフィルターが入っているんだと思いますが、バルブの太さがそのまま背面ベントのように作用しているため遮音性は低めです。ですが音漏れは案外気にならないようです。

Hidizs MM2のハウジングをフェイスプレート側斜め上部から撮影した白背景画像 Hidizs MM2のハウジングをハウジング内側ベントが見える角度で撮影した白背景画像

他のイヤホンとの比較

Hidizs MS1 Rainbow

Hidizs MS1 Rainbow(公式)は2019年発売の10.2mmバイオポリマーDD採用の1DDイヤホンです。Hidizsの第1世代DDが搭載されています。6色展開のカラフルなレジンシェルの可愛らしさからは思いも寄らない、弾力がある低音が魅力です。駆動力の影響を受けやすく低駆動力なほど低音ホンになりやすいです。装着のベスト位置角度がMM2と同じなので開発責任者も同じ人なのかもしれません。

Hidizs MS1 Rainbowの同梱物の画像 Hidizs MS1 RainbowとHidizs MM2を並べた白背景画像
  • 高音の主張:Rainbow > MM2
  • 高音域の音量:Rainbow > MM2
  • 中音域の音量:Rainbow ≧ MM2
  • 低音域の音量:Rainbow < MM2
  • 低音の量:Rainbow << MM2
  • 低音の沈み込み:Rainbow ≦ MM2
  • 音場の広さ:Rainbow < MM2
  • いずれも付属ケーブルと付属イヤーピースでの比較です。MM2は主にBalancedフィルターバルブを使用。
  • FiiO Q5s Type-Cを使用しRainbowはローゲイン、MM2はハイゲインで比較します。

MM2の方が低音寄りです。高音タイプのTrebleフィルターに変えてもまだMM2の方が低音強めで量も多く濃いです。音場もMM2の方が広いです。続けて聴いて比較するとRainbowのボーカルが記憶にあるよりもドライに感じられます。

RainbowとMM2では使用されているDDは世代も振動膜の種類も異なりますが駆動力の影響を受けやすいのは同様です。高駆動力な方がタイトで音場広めです。Rainbowは低駆動力で低音がブーミーになりやすいため低音ホンだと評価している方もいらっしゃるようですが、高駆動力すぎてもボーカルがドライになることがあります。

同メーカーの上位価格帯であるだけの音質差がMM2とRainbowの間にはあります。Rainbowはこれまでも気に入ってよく使っていましたがMM2に取って代わられてしまったかもしれません。しかしMS1 Rainbowのコスパの良さには改めて驚かされます。RainbowはAmazonのHidizs公式取り扱いで安く買えますしおすすめですよ。

世代は違うものの共通点があるDDが採用されていてHidizsの音作りにも一貫性があるからか、Hidizs MS1 RainbowやMS1 Mermaid(今回非掲載)の音色には似た部分が感じられます。所有する限りではHidizsのイヤホンはいずれも音場表現が秀逸ですね。

DUNU TITAN S

DUNU TITAN Sは多層構造ポリコンデンセート液晶ポリマー(LCP)振動板採用の11mmDD搭載、金属ハウジングのイヤホンです。ニュートラルでクセのない音色が特徴ですが、私の聴覚上は中高域がやや強く高域が強すぎないこともあってか奥行きが浅めになりやすいです。TITAN Sについては何度かツイートしています。⇒着弾ツイート/箱出しインプレツイート/エージング後ツイート

DUNU TITAN Sと付属品の白背景画像 DUNU TITAN SとHidizs MM2を並べた白背景画像
  • 高音の主張:TITAN S > MM2
  • 高音域の音量:TITAN S > MM2
  • 中音域の音量:TITAN S > MM2
  • 低音域の音量:TITAN S << MM2
  • 低音の量:TITAN S < MM2
  • 低音の沈み込み:TITAN S ≦ MM2
  • 音場の広さ:TITAN S < MM2
  • いずれも付属ケーブルでの比較です。TITAN Sは付属青軸イヤーピース、MM2は主にBalancedフィルター+付属丸型イヤーピースで比較しています。

味付けがあまりなくニュートラルですっきりとしたフラット寄りなTITAN Sは音場は広くはないものの抜けが非常に良く、MM2と聴き比べると非常に見通しが良くすっきりとしています。

音場はMM2の方が広く、解像度はTITAN Sの方が高いです。日本では高解像度な方が人気が高まる傾向があるようですね。また、TITAN Sの方が駆動力を要求しないためポータブル機器で試聴した場合はTITAN Sの方が印象が良いと感じる方は多いかもしれません。

また、TITAN Sは装着位置角度がベストなポイントから外れていてもわりといい感じに聴かせてくれる傾向があります。不評が少ない理由はここにもあるのではないでしょうか。MM2はこの点がシビアです。そのためMM2は装着の加減を気にしない人にとっては低評価になる可能性があります。

DUNU TITAN Sは国内販売前から海外サイトで購入するユーザーにも好評で、DUNUよりも知名度が低いHidizsのMM2は影が薄くなってしまった印象はあります。また、国内ではMM2はAmazonのHidizs公式でのみ取り扱われているのに対しTITAN Sはeイヤホンでも販売されました。幅広く新着イヤホンをチェックまではしていない層の認知度の面でも差が出たのかもしれません。

個性が薄めで適度に解像度の高さもありボーカルも自然で粗のないTITAN Sに対し、濃厚かつ立体感と広い音場でダイナミックレンジの広さを感じ音量を上げたくなるHidizs MM2では音色がだいぶ異なります。使いやすいのはTITAN Sなんだろうなと感じるものの私自身はMM2の方が好きな音色です。

総評

  • 低歪み
  • 音色の変化を楽しめるチューニングバルブ
  • 刺激が強すぎず力強い高域
  • 立体感の向上に寄与する付属ケーブル
  • 広い音場と良好な定位
  • 音量を上げたくなるワイドレンジ
  • 装着を吟味しないとかなりぼやける
  • 駆動力の影響が大きい
  • ケーブルの味付けが強い
  • 装着ズレの許容度が低い

Hidizs MM2は低域と中高~高域が盛り上がったドンシャリ傾向の周波数特性で、濃い音色ながら案外楽曲は選ばずリアリティのある音で鳴ってくれます。音場の広さと奥行きと定位が良好でダイナミックレンジが広く、一度音量を上げて聴いてしまうとセーフリスニング的には音量を下げるべきと考える理性と音色を堪能したいという欲求の板挟みになる音色です。大音量でも耳障りでないため欲求に負けてしまいます。

Hidizs MM2とチューニングバルブと付属ポーチの画像
大音量の気持ち良さとセーフリスニングとで悩みます。

低駆動力でも音量は取れますしバランス良く鳴ります。ただしおとなしい音色になりやすいです。高駆動力な方がより自然な音色ですし、持っているならアンプも使って欲しいですね。

売りは低歪みな低電圧静電磁気BMドライバーなんだと思いますが、音色としてはダイナミックドライバー(DD)の良さを静電磁気ドライバーが引き立てる組み合わせだと感じました。DDも比較的歪みが小さく優秀です。

“低電圧”静電磁気ドライバーとは言え駆動力はあった方が良いようです。高駆動力な機器で鳴らすと低音のアタックは力強く芯があり、全体的に明瞭で音の抜けが良く伸びやかで更に音場が広いです。ただし『再生環境と駆動力』に記載した通りXDUOO XD05 Balのように超低域が力強いタイプの機器では多少相性がありました。アンプを含め複数の再生機器をお持ちなら普段あまり使っていないものも試してみた方が良いでしょう。

付属ケーブルが音色に与える影響が大きく、リケーブルするとだいぶあっさりしてしまい立体感も衰えやすいです。ケーブルの質も良さそうですしバランスプラグも選択できるようにするか別売りして欲しいですね。

難点はベストな装着の深さと角度を外した時の音の劣化が大きいことです。定位崩れ、中域の凹み、中高域の騒がしさ、ボーカルの鼻声など気になりやすい点の他、音場の広さの衰えが非常に大きいです。装着の仕方に気を使っていない人はよほど外耳道形状との相性が良くない限り評価が低くなるかもしれません。

私自身はBalancedフィルターと付属丸型イヤーピースの組み合わせでiFi Audio ZEN DAC(USBケーブルはFURUTECH GT2)で聴くのが気に入っています。これまでも気に入って使っていたHidizs MS1 Rainbowが収まっていたポジションにMM2が来た感じですね。

初期装備のHidizs MM2をおすすめできるのは、パワーに定評があるDAPを使用している人、駆動力のあるアンプ併用での使用を想定している人、チューニングバルブによる音色の変化に興味がある人、解像度よりも質感を重視する人、音場が広いイヤホンが欲しい人です。

チューニングバルブは3種類付属するもののBassバルブは音量大きめでないとバランスが整い切れず好みが分かれる音色です。BlancedとTrebleは使い分けて楽しめると思います。機器のパワーが心許ないならTrebleの印象が良いのではないでしょうか。

逆に初期装備のHidizs MM2をおすすめできないのは、低駆動力な機器でアンプなしの使用を想定している人、高解像度な音を望む人、ボーカルが近いのが好みな人です。

ベストな装着位置角度から外れた時の音の劣化が比較的大きいイヤホンなため、音質のために装着の加減を優先したくない人にもおすすめしづらいです。

Hidizs MM2のレビュー、試すパターンが多すぎるためおすすめイヤーピース編およびリケーブル編は未定です。相性の良い組み合わせがあればTwitter(@magnolia_time)で紹介するかもしれません。