[レビュー] KBEAR Lark (2) おすすめイヤーピース編

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KBEAR Larkのレビュー、第2回はおすすめイヤーピース編です。付属ケーブルとの組み合わせでおすすめのイヤーピースを選びました。Larkのステムはやや太めで先端に段差があるため、外しにくくて無理やり引っ張ると千切れそうなものは除外しました。

KBEAR Larkとイヤーピース数種類の画像

今回重視したチェック項目は超低域の強化、高音(シンバルなど)のか細さの改善、中高域の響きの他の音域との調和、ボーカル音量が弱りすぎないこと、ボーカルの自然さを損なわないこと、音の真横への広がりが極力後頭部側まで広がること、可能なら極力高音の抜けの良さを残すことです。

音の基準は付属グレーイヤーピースと付属ケーブルです。音の違いで評価しているので、評価内容はイヤーピース自体の傾向とは必ずしも一致しません。ちなみに付属グレーイヤーピースは低音の量がわずかに増えやすく高音がちょっとだけ抑え気味でボーカル音量がやや強い傾向があります。外径は実測でSが約11mm、Mが約12mm、Lが約13mmです。

  • 耳の形状(外耳道の太さ・長さ・角度)には個人差があります。そのため私が良いと思ったイヤーピースが必ず皆さんの耳の形状・音の変化の好みに合うとは限りません。
  • 微妙な装着の違いで変化が出ることもあります。

私の耳での聴こえ方についてはレビュー第1回を参考になさってください。

シリコン

RHAデュアルデンシティ

RHAデュアルデンシティ(Amazon/ヨドバシ)は傘がクリアで軸が黒い丸型イヤーピースです。硬めの袋状パックに入っていて潰れて届き、型くずれ率が高いことが難点です。外径は実測でSが約11mm、Mが約12mm、Lが約13mmです。Amazonでの販売価格は3ペア1,210円。

  • 外耳道太めの私は左右Lで浅めに装着しています。
  • 金属音の鋭さがやや和らぐ
  • 高音の伸びがやや良くなる
  • アタック感がやや弱る
  • 低音の重みが増す

音の変化の傾向が付属グレーに近く、比較したときの変化は軽微です。もしも付属イヤーピースを紛失したり劣化して代替品を探しているなら合うと思います。

付属イヤーピースよりも超低域が強く、どっしりさがやや強化されます。高音のか細さはあまり改善しないものの付属イヤーピースよりは良いです。アタック感も強すぎず高音の鋭さも和らぐことからやや聴きやすくなります。

AZLA SednaEarfit Short

AZLA SednaEarfit Short(公式/Amazon 2ペア977円~)はSednaEarfitより軸は細く短くやや固めで傘がわずかに柔らかいイヤーピースです。SednaEarfit(公式/Amazon)ほどは鋭い高音が出ません。軸の長さは8.8mm、軸の厚みは2.2mm、軸の内径は4.5mm、傘の外径はSSが10.4mm、Sが11.2mm、MSが11.9mm、Mが12.6mm、MLが13.3mm、Lが14mmです。

  • 外耳道太め、右側の耳穴入り口やや広めな私は左ML右Mで浅めに装着しています。深く装着するとボーカル音量が少し弱ります。
  • シンバルのか細さが改善
  • ボーカルの高音成分が減る
  • 中高域の響きが他の帯域と揃う
  • 音場がわずかに狭まる
  • 低音の重みが増す
  • 重低音の伸びが良くなる

超低域の強まりで重低音の伸びやシンバルのか細さが改善されます。また、ボーカルの高音成分が減り、より現実の声の高さに近づきます。付属ケーブルで中高域だけ他の音域よりも響きが強いと感じているならそれもやや抑制されて他音域と揃います。

高音の鋭さと伸びは付属イヤーピースと大差ないので疾走感はそのままに重みだけが追加されます。ただし低音が強化されたことで高音が強いイヤホンで感じられるスカッとした抜けの良さが若干衰え、音場が狭まったと感じられるかもしれません。

audio-technica SOLID BASS(2018/ブラック)

2種類(1種類は廃盤)あるSOLID BASSのうち、こちらは2018年以降のモデル用として販売されている軸と傘が同色のER-CKS50(公式/Amazon XSサイズ Sサイズ Mサイズ Lサイズ/楽天市場/ヨドバシ)です。ややドンシャリ気味に変化しやすく、その傾向はベージュよりもブラックの方が強いです。傘の外径はXSが10mm、Sが11mm、Mが12mm、Lが13mmです。

  • 外耳道太め、右側の耳穴入り口やや広めな私は左L右Mで深めに装着しています。浅く装着するとボーカル音量が少し弱ります。
  • シンバルのか細さがわずかに改善
  • 低~中高域はややタイト、高域は伸びよし
  • SOLID BASS(2018)ベージュよりも抜け良く伸びやか
  • ボーカルの高音成分が減る
  • 低音が音量的に少し強まる
  • 低音の重みが増す
  • 重低音の伸びが良くなる

低音も高音も若干強まります。高音は低駆動力な機器ならきつさを感じない程度です。超低域で改善が見込めるシンバルのか細さですが、高音も強まるため改善効果は弱めです。ベージュよりもブラックの方が抜けが良く伸びやかです。

付属イヤーピースで深く装着したときにボーカル音量が弱るけれど装着は深いのが好みな人におすすめです。外耳道が細い人はボーカルを下げない位置まで入れられないかもしれません。

audio-technica SOLID BASS(2018/シャンパンゴールド)

2種類(1種類は廃盤)あるSOLID BASSのうち、こちらは2018年以降のモデル用として販売されている軸と傘が同色のER-CKS50(公式/Amazon XSサイズ Sサイズ Mサイズ Lサイズ/楽天市場/ヨドバシ)です。ややドンシャリ気味に変化しやすく、その傾向はシャンパンゴールドよりもブラックの方が強いです。傘の外径はXSが10mm、Sが11mm、Mが12mm、Lが13mmです。

  • 外耳道太め、右側の耳穴入り口やや広めな私は左L右Mで浅すぎず深すぎず装着しています。
  • シンバルのか細さがわずかに改善
  • 全体的にややタイトだが残響はあまり衰えず
  • SOLID BASS(2018)ブラックよりもタイト
  • ボーカルの高音成分が減る
  • 低音が音量的に少し強まる
  • 低音の重みが増す
  • 重低音の伸びが良くなる

超低域がやや強まるもののシンバルのか細さを完全には解消しません。全体的にはブラックよりもタイトで、ブラックほどはドンシャリ感が強まりません。付属グレーイヤーピースとはけっこうキャラクターの異なる音色ではあります。

ウレタンフォーム

Symbio F

Symbio F(Amazon 3ペア1,917円)は表面がツルッとしたフォームイヤーピースです。私が所有するフォームイヤーピースの中ではおそらく最も高音の減衰が小さいのですが1ペアに換算すると600円以上するため安価とは言い難いですね…。軸の内径は4.5mm、外径はSが10mm、Mが12mm、Lが14mmです。

  • 外耳道太めの私は左右Mでイヤーピースが外耳道の中で潰れるか潰れないかギリギリの位置でストップして蓋をしています。
  • 刺さりを感じる高域のピークを抑える
  • 抜けの良さをかなりキープ
  • 超低域は強めて低域は強めない

シリコンイヤーピースよりも極力フォームイヤーピースを選択したい、多少コスパが悪くても音質優先ならおすすめです。フォームイヤーピースはタイトになりがちですが、Symbio Fは高音の減衰が比較的小さいこともあり一定の抜けの良さがキープできています。

重低音の伸びは付属イヤーピースとさほど変わらないものの重さは増します。高音は多少減衰しても構わず重低音の伸びを強化したいならLUDOS COMFYの方がおすすめです。

LUDOS COMFY

LUDOS COMFY(Amazon ワンサイズ6ペア697円)は表面がツルッとしたフォームイヤーピースです。フォームイヤーピースとしては高音の減衰が比較的小さく、表面がモサモサしたフォームイヤーピースよりも汚れにくいのがメリットです。サイズはワンサイズで高さ10mm、外径11mm、内径5mmです。

  • ワンサイズしかありませんが外耳道太めの私でも使えました。外耳道の中で潰れるか潰れないかギリギリの位置でストップして蓋をしています。
  • シンバルのか細さがだいぶ改善
  • 高音の刺激が弱る
  • 全体的に響きが弱る
  • フォーム素材のわりに伸びやか(Symbio Fには劣る)
  • 低音の重みが増す
  • 重低音の伸びが良くなる

シリコンイヤーピースに比べれば高音の減衰はいくらかありますが響きもいくらか残ります。シンバルのか細さもかなり改善されます。深く入れすぎると超低域が弱るようなので外耳道の太い人は突っ込みすぎに注意してください。

フォームイヤーピースを使い慣れていないならシリコンと比べて多少もやっとしていると感じる可能性はあります。基本的にはシリコンの方がおすすめですが耳の形状や音の好みの都合でいつもフォーム素材を選択していてコスパ重視ならアリだと思います。

AliExpress縛り

Amazonには取り扱いがなくAliExpressで売られているイヤーピースの中からも相性の良いものをいくつか紹介します。

Trig Rain シリコングレー

Trig Rainというセラーで見つけたグレーのシリコンイヤーピース(AliExpress $0.69+送料$1.29)はKBEAR Larkの付属グレーイヤーピースに似た形状をしています。付属グレーイヤーピースよりも傘も軸もほんのちょっとだけ厚みがあります。外径はSが10mm、Mが11mm、Lが12mmです。商品ページはリンク先と異なりますが、同じセラーにほぼ同型で軸が短い別製品もありますので購入時はご注意ください。

Trig Rainで販売中のシリコングレーイヤーピースの各サイズを並べた画像
  • 外耳道太め、右側の耳穴入り口やや広めな私は左L右Mで深くも浅くもないくらいの深さで装着しています。付属グレーイヤーピースと同じくらいです。
  • 全体的に高音成分が少し減る
  • 重心が落ちたようなどっしり感

形状はかなり似ていますがシリコンの厚みの違いの影響で音の変化の傾向は若干異なります。全体的にやや低音側に少しだけ寄り聴きやすくなります。

BGVP E01

BGVP E01(AliExpress 1ペア$1.89+送料$1.45)final TYPE Eの赤軸クリアのパクリイヤーピースです。本家よりも軸が厚く傘はカサカサしています。Sは高さ10.22mm/外径11.27mm、Mは高さ10.52mm/外径12.24mm、Lは高さ11.43mm/外径13.03mmです。

BGVP E01の各サイズを並べて上部から撮影した画像 BGVP E01の各サイズを並べて斜め上部から撮影した画像
  • 外耳道太め、右側の耳穴入り口やや広めな私は左右Mで浅めに装着しています。深く装着するとボーカル音量が少し弱ります。
  • 生楽器との相性良し
  • シンバルのか細さやや改善
  • 重低音の伸びが良くなる
  • 重低音~低音に奥行きが出る

張りがあってやや重みのある低音が出ます。重低音の伸びが良好ですが、電子音のかなり低い重低音では楽器の音の重低音ほどの重さは出ません。音の抑揚が細やかになり、生楽器の音の解像度が向上します。

定位が崩れるほどではありませんがボーカルに対して中高域が少しだけ近づく音があります。ボーカル帯域が盛られたイヤホンで一部楽器が近すぎるのが気になって苦手という人にはおすすめしません。

ANJIRUI T400

ANJIRUI T400(AliExpress)は安価なフォームイヤーピースの中では比較的キメが細かく高音の減衰が少ない製品です。表面がややペタペタしていますがすぐに汚れてしまうというほどではありません。同じ名前であちこちで売られている製品とは異なりちゃんと『ANJIRUI』ブランドとして販売されているようで、ペタペタタイプのイヤーピースの中ではかなり質が良いイヤーピースだと思います。いずれも高さは10mm、内径は4.9mm、外径はSが10.6mm、Mが12.5mm、Lが13.4mmです。

  • 外耳道太めの私は左右Mでイヤーピースが外耳道の中で潰れるか潰れないかギリギリの位置でストップして蓋をしています。
  • 高音の刺激が弱る
  • 全体的に響きが弱る
  • シンバルのか細さが改善
  • 低音の重みが増す
  • 重低音の伸びが良くなる

高音はやや減衰しますがLUDOS COMFYほどではなく、フォームイヤーピースとしては抜けの良さもキープしています。超低域が強まり重低音の伸びが良くなり低音の重みが増しシンバルのか細さが改善します。深く入れすぎると超低域が弱るようなので外耳道の太い人は突っ込みすぎに注意してください。

まとめ

付属イヤーピースはKBEAR Larkとの相性が良く、重低音が微妙に弱い代償に抜けの良さがかなり向上しています。そのため重低音の重さや伸びを強めるとやや音場が狭まったような印象を受ける可能性があります。装着感や音色に不満がないなら変更する必要性は低いです。

KBEAR Larkは装着位置が悪いとボーカル音量が弱るため、市販イヤーピースでも位置決めは重要です。深めにしたり浅めにしたりして位置を微調整してベストな位置を見つけてください。

付属グレーイヤーピースを紛失するなどして代替品が欲しいならRHAデュアルデンシティがおすすめです。若干元気さが衰える印象はあるものの音の変化の仕方は付属グレーイヤーピースに似ています。ただし超低域の弱さやシンバルのか細さも付属グレーイヤーピースに近いため付属グレーイヤーピースに不満があるならこのイヤーピースにも同じような不満を感じると思います。

高音の抜けの良さをキープするよりもm超低域を強めたいならAZLA SednaEarfit Shortが良さそうです。リケーブル後も相性が良い場合が多く、サイズも豊富です。

キャラクターが多少変わってももっとドンシャリに寄せたいならaudio-technica SOLID BASS(2018)も楽しいかもしれません。ブラックはよりドンシャリ気味に、シャンパンゴールドは軽くドンシャリ気味でありつつタイトでどっしりしています。

ボーカル曲をあまり聴かず生楽器の質感を更に向上させたいならBGVP E01はかなり楽器の音に効きます。中高域に強まる音がありボーカルなしの楽曲では気にならないもののボーカルありの楽曲では少し気になってしまうこととにだけご注意ください。国内サイトには取り扱いがないためAliExpressで購入する必要があります。

シリコンよりもフォーム素材のイヤーピースの方が好みなら、フォームイヤーピースとしては高音の減衰が小さいSymbio F、音質はSymbio Fに劣るもののコスパの良いLUDOS COMFY、AliExpressが使えるならハイコスパで高音の減衰も小さめなANJIRUI T400もおすすめです。

なおフォームイヤーピースは外耳道をきっちり塞ごうとして大きめを選んでしまうと高音の減衰が激しくなりやすいです。膨らんだ時にできるだけジャストサイズに近くなるように選びましょう。

[追記] KBEAR Larkのおすすめリケーブル編は中止することにしました。所有するLarkのロットが1stロット(4kロット)なのか2ndロットなのか識別困難なためです。予告していたのに申し訳ありません。