[レビュー] CCZ DC-1『Coffee Bean』(1) 深入りコーヒーのような個性の元は付属品?

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今回はCCZ Coffee Beanのレビューです。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。

CCZ DC-1『Coffee Bean』の白背景画像
  • 私の耳は耳穴入り口付近から外耳道が太めです。これまでの経験上、深く装着しすぎるとバランスが崩れる中華イヤホンも少なくないためアジア人の平均から外れる程度には太めではないかと思います。
  • イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
  • イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。

製品仕様

  • ブランド:CCZ
  • 型番:DC-1(Coffee Bean)
  • ドライバ構成:1DD
  • インピーダンス:18 ± 2Ω
  • 感度:111 ± 2dB
  • 再生周波数帯域:20Hz-20000Hz
  • ケーブル端子:2pin TFZ 0.78mm
  • PET(ポリエチレンテレフタラート)複合振動板の10mm二重磁気DD採用
  • 独自設計のシリコン製イヤーフィン
  • TPU素材の付属イヤーピースは独自設計
  • 付属ケーブルは4芯4N無酸素銅(OFC)ケーブル
CCZ DC-1『Coffee Bean』の外箱表面の画像 CCZ DC-1『Coffee Bean』の外箱裏面の画像 CCZ DC-1『Coffee Bean』の内箱の画像

同梱物はTPU素材のイヤーピース1種類3サイズ、付属ケーブルです。

CCZ DC-1『Coffee Bean』の同梱物の画像
付属品は最低限ですが独自イヤーピースが付属しています。

金属ノズルでフィルターは金属メッシュ、コネクターはTFZタイプの2pinです。イヤーフィン部分はシリコン素材です。

CCZ DC-1『Coffee Bean』の左右ハウジングの白背景画像
“Coffee Bean”なのでブラウンを選択しました。
CCZ DC-1『Coffee Bean』のハウジング画像1 CCZ DC-1『Coffee Bean』のハウジング画像2 CCZ DC-1『Coffee Bean』のハウジング画像3 CCZ DC-1『Coffee Bean』のハウジング画像4

フェイスプレートのスリットはベント(通気穴)になっています。音の漏れ具合の他、耳側のベントを塞ぎ息を吹いて確認しましたがちゃんと開いてると思います。耳側の小さいベントはそのままでスリット側だけテープで塞いでみたところ、低音の力強さが弱りました。抜けの向上だけでなくDDのパワフルさを活かすためも必要なベントということのようですね。

CCZ DC-1『Coffee Bean』のフェイスプレート側ベントの状態がわかるハウジング画像
スリット部分がベントであることはセラーにも確認済みです。

音質

評価環境は主にFiio X7 MarkⅡ(AM3D/可聴帯域外フィルタ:Slow Roll Off Minimum Phase)、ハイゲイン音量14前後(付属イヤーピース使用時/ほとんど騒音のない屋内で平均50~51dB*1)で聴いていきます。

  • 1. 平均が出せるスマホの騒音計アプリで計測しています。
CCZ DC-1『Coffee Bean』とFiio X7 MarkⅡ(AM3D)の組み合わせの画像1

駆動力および相性の比較としてZishan Z3(AK4490版/SdSlow/AKチップ不足により現行品はES9038Q2M AliExpress)、Zishan DSDs(ES9038Q2M/CMinPhase/AliExpress)、PC→iFi Audio ZEN DAC*2公式製品情報/Amazon)、Zishan DSDs(CS43198/Default/完売)、PC→aune BU1*2代理店サイト/eイヤホン/ヨドバシ)、Xperia X Performance、iPod touch(第7世代)も使用しました。音源は主にFLACです。他にAmazon MusicおよびYoutubeの動画なども使用しています。

  • 2. PCからの再生はfoobar2000+WASAPI(event)

付属イヤーピース

ケーブルは付属ケーブル、イヤーピースは付属イヤーピース左L右Mでほんのちょっとだけ押し込んだくらいの装着の加減で聴いていきます。

高音の主張*
3.8
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
中高域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中低域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
3.8
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.0
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 刺激の弱い高音
  • 強めかつ量が多めな低音
  • 聴きやすい音色
  • 包まれ感のある音場

周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックした限りでは超低域は20Hz以下から聴こえ、5kHzにやや高いピーク、7.7kHz辺りにもうひとつピークがあります。聴覚上は低音に量があり高音がやや控えめなドンシャリ型と言ったところでしょか。

しかしこのバランスには付属ケーブルと付属イヤーピースが大きく影響しており、特に7.7kHzのピークは付属イヤーピースによって大きく減衰、低音は量が増やされています。

高音域は必要なだけ出てはいますが周波数特性上のピークはさほど高くはなく刺激は控えめで、刺さりは感じません。そのぶんきらびやかさや派手さも控えめです、かなり聴きやすいです。

前述した通り高音の刺激は付属イヤーピースで大きく抑えられているため、不足を感じるならばイヤーピースを変更すると良いでしょう。

中音域は周波数特性上の谷があるもののボーカルが音量的に小さかったり下がって聴こえたりすることはありません。人の声は歯擦音の耳障りさもなくなめらかでやや落ち着いており聴き心地も良好ですが、全体的に高音成分の少ない音色なせいか物音なども落ち着いた音になってしまっています。

低音域は強めで量と広がりがあります。装着の加減が適切なら他の帯域に広がりすぎることはなく分離と明瞭さの妨げにはなりません。濃いめで乾きのない音色を作り出しています。

低音の音量的な強さと量と重さには装着の深さが大きく影響します。バスドラの音(50Hz~60Hz)が強すぎたりボワつくようなら明瞭さと低音の重さを頼りに微調整しましょう。機器(駆動力)によって最適な深さも多少変わるようです。

重さと沈み込みの深さは高駆動力であるほど強化される傾向がありますが、スマホやiPod touch直挿しでもさほど不満は感じませんでした。

高音の鋭さが控えめなため生楽器のリアリティや美しさはいまひとつです。しかし低音の厚みでやや濃いめのなめらかさがあり、中音域の質感は音の種類を問わず良いように感じました。高音抑え気味な付属イヤーピースから他のものに変更することで全体的にシャープになるものの、ボーカルが音量的に弱ったように感じることもあります。また、付属イヤーピースの低音が好みなら物足りなくなってしまう場合もあるでしょう。

付属ケーブルと付属イヤーピースが大きめの変化をもたらしてるわりに定位が良いです。今のところ試した限りではリケーブルしてもイヤーピースを変えても違和感を感じるほどには変わりません。

音の距離感は鼓膜からの物理的な距離の影響をかなり受けます。浅めに装着していると低音が包み込むような広がりがあり、より音場広めに感じられます。単純に浅く装着すればどんなイヤホンでも音場が広がるというわけではないため、装着の深さで音場感が大きく変わるというのはある意味Coffee Beanの特徴のひとつではないかと思います。しかしそのぶん左右のバランスが合うように装着できていないと明らかに定位が崩れてしまいます。きちんと調整しましょう。

全体的な情報量と解像度は低くはないものの、高音が抑え気味なのが影響して高音を必要とする音の解像度は若干低めに感じられます。しかしイヤーピースをAET07などに変更すると高音がしっかり出ることで解像度も向上します。しかし私の年齢は40代後半ですし耳の若い方なら付属イヤーピースでももっと高解像度に聴こえるのかもしれませんね。

再生機器にもよりますが私の耳で明瞭になる装着ポイントは1ヶ所ではなく、バランス良く低音がドンドンしづらく音が気持ちよく広がるポイントと音場が狭まって低音がブリブリ強くなるポイントと低音ドンドンがだいぶ弱まるポイントがあります。いつも使うサイズで慣れた深さで装着するだけでなく、普段使わないサイズのイヤーピースも使って一番好みに近い音を探してみるのが良いと思いますよ。

参考までに私の耳でのベスト装着と音の傾向は以下の通りです。

  • X7MK2(AM3D/SlowRollOffMinimumPhase):装着深すぎず浅すぎず→低音やや強め量少し多め、音場やや広め
  • Zishan Z3(AK4490/SdSlow):装着やや浅め+イヤホン上部を耳に押し付ける→低音やや強め量やや多め、音場やや広めボーカル前面
  • Zishan DSDs(ES9038Q2M/CMinPhase):装着浅め+イヤホン上部を耳に押し付ける→低音やや強め量少し多め、音場広め
  • Zishan DSDs(CS43198/Default):装着やや浅め+イヤホン下部をちょっとだけ押し込む→やや低音強く音場広め
  • iPod touch 7G:装着やや浅め+イヤホン下部をちょっとだけ押し込む→少し低音強め音場やや広め
CCZ DC-1『Coffee Bean』の付属イヤーピースMサイズの画像
機器ごとに微調整が必要なのはちょっとだけ面倒かも…。

イヤホン下部を押し込むのは私の外耳道がかなり上向きに曲がっているためです。外耳道に沿った方向に向けるためなので人によって角度が違うと思います。イヤホン上部を耳に押し付けるのはごくわずかに浅くするためとハウジングの共振を抑えるためです。

また、X7MK2とZishan DSDs(ES9038Q2M/CMinPhase)で低音の量が少し減るのは装着の加減だけでなく、どちらもESS製チップで元々ややすっきりめな音ということもあります。

acoustune AET07

付属イヤーピースの味付けが強いため、比較的音の変化が大きくないイヤーピースのうち相性が良かったacoustune AET07(Amazon)でも簡単に評価していきます。左右Lでやや浅め位置でかつ強めに蓋をするように装着しています。なおスパイラルドットはイマイチでした。

  • 装着位置に関わらず明瞭
  • 高音のシャープさが強まる
  • 低音の広がりが弱る

AET07との組み合わせでもベストな装着位置はありますが付属イヤーピースほどシビアではありません。付属イヤーピース使用時の評価で言及した通り、深く挿入すると音が一気に近づいてしまいます。私の好みは浅めな方です。

超低域が強化されなくなったため包み込むような低音の広がりはかなり衰えます。…というよりこれが本来のCoffee Beanの音ということにはなりそうです。

付属イヤーピースでは抑制されていた高音が開放されます。それでも刺さるような刺激はありません。高音の解像度も向上します。

その他

装着感

独自構造のイヤーフィンは肌当たりが良く装着感は良好で滑りにくく、非常にずれにくいです。これは真似てくる中華イヤホンメーカーがありそうです。付属イヤーピースとイヤーフィンは『独自パテント』と書かれているため中国での特許は取っているようですが、中国でそれがどれだけパクリ抑制効果があるものなんでしょうか。

CCZ DC-1『Coffee Bean』と耳モデルの画像1 CCZ DC-1『Coffee Bean』と耳モデルの画像2 CCZ DC-1『Coffee Bean』のイヤーフィン構造がわかる位置から撮影したハウジング画像

音漏れ・遮音性

背面ベントがあるため音漏れしますが背面ベントのスリットはさほど広く取られていないためか盛大に漏れているというほどではなさそうです。遮音性も、背面ベントがあるわりには良いほうだと思います。

再生環境と駆動力

スマホやiPod touchなど低駆動力な機器との相性も良いです。低音強化傾向の付属ケーブルと付属イヤーピースが低駆動力直挿し時にこそ良い仕事をしており、低駆動力で弱りがちな低音の力強さを補助し、低音のタイトさが衰えたときのぼやっと感を背面ベントが改善させています。高駆動力な機器で鳴らせばよりタイトで、より力強い低音が楽しめます。

CCZ DC-1『Coffee Bean』とiPod touchとの組み合わせの画像
ライトな環境にもとても向いています。

付属ケーブル

付属ケーブルは4芯4N無酸素銅(OFC)ケーブルです。超低域がよく出るタイプでCoffee Beanの強めな低音を更に強めています。Coffee Beanとの相性は良いと思います。

CCZ DC-1『Coffee Bean』の付属ケーブルの白背景画像 CCZ DC-1『Coffee Bean』の付属ケーブルの部分画像

スライダーは動かしやすくずれにくく、できが良いです。ちなみにこの部分はKBEAR Larkと同じパーツの色違いなようです。

付属イヤーピース

CCZ Coffee Beanに付属するイヤーピースはこれまでのセラーブランド低価格中華イヤホンに付属するような中華汎用製品ではなく新たに製品化されたもので、軸と傘の接合部に段差があるのが特徴です。傘はペラペラすぎるという程ではないもののコシはそこそこ、軸が短く表面はカサッとした質感です。超低域の可聴域下限辺りをやや強めつつ高域は抑える傾向があります。高域は特に6~8kHz辺りがけっこう弱るようです。

CCZ DC-1『Coffee Bean』の付属イヤーピースS/M/Lの側面からの画像 CCZ DC-1『Coffee Bean』の付属イヤーピースMサイズの画像

他のイヤホンとの比較

KBEAR KS2

KBEAR KS2(Amazon 2,750円/AliExpress $19.19-19.99)はバランスの良さで個人的にも好評かな1BA+1DD機です。低音に魅力がある雰囲気重視の音色で、ジャズなどに向いています。Twitterなどを見る限りでは評判も良かったようです。

KBEAR KS2と付属品の画像 KBEAR KS2とCCZ DC-1『Coffee Bean』を並べた白背景画像
  • 高音の刺激:Coffee Bean ≦ KS2
  • 高音域の音量:Coffee Bean ≦ KS2
  • 中音域の音量:Coffee Bean < KS2
  • 低音域の音量:Coffee Bean > KS2
  • 低音の量:Coffee Bean > KS2
  • アタック感:Coffee Bean < KS2
  • それぞれの付属ケーブルと付属イヤーピースを使用した状態での比較です。

中低域の盛られ具合がCoffee Beanの方が強いため低音の量は確実にCoffee Beanの方が多く、使用するイヤーピースを市販品に変えても低音の量はCoffee Beanが上回っています。KS2は直近では使っておらずもうちょっと低音に量があったと記憶していましたが、並べて聴き比べるとCoffee Beanほどではありません。

KS2は低音に濃さがありつつもCoffee Beanよりすっきりしています。どちらも低音に魅力があるイヤホンではありますがKS2はBAを搭載している分だけ高音側が充実しており、全体的な音のはっきりさと楽器の質感に分があります。KS2は特に低音の弦楽器の音色が素晴らしく雰囲気の良い音色ですから、楽器メインの楽曲を多く聴く人はCoffee Beanとの2択ならKS2の方が満足度は高いのではないかと思います。

対してCoffee Beanは低音の広がりによる包み込まれるような音場感がKS2を上回っています。また、KS2もハイブリッドイヤホンとしてはつながりの良い方ではあるものの当然ながら1DD機のCoffee Beanの方がよりなめらかです。

また、KS2は初期装備と低駆動な機器以外では低音の雰囲気に対してボーカルがわずかに乾きやすいため、ボーカル曲はCoffee Beanの方が心地良いです。

KBEAR KS1

KBEAR KS1(Amazon 1,980円+350円OFF/AliExpress $14.85-15.59)は2021年2月下旬に発売されたKS2の兄弟機です。1DDでKS2(1BA+1DD)に似た音域バランスに挑んだのか周波数特性はKS2とやや近いV字のドンシャリ型になっています。付属品との相性が良くないのが欠点です。

KBEAR KS1と付属品の画像 KBEAR KS1とCCZ DC-1『Coffee Bean』を並べた白背景画像
  • 高音の刺激:Coffee Bean ≦ KS1
  • 高音域の音量:Coffee Bean ≦ KS1
  • 中音域の音量:Coffee Bean ≒ KS1
  • 低音域の音量:Coffee Bean > KS1
  • 低音の量:Coffee Bean >> KS1
  • アタック感:Coffee Bean < KS1
  • それぞれの付属ケーブルと付属イヤーピースを使用した状態での比較です。

バランスの比較を付属イヤーピースではなく双方AET07で行うと低音の差が小さくなりますが、それでもCoffee Beanの方が低~中低域が強くKS1の方が少しだけ中高~高域が強いように聴こえます。しかし両者の高域の周波数特性的なバランスはかなり似ています。実際の製造元が同じだったりするんでしょうか。

ブランドは異なるものの、Coffee Beanの付属イヤーピースの影響を取り除くとKBEAR KS2とKS1が兄弟機ならCoffee Beanは従兄弟というか、いずれにしろ親戚のような印象があります。しかしそれは周波数特性上の類似であり、それぞれ音色には違う個性が感じられます。

粘る低音とバランスの取れた高音で楽器の音が一番良いのはKS2、適度に聴きやすく3機種の中ではあまり個性の強くないKS1、低音の個性で包み込む伸びやさと奥行きがありボーカルのなめらかさが魅力的なCoffee Beanと言ったところでしょうか。

KS1は付属品がかなり足を引っ張っているため、並べて聴き比べるとなんとなく惜しい印象になってしまいます。イヤーピースを交換するだけでもだいぶ違うんですが…。

CCZ Emerald

CCZ Emerald(レビュー/Amazon 3,090~3,190円+500円OFFクーポン/AliExpress $24.99-$25.99)はCoffee Beanに続いて2021年夏に発売されたCCZの低価格帯イヤホンです。CCZカスタム1BA+10mm二重磁気DDの1BA+1DD構成で、Coffee Beanと似た周波数特性を持ち低音寄りドンシャリ傾向ですが案外なんでも上手く鳴らす比較的バランス型ではあると思います。若干機器との相性があるのが欠点です。

CCZ Emeraldの同梱物の白背景画像 CCZ EmeraldとCCZ Coffee Beanを並べた白背景画像

CCZ Emeraldのレビュー内でCoffee Beanと比較しています。

総評

  • 付属品との相性が良い
  • 低駆動力機器でもバランス良く鳴る
  • 独自イヤーフィン構造による装着感の良さ
  • 効果的な背面ベント
  • 装着の加減でかなり音が変化する
  • 付属品の影響が大きすぎる

Amazonの商品ページに書かれた『低域の弾性と量感は十分に良く、人声はまろやかで、高域は耳障りではなく、そうして音の分離度も高く』という解説はその通りだと思います。低音の量の多さが分離と明瞭さの妨げになっておらず、非常にうまくまとめられています。独自のイヤーフィンで装着感も非常に良好で、一度位置を決めしまえばかなりずれにくいです。

CCZ DC-1『Coffee Bean』とFiiO X7 MarkⅡ(AM3D)の組み合わせの画像2
中華イヤホンには珍しく商品説明に納得。

背面のスリットはベントではないと判断している方もいらっしゃるようです。しかし手元の個体では空気が通っているようですし、光に透かしてみても穴が空いているように見えます。また、セラーにも問い合わせてベントだと回答が返ってきています。しかし実際のところは分解してみないと確かなことは言えませんね。

付属品はケーブルもイヤーピースもCoffee Beanとの相性は良くクセになる低音の魅力を増幅しています。安価なので追加投資必須でないのはありがたいですね。

高駆動力な機器の方がタイトで重さもあり力強い音色にはなるもののスマホ直挿しでも不満なく鳴ります。アンプや高駆動力なDAPを持っていない人でも十分に満足できるでしょう。

装着の加減で低音の量と明瞭さ、低音のドンの強さ、音の距離感、音場の広さがかなり変わります。機器によってもベストな装着位置が変わるため、低音の量と強さと音場の広さにおいては人によって評価に差が出そうです。音場感と定位は深さを変えても破綻しないので、微調整してベストな位置を見つけてください。

また、初期装備では広がる低音が気持ちが良いことに加えて高音は刺激がないせいか気づくといつもより音量大きめで聴いてることが多かったです。セーフリスニングに配慮している方はご注意ください。

ひとつ評価に悩む点としては付属イヤーピース付属ケーブルがCoffee Beanの音色に与える影響が大きすぎることです。どちらも今のところ別売りされておらず、ケーブル断線やイヤーピースの劣化で初期装備の音は大きく失われてしまいます。

CCZ DC-1『Coffee Bean』のイヤーピースとハウジング付近拡大画像
相性が良いだけに…。

初期装備のCCZ Coffee Beanをおすすめできるのは低音に量がある音が好き、高音の鋭い刺激が苦手な人です。再生環境を選ばないのでスマホや低価格DAPなど低駆動力な機器への直挿しを想定している人にもおすすめできます。

逆に初期装備のCCZ Coffee Beanをおすすめできないのはすっきりとキビキビした音色が好き、低音強調なのは好まない人です。

やや高価格帯のCCZ Plume(Amazon 23,999円+3,599円OFF/AliExpress $239)と低価格帯のCoffee Beanを最初の製品としてリリースし、どちらも概ね評価は良いようです。CCZはなかなか好調なスタートを切ったようですね。詰めが甘いのは公式サイト(www.cczhifi.com)のドメインだけ取得してwebサイトを用意できていないことでしょうか。

CCZ DC-1『Coffee Bean』のレビュー、次回第2回はおすすめイヤーピース編の予定です。前述した通り付属品の音が気に入っているなら似た音色を保つのは非常に難しいため変更する必要はないと思います。なお先に別の記事を挟むかもしれません。

  1. *2021/09/06 CCZ Emeraldとの比較について項目とリンクを追加