今回はKEFINE Klanarのレビューです。KEFINEから直接製品提供を受けています。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。
- KEFINE公式サイト
- 公式画像はKEFINEの許可を得て掲載
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
製品仕様
ブランド | KEFINE |
---|---|
型番 | Klanar |
ドライバー | 14.5mm平面駆動型 |
インピーダンス | 16Ω ±15% |
感度 | 105dB ±3dB |
再生周波数帯域 | 20-40kHz |
ハウジング | アルミニウム合金/CNC加工 |
ケーブル | 2pin 0.78mm / 銀メッキ銅+OFC |
ストア | 価格 |
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LINSOUL-JP | 17,804~18,089円 +178~181pt |
HiFiGo | 17,804~18,089円/CN +178~181pt |
KEFINE Store | $86.71-88.55 [$116.20-118.14+5%$23.68] |
パッケージはシンプルです。黒い内箱も無駄がありません。個人的にはシンプルな方が好きですし、簡素な点も好感が持てます。
同梱物はケーブル、シリコンイヤーピース2種類各3サイズ、セミハードケースです。シリコンイヤーピースのうち1種類はMサイズが2ペア入っています。
フェイスプレートには保護シールが付いていました。目立たないため剥がし忘れにご注意ください。
フェイスプレートにはブランド名が入っています。表面はつや消し加工されており汚れが目立ちにくいです。私は手が湿っているのでつや消しハウジングの方が扱いやすくて好きです。実用的だと思います。
ノズルフィルターは二重になっています。サウンドチューニング用の目の細かい布フィルターと、布フィルター保護用の金属フィルターだそうです。金属フィルターは保護用とは言え音色への影響はあるはずですから、両方の効果でKlanarの音になっていると考えて良いと思います。
ハウジングは特に小ぶりではないものの直径と厚さの比率としては薄めです。
付属品
付属ケーブル
付属ケーブルは銀メッキ銅+OFCのミックスケーブルです。それぞれ太さ0.05mmの線材を54本×3本で編み上げ、更に2本組にして4芯ケーブルに仕上げています。
付属ケーブルには音質傾向をあまり変えない銀メッキ銅線と低音を少しだけ強める傾向のOFCを使用しているようです。味付けがない銅線と比べると少しだけ鋭い高音、少しだけ厚い低音。銀メッキ線と銅線のミックスケーブルにありがちなボーカルの近づきやすさはごく軽微です。
AliExpressのKEFINE Storeからプラグ違いを購入することができます。3.5mmを提供していただきましたが自費で4.4mmも買おうか検討中です。Klanarの音は3.5mmで満足していますのでKlanarに使うというより他のイヤホンにも使いやすいケーブルの1本として欲しくなります。
- KEFINE Store $14.68-16.53
- [$19.54-21.48+5%$3.88]
付属イヤーピース
シリコンイヤーピースが2種類各3サイズ付属しています。お椀型は3サイズ各1ペア、弾丸型は3サイズでSとLが各1ペア、Mが2ペア入っています。
お椀型イヤーピースは私の耳との相性が良くありませんでした。傘が柔らかすぎて装着しづらいため今回は評価外とさせていただきました。
セミハードケース
グレーのセミハードケースが付属します。小さめですが本体のみであればイヤーピースも潰れずに収まります。
音質
エージング
いつも通り200時間エージングを行いました。箱出しから満足できる音色でしたし、大きく変わった印象もありません。エージング必須ではないと思います。
装着の深さと角度
KEFINE Klanarの開発想定外耳道閉管共振は8kHzです。私の耳ではハウジングをぴったり密着させてからごくわずかに引き抜いたくらいの挿入の深さで公式周波数特性通りだと思います。ボーカルが最もリアルで、最も定位が良い位置を探すのがコツです。
鳴らし始めてからきっちり実力を発揮するまで5分ほどかかります。鳴らし始めも不満なく鳴るのですが5分後にノズル位置を微調整すると更に良いはずです。事前に慣らしておいてもあまり効果はありません。耳に装着して鳴らし始めてからの目安と考えてください。
以下の問題がある場合は装着位置の微調整だけで改善する可能性もあります。
- 中域に凹みを感じる
- 低音の沈み込みが深く感じられない
- 低音の量が多すぎる
- 定位の良さを感じない/違和感がある
- ボーカルがドライ
湿度と乾燥
ヘッドホン用平面駆動型ドライバーは湿度に弱いと聞きますがイヤホンでも同様なようです。高音不足、低音の量が多い、満足行く音色で聴くには大音量すぎる場合は乾燥させてみてください。
- 密閉容器『ベストコ ロック&ロック クラシック 600ml HPL854G』(Amazon 363円)
- 乾燥剤は『HAKUBA キングドライ』(Amazon 1個262円)
- この他、乾燥機は補聴器用の『シグニア パーフェクトドライ』(Amazon 4,600円)を使用しています。
評価環境
付属弾丸型シリコンイヤーピース使用(室温約23℃)で聴いていきます。音源は主にwavとロスレスFLACです。Amazon MusicおよびYoutubeの動画も使用しています。
- wavは一部購入音源を除きCDからのリッピングです。
- FLACは一部購入音源を除きfoobar2000を使用してLv3で圧縮しています。
- Youtube、Amazon MusicではラウドネスノーマライゼーションをONにしています。
主な評価機器は以下の通りです。PCからの再生はfoobar2000+ASIOです。
- FiiO Q5s Type-CとPCとの接続にはAIM電子 USAC-005 (OFC+純銀コート/SPセパレートフラット構造)を使用しています。⇒公式製品情報
付属ケーブル+付属イヤーピース
開口部が狭い方の付属イヤーピースで聴いていきます。開口部が広いイヤーピースは私の耳との相性が悪かったため、今回は評価外とさせていただきます。
周波数特性
周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックして行きます。
下は20Hz以下から聴こえるものの25Hz以下は音量的に小さめ、36Hz付近少し強め、600Hz台に緩やかな谷、2kHz辺り強め、3kHz台で少し弱り、外耳道閉管共振は8kHz、12kHz台で聴こえなくなります。
周波数特性的にはV字かW字に近い、いわゆるドンシャリ型です。高音の刺激は控えめで低音は音量的にも強いものの、不思議なことに音色には非常にリアリティがあります。
高域/中高域
高音域は音量的にやや控えめです。刺激が抑えられており、刺さりは感じません。高音の残響と拡散、伸びも控えめです。ですがきらびやかさも存在感も不足していません。高音の距離が近づきすぎず、広さを感じさせてくれます。
主に物音に含まれる高音成分が少なめです。『OK Go – Needing/Getting – Official Video(Youtube)』で車のドアをバンバンする音はリアルに聴こえるのに対し、乾いた土煙を上げて疾走する車の迫力は今ひとつです。
湿度の影響で高音不足を感じる場合があります。かなりの大音量でないと満足できない場合は一度乾燥させてみましょう。
中域
中音域は全域の中では特に情報量が多くリアリティが高い音域です。艷やかな音は艶っぽく、そっけない音はそっけなく聴こえます。中域に限っては残響がかなり正確なのではないでしょうか。実在感があります。
周波数特性的にはけっこう凹んでいるはずなのですが、超低域のコントロールで上手く底上げされており装着位置が適正であれば不自然な凹みや遠さは感じません。定位や距離感の再現も素晴らしく良いです。
超低域/低域/中低域
超低域がしっかりと出ています。低音の沈み込みは十分に深く過不足なく重く、濃すぎない広がりと見通しの良さを両立しています。
音量を下げすぎると超低域不足になりやすく、実力を発揮しきれていない気がします。私は小音量派ですがKlanarで聴く際は普段よりもやや音量を上げています。高音が適度に穏やかなので音量を上げても刺激的すぎたりはしません。
厚みと量と明瞭さのバランスが絶妙です。人肌のような程よい温かみを感じます。低音成分が全域にまんべんなく影響するのではなく、必要なところで欲しい分だけ、しかしほんの少しだけ力強い程度に現れてくれます。もしも低音の量が多すぎると感じるのなら湿度の影響もしくは装着の問題を疑ってください。
低域の音量は周波数特性から感じるほど強くはなく全体の統率も取れているものの、近年の加工されて強い超低域が含まれる音源では重低音が強めに聴こえます。この類の音源は制作者の想定した原音がわからないため、実はこれが正解という可能性もあるのかもしれませんね。
生楽器ではほんのわずかに力強さと気持ち良さが追加されているようなそうでもないような、さじ加減が絶妙です。チェロやコントラバスの胴鳴りや弦の振動が力強く響き、しかし脚色されているとは感じません。
生楽器の音の超低域~低域が強すぎたり量が多すぎる場合は耳への挿入が深すぎる可能性があります。
ボーカル
ボーカル音域の再現力は驚くほど高く、録音環境やマイクから口元までの距離まで聴き取れるような情報量で生々しく口元が見えてくるような実在感があり、声にこもった感情が伝わってきます。演劇映像を観るのも楽しいと思います。
機器の出力と音量が十分であれば人の声には高音成分も低音成分も過不足なく含まれ、現実と同じ声の高さで鳴っていると思います。
歯擦音やブレスは過剰になりすぎず控えめすぎず、耳障りさは感じません。高音女性ボーカルのつんざくような声も刺激的すぎませんが、声が高い女性ボーカルよりも落ち着いた声の女性ボーカルや男性ボーカルが魅力的です。
『超低域/低域/中低域』で触れた通り、小音量すぎると全体的に低音成分が不足して湿度感が衰え、ボーカルに高音成分が増えやすいです。また、ドライバーの乾燥不足で高音が不足すると録音時にマイクに近づきすぎたようなこもり感が出ることがあります。
空間表現、定位
生演奏の収録音源を聴いていると観客席での聴こえ方よりステージ上で演奏している時の聴こえ方に近いと思います。ライブやコンサートで一発撮りの音源を聴くと録音マイクの設置位置の音だなと感じます。ステージで楽器演奏したことがある人なら演奏する緊張感と高揚感を思い出すことができるのではないでしょうか。
超高域を出しすぎていないためか大ホールのような広い場所で広がる高音の残響はやや控えめです。しかし狭い範囲の残響はわりと正確だと思います。
理想的なノズル位置で装着できていれば定位は非常に良好です。前方への出方はそう大きくはないものの、横から斜め前方を通って前方に移動していく音の繋がりがとても自然です。定位が良くても斜め前方の一部につながりの良くない隙間が出来るイヤホンは多く、Klanarはこの点が特に優秀です。
ただし現実の聴こえ方に近いため、ゲームなどで物音とその位置をくっきりと聴き取る用途にはもっと合うイヤホンがあると思います。ゲーム直挿しでは実力発揮できませんし、アンプを使ったとしてもゲームでの利用ではもう少しはっきりした高音が欲しくなる気がします。
音場は狭くも広くもありませんが、おそらく普段よりも音量大きめで聴いているせいで若干狭く感じられる場合もありました。また、高音の残響が弱いため演奏者がいる範囲より外の広さはあまり伝わってきません。残響2秒で設計されたホールで録音した音源で確認すると残響はやや早めに聴こえなくなってしまいます。
情報量、解像度、分離
高精細デジタル画像のような高解像度ではなく、人の目で見たような現実感のある生っぽい解像度です。価格を考慮すると情報量はかなり多いです。マイクと音の発生源との距離が近い範囲の情報量は特に多く、これがリアリティある解像感と臨場感に効いています。
一発撮り(一気にまとめて録音)の分離は一発撮りの、別々に録音した音源をミックスした音源はミックスの分離で、良し悪しというよりも正確さを感じました。
楽器演奏者を含むバンド編成のグループはそれぞれの技量も見えてきておもしろいです。ボーカル抜きで電子音だけが使われた楽曲やボーカルの加工が激しい楽曲では旨味を感じ取れないかもしれません。
録音の質が良ければ良いほどKlanarの鳴らす音も良くなります。逆にクラシックの古い音源などは鮮やかさがないモノクロームそのままな音色に感じられ、必ずしも満足できませんでした。
音源と楽曲ジャンルとの相性
繰り返し前述した通り、相性が良いのはコンサート含む一発撮り演奏や歌声、加工が少ない音源、録音の良い音源です。再現能力が非常に高いので、音色に色を付けない機器を使用してモニター用途で使うのにも向いていると思います。
低音質音源は相応に鳴らします。問題がある音源を気持ち良く聴かせてくれるタイプのイヤホンではありません。海苔音源の歪みや音割れ、マスタリング上の不満点などは感じにくいものの、Klanarで音質が悪い楽曲を聴くのはまったく楽しくありません。
また、楽曲ジャンルや好みとして耳障りなほどの高音を必要とするなら物足りないと思います。
音源によっては「聴こえすぎている」と感じる場合もありました。音源の実際よりも気持ち良い音色に多少脚色して欲しいのであればKlanarはおすすめしません。
ハウジングへの共振
ハウジングの金属は適度に厚みがあり共振はさほど強くはありません。私の起き耳は就寝時間が近づくとほんのわずかに張りが弱るらしくハウジングの縁が接触している部分の振動が気になることがあるのですが、Klanarでは気になったことはありません。
その他
私の聴力は一日の間でも自覚できるレベルで超低域の聴こえの変動があります。超低域の聴こえが弱い時間帯にはイヤホンの音が相対的に高音側に寄るためイヤホンによっては耳障りさを感じて使えません。そういったタイミングでもKlanarは高音がはっきりしたなと感じる程度で問題なく使用できています。
最近増えてきた鳴らしやすい平面駆動型ドライバーとは異なり、Klanarは若干鳴らしにくいです。最適な出力で鳴らすことで引き出された超低域によって全域で厚みが増し、中域の情報量の高さを引き立てます。230~250mW@32Ωくらいの機器で好みの音に整うことが多いです。FiiO Q5s Type-Cのローゲインくらいです。
再生環境と出力&駆動力
『音質』にも書いた通り機器の出力があった方が超低域が出ます。音量は取りやすいものの、実力発揮のためにはポータブルアンプもしくは相応の出力で鳴らせるDAP必須だと思います。
再現能力の高さを発揮させたいのであれば味付けしないフラットな機器がおすすめです。所有する物ではFiiO Q5s Type-C(ローゲイン/3.5mm)とは抜群に相性が良いです。
出力不足かつ音量不足な場合は低音成分が不足し、なんとなく低域の音数が減ったような不正確な音に感じられたり、定位の良さを感じられなかったり、人の声に高音成分が少し増えたりします。
スペック上の最大出力がFiiO Q5s Type-C並なiBasso DX240は直挿しで気持ち良く鳴らしてくれます。音楽的な味付けがあるAMP8MK2よりも標準アンプカードの方がKlanarの持ち味を活かしてくれます。
ノイズ対策をしておらず電源ケーブルをつないだままのノートPC経由ではごく軽微ではあるもののハムノイズを拾いました。ですがノイズの音量としては小さいです。この点についてはKlanarに限ったことではなく、現行の中華平面駆動型にはハムノイズを拾いやすい傾向はあるようです。
その他
装着感
装着感は良好です。私の耳甲介(外耳道開口部周辺のくぼみ)は起き耳の影響で広めなため引っかかる部分はあまりありません。小ぶりというほどではないため、耳が大きい人以外は概ねフィットするサイズだと思います。
音漏れ・遮音性
耳に当たる側にベント(通気)穴が2ヶ所設けられています。私の耳ではハウジングを耳に無理なく当てた時のノズル位置が適正なこともあり遮音性はこのタイプの形状のイヤホンとしては普通です。
他のイヤホンとの比較
Acoustune RS THREE
Acoustune RS THREEは独自開発の『Myrinx EL-S』ドライバーを採用したイヤホンです。種類としては1DD(9.2mm)イヤホンということのようです。スタジオモニターイヤホンとして超低域、シサツ音、リップ音などの音やパンニングといった部分のモニタリング性能
を重視したイヤホンなのだそうです。
- 公式製品情報 : RS THREE | Acoustune
- 中古箱出し [転載]
- 追加インプレ [転載]
価格情報
- Acoustune RS THREE
- ピクセルオンラインショップ Translucido/Aiiro 15,174円
- eイヤホン 15,180円
- 高音の主張:RS THREE ≒ Klanar
- 高音域の音量:RS THREE > Klanar
- 中高域の音量:Klanar ≧ Klanar
- 中音域の音量:RS THREE ≒ Klanar
- 中低域の音量:RS THREE ≦ Klanar
- 低音域の音量:RS THREE < Klanar
- 超低域の音量:RS THREE ≦ Klanar
- 低音の量:RS THREE < Klanar
- 重低音・沈み込み:RS THREE ≦ Klanar
- いずれも付属ケーブルと付属イヤーピースでの比較です。
RS THREEの方が低音全体の量が少なく中高~高域の量は多く、ボーカルがやや近いです。人の声のモニターに重点が置かれており、口元からの音が不快感なく、かつリアリティを失わないように調整するのに向いていそうな音です。Klanarはマイクから入ってくるそのままに録音された音に聴こえ方に近づこうとしている音作りだと思います。
そこそこ高出力かつ音量大きめでないと真価を発揮しにくいKlanarに対し、RS THREEは低出力かつ小音量でも不満ないバランスで鳴り、あまり機器は選びません。この点はドライバーの種類の違いも大きいのでしょう。
KlanarはRS THREEがあえて拾わないようにチューニングしている音も拾うため、ある意味聴こえすぎてしまいます。国やジャンルを問わず最近のボーカル曲を聴くのであればより幅広く対応できるRS THREEに軍配が上がります。Klanarは録音状態をチェックするのに向くような音です。
NICEHCK F1 Pro
NICEHCK F1 Proは2023年11月に発売された14.2mm平面駆動型イヤホンです。通常価格は$99.00-104.00です。
- 高音の主張:F1 Pro ≒ Klanar
- 高音域の音量:F1 Pro ≧ Klanar
- 中高域の音量:F1 Pro ≧ Klanar
- 中音域の音量:F1 Pro > Klanar
- 中低域の音量:F1 Pro < Klanar
- 低音域の音量:F1 Pro < Klanar
- 超低域の音量:F1 Pro < Klanar
- 低音の量:F1 Pro < Klanar
- 低音の沈み込み:F1 Pro ≒ Klanar
- いずれも付属ケーブルと付属イヤーピースでの比較です。
- NICEHCK F1 Proは4.4mmプラグケーブル版です。
NICEHCK F1 Proは高音が気持ちよく広がる伸びやかな音色で、ボーカルはかなり近めです。比較するとKlanarは明らかに低音が厚く高音の残響が少なめで、ボーカルも含め定位や配置を変化させてはいません。
F1 Proにも全域に適度な量と厚みがあり、全域過不足なく鳴っています。中華平面駆動型ドライバーの能力を存分に発揮させたことによる脚色は開放感があります。
ボーカルが近いのが苦手な私にはF1 Proが合わないことと器楽曲を多く聴くこともあり、個人的にはKlanarの音色の方が魅力的です。Klanarの生々しさはF1 Proに限らず所有する他の中華平面駆動イヤホンにはない音です。
総評
- 音源の再現能力が高い
- マイク配置まで分かるような定位
- 価格に対してかなり情報量が多い
- 正確な分離
- 超低域の出音の質の良さ
- やや鳴らしづらい
- 環境次第ではごく小さめにハムノイズを拾う
- 外耳道長が合わないと空間表現が崩れやすい
- 小音量不向き
- 録音の良し悪しが顕著に出る
- 落ち着いた声の女性や男性ボーカルが魅力的
- ドライバーは要乾燥
生々しく没入感のある音色です。コンサート音源ではステージの緊張感が伝わってきて気づくと体に力が入っているほどです。原音への忠実さを目指したのだなと感じました。ですが好みの楽曲や所有音源次第ではKlanarが高評価される理由がわからないかもしれません。
平面駆動の良さを活かしつつダイナミックドライバーでは困難な部分を平面駆動型のポテンシャルでクリアした音作りなのかなと感じました。開発者の強いこだわりを感じる音色です。
Klanarはチューニングだけでなくハウジングの扱いやケーブルの質も含めた総合的な基礎能力が高く、価格上の価値を感じます。この方向性の音をこの価格で出せるイヤホンはなかなかないのでは。
ベストなノズル挿入の深さは若干シビアです。音作りにこだわるとやむを得ないのだとは思います。フィッティングに気を配れば特に近距離の定位は相当に良いです。
ボーカル曲や人の手で演奏されている楽器の音が収録された音源を聴いて欲しいイヤホンです。コンサートやライブのような一気に全部の音を録音する一発撮り音源は特におすすめです。
刺激的な強い高音ではないため広いライブ会場や屋外でスカッと広がる高音はあまり感じられません。ライブ会場の客席側の臨場感は乏しく、ステージ上で堪能しているような音色です。クラシックでもホールの広さまでは伝わってきません。教会や海外の古城のようなよく響く場所で録音された音源の響きも感じ取ることができません。
録音の良し悪しがかなり音に出ます。低音質な音源は脚色せず低音質に鳴らし、Klanarの音の情報量が多いことで余計な音が聴こえすぎていると感じる音源もあります。音源の粗を隠したり気持ち良さを底上げすることはしません。最近の日本のポピュラーミュージックしか聴かないのであればKlanarの魅力を実感しづらいのではないでしょうか。
初期装備のKEIFINE Klanarをおすすめできるのは、超低域の出音にこだわりがある人、フラット傾向で味付け控えめかつそこそこ高出力なアンプやDAPを持っている人、収録音の再現力に期待する人、楽器演奏経験が長い人です。
コンサートでもライブでも演劇でも、演者の感覚を呼び起こしてくれるような再現能力の高さがKlanarの一番の魅力だと思います。実力を堪能するためにフラットバランスな機器の利用を強くおすすめします。
逆に初期装備のKEIFINE Klanarをおすすめできないのは、鋭く主張する高音やスカッと抜けよく広がる残響が欲しい人、音場の広さを重視する人、最近の日本のポピュラーミュージックしか聴かない人、どんな音源も上手く鳴らす万能型イヤホンを探している人です。
ストア | 価格 |
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LINSOUL-JP | 17,804~18,089円 +178~181pt |
HiFiGo | 17,804~18,089円/CN +178~181pt |
KEFINE Store | $86.71-88.55 [$116.20-118.14+5%$23.68] |