[レビュー] KZ ZS6 (1) – 手元の個体は弱ドンシャリ…ただし本質的には刺さる可能性あり

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今回からリケーブル編も含め数回に分けてKZ ZS6のレビューです。第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。エージング後&付属ケーブル使用時の音の最終評価だけでよろしければ『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。

製品仕様

  • メーカー:KZ
  • ドライバ構成:DD×2, BA×2
  • インピーダンス:15Ω
  • 感度:105dB
  • 再生周波数帯域:7Hz-40000Hz
  • ケーブル端子:2PIN(0.75mm)

※AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。

小さな箱に入っています。KZ ZSRも持ってますが違いは印刷だけですね。

KZ ZS6の外箱の画像
KZのイヤホンはみんな一緒なのかな?

レッドを買いました。中華イヤホンはカラフルなのも楽しいです。

KZ ZS6の箱の中の画像
派手すぎない赤がいい感じ。

マイク付きにしました。同梱物はケーブルとイヤーピース3サイズのみ。

KZ ZS6の同梱物の画像
付属品は最低限

ハウジングは金属製。やや角ばっているので装着感が心配でした。ウレタンフォーム素材のイヤーピースならちょっと当たる程度ですがシリコンのイヤーピースだと起き耳の私には長時間は難しいかも…。

KZ ZS6のハウジングの画像1
やや角ばったハウジング

古いレビューや画像を見るとノズルにイヤーピース用の引っかかりがないようでしたが、私の手元に届いたものには浅くではありますが段差があります。

KZ ZS6のハウジングの画像2
ノズルには段差あり

想像したほど大きくありませんでした。

KZ ZS6を手の上に乗せた画像
思ったほど大きくなかったです。

ケーブルは国産の安いイヤホンのケーブルのような被膜です。ちょっとタッチノイズが気になります。この価格帯の中華イヤホンはイヤーピース交換とリケーブルは必須な感じなので音をチェックしてエージングしたらもう使わないでしょうけれども。

KZ ZS6に付属ケーブルと付属イヤーピースを付けた画像
ケーブルはグレー

所有する中で一番大きいのはKZ ZS10なので並べてみました。ZS10はノズルとハウジングの角度が直角に近いのであまり奥に入らないのですが、ZS6は斜めで少し長めなので比較すると耳の奥に入れ込みやすいです。

KZ ZS6とKZ ZS10を並べた画像1
ノズルに角度があるのでZS10よりは奥まで入ります。

並べるとやっぱりZS10は大きいですね。

KZ ZS6とKZ ZS10を並べた画像2
やっぱりZS10は大きい…

音質

商品説明

商品説明には以下のように書かれています。販売店で商品ページが異なりますのでKinboofiWTSUN Audio(Easy earphones)の2店舗の内容を足しています。

  • 低音から中高音まで迫力ある音
  • 全域のバランスよく、低、中、高音域とも、原音に驚くほど自然に再現
  • 全帯域の解像感
  • 中高域の透明感が非常にハイレベル
  • エージングにより本来の性能を発揮(100~200時間)
    • 音域は広く
    • 低音・高音の伸びもよくなり
    • 帯域のバランスはフラット
    • ボーカルの定位感・距離感などは見事

ドンシャリとのレビューを見たので買ってみたんですが、エージングが済むとフラットになるとあります。この部分、ちゃんと読んでませんでした。

箱出し

付属ケーブルとSpinFit CP145で聞き始めました。

  • 高音は刺さる直前
  • 高音の出具合は強い
  • 中音域も凹まず
  • アタック感があってタイトな低音
  • 分離と定位はまあまあ
  • 解像度は及第点

ネット上での評判では高音の刺さりがすごいとのことだったので耳に入れずに近づける程度にしておいて、いつも高音をチェックする音源を流してみましたが…心配したほどではないですね。もっとすごいのに当たったことがある(驚いて速攻耳からイヤホンをむしり取った)ので拍子抜けでした。

改めて調べたところ、事実かどうかは分かりませんが現行ロットは高音が調整済みとの噂もありました。エージングしないユーザーさんの評価が変わってきた可能性もありそうです。

基本はシャッキシャキです。中低音域に比べて高音はやはりだいぶ強く出ています。中音域の凹みは感じず低音のアタック感は気持ちが良く、タイトでノリ良く音楽を楽しめるタイプの音色です。今のところシャキシャキ&タイトなのでこもりやぼやけた感じはありません。

エージング200時間~

推奨エージングは100~200時間なので200時間かけてみました。付属ケーブルでの評価です。以下のグラフの音域バランスは私の耳で聞こえた音量のバランスです。

0
5
  • 高音域
  • 中音域
  • 低音域
  •  音場
  • 情報量
  • 解像度
  • 高音域>低音域≧中音域
  • 高音は刺さるまで行かない
  • 中音域の凹凸は小さい
  • 低音は十分
  • 分離は微妙?
  • 定位も微妙?
  • 音はやや近い
  • 反響と開放感で狭さを感じにくい
  • 輪郭くっきり
  • クリア
  • 解像度は高い
  • 情報量はまあまあ

箱出しからかなり音が変わりました。エージング100時間で一度チェックした時はもっと高音が強めでややシャリシャリして聞き疲れもあったのですが、手持ちのどのイヤーピースを使ってもさほど気にならなくなりました。

全域で非常にクリアな音で、こもりなどは全く感じません。全体的にくっきりと締まった音ですが、中高音域と比較すると低音はきっちり締まっている感じではないと思います。

200時間以上鳴らして耳で聞いた時に高音域>低音域≧中音域くらいの音量バランスの弱ドンシャリで落ち着いたようです。評判とは異なり刺さらない点についてですが、私は年齢のわりには高音の可聴域が広いようなので耳のせいではないと思うんですよね…。

しかし今回のレビュー記事を投稿する前に数本リケーブルを試したところ、耳にサ行は刺さらないものの頭の中に刺さるような、頭痛がするタイプの高音が出ることがありました。手元の個体に限って言えば付属ケーブルではせいぜいシャリ付く程度ですがリケーブルとの相性次第では耳ではなく頭の中に刺さることもあるという結論になりそうです。

チェック音源を聞いてみたら4kHz付近にごく浅く凹みがあるように聞こえます。あえて下げているケースもある帯域らしいので、これもあえてなのかも。音楽を聞いている分には中音域から高音域の途中までの凸凹は気になりません。

当初使っていたAET07aだとハウジングを押し当てる状態になり私の耳の形状(起き耳)ではしばらくすると痛くなります。耳を後ろに引っ張って寝かせてみたらそうでもなかったので、耳が寝ていればシリコンでも問題ないのかもしれません。

ウレタンフォーム素材のイヤーピースで支える方が良さそうです。コンプライ T-500(弾丸型)を使っています。コンプライ Ts-500(球体型)よりも楽です。

しっかり高音を出したいならウレタンではクリスタルチップス、少しでもフラットに寄せたいならコンプライが良いと思います。音質は劣りますが安いものならNew Beeのウレタンイヤーピースも意外と使えます。

ハウジングで耳が痛くならないならシリコンでも良いでしょう。高音がきついならAET08a、気にならないならお好みのイヤーピースで良いと思います。もっとドンシャリに寄せたいならAZLA SednaEarfitでも高音で耳が辛いほどではないです。

ZS6の価格的にも付属ケーブルの情報量や解像度についてはあまり期待していませんでした。しかし解像度はお値段以上だと思います。情報量はまあまあ程度です。

残響音は過不足ないと思います。わずかに反響があるようです。そのおかげか音の近さのわりに音場を狭く感じにくく、ベント(イヤホン本体にある穴)の効果で開放感もあります。反響が気になる場合はウレタンフォーム素材のイヤーピースの方が良いと思います。

分離と定位はもうひと息です。楽曲によってはちょっとごちゃごちゃして聞こえることがありました。臨場感ももうちょっと感じさせて欲しいところですが音作りの方向性が違うのかもしれません。

私のノートPCはイヤホンジャックもUSB-アダプター経由(イヤホンジャックからの音が悪いので主にこちらを使っています)もホワイトノイズが大きく出やすいのですが、ZS6ではインピーダンスの値のわりにかなり小さく音を邪魔するほどではありません。スマホ(Xperia X Performance)とiPad Proでは気にならないです。アンプによってはそこそこ出ることもあります。

その他

公称値より再生周波数帯域が狭い?

計測環境がないので実際のところは分かりませんが、耳で聞く限りでは再生周波数帯域が公称値(7Hz-40kHz)より狭いか、高音域の波形が落ち込んで行く(音量が小さくなって行く)のが早いようです。他のイヤホンで17kHz以上まで聞こえる耳のコンディションの日でも16kHzより下で聞こえなくなってしまいます。耳を傷めない程度に音量を上げてみましたがやっぱりそれ位なようです。うーん。

音漏れ

音をちょっと大きめにしてイヤーピースの穴を指で塞いで確認してみたところ、静かめな楽曲でもちょっと音量を上げると小さく聞こえてはきます。音量大きめでドンシャリ言う楽曲をかけてみると結構聞こえます。ベント(穴)があるので仕方ないですね。

不良品

不良品を引き当てました。2PINの穴が曲がっているようでピンを差し込むまでに数分格闘。どうにか少しだけ差し込んで横から確認したところやはり微妙に曲がっているように見えます。

販売店に送ってもらった交換品も穴が小さい箇所があり縁に金属のバリが残っているようだったので、付属ケーブルはどうせ使わないし…とダメ元でグリグリ頑張っていたら入るようになりました。破片が見当たらないので断言はできませんが、穴が広がったように見えるのでバリが取れたんでしょう。

とりあえず今のところ問題なく聞けていますし音質的にも当たり個体だと感じているので、トラブルがなければ更に交換とまでは。

総評

まとめると以下のような評価になりました。

  • エージング必須
  • 高音域>低音域≧中音域
  • 高音の刺さりはケーブル次第
  • 低音はあまり強くはない
  • 開放感と気持ちの良い音場表現
  • 解像度は高め
  • 派手な音色

エージングは必須です。手元の個体は200時間を超えてもまだ微妙に音が変わりました。

ドンシャリだと思い込んで買ったKZ ZS6ですが、2018年夏にAmazonでKinboofiから購入した私の手元にある個体については、耳で聞いた時に高音域>低音域≧中音域くらいの音量バランスの弱ドンシャリです。

ZS6の評判でよく言われている高音の刺さりは手元の個体と付属ケーブルの組み合わせでは感じません。耳の調子が良い時に若干シャリ付きを感じたので、常にモスキート音が聞こえるような若い方はもっとドンシャリ傾向が強く感じられて高音も常時シャリついて聞こえるかもしれませんね。

ただしリケーブルとの相性次第では耳にサ行が刺さるのではなく頭痛がしてくるタイプの高音が出て評価継続困難に陥るケースがありました。リケーブルする時は高音がしっかり出たり強化される系統のケーブルは避けた方が良さそうです。

反響と開放感のおかげか音の近さのわりに音場に狭さを感じにくいです。解像度はお値段以上です。付属ケーブルに限って言えば音の再現性よりも気持ち良さ優先の音色だと感じました。音楽を楽しめるイヤホンだと思います。

動画試聴の際に効果音の音質が華やかになり過ぎてそちらに気を取られてしまう派手さです。職場ではイヤホンOKの部署にいるのですが、音楽が耳によく入ってくるのでZS6だと仕事がはかどらないかもしれません。

再生周波数帯域の件は微妙な気持ちになりますが、そこを置いておけばなかなか気に入りました。派手めな音色が好きならおすすめです。

ユーザーのブログやAmazonのレビュー内容を見ると同じイヤホンにしては評価に違いが見られることから、不良品だけでなく個体差(ロット差も?)は確かにあったようです。エージングしないユーザさんの評価も混ざっているとは思いますが、エージング済みでも今回の私のレビューと同じ感想を持つかどうかはなんとも言えません。手元にあるZS6の音が正解なのかどうかわかりませんし…。

次回以降は数回に分けてリケーブル編をお届けします。今回の私のレビューと同じように感じられるZS6をお持ちでないなら参考にならないと思いますのでその点はご注意下さい。

リケーブル編は現在の価格の安い順に分けてレビューしていきます。最後にリケーブル編まとめを書くので、相性が悪いリケーブルの情報はいらない、ケーブル毎のレビューは大体で良い、そもそも長いのは読みたくない!という方はレビュー編まとめ(おすすめリケーブルまとめだけの回)をご覧ください。毎日は更新できないのでちょっとお待たせすることにはなります。

KZ ZS6は複数の店舗で販売されています。タイムセールに出ていることもありますし、購入時はチェックしてみてくださいね。

※AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。