[レビュー] SuperEQ S1 (2) 音質&総評編 ~ 低音寄りで聴き疲れないものの好みは分かれそう

Oneodio SuperEQ S1のレビュー、第2回は音質&総評編です。最終的な評価だけで良い場合は『総評』のみご覧ください。

第1回のレビューは以下からご覧ください。

音質

エージング

SuperEQ S1はエージング(鳴らし込み)でかなり音が変わります。箱出しは強めで量の多い低音と刺激の弱い高音で「低価格だしBluetooth接続は駆動力もないしこんなもんかな」と感じる音色でしたが、エージング10時間を超えた辺りから一気に音が変わり明瞭さがぐっと向上します。今回はレビュー前に50時間ほどエージングしています。

装着

装着位置が悪いと低音の量が多くこもり気味で、低音の一部帯域が響きます。音がこもらず低音が変に響かないのが適正位置だと思います。ボーカルの自然さと低音のバランスで判断した方が良さそうです。

Bluetooth接続+ANC ON

まずBluetooth接続でANCをONにした状態で評価していきます。送信側はCreative BT-W3です。

高音の主張*
3.0
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
3.5
★★★★★
★★★★★
中高域の音量
3.7
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
3.7
★★★★★
★★★★★
中低域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.3
★★★★★
★★★★★
アタック感*
3.8
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 全モード中で最も音質良好
  • 高音は刺激は控えめ
  • 低音の量は多め
  • 低音やや強め
  • 解像度は低め

周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックした限りでは超低域は25Hz以下から聴こえ低域は強め、400Hz前後に弱い部分がありボーカル帯域はさほど強くはなく高域は6kHzに強めのピークがあります。低音に量があり高音の刺激控えめの低音寄りややドンシャリ傾向です。

高音域は刺激控えめで刺さりはなく聴きやすいです。6kHzを除くと周波数特性上のピークは低めです。高音の主張が弱すぎて足りないのではなく、金属音の鋭さや弦楽器の繊細さなどが感じられません。そのため中域と比較すると高域の解像度は低めです。

中音域はやや厚みがあり落ち着いています。ボーカルには歯擦音などの不快な音は出ないものの、高音成分の少なさから男女ともにボーカルのハスキーさや口元のリアリティはほとんど再現されません。

低音域は強めで量も多めです。装着位置が適切でないとこもったり響きすぎたりしてしまいます。超低域は25Hz以下から聴こえますが音量的にはさほど強くはないようで重低音がドンドン強すぎるということはありません。沈み込みはまあまあで重低音は軽くならないものの、音源の質によってはバスドラの重さが物足りなく感じることがありました。

また、低ビットレート音源を再生したときのぼやっと感による明瞭さの衰えを感じやすいです。同じ楽曲の329kbpsのAAC音源と863kbpsのFLAC音源で比較したところかなり差を感じました。

分離は普通です。低音に量があるわりに他の音域の分離を邪魔しづらく、ボーカルが演奏に埋もれることもありません。定位は良好で、音場は低音が強めな密閉型ヘッドホンとしては普通か少し狭いです。

聴き疲れず、長時間聴き続けられる音色です。私は周囲がうるさい時にANC+小音量で音楽を流しつつうたた寝するのにも使っています。

Bluetooth接続+外音取り込みON

やや抜けが良くなったような高音の伸びが強まりますが、外音取り込みの影響でそう感じてしまうだけなのかもしれません。ANC ONよりも低音が強く、特に超低域が強まっていると感じます。低音の多い楽曲ではボワついて明瞭さが大きく落ちてまとまりがなくなることがあります。

Bluetooth接続+ANC OFF

ANC ONと外音取り込みモードのイマイチな部分を合わせたような音です。超低域のどっしりとした重さはANC ONよりも控えめ、抜けの良さを感じる高音の広がりは外音取り込みモードに近いものの高音の刺激は最も弱いです。

有線接続+ANC ON

接続する再生機器にコンセントからの電源が接続されている場合にハムノイズ(ブーンというノイズ)が出ます。メーカーに報告済みですが現時点では不良品ではないとの判断でした。どうしても機器に充電しながら使用したい場合はモバイルバッテリーを使いましょう。未確認ですがアースが取れているコンセントならノイズが出にくいのかもしれません。

低音が大きく減衰しシャリシャリ気味です。全モードの中で最も音が悪いです。

有線接続+外音取り込みON

低音の量が増えます。付属ケーブルはS1との組み合わせでは若干音がぼやっとしているため、装着の加減次第では低音ボワボワになることがあります。

有線接続のみ

有線接続+外音取り込みONと同様に音がぼやけやすい組み合わせのケーブルでは低音が多めです。すっきりしやすいケーブルと組み合わせる必要があります。

ケーブルを接続すると勝手にノイズキャンセリングもしくは外音取り込みがONになるためボタンを長押ししてOFFにする必要があります。

相性の良いケーブル

S1を有線接続で使用する場合、付属ケーブルは相性がよくありません。また、S1側の3.5mmコネクターが緩めなため付属ケーブルを含め一部のケーブルは簡単に抜けてしまいます。

抜けにくく音の相性も良かったのはUGREENの型番80850(Amazon 799~899円)です。低音も十分に出しつつすっきりめな音色になりやすいです。

他にも相性の良いケーブルはありましたが長さや太さがヘッドホン向きでないか1mで2,000円以上するものが多かったためS1のために買い足しをおすすめするには高すぎました。

他のANC対応Bluetoothヘッドホンとの比較

Oneodio A9

Oneodio A9は2019年夏頃に発売されたANC対応Bluetoothヘッドホンです。すでに販売終了しています。同価格帯ではANCの評価が高かったようですし終売直前に投げ売り特価になり当ブログでご紹介しましたので、いつも当ブログをご覧になっている方の中にはA9を所有している方もいらっしゃると思います。低音はあまり強くない中高域寄りのすっきりめな音色です。

Oneodio A9の白背景画像
安くてANCもそこそこ使えたので有線+ANCでわりと使っていました。
  • S1の方がイヤーパッドによる遮音性が高い
  • S1の方がANC ON/OFFの音の違いが小さい
  • A9は有線接続+ANC ONで問題なく使用できる
  • A9はANCがスライドスイッチでON/OFFが楽
  • 相性の良いケーブルなら有線接続時の音はA9が上
  • Bluetooth接続はいずれもSBCで比較しています。

A9のBluetooth接続+ANC ONの音の傾向は低音が強くなく中高域寄りですっきりめ、若干高音の解像度が低くて若干シャリっと気味なところもあるのに対し、S1は低音が強めで高音は強くない低音寄りで、適切に装着されていないとぼやけることがあります。音の傾向は真逆ですね。

A9は当時としてはANC性能が良いBluetoothヘッドホンでしたが、おそらく単なるウレタン製のイヤーパッドは密着性もそこそこであまり厚みもなく、パッド自体の遮音性はさほど良くはありませんでした。イヤーパッドはS1の方が優秀です。低反発素材のイヤーパッドには厚みもあり、より遮音性が高いです。

イヤーパッドが異なるためANCの効きを同条件で比較することができませんが、イヤーパッドによる遮音効果とANCとの相乗効果で総合的なノイズキャンセリング効果はS1の方が高いです。

また、A9のANCはフィードフォワード式でANCのON/OFFで音の変化が大きく、ハイブリッド式のS1は変化が小さく優秀です。しかしA9は相性の良いケーブルとアンプの使用でかなり音質が向上するため、有線での音質評価はA9が上です。

ag AG-WHP01K

ag AG-WHP01K(公式/Amazon/楽天市場)はfinal製のANC対応Bluetoothヘッドホンです。SuperEQ S1と同様にハイブリッド式ANCです。低遅延なapt-X LLと高音質とされるapt-X HDにも対応しています。通常価格は9,800円です。

  • S1の方が音量操作が安定している
  • S1の方がイヤーパッド空間が広い
  • AG-WHP01KはANC使用のホワイトノイズが非常に小さい
  • 有線接続時の音質はAG-WHP01Kの方が良い
  • Bluetooth接続はAG-WHP01KもSBCで比較しています。

AG-WHP01KはBluetooth接続+ANC ONの音の傾向はやや中低域寄りの暖かみがある音色で比較的バランスが良く楽曲を選びにくいのに対し、S1はより低音が強めで高音が弱いです。ノイズキャンセリング効果はイヤーパッドが厚く密着感も上なS1の方が相乗効果で周囲の音を遮音してくれます。

私にとってのAG-WHP01Kの一番の不満点は音量調整が不安定でボタンを押しても一瞬音が変化した後に元に戻ったり、音量を上げるボタンを押しても逆に音量が下がってしまうことがある点です。ちょっと音量変更するのにも毎回イライラしています。一度メーカーに送りましたが不具合が再現しないとのことでそのまま戻ってきました。送信機器側が同じでもS1はすべてのボタン操作がスムーズでストレスがありません。

また、これは個人的な都合ですが大きめ起き耳の私にはAG-WHP01Kのイヤーカップは小さく、耳の上に乗るオンイヤー状態になっているため1~2時間もするとかなり痛くなってしまいます。長時間装着するならS1の方が楽ですね。

比較まとめ

SuperEQ S1 > ag AG-WHP01K > Oneodio A9の順に低音寄りで、最も楽曲を選ばないのはAG-WHP01Kです。

総合的なノイズキャンセリング効果はSuperEQ S1 > ag AG-WHP01K ≒ Oneodio A9です。ANCは元々低音の打ち消しに強く高音には弱い傾向がありますが、S1はイヤーパッドの厚みと密着感のおかげで人の声や高音の遮音効果が高く、より周囲の音を小さくしてくれます。なおAG-WHP01Kは私の耳ではオンイヤーになるため遮音性がいくらか落ちているとは思います。

ANC使用時のホワイトノイズ(常時聴こえるサーッというノイズ)の大きさはOneodio A9 > SuperEQ S1 > ag AG-WHP01Kです。ag AG-WHP01Kはかなり無音に近く、SuperEQ S1も気にならない程度です。Oneodio A9は音楽をかけていれば気にならない程度ではあるもののノイズはしっかり聞こえます。

SuperEQ S1とag AG-WHP01KのANCはいずれもマイクを内側と外側の両方に配置したフィードフォワード式とフィードバック式のハイブリッドです。その効果もあって両者はANC ON/OFFの音の違いがOneodio A9よりも小さいです。ただしS1は有線接続時にフィードバック式ANCが作動せずハイブリッド式ではなくなり大きく音が劣化します。

総評

  • 効果的なハイブリッド式ANC
  • Bluetooth接続時のモード切替による音の変化が小さい
  • Bluetooth接続がスムーズ
  • 外音取り込み機能の搭載
  • 駆動時間が非常に長い
  • AAC対応
  • アナウンスがうるさくない
  • 聴き疲れない音色
  • ボタンの反応良好
  • 箱出し時は側圧が高め(伸ばせます)
  • 音源が低ビットレートの場合にぼやっとしやすい
  • 有線接続ではANCが使い物にならない
  • 有線接続かつANC/外音取り込みモードOFFでも電力を消費する
  • コンセントに接続している再生機器で有線接続しANCを使用するとノイズが出る
  • 操作説明が英語のみ

ANC機能搭載のBluetoothヘッドホンとしては非常に良くできていました。ANC自体の効きは普通かやや良好くらいだと思います。加えてイヤーパッドが厚めの低反発素材であることで物理的な遮音性も高く、より効果的に外音をシャットアウトしてくれます。その相乗効果でANCがあまり得意としていない人の声や高音も音量としてはだいぶ小さくなります。

ペアリングは早く、接続も安定しています。ボタン操作時に感じる不満もありません。集合住宅の我が家では家中どこに行っても途切れず、一日中使用しても切れないバッテリーなど機能面ではすべて及第点以上です。

落ち着いた音色が作業を邪魔しづらく、各モードのうちBluetooth接続+ANC使用時が最も音が整っています。用途を考慮すると望ましいチューニングと言えるでしょう。

聴き疲れない音色は作業しながら聴き流すのに良いです。ただし私の耳の形状(起き耳&外耳道が太い&おそらく外耳道が短め)が低音を強めている可能性はあります。ヘッドホンは耳(鼓膜)からの距離を簡単に調整できないため、イヤホンのような微調整が困難です。

有線接続については問題点が多いです。SuperEQ S1の売りのひとつはフィードフォワード式とフィードバック式のハイブリッドANCであるにも関わらず、有線接続では肝心のフィードバック式が効いていないようでした。そのことをメーカーに問い合わせたところ技術部門にも確認してくれましたが、やはり有線接続時にはフィードバック式が効かない仕様になっていました。

そのため有線接続ではフィードフォワード式の欠点とおそらくハイブリッド式前提で行ったチューニングの影響もあってかANC ONでは低音スカスカ、外音取り込みモードでは低音ボワッと気味になってしまいます。

更に、コンセントと接続して給電もしくは充電している機器と有線接続しながらANCを使用するとノイズが出ます。再生機器本体のバッテリー駆動もしくはモバイルバッテリーを使用している場合は問題ないため、例えばバッテリー駆動中のノートPCや、スマホにつないだバッテリー駆動式アンプと使用するなら有線接続でもノイズの問題はありません。

音質上の欠点は低音の量が装着の加減次第ではこもるくらい多めなことと超低域30Hz以下がさほど強くないことです。前者により再生音源が低ビットレートである場合に高音寄りBluetoothヘッドホンよりもぼやっとしやすいです。後者はより古い時期にアップロードされたYoutube音源などでドラムのキックなどがパスパス軽めになる原因になることがあります。適切に装着され、CDからリッピングしたFLAC音源を主に聴いていたりサブスクの高音質プランに加入しているなら気にならないと思います。

外音取り込み機能は非常に便利です。宅配がある日はチャイムを聞き逃すことがあるため指定時間は基本的にはイヤホンやヘッドホンは使わないようにしていたのですが、その必要がなくなりました。使用しながら家事をしたいけれど外音が聞こえないのは困る、同じ場所に人がいて音楽を聴きながら作業したいけれど問いかけには反応したいというシーンに向くと思います。ただしANC使用時よりも低音が増えるため低音が強い楽曲には合いません。

SuperEQ S1をおすすめできるのは、量が多い低音寄りの音色が好み、高音が強いのは好みではない、外音取り込み機能を使いたい、安価にANC搭載ヘッドホンを試してみたい人です。

逆にSuperEQ S1をおすすめできないのは、高音がしっかりと強めな音色が好み、低音寄りは好みでない、重低音が重い音が好き、有線接続でも活用したい人です。特に有線接続でANCも使いたい人には絶対におすすめできません。

有線接続時の不満点はありますが、新型コロナ感染症の影響で在宅勤務中心で仕事をしていて同居家族がいる私にはANCがかなり役立っています。withコロナの世界ではANCヘッドホンの必要性が高まってくるのかもしれませんね。OneodioのANC機能対応ヘッドホンは基本的には評判は良いようですし、問題点を改善してより良いヘッドホンを作って行って欲しいです。