IKKO OH2のレビュー第2回はおすすめイヤーピース編です。付属ケーブル使用時に相性が良い市販イヤーピースを紹介していきます。やはりイチオシは断然JVCスパイラルドット++なのですが、イヤーピースとしては高価なため低価格帯も含めて探してみました。
音の基準は付属フォームイヤーピースi-Planetと付属ケーブルです。音の違いで評価しているため評価内容はイヤーピース自体の傾向とは必ずしも一致しません。
- 耳の形状(外耳道の太さ・長さ・角度)には個人差があります。そのため私が良いと思ったイヤーピースが必ず皆さんの耳の形状・音の変化の好みに合うとは限りません。
- 微妙な装着の違いで変化が出ることもあります。
私の耳での聴こえ方についてはレビュー第1回を参考になさってください。
- 2022/03/11 IKKO OH2 (1) イヤーピース交換必須!味付け薄めでクセのないフラット寄り
目次
付属フォームイヤーピースi-Planet
IKKO i-Planet(代理店公式/Amazon/ヨドバシ)はIKKO OH2に付属するフォームイヤーピースです。高音が十分に聴こえているなら相性は悪くはありません。本記事でおすすめする市販イヤーピースの音の変化傾向はi-Planetを基準に評価しています。
- 開口部3.7mm、ノズル側開口部3.8~6mm、高さ8mm
- 傘外径 (S)11.5mm (M)12.5mm (L)13.5mm
- 傘外径は公称値、それ以外は実測値です。
私はレビュー第1回では左L右Mで評価、外耳道の角度に合わせてややノズルが上向き、やや浅めの装着でイヤーピースで支える状態になっています。
極力バランスを変えない
JVCスパイラルドット++【イチオシ】
JVC スパイラルドット++(公式/Amazon 1サイズ2ペア入り2,436円/ヨドバシ)は無印スパイラルドットよりもシリコンがモチモチと柔らかいためか反響が抑えぎみ、やや暖かみがある音色になりやすいです。また、高音の解像度が向上することが多いです。とても良いイヤーピースなのですがそれなりのお値段なのがネック。
- 開口部約5.1mm、ノズル側開口部約3.1mm
- 傘外径 (XS)W10mm (MS)11mm/H8.2mm (M)W12mm/H8.4mm (ML)W13mm/H8.7mm (L)W14mm/H9.1mm
- 傘外径は公称値、高さ・開口部・ノズル側開口部は実測です。
- 解像度向上
- 定位の明確さ向上
私は左右Lサイズで外耳道の角度に合わせてややノズルが上向き、やや浅めの装着でイヤーピースで支える状態になっています。
全体のバランスを変えずに解像度と定位を向上してくれます。レビュー第1回にも書いた通り、私のイチオシです。ただし価格が高く、各サイズ入りでしか販売されていないため初めての購入ではサイズ選択に迷ったり、左右で耳穴サイズが異なる人には倍の出費になってしまいます。価格に見合う高品質なのですが…。
装着感は異なりますが公式製品情報によるサイズはスパイラルドットと同じラインナップです。スパイラルドットは比較的安価なイヤーピースですし、スパイラルドットのサイズを揃えておいて++の購入時の参考にするのも手だと思います。
JVC EP-FW1
JVC EP-FW1(公式製品情報/Amazon/ヨドバシ 全サイズ*3色 823円)は開口部が大きめでシリコンは適度に柔らかく張りがあるシリコンイヤーピースです。サイズ別販売されておらず全サイズ3色まとめて入ったパッケージ販売です。公式に販売先リンクがなく販売店も限られているため製造終了しているのかもしれません。ご購入はお早めに。
- 開口部約5.1mm、ノズル側開口部約4.5mm
- 傘外径 (XS)W9mm/H6.3mm (S)W10mm/H7mm (M)W11.9mm/H7.8mm (L)W13.5mm/H8mm
- サイズは実測値です。
- 低音が音量的にやや弱る
- 低音の量が減る
- 残響がやや伸びる
- よりニュートラル
私は左右Lを使用、やや浅めの装着でイヤーピースで支える状態になっています。
IKKO OH2は低駆動力な再生環境では低音の量が増えるため、低音の量が減るEP-FW1は低価格DAPやスマホ直挿しで使用していてぼんやりしていると感じるなら非常に向いています。また、定位の中心が後頭部側に比較的ズレにくいです。高駆動力な方がよりキープされやすいです。
JVC スパイラルドット
JVCスパイラルドット(公式/Amazon3ペア1035円)は軸の内側にドット状のくぼみがあり開口部が広いイヤーピースです。ドットによってイヤーピース内の反射音を拡散させクリアなサウンドを実現しています。
- 開口部約4mm、ノズル側開口部約5.2mm
- 傘外径 (S)W10mm/H8.1mm (MS)W11mm/H8.2mm (M)W12mm/H8.4mm (ML)W13mm/H8.7mm (L)W14mm/H9mm
- 傘外径は公称値、高さ・開口部・開口部・ノズル側開口部は実測値です。
- 高音がすっきりシャープ
- 低音の量がやや減る
- よりニュートラル
私は左L右MLを使用、ハウジングの耳への密着度低めで装着しています。
IKKO OH2との組み合わせでは低音の量がやや減ります。OH2は低駆動力な再生環境では低音の量が増えるため、スパイラルドットは低価格DAPやスマホ直挿しで使用していてぼんやりしていると感じるなら非常に向いていると思います。
また、OH2との相性が悪いと定位の中心が後頭部側に若干ずれることがありますが、スパイラルドットでは概ねキープされます。これは低駆動力な方がよりキープされやすいです。
付属イヤーピースで高音不足を感じていないなら高音が強すぎると感じる可能性があります。私も体調と機器次第では高音が強すぎると感じることがあります。
NUARL BlockEar+
NUARL BlockEar+(Amazon 3ペア1,500円/Yahoo!/楽天市場)は抗菌剤配合のバイオロジカル・シリコン(カチオン性)を使用したシリコンイヤーピースです。先端フレア状のノズルで音抜けを向上させています。
- 開口部5.1mm、ノズル側開口部4mm
- 傘外径 (S)W10mm/H6.9mm (MS)W11.2mm/H8mm (M)W12.8mm/H8mm (L)W13.5mm/H8mm
- サイズは公称値です。
- 高音がシャープ
- 抜けの良さ向上
- 低音の量が減る
- 重低音の伸びはやや弱る
私の耳では左右Lサイズで付属i-Planetよりもわずかに深い装着になります。私の耳とIKKO OH2では適正位置よりも深い場合に高音不足になりやすいですが、BlockEar+ではすっきりとしており高音もシャープです。
低音の量が減り抜けの良さが向上することですっきりとし、低駆動力な機器でもぼやっとしにくいです。重低音が音量的に弱り伸びも控えめになる沈み込みの深さや重さはキープしています。重低音が弱り高音が強まることで全体的によりフラット寄りになりやすいです。
付属イヤーピースで高音不足を感じていないなら高音が強すぎると感じる可能性があります。
バランスを微調整する
AZLA SednaEarfit VIVID EDITION
AZLA SednaEarfit VIVID EDITION(公式/Amazon 1,800円)はSednaEarfitシリーズとしてはシリコンが柔らかいイヤーピースです。全サイズ入りのみ販売されています。⇒参考)購入時のインプレツイート
- 開口部mm、ノズル側開口部3mm、高さ8.8mm
- 傘外径 (SS)10.4mm (S)11.2mm (MS)11.9mm (M)12.6mm (ML)13.3mm (L)14mm
- 開口部サイズは実測、それ以外は公称値です。
- ややすっきり&どっしり
- 低音の量がやや減る
- 超低域~低域の解像度向上
- 立体感がやや向上
- よりニュートラル
SednaEarfit VIVID EDITIONは中高域の一部が軽く下がったようなバランスになりやすく、IKKO OH2がカマボコ寄りになるのを抑えつつやや立体感が向上します。
超低域~低域の解像度は向上するものの高音の鋭さがやや抑えられるためわずかに部分的に細部が省かれたような音色になることがあります。
素直でありながらやや楽しい音色になりリスニング向きです。ただしモニター用途としては解像度を向上させたいなら不満が残ると思います。
final TYPE E(ブルーグレー)
final TYPE E(公式 3ペア980円/ヨドバシ/eイヤホン)は弾力のあるシリコンの丸型イヤーピースです。複数カラー展開されており、傘と軸の色違いでシリコンの硬さが異なるため色によって音の変化傾向が異なります。今回おすすめするのはブルーグレーです。
- 開口部3mm、ノズル側開口部3.3mm
- 傘外径 (SS)W10.2mm/H9.2mm (S)W11mm/H9.4mm (M)W11.7mm/H9.6mm (L)W12.8mm/H9.9mm (LL)W13.4mm/H10.1mm
- サイズは実測値です。
- 音の輪郭くっきりめ
- 全体的にやや伸び良し
- 抑揚が向上
私は左LL右Lを使用、浅めの装着でイヤーピースで支える状態になっています。
低音の質をキープしたまま音の輪郭がくっきりとします。タイトになりすぎず伸びも良好です。また、安価なものの中では抑揚が最も向上し楽しい音になります。
ダルマオーディオ 椀-WAN-
ダルマオーディオ 椀-WAN-(公式 各サイズ1ペア入り300円)は開口部が広く背が低いシリコンイヤーピースです。ダルマオーディオ公式サイトでのみ販売しています。公式解説によれば低音成分を削る傾向があるとのこと。
- 開口部5.7mm、ノズル側開口部4mm
- 傘外径 (S)W10mm/H6.8mm (M)W12.1mm/H8.1mm (L)W13.7mm/H8mm
- サイズは実測値です。
- 低音の量が減る
- 高音がシャキッとする
- 見通しと抜けが良くなる
私は左L右Mで耳の側面にフィットする深さで装着しています。
i-Planetで高音不足、低音の量が多すぎるならかなりすっきりとします。公式の説明通り全体の低音成分が減り、見通しと抜けが良くなります。低音の深さはキープされますが付属フォームイヤーピースi-Planetよりも重さが衰えています。
付属イヤーピースで高音不足を感じていないなら低音成分が減りすぎている、高音が細ると感じる可能性があります。
JVC EP-EX2(クリア)
- 開口部5.1mm、ノズル側開口部4.7mm、高さmm
- 傘外径 (XS)W9mm (S)W10mm/H7.3mm (M)W12mm/H7.8mm (L)W14mm/H7.8mm
- 傘外径幅は公称値、それ以外は実測値です。
- 抜け良好
- 立体感が劣る
- 低音の量が減る
- 低音がやや重め
私は左L右Mで耳の側面にフィットする深さで装着しています。
全体的な低音成分が減りつつやや重めです。低音成分の減少により抜けが良くなります。ただし立体感はi-Planetに劣るため、付属シリコンイヤーピースが耳の形状に合わない、i-Planetでは高音不足、予算を最低限にしたいのでなければおすすめしません。
また、付属イヤーピースで高音不足を感じていないなら低音が痩せたと感じる可能性があります。
製造終了品
AZLA SednaEarfit Short
AZLA SednaEarfit Shortは製造終了したらしく完売間近です。買い足しはお早めに。
AZLA SednaEarfit Short(公式/Amazon/ヨドバシ/アキハバラe市場)はSednaEarfitより軸は細く短くやや固めで傘がわずかに柔らかいイヤーピースです。意外と高音の伸びが良く愛用していたのですが本当に製造終了なら残念です…。
- 開口部5.2mm、ノズル側開口部4.5mm、軸の長さ8mm、高さ8.8mm
- 傘外径 (SS)10.4mm (S)11.2mm (MS)11.9mm (M)12.6mm (ML)13.3mm (L)14mm
- 開口部サイズは実測値、それ以外は公称値です。
- ボーカル帯域やや近づく
- ボーカルの解像度やや向上
- 低音がタイト
- 小音量向き
ボーカル曲のリスニング向きです。ボーカル帯域が近づきつつ解像度が向上します。低音はタイトで元気かつ伸びやかです。ただし音量を上げると若干騒がしいです。
AZLA SednaEarfit Light Short
AZLA SednaEarfit Light Shortは製造終了したらしく完売間近です。買い足しはお早めに。
AZLA SednaEarfit Light Short(公式/市場在庫ほぼ完売)はSednaEarfit Lightより軸が短く、軸も傘もやや柔らかめなイヤーピースです。SednaEarfit Lightのように高音を強める傾向はあまりなく、ややタイトになることが多いようです。
- 開口部5.2mm、ノズル側開口部4.5mm、軸の長さ8mm、高さ8.8mm
- 傘外径 (SS)10.4mm (S)11.2mm (MS)11.9mm (M)12.6mm (ML)13.3mm (L)14mm
- 開口部サイズは実測値、それ以外は公称値です。
- 低音は力強く高音はシャープなドンシャリっぽさ
- 全体的に伸びが低下
- 低駆動力な機器に向く
- 高駆動力な機器に向かない
タイトでドンシャリっぽい聴こえ方になります。高駆動力な機器では高音のシャープさと低音の太さのバランスが悪いです。低価格DAPやスマホ直挿しなど低駆動力な環境向きです。
まとめ
私の耳と付属イヤーピースでは高音のシャープさに欠けるため、高音が抑え気味になりやすい開口部が狭いイヤーピースはぼやっとしやすくfinal TYPE E以外はなかなか合いませんでした。そのため開口部が広いシリコンイヤーピースとの方が相性が良かったです。
外耳道形状の個人差で高音不足を感じていないなら、今回ご紹介したイヤーピースの一部は高音が強すぎると感じる可能性があります。NUARL BlockEar+、JVCスパイラルドット、JVC EP-EX2(クリア)、ダルマオーディオ WANは低音がやや減衰しバランス的に高音やや強めになるため、高音を強める必要性を感じていないのであれば避けた方が良さそうです。
最も解像度が高くバランスが良いのはやはりJVCスパイラルドット++です。しかしイヤーピースとしては高価ですから、2種類の付属イヤーピースが耳の形状に合わない、高音不足を感じる、解像度を上げる必要性は感じない、スパイラルドット++は予算オーバーなら妥協しても良いとは思います。
JVCスパイラルドット++が選べないとしたら、私の2位はJVCスパイラルドット、3位はJVC EP-FW1かNUARL BlockEar+です。
スパイラルドットは体調によっては高音がきつく感じられることがありますがJVC EP-FW1とNUARL BlockEar+はどちらかと言うとタイト寄りになりやすく、私の好み的には伸びが物足りないです。
IKKO OH2を購入してみたものの味気ないと感じるならバランスを微調整するイヤーピースがおすすめです。final TYPE E(ブルーグレー)が気持ち良い音色で私は好みでした。
IKKO OH2のレビューは2回で終了です。付属ケーブルとの相性がかなり良く、変更するとキャラクターが変わりやすいため私は当面は付属ケーブルのまま使用するつもりです。もしも相性が良いケーブルを見つけた場合はTwitter(@magnolia_time)や『イヤホン関係メモ』のページで紹介したいと思います。