JSHiFi Shadow – 個性で染めつつ強制的にハイ上げる特化型ケーブル

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今日はJSHiFi Shadowのレビューです。製品仕様や外装の情報がご不要なら『音の変化傾向』、イヤホンとの相性詳細についてご不要なら『接続機器との相性』以降からどうぞ。

Hidizs MS1 RainbowとJSHiFi Shadowの組み合わせをiBasso DC05で鳴らしている状態の画像
ドングル型DACはiBasso DC05です。
  • 私の耳は耳穴入り口付近から外耳道が太めです。これまでの経験上、深く装着しすぎるとバランスが崩れる中華イヤホンも少なくないためアジア人の平均から外れる程度には太めではないかと思います。
  • イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
  • イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。

製品仕様

  • ブランド:JSHiFi
  • 型番:Shadow
  • 芯数:2芯
  • ケーブル端子:2pin 0.78mm/mmcx/TFZ/qdc(KZ-C)
  • 重量:20g前後
  • mmcx
  • 2pin 0.78mm
  • qdc(KZ-C)
  • TFZ
  • 3.5mm
  • 2.5mmバランス
  • 4.4mmバランス

JSHiFi Shadowは2芯銀メッキ銅ケーブルです。色はわずかに黄を含んだシルバーグレーで皮膜の滑りは適度、柔らかさも十分で取り回し良好です。耳掛けチューブ付きで重量は20g。

JSHiFi Shadowの2pin 2.5mmとmmcx 2.5mmを並べた白背景画像

スライダーは透明な樹脂製、分岐部およびコネクターとプラグのカバーは軽量な金属製です。2pinにはマイナス側に青いマーキングがあり、皮膜を剥いても問題なく識別できます。

JSHiFi Shadowの2pinコネクター部分の白背景画像 JSHiFi Shadowのmmcxコネクター部分の白背景画像 JSHiFi Shadowのプラグとスプリッターとスライダー部分の白背景画像 JSHiFi Shadowの線材拡大画像

音の変化傾向

強制的にハイ上がりさせたようなバランスになりやすいものの超低域に強まる帯域があるためスカスカにはなりにくいです。ただし高域の変化はイヤホンによって差が出やすく、必ずしも高音が強化されるわけではありません。強めにハイ上がりになることもあれば、高音はほとんど変わらず低音だけが強化されてマイルドになることもあります。

35Hz付近がわずかに強く、それより下が相対的に弱まったように感じられます。そのためより下の帯域まで出すことで沈み込みを深めているイヤホンでは低音の沈み込みが浅くなったように感じられる場合があります。逆にさほど下の帯域まで出せていないイヤホンや35Hz付近を強めることで沈み込みを深めているイヤホン更に沈み込みが深まったように感じられる場合もあります。

低音の量を減らす傾向があります。中低域の力強さごと弱めてしまう場合があり、相性が悪いイヤホンや機器で低~中低域の音数が減ったような歯抜け感を感じるようになりやすいです。

ボーカル帯域の分離を向上させる効果が高いです。これは高域の変化が影響していると考えられますが、ハイ上がり傾向の変化が感じられないイヤホンでも分離は向上することが多いです。

ボーカル帯域が音域バランスの変化でやや近づきやすく、そのせいで音場が狭まったように感じられる場合があります。しかし逆にハイ上がり傾向の効果が強く出て抜けの良さが向上し音の距離感以外の影響でボーカル以外が離れたような音場広めに感じられる場合もあるでしょう。

高音の解像度が低くくチャリチャリしている場合に、それを改善して解像度を上げてくれることがあります。

他のケーブルとの比較

JSHiFi Sky/Hi8

同価格帯からの選択肢としてはJSHiFi Sky(簡易レビュー/Amazon 1,880円)やJSHiFi Hi8(簡易レビュー/Amazon 1,650円)も人気です。

JSHiFi Skyの白背景画像 JSHiFi Hi8の白背景画像

特にJSHiFi Skyは記事公開時点で私が所有する現行品中華8芯銀メッキケーブルの中では最も味付けの薄いケーブルです。相性を気にする必要はほとんどありません。低価格イヤホンを気軽にリケーブルしたいだけならShadowよりもずっと使いやすいと思います。

JSHiFi Hi8はイヤホンによってはベースラインが強まる傾向があるものの沈み込みは深く高音は伸びやかで、発売時から好評です。

相性の良いイヤホン

付属ケーブルよりも相性が良いイヤホンを紹介していきます。基本的には比較的フラット傾向な機器で評価を行っています。例外がある場合はその旨を記載しています。また、相性が悪くなくても付属ケーブルや他の特定ケーブルとの相性が大きく上回っている場合は除外しています。

イヤホンとの相性詳細についてご不要なら『イヤホンとの相性まとめ』以降からどうぞ。

CCZ DC-1『Coffee Bean』

CCZ DC-1『Coffee Bean』はCCZの低価格機第1弾として発売された1DDイヤホンです。低音に個性がありどんな環境でも使いやすいものの耳への挿入が深すぎると低音が強まりすぎる場合があります。

CCZ DC-1『Coffee Bean』の画像 CCZ DC-1『Coffee Bean』とJSHiFi Shadowとの組み合わせの画像
  • ボーカルの分離向上
  • 低音の濃さがわずかにあっさり
  • 付属イヤーピースとの相性良好
  • バランス接続も良好

外耳道形状の個人差や装着の加減でCoffee Beanの低音が強くドンドンとした超低音ホンな音色になってしまう場合はShadowにリケーブルすることで改善される可能性があります。

Coffee Beanの持ち味は概ねそのままに高音はシャープになり、ボーカル帯域を中心に分離が向上します。空間を埋めるような濃厚な低音がわずかにあっさりとしますが比較的軽微です。

付属イヤーピースとの相性は良好です。装着感には問題がないものの装着位置を微調整しても高音がシャープに聴こえてこない、全体が濃すぎる、ボーカルの分離を向上させたいなら非常に相性が良いと思います。バランス接続との相性も良好です。

KBEAR KB04

KBEAR KB04は2020年3月発売の1BA+1DDイヤホンです。すっきりめでJPOPと相性が良くなかなか使いやすいのですが新型コロナ感染症が拡大し始め中国からの物流混乱時期に発売され販売の初速がイマイチだったせいか微妙に影の薄い機種です。

KBEAR KB04と同梱物の白背景画像 KBERA KB04とJSHiFi Shadowとの組み合わせの画像
  • イヤーピースAEX07が好相性
  • 金属ハウジングへの響きが強まる
  • 全体の厚みアップ
  • JPOPと更に相性が良くなる

KB04の亜鉛合金ダイキャストハウジングは付属ケーブルではそんなに強くは響きませんが、Shadowとの組み合わせでは響く要因になる帯域に影響が出るようでより響くようになりました。

付属イヤーピースではすっきりめなKB04ですが、Shadowにリケーブルしてイヤーピースをacoustune AEX07に変えると厚みがぐっと増しボーカルにやや多かった高音成分が適度になります。ボーカルのリアリティが向上、奥行き感が出て力強くも騒がしくなく、JPOPを気持ち良く聴くことができます。

iPod touch直挿しでも楽しく鳴ってくれます。ただし演出過剰だと感じる人はいるかもしれません。

KBEAR Robin

KBEAR Robinは2021年夏に発売された10mmDD(二重磁気)+4BA(KBEARカスタム)構成のハイブリッドイヤホンです。私は2021年末のWTSUN Audio福袋に入っていたものを入手しています。緩い低音による音場の広さが魅力です。

KBEAR Robinと同梱物の白背景画像 KBEAR RobinとJSHiFi Shadowとの組み合わせの画像
  • 明瞭さと分離の良さ向上
  • 高音質音源でこもりにくくなる
  • 音場は狭まる
  • 付属イヤーピースとの相性良好
  • バランス接続におすすめ

低音の量が減り、緩めな音の輪郭は締まって明瞭さと分離の良さがぐっと向上します。ボーカルは引き立ち、付属ケーブルでは超低域がカットされていない高音質音源で人の声がうっすらこもることがある(言及ツイート)のを改善します。

Robinの魅力のひとつである広い音場は衰えてしまいます。しかしRobinは駆動力の差で音に変化があり、バランス化して駆動力を稼げばShadowの欠点をカバーしつつ音場の狭まりを最小限に抑えることが可能です。

Robinの低音は量が多すぎる、ぼやっとしていると感じる、音場が多少狭まっても音色をもっとはっきりさせたい、高駆動力な機器を持っていないなら非常におすすめの組み合わせです。

GuideRay GR-i

GuideRay GR-i(AliExpress)は1BA+1DD構成で樹脂ハウジングのイヤホンです。AmazonのL.Sオーディオで最後は在庫処分特価になっていたので物は試しと購入された方もいらっしゃるのではないでしょうか。刺激の少ない聴きやすい音色です。

GuideRay GR-iの同梱物の黒背景画像 GuideRay GR-iとJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • 全体的に適度に音が締まる
  • 低音の沈み込みが深まる
  • 低音の力強さが増す
  • 音場は若干狭まる

付属ケーブルのやや緩さのある広がりが少し抑えられ、タイトすぎない程度に締まります。また、低音の沈み込みがより深くなります。下の帯域は付属ケーブルでもShadowでも25Hz以下は音量を上げてもあまり聴こえませんが、その少し上の帯域が強まることで重低音が重さを増して沈み込みを更に深めに感じさせてくれます。

重低音の変化に伴う効果はShadowによるものと言うよりは付属ケーブルがイマイチなのかもしれません。

Smabat nco

Smabat nco(販売終了/購入時約$60)はグラフェンポリマー採用の1DD(8mm)イヤホンです。アルミニウム合金のハウジングは小ぶりで軽量です。バランスは中低域寄りフラット傾向で、初期装備では中低域がうっすらぼやけた印象が消えません。

Smabat ncoと同梱物の白背景画像 Smabat ncoとJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • ボーカルの明瞭さ向上
  • 低音の力強さ向上
  • わずかにカマボコ寄り

Smabat ncoの欠点であるわずかに多すぎる中低域が少しだけ抑えられ、中低域~中高域にかけての明瞭さが向上します。その影響でわずかにカマボコ型に寄ります。フラットに近い方が良いなら少し惜しいと感じるかもしれません。

付属イヤーピースとの相性も付属ケーブルよりは良いです。弱まった低音側を持ち上げたいならばイヤーピースをFAudio FA Instrument(製造終了/ヨドバシに在庫希少)に変えるのは効果的です。若干音が近くなるものの力強さが更に向上します。

CCA CA16 [1stロット]

CCA CA16は2020年初夏発売の7BA+1DDイヤホンです。濃く強めな低音が魅力でしたが早期にロット改良されておりチューニングが変わっており現行品がどうなっているかは不明です。相性が良いのはCCA CA16のAmazon販売1stロットとの組み合わせについての評価です。

CCA CA16(1stロット)と同梱物の白背景画像 CCA CA16(1stロット)とJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • 高音がシャープ
  • 高音の明るさ向上
  • 解像度向上
  • 明瞭さ向上
  • 音場は狭まる

高音はシャープに明るく、低音は明瞭さが向上します。Shadowで弱りがちな超低域~中低域の力強さは必要なだけ残して量を減らし明瞭さが向上します。

ボーカルとともに中高域の楽器などの音も近づいており音場は狭まります。奥行き感は不足ないものの味付け薄めな銅線ケーブルの方が立体感はあります。Acoustune AEX50(公式製品情報/eイヤホン/ヨドバシ/楽天市場)との組み合わせで奥行きにいくらか立体感を戻すことができます。

なお高音も低音も1stロットより弱いチューニングの2020年秋ロットでは中高域は騒がしく近づいて奥行きがなく、音場は更に狭く相性が悪いです。

Hidizs MS1 Rainbow

Hidizs MS1 Rainbow(公式[英語]/購入時約$55)は有機ポリマー採用の10.2mmDDイヤホンです。ハウジングはレジン、ノズルはアルミニウム合金で、付属品との相性は良好です。音色についてブログ内でコメントをしています。⇒『2022/01/29|イヤホン関係メモ 2022年01月

Hidizs MS1 Rainbowと同梱物の画像 Hidizs MS1 RainbowとJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • 低駆動力な機器と合う
  • 定位がやや後頭部側に下がりやすい
  • 疾走感が向上

MS1 Rainbowは駆動力不足が原因でブーミーな低音過多になりやすいのですが、Shadowとの組み合わせではむしろ高駆動力過ぎると低音の沈み込みが衰えます。高駆動力な機器を持っておらずMS1 Rainbowの低音の量が多い、ドンドン強すぎるならShadowとの組み合わせで低音が抑えられつつ沈み込みもキープできます。

付属ケーブルとの組み合わせではMS1 Rainbowの定位の中心が両耳の間、頭の中心にあります。しかしShadowにリケーブルするとそれがやや後頭部側に下がりやすいです。また、MS1 Rainbowの濃いめの音色が好みなら物足りなくなってしまうと思います。

KZ EDX

KZ EDXは2020年9月発売の1DDイヤホンです。TRN MT1を皮切りにKZでも$10前後の低価格機が増えてきた時期の1本で、リケーブルが効果的と評価する方も多く発売直後からなかなか好評でした。

KZ EDXの同梱物の白背景画像 KZ EDXとJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • 高音の抜け向上
  • 音場が広がる
  • ボーカルに高音成分増える

KZ EDXと付属ケーブルとの相性は悪くはありませんが、この4芯ケーブルは高音がやや抑え気味でごく軽微に低音が盛られウォーム気味です。JSHiFi Shadowにリケーブルすることで低音はすっきりめに、高音は抜けが良くなり音場が広がります。

再生機器によってはボーカルに高音成分が増えてドライに感じられるようになります。付属イヤーピースはこれを強める傾向があるため、ボーカルの自然さが衰えたと感じるならイヤーピースを変更することで解消可能です。予算がなく手元に余っているようならTRNの赤軸グレーイヤーピースとの相性が良いです。

低音の厚みと重さが減り濃さが物足りなくなる場合はあると思います。電子音が少ないバンドサウンドなどはバスドラが軽くなりやすいです。低音重視なら好みに合わない可能性が高いです。

TRN VX

TRN VXは2020年5月発売の6BA+1DDイヤホンです。ハウジングはマグネシウム合金です。私の購入したVXはかなり早期にステムの接着が外れてしまったため最近になって補修(言及ツイート)するまであまり使用していませんでした。

TRN VXの画像 TRN VXとJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • ボーカルと演奏の分離向上
  • ボーカルがやや出てくる
  • 抜けの良さが衰える
  • バランス接続良好

TRNの黒い4芯ケーブルはやや高音の伸びが良いため高音の広がりなどは衰えます。ボーカルが出てくることと抜けの良さが若干衰えるため全体的に音が近づいてきたように感じられます。

ボーカルと演奏の分離は向上、人の声に低音成分が増えることで付属ケーブルよりも自然な高さの声になります。VXは付属ケーブルと付属イヤーピースの組み合わせでボーカルが少し遠く感じられ、演奏と同じくらいの距離感で淡々と鳴る印象でしたがだいぶボーカル向きになります。

低音の沈み込みは衰えず、柔らかく強まるため抑揚が向上しています。また、バランス接続との相性がかなり良好です。

条件付きで相性の良いイヤホン

JPRiDE Premium 1984 FREEDOM

JPRiDE Premium 1984 FREEDOM(Amazon 6,800円)はのベリリウム振動板を採用した8mmDDイヤホンです。ただしどのような素性のベリリウムをどう加工したのかには触れられていません。ハウジングはアルミニウム製でやや重みがあります。

JPRiDE Premium 1984 FREEDOMと同梱物の白背景画像 JPRiDE Premium 1984 FREEDOMとJSHiFi Shaodwの組み合わせの画像
  • 低駆動力な機器向き
  • 明瞭さと見通し向上
  • 全体的にタイト

1984 FREEDOMはケーブルを下向きに装着した方が安定する形状であるためJSHiFi Shadowの耳掛けチューブが邪魔です。合わせるには皮膜を剥く必要があります。

1984 FREEDOMは高駆動力なほど高音は強まりがちで、逆に駆動力が足りていないとタイトさに欠けます。JSHiFi Shadowにリケーブルするとややハイ上がり気味にバランスが変わり、高駆動力でなくとも高音成分十分になります。逆に高駆動力すぎると高音側に寄りすぎてしまいます。Shadowとの相性は機器次第です。

RevoNext NEX202

RevoNext NEX202(AliExpress $39.99-41.99)は1BA+12mm複合チタンDD搭載のハイブリッドイヤホンです。Amazonに取り扱いがなかったためかTwitterではさほど見かけていません。すっきりめな中高域寄りです。

RevoNext NEX202の画像 RevoNext NEX202とJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
  • acoustune AEX07との組み合わせで低音強化
  • 高音の解像度向上

抜けの良さや高音のすっきりさはそのままに低音が強化されます。イヤーピースをacoustune AEX07(公式製品情報/eイヤホン/ヨドバシ/楽天市場)に変更することで力強い低音が得られます。バランス接続にも向いています。若干チャリチャリ寄りだった高音の解像度も向上しつつキツくはなっていません。

TinHiFi T3 Plus

TinHiFi T3 Plusは2021年秋発売の1DDイヤホンです。LCP振動膜採用の10mmDDを搭載しています。重低音~低音の質が良く付属品との相性も良好なため追加投資なしでも十分満足できるでしょう。

    TinHiFi T3 Plusと同梱物の白背景画像 TinHiFi T3 PlusとJSHiFi Shadowの組み合わせの画像
    • 高音がはっきりする
    • 音色が明るくなる
    • 沈み込みがやや衰える
    • 低駆動力な機器で明瞭さが向上

    TinHiFi T3 Plusは付属品との相性が良いものの高駆動力な方が明らかに音が良く、駆動力不足で音色が暗く緩くなりやすいです。所有する機器では満足行く音が出せていないならShadowとの組み合わせで鳴らしやすくなるかもしれません。駆動力不足が原因で生じる不満点をうまくごまかしてくれます。

    TRN MT1

    TRN MT1との相性も良さそうです。しかしMT1には激しい個体差があります。私の複数所有機は全て微妙に違っており完全に同じバランスの個体はありません。MT1の個体差は超低域~中低域に現れるため、ここが弱い個体では低音の力強さが衰える可能性もまったくないとは言い切れません。

    TRN MT1と同梱物の白背景画像 TRN MT1とJSHiFi Shadowの組み合わせの画像

    接続機器との相性

    iBasso DC02(公式製品情報/生産終了)は低音に厚みがあるややウォーム寄りで、JSHiFi Shadowが減衰させる超低域に近い帯域が強めに出ているようです。そのため中低域の音数が減ったような力強さの衰えが生じにくく、相性が良いです。似た傾向の機器であればより幅広くShadowと相性の良いイヤホンがあるのではないかと思います。

    BQEYZ SummerとJSHiFi Shadowの組み合わせとiBasso DC02の画像
    ウォーム寄りの機器ならもっと合うイヤホンは多いはず!

    フラットな機器では中低域に弱りすぎた音を感じたり力強さが衰えてしまうBQEYZ SummerはiBasso DC02と合わせることでいずれも回復し、初期装備で感じる濃さをややすっきりさせた音色になります。

    イヤーピースとの相性

    Shadowによって中高域を中心に音が近づき奥行きが浅くなてしまうのを少しでも改善したいならAcoustune AEX50(公式製品情報/eイヤホン/ヨドバシ/楽天市場)との組み合わせがおすすめです。AEX50は音を離しつつ音場を広げやすいイヤーピースですから不満が解消される可能性が高いです。

    Acoustune AEX50の白背景画像 KZ ZASとJSHiFi ShadowとAcoustune AEX50との組み合わせの画像

    低音の音量的には弱る傾向はありますが低音の力強さをキープしてくれます。ただしバランスが中高域~高域側に寄る傾向がShadowの傾向と被るため、高音側に寄りすぎるイヤホンもあると思います。

    イヤホンとの相性まとめ

    相性評価に『*』が付いているのは相性良く鳴らすのに条件があるイヤホンです。

    イヤホン相性
    CCZ Coffee Bean相性抜群
    バランス接続も良好
    KBEAR KB04相性抜群
    演出的な音色がJPOPに合う
    KBEAR Robin音場は狭まるが明瞭さアップ
    バランス接続は好相性
    GuideRay GR-i明瞭さ向上、はっきりとする
    音場は狭まる
    Smabat nco欠点の中低域のぼやっと感が解消
    CCA CA16 [1stロット]高音がはっきりして明瞭さも向上
    音場は狭まる
    Hidizs MS1 Rainbow低駆動力機器に向く
    KZ EDX高音成分を増やし抜け感アップ
    力強さは低下
    音場は狭まる
    TRN VXボーカルの質が向上
    JPRiDE Premium
    1984 FREEDOM
    *高音強化
    高駆動力過ぎNG
    RevoNext NEX202低音強化
    力強さアップ
    バランス接続良好
    TinHiFi T3 Plus明るさアップ
    低駆動な機器に向く
    TRN MT1*MT1の個体差次第
    TRN CS1*高駆動力で解像度大幅アップ
    KZ ZAX付属ケーブルよりマイルド
    聴き疲れ軽減
    BQEYZ Summer*ウォームな機器ならアリ
    ピエゾの個性を抑える
    KZ ZAS*バンドサウンド特化型
    AEX50でバランス調整可
    KZ ASFAET50との組み合わせのみ良好
    装着位置シビア
    KZ ASXAET50との組み合わせのみ良好
    装着位置シビア

    中低域が微妙に強すぎることで部分的にぼやっとした印象を受けるイヤホンの欠点解消にはとても向いています。代償として低音の力強さが衰えることが多いものの、装着しやすくなったり駆動力を要求しなくなるなどのメリットもあります。

    バランス駆動で低音が痩せるのを最小限に抑えてくれることが多いです。同じ再生機器ならたいていはバランス駆動の方が駆動力を稼ぐことが可能ですから、実力を発揮させつつバランス駆動の音色を堪能できるイヤホンも多いでしょう。

    相性が他のケーブルよりも特別良いわけではなかったため今回は紹介していませんが、ピエゾセラミックドライバー搭載イヤホンにおいてもピエゾの高音の個性を抑える傾向がありました。しかしNICEHCK NX7 MK3では付属ケーブルとの方が相性が良く、Senfer MT300では解像度の低下がもったいないと感じられ、Shadow以外のケーブルを探したいと感じます。⇒言及ツイート@magnolia_time

    まとめ

    • ボーカル帯域の分離向上
    • 低音の量を減らし明瞭さが向上
    • ウォーム寄りの機器と相性が良い
    • リケーブル効果を感じ取りやすい
    • 軽量で取り回し良好
    • イヤホンとの相性がある
    • 沈み込みが衰えることがある
    • 音場が狭まる確率がかなり高い
    • ウォームさ控えめな機器で中低域に歯抜け感
    • 音色が似やすい

    JSHiFi Shadowはリケーブル効果と変化を感じやすく個性を持ったケーブルです。高域強化タイプでありつつ超低域も部分的に強まり痩せにくいのですが、イヤホンによって高域への効果が出づらい、もしくは出過ぎることがあります。

    JSHiFi Shadowと相性の良いイヤホンの画像

    リケーブルによって音のバランスが変化するかどうか、そして変化の程度はイヤホンによって異なりますが、Shadowはその傾向がやや大きいようです。高音強化傾向がほとんど感じられず、低音の変化だけが現れて全体的には低音が強化されるケースもありました。

    ウォームな音色の機器は低音の厚みや量への影響が大きい帯域がわずかに強いことが多く、Shadowで弱った帯域を少しだけ底上げしてちょうど良く整える効果が期待できます。

    また、シングルダイナミック(1DD)イヤホンとの組み合わせはバランスが整いやすいようです。逆にハイブリッドイヤホンではBAへの影響が強く出たようなバランスになり、DDが置いてけぼりになることがありました。

    Shadowは音色の矯正力が強いというか、音色がShadowの個性で染まってしまうような印象があります。異なるイヤホンでも似た印象の音に近づきがちです。しかしそれだけにShadowの音が気に入った人は複数本欲しくなりそうなケーブルです。

    機器やイヤホンとの相性を気にせず万能に使いたいなら同価格帯の銀メッキケーブルではJSHiFi Sky(簡易レビュー/Amazon 1,880円)やJSHiFi Hi8(簡易レビュー/Amazon 1,650円)をおすすめします。

    Amazonで購入可能な2,000円前後の中華リケーブルの販売元としてはJSHiFi製品の評価はいずれも高いですね。一時期他のセラー(販売店)でもこの価格帯が充実していましたが最近は主力製品を高価格帯にシフトしたセラーが多いため低価格イヤホンにおすすめできるケーブルが減りました。先日新たにJSHiFi 晨(Amazon)も発売されていますし、JSHiFiのラインナップ拡充には今後も期待しています。