今回はTRI i3 MK3のインプレレビューです。Easy earphonesから製品提供を受けています。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方（2018/10/24版）』をご覧ください。
目次
製品仕様
| ブランド | TRI |
|---|---|
| 型番 | i3 MK3 |
| ドライバー | 低域 10mmDD (ベリリウム合金/ベリリウム含有50%以上) 中域 1BA (Sonion 23568) 高域 10mm平面駆動型 |
| インピーダンス | 21Ω ±1Ω @1kHz |
| 感度 | 104dB ± 1dB @1kHz |
| 再生周波数帯域 | 20-20kHz |
| ハウジング | アルミ合金 アルマイト(陽極酸化)処理 / CNC加工 |
| その他構造 | Knowles製アコースティックダンパー |
| ケーブル | 2pin 4.4mm / 銀メッキ5N単結晶銅(同軸) |
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外箱はハウジングの色に合わせた紫色です。デザインに統一感があって良いですね。
同梱物は銀メッキ5N単結晶銅同軸ケーブル、シリコンイヤーピース3種類各3サイズ、フォームイヤーピース1種類2サイズ、掃除用ブラシ、合否セミハードケース、不織布クロスです。
ハウジングは非常にきれいに仕上がっています。フェイスプレートのデザインはTRI i3や3 PROと同系統ですがi3 MK3は鏡面仕上げではありません。濃いめのグレープ色は写真映えしますね。
付属品
付属ケーブル
付属ケーブルは銀メッキ5N単結晶銅ケーブルです。同軸構造の2芯になっています。TRI i3 MK3に付属するのは4.4mmのみで、今のところ3.5mmパッケージはないとのこと。ですがケーブルも別途単体発売され、2pin 4.4mm以外も用意される予定だそうです。
付属イヤーピース
シリコンイヤーピースが3種類各3サイズ、フォームイヤーピースが1種類2サイズ付属します。シリコンイヤーピースのうち1種類は単体販売されているTRI Clarionです。
私の耳でTRI公式周波数特性通りに聴くためのノズル位置に装着できるのはこのシリコンお椀型グレーイヤーピースです。
TRI Clarionは伸縮性が高めで肉厚なシリコンイヤーピースです。商品ページに掲載のサイズ表には高さ9mmと記載されていますが、これは傘だけの高さです。軸が出っ張っている部分も含めると実測で(S)9.5mm(M)9.5mm(L)9.6mmです。
黒軸で傘がクリアホワイトの弾丸型イヤーピースは軸がやや硬めです。
フォームイヤーピースは1サイズ2ペア付属します。
合皮セミハードケース
KBEARの合皮セミハードケースが付属します。TRIの刻印の合皮ケースもあったはずですが…梱包ミスでしょうか。TRI i3 MK3もケーブルとイヤピを付けた状態で入ることは入るものの押し込まなければならず、i3 MK3用にするのはあまり実用的ではありません。
クロスとブラシ
山吹色のクロスとノズル清掃用のブラシが付属します。デザイン性の高いクロスを付けている製品もありますが、クロスは無地が一番使いやすいですよね。
音質
エージング
まだエージング途中ですが80時間は鳴らしました。エージングにはEveningStar BURN IN A1を使用しています。
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箱出し時はエージング後のノズル位置で聴いていてもボーカルが少し鼻声気味でした。エージングひと晩のうちには解消していました。
装着の深さと角度
私の耳ではしっかり深めの挿入でハウジングが押し込まれて若干斜めに傾く辺りがメーカー想定周波数特性通り聴けるノズル位置です。付属お椀型イヤーピースでないと届きません。
湿度と乾燥
BAと平面駆動型ドライバーは湿気に弱いため、密閉容器と乾燥剤くらいは使った方が良いでしょう。BAが中域、平面駆動が高域を担当しているため高音成分が不足、情報量が減り解像度も落ちます。また、実際よりも鳴らしにくく感じられます。
エージング中は乾燥させず合間に音のチェックもしており、それはそれで豊かな低音が気持ち良く、不満がなければアリな範囲だとは思います。また、別のイヤーピースではまた印象が変わると思います。
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- 乾燥剤は『HAKUBA キングドライ』（Amazon 1個262円）
- この他、乾燥機は補聴器用の『シグニア パーフェクトドライ』（Amazon 4,600円）を使用しています。
音質インプレ
今回のインプレではまず付属ケーブルと付属シリコンお椀型グレーイヤーピースで聴いています。公式周波数特性通り聴けているはずです。
周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックして行きます。下は23Hz辺りから聴こえるものの29Hz以下は音量的に小さめ、30Hz台少し強め、2kHzがてっぺんの山なりで7.3kHzで一旦凹み9.5kHzまで強まり12kHzを超えると徐々に聴こえなくなります。
ベリリウム合金振動膜採用DDによる超低域～中低域の下支え、Sonion BAの自然な中域、高～超高域まで描き出す平面駆動型ドライバーの組み合わせと割り振りはとても上手く行っていると思います。
低音の下支えのために機器の出力が必要で、若干鳴らしにくいです。ドングル型DACアンプや低出力なDAPでは十分な実力を発揮できないでしょう。
超低域～中低域は情報量が多く抑揚に優れます。豊かで厚みがあり滑らかでありつつもゆったり過ぎず、アタックは力強いです。中～高域の下支えとしての影響が大きく、全体の滑らかさは低音側から来ています。
中域には低音の下支えが効いて低音成分を増やすことで過剰ではない艶と湿度感を感じさせます。厚みがあり滑らかです。出力不足で痩せる場合があります。
高域は全体の中ではやや控えめで遠めです。音量的な不足はないものの鋭さや刺激は強すぎないため、強めな高音を必要とする楽曲では少々物足りません。ロックは荒々しさがかなり衰えてしまいました。高域のコントロールに重点を置くのではなく、超高域のコントロールで情報量と解像度を確保しているように感じられます。
ボーカルはほんの少し前方寄りに定位しますが軽微で近すぎず、ボーカル曲が聴きやすいです。ブレスや歯擦音は控えめで刺激的でなく、穏やかでありながら力強く。人の声の帯域が得意なBAの特徴が活かされています。
伸びやかに広がり暗闇に消えていく様は音場の広さを感じさせ、その濃淡は美麗でドラマチックです。
低ビットレート音源と高ビットレート音源を聴き比べると明らかに違いを感じます。TRI i3 MK3は高音質音源でこそ実力を発揮すると思います。平面駆動型ドライバーの超高域が不足なく引き出せていることがうかがえますね。
周波数特性通り聴くことを優先せずに黒軸シリコンイヤーピースに替えると、お椀型グレーイヤーピースよりもやや装着が浅くなることによる影響も受けて低音の量が減り、ややすっきりとします。
TRI Clarionでは更に装着が浅くなるためか更にニュートラルに寄ります。低音の個性は控えめになりますので、こちらの方が好みという方もいらっしゃるかもしれません。
個人的にはお椀型グレーイヤーピースで周波数特性通り聴いた時の癖になる低音の魅力が捨てがたく、しかしこのイヤーピース単品で販売していないのが少し困りますね。
それぞれのイヤーピースを使用した時の更に詳しいレビューはエージング終了後の完全版として別途公開する予定です。
その他
装着感
私の耳ではハウジングが軽く押し込んだくらいの装着の深さがベストなこともあり、装着感は良好です。付属ケーブルの耳掛けチューブが柔らかめで引っかかりづらく固定が緩いのが惜しいです。
ノズルに向かう山なりの部分は太すぎず細すぎず。
音漏れ・遮音性
ハウジングのお尻側にベント（通気穴）が設けられています。耳に装着した時は上方向に向き、思いの外ここから音漏れするようです。半開放型イヤホンほどではありませんが静かな場所では使いづらい気もします。
総評
- 心地よさと力強さを両立
- 各ドライバーの長所を上手く利用
- 音源の質が良ければ良いほど音も良い
- 汚れづらく美しいハウジング
- 鳴らしにくい
- 湿気に弱い
- ケーブルの耳掛けが緩い
- コストの都合で先々は値上げの可能性あり
平面駆動、Sonion BA、ベリリウム振動膜採用ダイナミックの各ドライバーの仕事の振り分けはよく考えられています。それぞれの長所を活かしたチューニングは心地良く美麗でありながら力強く、情報量の多さや音場の広さも実現しています。
ダイナミックドライバーが重要な役割を担っていると思います。担当音域を力強いアタックで鳴らすと同時に全体の低音成分を増やし、i3 MK3の音色を作り出す下支えになっています。
ただし4.4mmプラグ版のみで発売されたことからもうかがえる通り鳴らしにくく、ポータブルアンプもしくは高出力なDAPは必要です。抑揚ある伸びやかな低音、厚み、滑らかさを感じない場合は出力不足の可能性があります。私はFiiO Q5s Type-CでもiBasso DX240でもハイゲインで聴いています。
平面駆動型ドライバー一発のイヤホンと比べると湿気に弱いです。同じく湿気に弱いBAも搭載している上に平面駆動が高～超高域を担当している影響で乾燥が足りていないと高音側が弱りやすいです。高音が弱っている時でもそれはそれで気持ち良くはあるのですが、本来の実力よりも更に鳴らしづらく感じられるようになります。除湿剤と一緒に密閉容器で保管することをおすすめします。
個人的には音色に関して欠点らしい欠点は見当たりませんでした。強いて言うなら付属ケーブルの耳掛けが緩いことくらいでしょうか。しばらく高価格帯の新製品が出ていなかったTRIでしたが妥協せずに開発を続けていたようです。
TRI i3 MK3は販売店のEasy earphonesの尽力もあり発売価格がかなり抑えられています。新発売価格に関しては部品のコストが急上昇する中でメーカーと交渉したらしく、為替レートの先行きも不安な中で長期的にこの価格で出せるとは言い切れないと思います。もしかすると新発売価格が最安値ということになるかもしれません。
| Wooeasy Earphones Store | セール中 $149.05 [$199.00+5%] ★以下併用★ ストアクーポン$15 [GVJDEXU35SSS] Aliコード$25 [SS25] or [chifi25] |
| Yinyoo-JP | 25,999円+300pt [29,999円+4,000円] 新発売4,000円値引きは6/23まで |
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TRI i3 MK3のレビュー、今回は発売に合わせた仕様とインプレが中心の記事となりました。エージングが完了してから更に聴き込み、詳細な音質評価と他機種や過去作との比較も含めた完全版レビューも公開予定です。