今回はCCA CA4のレビューです。第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。エージング後&付属ケーブルの最終評価だけでよろしければ『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。
- 中華イヤホンには個体差・ロット差がよくあります。必ずしも本レビューと同様の音が出るとは限りません。
- イヤーピース変更について提案していますが、耳の形状は人によって大きく異なるため必ずしも私が感じたように聞こえるとは限りません。ご了承ください。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
製品仕様
- ブランド:CCA
- 型番:CA4
- ドライバ構成:1BA+1DD
- インピーダンス:23Ω
- 感度:107dB
- 再生周波数帯域:20Hz-40000Hz
- ケーブル端子:2pin(qdc/0.75mm)
- 高域のドライバはKZ30095
- 中低域は10mmドライバ
外箱は写真付き簡易包装の白箱でした。
内箱もいつものCCA(およびKZ)の包装です。
同梱品は付属ケーブル、イヤーピース1種類3サイズのみです。イヤーピースはKZの溝入りイヤーピースと同等品です。CCAのイヤホン(および一部KZ製品)には溝なしMサイズが付属していることがありますが、CA4には付属していません。
フェイスプレートは亜鉛合金。表面には印字のみ。
ハウジングは若干厚めですが大きく耳の外にはみ出すことはなく、内側の曲線は比較的耳に沿う方だと思います。
ステム先端のフィルターはパンチングメタル。2pin端子はKZのCタイプ(qdc)です。
ハウジングの内側にはベント(通気穴)が2箇所開いています。
CCAおよびKZ系のイヤホンとしては普通サイズです。
音色
箱出し
箱出しから破綻のない音色でした。同時期発売のZSN Proと比べると高音のピークはZSN Proの方が高いものの似た雰囲気があり、低音域と音場感が違うと思います。
エージング200時間~
鳴らし始めて大体48時間前後で高音の主張が非常に強くなりました。その後徐々に落ち着いて来ますが、エージングせずに聞いていると途中で若干シャリ付く時期があるんじゃないかと思います。長時間鳴らせば改善します。
まず付属ケーブルと付属イヤーピースで聞いていきます。
- 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
- 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
- やや中低音域寄り
- 高音の主張はやや控えめ
- 中高音域不足は感じない
- 低音のアタック感が音量的に強め
- サ行の刺さりはほぼなし
周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは、音量バランスは高音域≒中音域≒低音域です。しかし全域の音量差が小さいことと低音のアタック感が音量的に強い(ドンシャリのドンの音量が大きい)こと、低音域の上の方は比較的フラットに音量が出ているためか音楽を聞いているとやや中低音域寄りに感じられます。
高音域は音量的にもしっかり出ていますが刺さりが上手く抑えられています。主張しすぎず誇張を感じない程度で、金属音の主張は現実の音色よりもやや控えめです。スネアやシンバルの高音がもうちょっと欲しいと感じてしまいます。より上の帯域はややカット気味に聞こえます。
中音域にはさほど凹みは感じません。伸びやかさはあまりありませんが、わりと響くのでそれで補えていて音の広がりがあります。
低音域は重低音は十分です。ZSN Proなどと比べると弱めですが控えめというほどではありません。また、50Hz以上はわりとフラットに音量が出て聞こえるためか音楽を聞いていて音量不足も薄さも感じません。密度はまあまあ、重みがあってアタック感が音量的に強いです。
低音域の音の輪郭はやや緩く感じられることもあります。これはイヤーピースを変更するといくらか改善されます。KZの溝入りイヤーピースは若干低音域が膨らむ傾向があるのでそのせいもあるんじゃないかと思います。
ボーカルは少しだけ離れ気味です。私はボーカルが近すぎるのが苦手なのでちょうど良いです。現実の声よりもわずかに高く聞こえている気がします。声の低い男性が遠くで話しているバイノーラル音源では遠いのに聞き取りやすいです。
音の立ち上がりとキレは自然な程度かわずかに早めで、スピード感のある楽曲ももっさりせずに鳴らしてくれます。低音のアタック感が強いことも合わせてノリの良い音色だと思います。
音の距離感はやや遠めで、音場もやや広めです。分離は普通ですが響くせいか定位は若干甘いです。
情報量と解像度はお値段相応だと思います。リケーブルしてもこの点は劇的には向上しませんでした。
その他
装着感
ハウジングの背中側の丸みが耳に沿いやすく装着感は良いです。私の耳に限ってはステムの角度も収まりが良く、かなり頭を振っても位置がずれることはありません。
音漏れと遮音性
遮音性は普通です。ハウジング表側にはベントがないので音漏れは小さいと思います。
ホワイトノイズ
再生環境由来のホワイトノイズはごくわずかに聞こえますがだいぶ小さいです。
再生環境と駆動力
駆動力の小さいDAP、スマホ(Xperia X Performance)、Windows-USBオーディオ変換アダプターのいずれも再生環境の実力以外の極端な劣化は感じませんでした。
高音が出過ぎておらず低音に寄っていることもあってシャリシャリになりやすい再生環境でもいい感じに鳴ってくれます。安価なUSBオーディオ変換アダプターなどはシャリ付きやすいので、そういう環境にも向いていると思います。
ZSN Proとの比較
同時期に発売された同じく1BA+1DDのZSN Proのレビュー内で簡単に比較しています。
- 2019/05/16 [レビュー] KZ ZSN Pro (1) ZSNより明瞭に楽しく進化
総評
バランスの良いやや中低音域寄りのドンシャリ傾向でドンは強めですが付属ケーブルと付属イヤーピースでは刺さりやシャリ付きはあまり感じません。しかしバランス的に中高音域は結構出ているようで、リケーブルしたりイヤーピースを変えたりするとシャリ感が出たりボーカルのブレスが大きくなりすぎることもあります。
音が似ているイヤホンはKZ ES4(Amazon/AliExpress)じゃないかと思います。ES4を明瞭にしてバランスをちょっとだけ整えたような音色です。
低音のドンが強いわりに周波数特性はさほどV字になってはいないようで、中音域がお留守になっていたり遠かったり音量的に小さいと感じたりすることはありません。リアリティはそこそこですが不自然さを強く感じるということもないです。
情報量、解像度は価格相応で、ノリの良さ重視な音色だと思います。リケーブルで音質は変化しますがお高めリケーブルを使っても大きく音質向上することはないようです。同時期に発売され同価格帯のZSN Proはもっと伸びしろがあったので、この点についてはZSN Proに負けていると思います。
また、これまでのCCA機はエージングによる音質変化があまり大きくなかったのに対し、CA4では長時間のエージングが必要でした。特に48時間経過頃には高音が強く主張するようになり、安定するまでには合計100時間くらいは必要です。
高音の主張を強めたいなら銀メッキ線へのリケーブルが効果的です。現在発売されている安価なqdcリケーブルの中ではYYX4829(Amazon/AliExpress)が相性が良かったです。
金属音の主張が強化されますが低音の重厚感とアタック感が付属ケーブルよりも明らかに控えめになるため、少しでも低音をキープしたいなら低音強化タイプのイヤーピースradius DEEP MOUNTなどと組み合わせるのが良さそうでした。
CA4をおすすめできるのは、エージングの必要性に抵抗がない、ノリの良い音色のイヤホンを探している、チープな再生環境で聞くことを想定している、ドンシャリ傾向のイヤホンは好きだけど高音が強いのは苦手、Bluetoothリケーブルと組み合わせるイヤホンを探している人などです。条件に合うなら中華イヤホン初心者にもおすすめできそうです。
千円前後の安価なUSBオーディオ変換アダプターなど低音が衰えやすくシャリ付きがちな再生環境でもそれがあまり気になりません。ホワイトノイズが盛大に出るアダプターでもノイズは小さい方です。駆動力をさほど必要としないのでBluetoothリケーブルと組み合わせるのも良いと思います。
CA4をおすすめできないのは、情報量と解像度を重視する人、低音が強くドンドン言うのが好みでない人、ノリの良さよりリアリティを重視する人、生楽器演奏のみの楽曲を好む人です。
生楽器演奏のみの楽曲を好む人にはZSN Proの方がおすすめできます。ただしZSN ProはCA4よりもホワイトノイズを拾いやすいため再生環境によっては不満が大きい可能性もあります。
個人的にはCA4のお値段を考慮に入れれば不満はないものの、音質的には価格相応感があります。しかし、大きな駆動力を要求せず再生環境を選びにくくホワイトノイズも小さく装着感も良く…と総合力のバランスが良いイヤホンだと思います。
CCA CA4のレビュー、次回はおすすめイヤーピース編です。
2019/07/05追記:おすすめイヤーピース編の記事を公開しました。
- 2019/07/05 [レビュー] CCA CA4 (2) おすすめイヤーピース編