IC-CONNECT社(Twitter/公式HP)主催の巡回試聴でお借りしたCOLORFLY U8(公式製品ページ)のレビュー第2回です。ファームウェアはver.2.7です。第1回箱出し画像編は以下からどうぞ。
- 2019/06/27 [レビュー] COLORFLY U8 (1) 箱出し画像編
U8のファームウェアver.3.5が公開されています。本記事でお借りしたU8はver.2.7でしたが、ver.3.xの公開に伴いスキップしたとのことです。
目次
製品仕様
商 品 名 | Portable Audio Player U8 | |
ボディカラー | グリーン | |
接続方式 | Bluetooth 4.0(プロファイル:A2DP AVRCP) | |
Wi-Fi 802.11b/g/n(2.4GHz) | ||
ストレージ | 内蔵容量 RAM 2G/ROM 64GB | |
microSDカードスロット×1スロット (SDHC/XC 最大256GB ) | ||
最大出力 | 130mW(@32Ω) | |
DNR@600RZ | 123dBA | |
THD+N@600RZ | -110db(0.0005%) | |
入力端子 | USB TYPE-C 端子(充電・データ転送:MTP-メディアデバイス方式-) | |
音楽再生 | 再生サポート | DLNA Bluetooth(コーデック:SBC、AAC) |
ファイル形式 | DFF、DSF、WAV、FLAC、WMA、MP3、OGG、APE、ISO | |
サンプリングレート | Max support to PCM 8kHz–384kHz(8/16/24/32Bits per Sample) DSD64–DSD512(1Bit) | |
注意:上記フォーマットは、ステレオのみをサポートしています.。 | ||
イコライザー機能 | 31+7(PRO) | |
オーディオ | D/Aコンバーター | ESS Colorfly α |
入力端子 | USB TYPE-C 端子(充電・データ転送) | |
出力端子 | 3.5㎜ ヘッドホンジャック + OPTICAL + LINE OUT 2.5㎜ ヘッドホンジャック4極(バランス) | |
画面 | 3.97型 IPS Touch screen WVGA(480×800 ドット) | |
ボリューム | 静電容量式スライダー (1,3,5ステップ単位変更可能) | |
対 応 O S | Windows XP, Windows 7,8,10 (32/64bit), Mac Os X(10.7以上) | |
表示言語 | 7言語(日本語, 英語, 独語、仏語、露語、韓国語, 中国語(簡体/繁体) | |
電源 | バッテリー | 3400mAh |
充電時間 | 約2時間 (2A) | |
駆動時間 | 通常使用約7時間 | |
充電方法 | USB TYPE-C 充電&再生&データ転送、電源オフ時は充電のみ可能 | |
サイズ | W:約66× H:約110 × D:約14 (mm) |
*1 USB DACの機能に致命的な不具合があり日本発売時から機能がロックされています。使用することができません。
- オリジナルDAC『Colofly α』を搭載
- CPUを介さず直接データを読み出すことで現音再生と遅延の低減を実現する『ATMP Technology』
内蔵ストレージ
内蔵ストレージとして実際にデータ領域として残っているのは54GBほどです。USBケーブルでPCと接続してデータ操作することができます。専用ドライバのインストールは不要です。
アルバムのジャケット画像(以下、アルバムアート)のキャッシュや設定ファイル、ファームウェア更新時の空き領域等も必要だと思いますので実際はめいっぱい音源データを入れない方が良いと思います。
microSDカードは256GBまで
microSDカードは256GBまで対応しています。抜き差しはカードを押し込むと固定、再度押し込むと出てくる押し戻し式なので交換は容易です。
USB接続
通常USB Type-C(以下USB-C)の端子には上下の向きはない仕様になっていますが、お借りしたCOLORFLY U8に付属のUSBケーブルには向きが存在しました。一方は充電モードにしか対応しないため、抜き差ししてもPCから認識しない場合はUSB-C端子をひっくり返して接続することで認識するようになります。
問い合わせたところケーブルの不具合である可能性もあるとのことなので、問題ないケーブルもあるのかもしれません。
バッテリーと発熱
- 充電は早い
- 発熱はほんわか温まる程度
- バッテリーの減りはやや早い
充電にかかる時間は2Aで2時間、通常使用で最大約7時間使えるとのこと。Bluetoothオフ、ミドルゲイン、音量控えめ、Wi-Fiオフ、FLAC再生だと5時間ちょっとくらい使えます。待機中のバッテリーの減りも若干早めなので完全に待機で約7時間ということなのかな。
発熱は気温25℃の屋内では5時間連続使用していてもほんわか温まる程度です。
バッテリーの寿命を考えると良くないとは思いますし通常使用よりかなり発熱しますが、充電しながら使用することもできます。残量0%から充電しつつ使用可能でした。
Wi-Fi接続
- 接続は安定している
- ステルスのSSIDが追加できない
Wi-Fiはアルバムアートの取得、DLNAサーバーとの接続、システム更新、公式サポートへの接続に使用されています。
Wi-Fi接続自体は安定していると思います。自宅SSIDが検出できないとか、再生途中に途切れてしまうことはありませんでした。ただし検索できないように設定しているステルスのSSIDを手動で追加できない仕様になっています。
DLNA
- DLNAサーバ内のファイル数が多くてもちゃんと動作する
- DLNAサーバ内のデータ読み込みがわりと早い
- DLNAサーバ内の階層が深いと不具合
- 自動再接続しない
DLNAに対応しているので機器があればWi-Fi経由で音楽を楽しむことができます。COLORFLY U8自体もネットワーク上に表示されますがサーバー機能はなく公開はされないのでU8の中の音源を他の機器から再生することはできません。
我が家のDLNA対応NASはかなり旧式なこともあって機器によっては上手く読み出せなかったり、読み出しに非常に時間がかかったりすることもあります。U8は読み込みが早く、十分に実用的なレベルです。
ただしバグがあって深いフォルダ階層を辿れないため、あまり深く入れ子にしている場合は再生できない階層が生じる場合があります。
また、一度電源OFFになると次に起動した時に自動で再接続はしません。DLNAを一度OFFにして再度ONにし、ファイル一覧の一番上の階層まで戻ってDLNAフォルダを開く必要があります。
Bluetooth
- 特になし
- Bluetoothのバージョンが古く最新バージョンよりも途切れやノイズが出やすい
- SBCとAACにしか対応していない
- 不要なBluetoothプロファイルを削除できない
Bluetooth機能が搭載されています。しかしBluetoothのバージョンは4.0で、少々古いバージョンとなります。4.1で通信速度の改善による通信品質の向上と切断後の自動再接続、4.2で転送速度の改善による省電力化が実現されているので、2018年後半の発売製品としてはちょっとバージョンが古い印象は否めません。
実際問題としてBluetoothイヤホンなどの接続機器によっては途切れやプツプツノイズが発生したり、本体操作をするとブツブツ言うなど不調が見られます。
コーデックはSBCとAACにしか対応していません。今時は1万円前後のDAPやスマホ、3千円前後の安価なBluetoothイヤホンですらapt-Xに対応している製品があることを考えると12万円のDAPならせめてapt-Xには対応していて欲しかったですね。
また、不要になったBluetoothプロファイルを手動で削除することができないので、機器が多い人はどんどん一覧のアイテム数が増えていきます。
ファイル形式
ALACやAACには対応していません。iTunesを使ってAAC、ALACでリッピングしている場合はデータを変換する必要があります。
出力
- ライン・光出力に対応している
- 特になし
3.5mmアンバランス、2.5mmバランス、OPTICAL、LINE OUTに対応しています。
ライン出力からアンプにつないでヘッドホンやスピーカーなど駆動力を必要とする機器と接続できるのは用途が広がって良いですね。
USB DAC
- USB DAC機能がロックされていて使えない
本来はUSB DACとしても利用することができます。しかし日本発売前のファームウェアで致命的な不具合が発見されたため日本発売時のファームウェアからはUSB DAC機能がロックされています。つまり現在USB DAC機能は使えないわけです。
USB DACとして使用できるなら相当に便利だと思うので、頑張って早期に解決していただきたいですね。
操作性
タッチパネル
画面はタッチパネルです。反応は悪くありませんが大手メーカー製スマホほど良くはありません。ですが反応の問題と言うよりはタッチエリアの設定範囲などソフトウェアの出来の問題もありそうです。
液晶へのタッチには反応しているのにアプリ側が反応しない不具合がいくつかあります。タップしたメニューの背景が一瞬反転するのにON/OFFが切り替わらない場合は何度か押すと変わるようになります。
ボリューム操作
- 複数の音量調節機能が搭載されている
- ちょっとずつしか音量変更できない
ボリューム操作は物理ボタン・本体右上のスライダーを指で撫でる操作・システム設定変更・液晶画面のスワイプの4つの方法で調節することができます。基本的には一気に音量変更することができないようになっています。ゲインを変えたりインピーダンスの大きく違うイヤホンを繋ぎ変えたりした時の音量調節は少々手間です。
本体左の物理ボタンは上ボタンと下ボタンを1回押しで1メモリずつ音量アップ、音量ダウンします。これが少々コツがあり、カチカチと連続で押すと2回連続押しで曲送りする操作が有効になってしまいます。カチ、カチ、と2回連続押しとソフトウェアに判定されない速度で操作しなければなりません。音量調節モードに入ったら曲送りを一時的に無効にするなどしてくれればもっと操作しやすいと思いました。実際液晶の方は操作を受け付けなくなります。
音量スライダーのLEDライトが光る部分に指が接触するようにして上方向もしくは下方向に撫でるようにすることで音量アップ、音量ダウンします。結構勢い良く撫でても一気に音量が上下したりせず、目一杯撫でても3メモリまでしか変動しません。
また、設定からの変更も5メモリまでしか変動させることができません。誤操作で爆音にになることがないのは良いのですが、逆に何らかのミスで爆音状態だった場合に急いで曲を止めるかイヤホンを外さないと爆音で聞き続けることになります。
物理ボタンか音量スライダーで一度音量調節モード(画面右上が白くなって画面中心に数値が表示される)にしてから液晶画面右上を斜めにスワイプすると音量が変更されます。音量アップは中心から右上方向へ、音量ダウンは右上から中心方向です。こちらも一気には音量変化しませんが物理ボタンと音量スライダーよりは早く変更することができます。
お気に入り機能
- 特になし
- プレイリスト機能ではない
- お気に入りの整理ができない
- お気に入りから消すとデータごと消える
初期値の「お気に入り」および自分が任意の名称で指定したフォルダが作成され、楽曲の一覧から指定するとその中に楽曲データが入るようなイメージの機能です。Androidの内部データになっているようでPCから編集したりすることはできません。
あくまで「お気に入り」機能であり「プレイリスト」機能ではないので任意の順番で再生することはできません。今時の高級DAPでプレイリスト機能がないとは思わなかったのでかなり驚きました。
しかもこのお気に入りは整理することができません。情報を削除することはできますが「お気に入り」を削除するのではなく音源データそのものが消されてしまいます。マジですか…。
検索機能
- 検索動作は非常に軽い
- 横断検索できない
ファームウェアver.2.7であいまい検索に対応しているとのこと。という事は旧バージョンではあいまい検索できないんですね。不便そうなのでファームウェアが更新できるようなら行った方が良いでしょう。
検索機能は必要最低限な感じです。あらかじめメニューから曲・アルバム・フォルダのどこから検索するか指定する必要があります。横断検索できません。その分検索時間は一瞬で非常に軽快に動作します。でも多少遅くなっても横断検索できる方が嬉しいですね。
アルバムアート
- 特になし
- mp3など一部データフォーマットにしか対応していない
- 画像の色によっては文字が見えづらくなる
Wi-Fi接続によるアルバムアート取得はmp3など一部のフォーマットしか対応していないそうで、主にFLACを使っている私の画面はほぼアイコンが並んでいるだけになっています。今後の対応フォーマット拡充に期待。
再生中の楽曲のアルバムアートがプレーヤーだけでなく楽曲一覧の背景にも拡大してぼやけたように加工されて使われています。欲しい機能は足りていないのに変なところにリソース割いてますね…。ちなみに記事内の画像で表示されているアルバムアートは自分でデータ内に埋め込み済みなものでWi-Fi経由で取得したものではありません。なのでmp3でも本当に画像が取れるのかは不明です。
この時に白っぽい画像だと文字が見えづらくなります。しかもプレーヤー画面だけでなく一覧画面なども同じようになってしまいます。しかし現時点ではこれが仕様であり、今のところ機能をOFFにすることはできないそうです。ひょっとして真っ白のジャケット画像だと完全に見えなくなるんでしょうか。
他社のDAPや音楽アプリなどの中には似たような動作をするものはありますが大抵は適度に調節されておりここまで見えづらくはなりません。調整不足ですね。
楽曲選択
- 特になし
- メニューのタッチ選択範囲が適切でない
- 楽曲一覧内の楽曲情報が少ない
- 「アルバム」と「歌手」でスクロールバーが出ない
「曲」「歌手」「アルバム」「ファイル」を一覧で表示することができます。「ファイル」からはフォルダを指定して中の楽曲データを順番に再生します。この時、フォルダが入れ子になっていても同一階層内のデータしか再生しません。
操作していて最もイラッとするのはメニューのうち「<(戻る)」ボタンの選択エリアが非常に狭く、高確率で隣に並んでいる「曲」をタップしてしまうことです。だいぶ意識的に左端をタップする必要がありました。
「曲」一覧は情報量が少ないです。アルバム名などが出ないため、複数のアルバムに同じ楽曲が収録されている場合に一覧からは見分けが付きません。
また、「アルバム」「歌手」が全曲並んでいる状態では画面右にスクロールバーが出ないため、スワイプしまくらないと並び順の後半までたどり着くことができません。検索して絞り込めということなのかもしれませんが「曲」と「フォルダ」には普通にスクロールバーが出るんですよね。
プレーヤー
- 特になし
- アルバム←→楽曲←→歌手と回遊するためのリンクがない
アルバムアートが埋め込まれているかWi-Fi経由で取得できればジャケット画像が表示されます。画像がない場合はレコードプレーヤーの画像です。
プレーヤー画面およびスワイプで表示される楽曲情報にはリンクになっている部分がありません。そのため再生中の楽曲からアルバムを開いたり、その歌手の他の楽曲一覧を見たりすることができず、回遊しながらつらつらとなんとなく聞きたい音楽を見つけていくという使い方はできません。
横断検索もできませんからピンポイントで都度検索する必要があり、検索自体がサクサクではあるものの面倒です。プレイリスト機能もないし…。
イコライザー
- 設定済みプロファイルが用意されている
- 設定済みプロファイルを微調整できない
- ノイズが出るバグがある
イコライザーには手動でスライダーを動かしたり数値を入力することで設定できるモードの他に設定済みプロファイルが用意されており、簡単にバランスを変えることができます。ただし設定済みプロファイルの設定値を見たり微調整したりすることはできません。できるとかなり便利ですよね。
他、設定プロファイルを適用した時にバリバリとノイズが入るバグがあります。報告済みですが再現条件までは特定できなかったので果たしていつ直るか…。
その他
- 起動が早い
- 全曲シャッフルリピートができない
- テーマ変更機能があるが1種類しかない
- Androidの機能はほぼロックされている
起動はまあまあ早い方だと思います。待機時のバッテリーの持ちがあまり良くなくこまめに電源OFFにしたくなるのでありがたい。
テーマ変更のための設定があるのですが設定ファイルがひとつしか用意されていないため実際は変更できません。
Androidベースですが音楽プレーヤー以外の機能はなく、ユーザーがアプリをインストールすることもできません。
このレビューの公開時点ではU8よりも下の価格帯のDAPでもアプリのインストールに対応していたりSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスを利用可能な製品が増えてきています。U8は2018年後半の日本発売だったようですが、それを考慮しても現時点では機能面に見劣りしてしまいますね。
総合評価
安定性もあり動作も軽い
待たされること自体はほとんどないのでその点では不満は感じません。操作性がイマイチでも動作が軽いことで「慣れればいいか」という気持ちになります。
処理が停滞することはありましたがシステムが落ちて強制再起動をかけられたりフリーズしたりということは試聴中一度もありませんでした。バグは残っているものの一定の安定性はあると思います。
プレイリスト機能がないのはがっかり
ファームウェアver.2.7の時点ではCOLORFLY U8にはプレイリスト機能がありません。高級DAPにプレイリスト機能がないというのは想像していなかったのでかなりがっかりました。「お気に入り」機能はその代替にはなっておらずデータの整理もできないため、この機能そのものの実用性も低いです。
ソフトウェアには課題あり
ソフトウェアの作り込みはまだまだで、使いづらかったりバグがあったりします。機能が非常に限られており「これくらいできるだろう」と思う操作ができないことも少なくありません。項目を長押ししたらなにかメニューが出るかな?と思っても何も出ないとか、ここはリンクになってそう、と思ってタップしてもうんともすんとも言わないとか。
しかし操作が限られているので慣れるのは早かったです。
ファームウェア更新で機能を増やしたり改善したりするスタイルを取っています。今後ver.3への大規模バージョンアップの予定があるそうなので、使いやすくなることに期待します。
まとめ
今回は音質以外の部分についてのレビューでした。DAPもどんどん進化していますし要求レベルも高まっているとは思いますが、U8のソフトウェアはもうちょっと頑張って欲しいところです。
しかしその分コストを音質に全振りしていると思えるレベルの音の良さではあります。音質については次回「音質編」でレビューしていきます。
- 2019/06/27 [レビュー] COLORFLY U8 (1) 箱出し画像編