[レビュー] COLORFLY U8 (3) 音質編&まとめ 使い勝手の悪さを凌駕するアナログライクな高音質

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IC-CONNECT社(Twitter/公式HP)主催の巡回試聴でお借りしたCOLORFLY U8(公式製品ページ)のレビュー第3回です。今回は音質編です。

COLORFLY U8とIKKO OH1をつないだ画像
同時にお借りしたIKKO OH1と。

第1回と第2回は以下からどうぞ。

音質・音色

郷愁漂うアナログライクな音色

アナログライクな滑らかで優美な音色です。古い楽曲のとの相性が良いです。滑らかで耳触りが良く長時間のリスニングには非常に向いています。

耳に入る音楽の多くがアナログだった頃のことを思い出して非常にノスタルジックな気分になります。昔耳にしていた古い楽曲を聞いていると当時の思い出が蘇ります。

基本的には原音再生に近いバランスではないかと思いますが、低音が広がる柔らかで落ち着いた音色でありつつも高音が非常にきれいによく出ており、ごくわずかに高音寄りっぽさが感じられることがあります。しかしハイ上がり気味なイヤホンでもバランスを崩さず騒がしくもキツくもなりません。

リアリティのある描写

解像度は非常に高く、しかしただむやみに高いのではなくリアリティがあります。特に生楽器の音色は素晴らしいです。クラシックやアコースティック系楽器との相性が良く、情報量が十分に引き出せるイヤホンなら相当にリアリティを感じられる音で鳴らしてくれます。

弦楽器の弦の震え、金属が鳴り響くときの振動が空気感まで感じられるような伸びと余韻です。

もちろん人の声もリアルで、男性ボーカリストが耳元で囁いて始まる楽曲では一瞬本当に耳元に人がいるような感覚でドキッとしました。

音場はやや広め

音場はやや広めだと思います。中音域の距離感がやや近く音場があまり広くないイヤホンで確認したところ、その音の近さをあまり感じませんでした。しかし何処かに凹みが生じているとかそういうことではなく、非常に自然に音が広がるようです。

バランス接続による音の広がり感は非常に顕著です。U8の音は密度感が濃い方だと思うので、密度感が薄まることを嫌うアンバランス派の方にもぜひ試して欲しいです。

COLORFLY U8とYinyoo HX5(バランス接続)の画像
イヤホンはリケーブルしたYinyoo HX5(レビュー)です。

アンバランスとバランスの違いは大きい

アンバランス接続とバランス接続の音の違いはかなりはっきり違っています。所有しているバランス接続対応のDAP・アンプの中で一番大きく変化を感じました。

前述した通り密度感も濃いめですし音が痩せるような印象はありません。

TRN T2にリケーブルしたIKKO OH1とCOLORFLY U8をバランス接続している画像
IKKO OH1をTRN T2にリケーブルして元気寄りに。

音量は取りやすい

仕様上の出力は特別パワフルなわけでもないと思うのですが音量は取りやすいです。低インピーダンスのイヤホンではハイゲインにしてしまうと音量1でも大きいことがあります。インピーダンス100ΩのEtymotic Research ER-4Sではミドルゲインで音量25前後(最大値は100)くらいがちょうど良かったです。

COLORFLY U8とEtymotic Research ER-4Sの画像
愛機ER-4Sと。生産終了が残念。大事に使います。

また、好みによるものかもしれませんが、むやみにハイゲインを使わない方が音が良い気がしました。

逆にハイゲインでも駆動力不足を感じる時はライン・光出力が可能なのでアンプと組み合わせれば幅広い環境で楽しむことができます。ですが個人的にはU8の音が非常に良くバランスを変えたくないので、駆動力に不満がないならアンプを使う必要性は感じませんでした。

AKG K712Proを使ってみたところハイゲインなら爆音で鳴らすこともできましたが駆動力が足りない感じの音ではあったので、大きめヘッドホンではアンプが欲しいかな。

まとめ

COLORFLY U8は直挿しでこそ使って欲しいDAPです。音質は申し分ありません。アナログライクな音色が若かりし日の思い出を鮮やかかつ更に鮮明に高精細に呼び起こすような、心地良くも目の覚めるような音楽体験です。使い勝手の悪さがあっても思わず手が伸びてずっと聞いてしまいます。

ただしその分イヤホンの実力も欲しいと感じました。いくつかの低価格イヤホンではU8の個性に負けるのか、異なる音の傾向のイヤホンのはずなのに似たような音色になってしまう場合がありました。

昔の音楽や生楽器に非常に向いています。メリハリの強い新しくデジタルな楽曲との相性は微妙です。ドンシャリしていてノリの良い楽曲も上品に大人っぽくなってしまい、もっと品がなく元気でも良いのになと感じることは少なくありません。万能タイプではないですね。

正直なところBluetoothは使わないと思います。SBCとAACしか対応していないという音質の問題だけではなく、おそらくBluetoothのバージョンが古いことでノイズが入りやすかったりバッテリーの減りがかなり早かったりするようです。機器との相性もあるようで、バッチリつながるレシーバーもあればブツブツなものもありました。

COLORFLY U8とBluetooth化したヘッドホンFumineの画像
3.5mmジャックに指す小型レシーバ。これは相性が良かったですがたまにブツッとノイズが。

レビュー第2回でも書いた通りソフトウェアの出来はまだまだで、使い勝手はあまり良くありません。数日触っただけで複数のバグも発見しました。アプリのインストールに対応していないので別のアプリに切り替えることもできません。ファームウェア更新による今後の機能追加とブラッシュアップに期待します。

しかしCOLORFLY U8は操作性が悪くともそれを凌駕する音質が強みのDAPです。個性が感じられるので好みは分かれると思います。シャキッと元気なのが好きなら不満でしょう。

私にとっては非常に好みの音色です。約12万円と私の懐事情的にはだいぶ高価格帯のDAPですが、USB DACの機能が復活するなら購入を視野に入れられるレベルで気に入りました。アナログ時代の音楽を好む人、生楽器演奏の描写を重視する人におすすめできます。

IC-CONNECTでは7月から試聴機貸し出しサービスを開始する予定とのこと。レビュワーだけでなく試聴のみの申し込みも可能だそうなので、購入検討のためだけに借りることもできます。返送料と、破損等に備えるための0円カード決済は必要になる見込みだそうです。正式に開始されたらまた情報を追記します。

追記:試聴機貸し出しサービスが開始しています。⇒試聴機レンタル | IC-CONNECT DIRECT SHOP