[レビュー] IKKO OH1 Meteor – 質の良い中低音、小気味良いのに聞きやすい滑らかさ

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今回はIC-CONNECT(Twitter/公式HP)主催の巡回試聴でお借りしたIKKO OH1 Meteor(以下、IKKO OH1)のレビューです。ちなみにIKKOは「アイコー」と読むそうです。

IKKO OH1の画像

製品仕様

  • ブランド:IKKO
  • 型番:OH1
  • ドライバ構成:Knowles 33518バランスド・アーマチュア+10mmダイナミック(チタンダイヤフラム)
  • インピーダンス:18Ω
  • 感度:106dB
  • 再生周波数帯域:20Hz-40000Hz
  • ケーブル端子:2pin(0.78mm)
  • 付属ケーブル:4芯5N無酸素銅(OFC)銀メッキケーブル
  • BAはKnowles 33518
  • DDはポリマー複合チタンメッキ振動板
  • ハウジングは軽量アルミ合金(航空材使用)

Knowles製のBA、DDはチタン振動膜を採用しています。

ハウジング硬度の確保と軽量化、そして内部の共鳴低減のために航空材の軽量アルミ合金が使用されています。実際非常に軽いです。なんと6g!実際装着感もかなり軽いです。

外箱は黒。ネットで別仕様の箱を見たので仕様変更があったか欧米向けはパッケージが違うのかも?

IKKO OH1の外箱の画像
製品仕様を調べていた時に見た箱と違う?
IKKO OH1の外箱裏側の画像
外箱の背面です。

パッケージにもしっかり『Knowles 33518』の文字が。

IKKO OH1の外箱裏面の拡大画像
このイヤホンの売りなんですね。

ちょっと画像が黒くて分かりづらいですが内箱の中です。

IKKO OH1の内箱の画像
IKKO OH1に同梱の保証書と企業カード画像

イヤーピースはブルーのシリコン製が3サイズ、黒いシリコン製がなぜか1サイズ入っています。製品仕様を調べるためにネット検索していたらこの黒い方も3サイズ入っている開封画像を見つけたのでやはり仕様変更があったのでしょうか。そのパッケージとはケーブルも若干異なるようです。

IKKO OH1の同梱物の画像
黒いイヤーピースはなぜか1サイズ…。

布製のキャリングケースは小さくてIKKO OH1のためには実用性がありません。これならケースを抜いて1サイズだけの黒イヤーピースを3サイズにして欲しいです。

付属ケーブルは4芯5N無酸素銅(OFC)銀メッキです。各パーツがブルーで統一されていてデザイン性が高いですね。色合いも不自然ではなく、ちゃんとこだわっていることがうかがえます。

IKKO OH1の付属ケーブルの画像
ちゃんと馴染む色の青色をしています。

ケーブル端子は2pin(0.78mm)で、抜き差しは適度な固さです。

IKKO OH1の付属ケーブルの2pin端子の画像
固からず緩からず。

分岐部分からイヤホン側(2芯部分)の編みが緩いため隙間が空いている状態になっています。ここに何か引っかかったら断線するんじゃないかと少々心配です。

IKKO OH1の付属ケーブルの分岐部分の画像
持ち歩くなら入れ物が欲しいですが付属ポーチは実用性がないので…。

軽くつや消しされたハウジングはフェイスプレート側に左右対称の凹凸がデザインされています。名称がIKKO OH1『Meteor』なので流星がモチーフなんでしょうね。色は美しいロイヤルブルーです。

IKKO OH1のハウジング画像1
個性的な形状をしています。

ステムはやや短め。あまり耳の奥に突っ込むタイプではありません。また、あまりぐいぐい押し付けると私の耳では耳珠の下側のくぼみにハウジングの縁が押し当てられてしまいます。

IKKO OH1のハウジング画像2
短めと言っても不足していて装着しづらいわけではありません。

ベント(通気穴)は内側に2箇所です。このタイプのベントとしては結構しっかり開けてある印象。

IKKO OH1のハウジング画像3
ベントはまず内側に1ヶ所。
IKKO OH1のハウジング画像4
もうひとつのベントは内側側面に。

結構平たいです。耳からはさほど出っ張りません。

IKKO OH1のハウジング画像5
耳の外側に出っ張って目立ったりはしません。

音質

私の耳ではOH1の付属イヤーピースの最適サイズは左がL、右がMサイズなため、サイズが揃っているブルーの方しか使うことができません。評価はブルーのシリコンイヤーピースのみで行っていきます。

箱出し

箱出しから小気味良いアタック感とキレの良さで疾走感がありつつも意外と優しい音色です。エージングの必要性は感じませんが一応100時間行うことにしました。

エージング100時間~

エージングによってわずかに低音が出たようなそうでもないような。全体的により滑らかになったと感じました。箱出しはもっと立ち上がりとキレが早いように感じた気がするのですが、ちょっと穏やかになったようです。

高音の主張*
4.1
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
3.9
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.2
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 高音はカット気味
  • 高音の主張は控えめ
  • 重みと密度と量感のある低音
  • 音の距離感は少し近め
  • 分離と定位が良好

周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは、中低音域と高音域が持ち上がったドンシャリ型になっています。音域ごとに聞き取ると高音域と低音域の音量差は小さく感じられますが、低音が下の帯域からちゃんと出ていることと高音の主張が優しいので音楽を聞いているとやや低音寄りに感じられます。全体の音量差はあまり大きくなく、中音域が凹んでいるとは感じません。

高音域は12~13kより上が急激にカットされているように聞こえます。高音のピークはそんなに高くはなく、しかし不満がない程度です。きれいに出てはいるもののシンバルやスネアの高音成分が現実の音よりは少し足りなく感じます。しかし全体の中でのバランスが良く、適度なきらびやかさ、自然さ、聞きやすい柔らかさが共存しています。

中音域は凹みを感じない程度に出ており、人の声などは比較的現実の音に結構近く出ていると感じます。ボーカルは近めです。サ行の不快感は全く感じません。

低音域はかなり下の帯域から聞き取れるレベルで出ています。重みと密度、濃厚すぎない濃さと厚みがあります。しかし重苦しくはありません。量感があるので細部が聞こえづらいかと思いきや分離も良く、非常に聞き取りやすいです。

アタック感はなかなか小気味良く、しかしさほど強調はされていないようです。音の立ち上がりはややゆったりめな気がしますが音のキレは早めなので音量的な強調がなくとも気持ち良いのでしょう。

音の距離感のわりに広がりがあり、大抵は音場はあまり広くないのですが楽曲や再生環境との相性が良いと急に広さが出てくることがあります。バランス接続にした時の広がり感がわりとはっきり感じられる気がします。

全域で分離が良好です。量感のある低音の中の楽器の音、コーラスの声もダンゴになっていません。

定位は非常に良いです。特に横から後方にかけての奥行き感があります。シビアな位置ゲーでなければゲームにも使えそうです。

その他

装着感

装着した時に下部が尖った形状をしています。あまり押し付けるような着け方をするとここが当たって気になることがありました。小さいイヤーピースにして押し込むよりは少し大きめイヤーピースで固定するのが良いようです。

音漏れ・遮音性

音漏れはあまり気になりません。ベント(通気穴)がありますが内側なので音漏れへの影響は小さいです。遮音性は普通か、ちょっと良いくらい。耳を傷めない程度の音量で音楽を聞きいているとパソコンのキーボードを打つ音が聞こえるか聞こえないか、という程度でした。

再生環境と駆動力

スマホでも十分きれいな音で鳴らしてくれます。しかしアンプや、ある程度駆動力のあるDAPを使用した方が音に滑らかさが増し、確実に音質の向上を感じられました。スマホだと低音域が頑張り切れていないのかアンプ使用時よりもシャキッとする傾向が感じ取れました。

スマホでもきれいではありますが。

すごく元気に鳴る場合もあるので人によってというよりは再生環境によって音の評価が多少変わるかもしれませんね。

総評

タイトでアタック感が小気味良くありつつも量感とマイルドさがあり、なかなか絶妙なバランスです。金属音の主張しすぎやサ行の刺さりなど高音の不快感はまったくありません。音の輪郭に丸みを感じますが鈍いのではなく、適度にメリハリとタイトさもあります。

IKKO OH1とFiio E12Aの組み合わせの画像
相反する特徴が上手く融合しています。

高音はカット気味です。そのせいか高音の音切れが早く、余韻は控えめです。残響音なども早く消えてしまいます。

高音のピークがあまり高くないので、特に中音域~高音域の音が出る楽器では現実の音と比較すると高音成分が足りていないように感じられます。高音域は音量的に低音とそう変わらないくらいは出ているのに低音寄りに感じられるのはこれが理由ではないかと思います。しかし全体の中でのバランスは良く、情報量が多く聞き取れるのでギターなどはなかなかリアルです。

低音の量感があるのに重苦しさはなく必要に応じてタイトで、分離の良さからかなり細かく音を聞き分けることができます。低音の量感が多めだとこもってしまうような低音の音数の多い楽曲も上手く鳴らしてくれ、中音域への悪い影響はありません。

ボーカル曲との相性は非常に良いです。人の声に体温の温かみがあります。実際の声に近めですが少し滑らかさがあるので、激しいボーカルを楽しみたい楽曲ではマイルドすぎるかもしれません。

定位が良く、音の距離感自体は近めですが音場には横に奥行きも感じられます。

黒いイヤーピースが1サイズしか付いていないのが残念でした。音のバランスは良さそうだったので、実用性のないポーチを外してイヤーピースが3サイズ付いてくる方が嬉しいですね。

ポーチは正直必要ない…。

IKKO OH1をおすすめできるのは、ドンシャリしすぎは好みでないけれどひたすらマイルドなのが好きなわけではない、中低音域とボーカルをしっかり聞きたい人です。

ただし再生環境によって元気さに違いがあったので、疾走感を強く感じる場合と意外とマイルドだと感じる場合があります。

逆にIKKO OH1をおすすめできないのは、高音がよく出るはっきりしたドンシャリ傾向が好みな人、強調されたアタック感が欲しい人、高音のリアリティに拘る人です。

リケーブルでもう少し高音を出すことはできます。高音域がピークごと少し持ち上がる傾向のあるTRNの16芯銀メッキケーブル(Amazon/AliExpress)では付属ケーブルよりも全体的にすっきりして少しだけ空気感が乾きます。高音のピークはOH1でも持ち上がり、相対的に中音域が少し凹んだようなバランスになっているようです。楽器の質感を向上させつつもっと元気にしたいなら相性は良いと思いますが、ボーカルやコーラスが音量的に小さくなったように感じます。

TRN T2(16芯銀メッキリケーブル)とIKKO OH1との組み合わせの画像
中華リケーブルのTRN T2との組み合わせで高音強化も。

個人的には汚れが目立ちにくいのも良かったです。表面がサンドブラスト加工っぽいつや消しなので手垢が目立ちません。私は手が湿っているタイプでツルツル金属イヤホンはものすごく汚してしまうので、その点を気にしなくて良いのが楽でした。

いつもはおすすめイヤーピース編などの記事も書くのですが、今回は既に製品が手元にないため1記事で終了です。結構気に入ったので今後購入することがあれば追加の記事を書くかもしれません。