finalゲーミングイヤホン比較 – VR500 & VR2000 & VR3000

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finalが”for Gaming”と銘打ったイヤホン3種『final VR500 for Gaming』『final VR2000 for Gaming』『final VR3000 for Gaming』が手持ちに揃ったので比較してみました。すべて自費購入品です。Youtubeのゲームプレイ動画も使用しました。日頃マイクは使わないため評価外とさせていただきます。

  • ゲーム機はNintendo Switch、本体イヤホンジャック直挿しで評価しています。
  • 普段FPSなどをプレイしないため、これらのジャンルはYoutubeのプレイ動画で確認しています。
final VR500/VR2000/VR3000を並べた白背景画像

VR500 – 汎用性に優れバランスが良い

  • ゲーム、音楽、動画視聴にも向く
  • 鳴らしやすい
  • 外耳道長の違いによる影響小さめ
  • 手頃な価格
  • 多少のタッチノイズ
  • 高音の聴き取りやすさは若干劣る
final VR500 for Gamingと同梱物の白背景画像

final VR500 for Gaming(以下、VR500)は音の方向を正確に再現するために、「音像定位」に特化した音響設計を行ってゲームやASMRに向く没入感ある音を売りにしています。

3,580円と手頃な価格も魅力です。4kHzに強いピークがなく極端な外耳道閉管共振のピークも感じない周波数特性で、高音の刺激は控えめです。

謳い文句通り定位は良好です。ですが高音の刺激が控えめなことで高音の多い物音も控えめです。その分、高音が多い物音ほど対象に少し近づき気味でないと聴こえません。また、カリッとした音ではないため位置情報の掴みやすさが若干緩めです。

ケーブルの感触はVR2000・VR3000とほとんど同じなのですがVR500はケーブル下向きで使うと相応にタッチノイズがあります。多くのケーブル下向きイヤホンと比べると小さめだとは思います。私はケーブル耳掛けして使っています。

仮に耳の聴こえが同じであっても外耳道長の個人差によって鼓膜に届く音は異なりますが、VR500は高音の刺激を抑えることで外耳道長の影響が小さく、筒型であることで耳への挿入の深さの調整余地に幅があります。

イヤホンに定位の良さと音像のくっきりさを優先すると外耳道長との相性が重要になってきます。その点をいくらか諦めつつ人の声など加工されていない現実の音が自然に聴こえるチューニングとなっており、結果的にASMRにも向く音作りになっています。

箱出しは高出力で鳴らすと低音過多で若干ぼやっとしていましたが、しばらく使ってエージングが進んだら気にならなくなりました。使い込めば更に汎用性が向上するはずです。

ストア価格
final3,580円+358pt
final公式ストア3,580円+36pt
  • VR500 for Gamingはfinal公式以外の取り扱いはありません。

VR2000 – わずかな位置の違いも掴める

  • 音の位置の掴みやすさは群を抜く
  • 鳴らしやすい
  • 音楽を聴くのには向かない
  • 聴き疲れる
final VR2000 for Gamingの画像

final VR2000 for Gaming(以下、VR2000)についてfinalはそれぞれの効果音が明瞭に聴こえ、且つ効果音同士が重なった場合でも分離させて聴き分けることができる音質設計勝利にこだわるプレイヤーのために開発された本格志向のイヤホンと謳っています。

超低域~中低域が少なく、相対的に中高~高域が強めに聴こえる周波数特性です。4kHzに強いピークがなく極端な外耳道閉管共振のピークも感じない点はVR500と共通です。

謳い文句通り定位感のくっきりはっきりさはVR500やVR3000にまさっており、プレーヤーが右手で行った動作と左手で行った動作の位置の違いを聴き分けることができます。音の輪郭は実際の生音を耳で聴く以上にくっきりと聴こえ、ヘッドホンに対するイヤホンの優位性を活かしていると思います。非常に多くの位置情報を耳から得られるチューニングです。

反面、音楽を聴く際には相性があります。バランス的に中~中高域が強いため、その音域が目立って聴こえてしまいます。出力があるDAPで鳴らしてしまうと音が多すぎると感じる鳴り方です。スマホ直挿しでJPOPならさほど問題なさそうですが私はVR2000で音楽を聴きたくはなりません。

ストア価格
final6,980円+698pt
final公式ストア6,980円
eイヤホン6,980円+698pt
ヨドバシ6,980円+698pt
フジヤエービック6,282円
[6,980+10%*要ログイン]

VR3000 – VR500とVR2000のいいとこ取り

  • 聴き疲れない程度に音の位置が掴みやすい
  • 鳴らしやすい
  • 音が近い
final VR3000 for Gamingと同梱物の白背景画像

final VR3000 for Gaming(以下、VR3000)についてfinalは音源に込められた制作者の意図や狙いを正確に再現することを念頭に開発され2chステレオ方式で制作された音源とバイノーラル技術で制作された音源の違いを研究して作り上げられたイヤホンだと謳っています。

VR3000の中~高域はVR2000より少し抑え気味な程度で周波数特性のアップダウンはかなり近いです。ですが特に超低域~中低域はVR2000と比べるとだいぶ強められています。低音側が多いぶん、相対的に中高~高域に寄りすぎずVR2000のようには聴き疲れません。

高音が抑えられている印象を受けやすいですが、実際は低音側で緩和しているだけで高音も十分に出ており、VR500よりも高音の多い物音が聴き取りやすいです。

VR3000の特徴としてVR500・VR2000と特に異なるのは音の近さです。VR3000だけを使ってゲームしているぶんには気になりませんが、ヘッドホンと切り替えると音が遠く感じられてしまい、しばらく違和感を感じます。

また、4kHzが強めに聴こえる私の聴力でイコライザーが使えないゲーム直挿しで使用するとやや耳障りさのある高音が出ることがあります。

ストア価格
final8,980円+898pt
final公式ストア8,980円+90pt
eイヤホン8,980円+898pt
フジヤエービック8,082円
[8,980円+10%*要ログイン]
ヨドバシ8,980円+898pt

比較

開発理念に共通点を持ちながら異なるアプローチで作られたfinalの3種のゲーミングイヤホンの定位はいずれも非常に良好で、ゲーム機直挿し程度の低出力でその能力を発揮します。しかし定位良好という長所だけでなく、それぞれが少しの欠点を持っています。

final VR500/VR2000/VR3000を並べた画像
いずれも長所と短所を持っています。

聴き疲れず外耳道長の違いの影響を受けにくいチューニング、筒型ハウジングが人を選ばないVR500はゲームの定位良好であるだけでなく人の声が聴きやすく、ASMRや動画視聴にも向いています。しかしそのぶん高音の量が多い物音や、音が出ている位置をはっきりと聴かせる能力はVR2000やVR3000に劣ります。

VR2000は聴き疲れるものの、定位の聴き取りに特化し位置の把握しやすさに優れており、より細分化された音の位置情報を得ることができるチューニングです。プレーヤーが前方に出した左手の動作音と右手の動作音の位置の違いまでしっかり聴き分けることができました。しかし音楽を聴く上では中高域に寄りすぎていると感じます。聴き疲れる音です。

VR3000はVR500とVR2000のいいとこ取りです。VR500の弱点である高音の聴き取りやすさがあり、VR2000の欠点である聴き疲れはありません。ただしこれらの中でVR3000は最も音が近く、音場が狭いです。ゲーム用途ではヘッドホンとの併用に向かないと感じました。ですがもっと歳を取って聴力が衰え、まだゲームしているようならむしろこれが助かる気もします。

私の耳は若干聴覚過敏気味の特性なためかVR2000とVR3000には高音に耳障りさを感じることがありました。イコライザーで聴こえがフラットになるように調整してもわずかに感じるため、聴力検査範囲外の高~超高域の聴こえの影響なのかもしれません。final曰く不自然な高音の抑制に配慮していると謳っていますので、平均的な聴こえ方であれば耳障りさは感じないのだろうとは思うのですが…。

共通する特徴は鳴らしやすさです。所有するfinalのシングルダイナミックイヤホンは高出力で鳴らすと低音が増える傾向があります。そのため低出力な機器では低音不足になりやすく、E3000やE5000などは満足する音が出ません。その点VRシリーズは低出力でバランスが取れるようにチューニングしているようです。逆に高出力で鳴らすと低音を減らしたくなることがありました。

まとめ

VRシリーズ3種の中ではVR500が汎用性にも優れています。自分の外耳道長を把握していない、VR2000やVR3000のハウジング形状のfinalイヤホンが耳に合わない、ゲーム以外の用途にも使いたいならVR500をおすすめします。また、オーディオレビューを読み慣れておらず、ネットで複数の記事を読んでも結局どれが良いかわからないならVR500が無難で失敗の可能性が低いと思います。断線しても買い直しやすい価格も魅力です。

final VR500 for Gamingのハウジングとロゴが見える白背景画像
普段使いにも便利です。

聴き疲れてもより詳細な位置情報を掴みたい、ゲーム専用にするならVR2000がおすすめです。私は音楽を聴くのに使いたいとは思えませんでした。私の聴力の影響を最低限にするためにイコライザーで聴こえを均しても中高域が強すぎると感じます。音楽鑑賞とも併用したいなら予め機会を作って試聴した方が良いでしょう。

final VR2000 for Gamingのハウジングとロゴが見える白背景画像
定位を重視するとどうしても高音は必要…。

VR2000やVR3000のハウジング形状のfinalイヤホンが耳に合うことを確認できている、ゲーム用途でヘッドホンと併用しない、音が近い方が良い、聴力に強めな帯域はないが衰えの自覚がある帯域がある、高音の圧が強い音は苦手、筒型イヤホンが苦手などVR500やVR2000に懸念点があるならVR3000がおすすめです。

final VR3000 for Gamingのハウジングとロゴが見える白背景画像
基本的にはゲームにヘッドホン派なら音が近すぎるかも。

私自身VRシリーズをゲーム用途として使うにはVR500が一番使いやすいです。VR2000は4kHz強めに聴こえる私の聴力では一層と聴き疲れてしまい、VR3000は音の近さがヘッドホン併用時の違和感につながってしまいました。多少胸に当たるため男性と比べるとタッチノイズは出やすいはずですが耳掛けすれば問題ありません。

final VR500 for GamingをXperia 1 iiに直挿ししゲーム動画を再生している状態の画像
VR500は私の聴力の影響も小さく重宝。

VR500を使ってゲームしているともう少し定位のくっきりさが欲しいとは思うもののゲーム中に気になりすぎることはありません。ただし私はFPSなどをプレイしないため、FPS中心なら不満を感じる可能性はあると思います。

普段遣いとしても重宝しています。付属イヤーピースのfinal TYPE Eはサイズが豊富なので一度決めてしまえば微調整の手間はほとんど掛かりません。音にこだわる必要がない動画をイヤホンで観たい時に手に取ることも多いです。

VRシリーズは三者三様に異なるメリットで差別化されていました。一長一短な部分はあるもののゲームに向いて自分の聴力との相性が良いヘッドホンには敵いませんが、これまで試したヘッドホンやイヤホンがイマイチ自分にはしっくりこないと感じているなら試す価値はありそうです。