KZ S1Dのレビューです。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろだけご覧ください。
- イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
製品仕様
- ブランド:KZ
- 型番:S1D
- ドライバ構成:1DD
- Bluetooth Ver.:5.0
- コーデック:SBC,AAC
- 駆動時間:3時間
- 充電ポート:USB Type-C
- Amazon 4,999円
外箱はKZの有線イヤホンと似たデザインの白箱でした。
同梱品は充電ケース、充電用USBケーブル、イヤーピース1種類3サイズ、説明書です。
充電ケースの真ん中にあるボタンを押すとランプが光って充電器のバッテリー残量がわかるようになっています。現行品は順次モデルチェンジしていてボタンを押さなくても表示されるタイプに変わっているようです。充電ケースにS1Dを置いてからランプが光るまでが少し遅いので接触が悪いのかと思いがちですが、3秒くらい待つとLEDが赤く点灯します。
充電ケースのイヤーピースが収まるくぼみ部分はやや余裕があり、大きいものや高さのあるものでなければTWS用ではないイヤーピースでも入ります。しかしイヤーピースに変えるとハウジングが浮いてしまって低音が抜けシャリシャリした音になることがあるため、装着感に不満がなければ無理に変更しなくて良いのではないかと思います。
フェイスプレート部分はタッチセンサーになっています。感度は良好です。
ステムは金属、金網フィルターです。
ステムの角度は普通、ステムの長さも普通だと思います。フェイスプレートの境目にある長方形の穴はベントではないかと思います。
ハウジングには結構厚みがあります。耳に当たる側の凹凸があまり大きくないせいか装着感は可もなく不可もなし。
私の耳では大きくて付けられないということはありませんが、耳の穴周りのくぼみが小さい人は圧迫感を感じるかもしれません。
音質
エージングによる音質の変化は小さく、少し低域が締まってタイトになったかなという程度でした。連続使用時間も短いですし、何度も充電しながら頑張ってエージングしなくても普通に使っていけば良いと思います。
主な確認環境はPC→Creative BT-W2(Amazon)でSBC接続、音源はFLACファイル・Youtube動画・Amazon Musicなどです。他、スマホ(Xperia X Performance)とFiio X7 MKⅡでも確認しています。イヤーピースは付属イヤーピースです。
- 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
- 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
- すっきりめな弱ドンシャリ
- 軽く高音寄り
- ボーカルに高音成分が多く感じられる
- 人の声が聞き取りやすい
- 定位良好
周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは重低音から音が立ち上がってからは比較的凹凸がなく、低音の適度なドンおよび高音の主張によって音楽を聞いていると弱ドンシャリくらいに聞こえます。
高音域は金属音のキンキンも辛くありませんし、中年の耳では刺さりも感じません。主張は強すぎず弱すぎず、気持ちよく音楽を聞くことができる程度です。金物系楽器、シンバルの音の解像度もまあまあです。
中音域には谷になっている部分はないようなのですが、やや声が高めの男性ボーカルはあまり前に出てこないことがあるようです。遠いとか音量的に小さすぎるというほどではありません。また、全体的に人の声はが少し乾いているような、若干高音成分が多いような気がします。人の声は聞き取りやすいです。
低音域は盛られた部分がなく、すっきりタイトですが厚み不足は感じません。アタック感には十分な音量的な大きさがあります。ただし付属イヤーピースはやや薄手で柔らかいシリコンなので、固めなシリコンのイヤーピースよりは低音が拾えていないだろうと予想します。
重低音はまあまあ下まで音量が出ていると思いますが、音量的にはもうちょっと欲しいような不満というほどでもないような、というくらいです。全然足りないと感じるならイヤーピースが合っていないか装着が浅いんじゃないでしょうか。
全体的に伸びや響きはやや控えめです。もうちょっとだけ伸びてくれたら音が響く場所で録音された音源やライブ音源の臨場感が向上しただろうなと。キレキレというわけではなく、適度にシャープです。
通常価格3千円台のTWS、SBC接続ということを加味すると解像度はまあまあだと思います。低音が盛られていないことで全域が明瞭なのが効いています。
意外と良かったのは定位です。バイノーラル録音の動画を見ていても音が出る位置の不自然さはあまり感じませんし、音楽を聞いていてもバランス良く鳴っていると思います。ただしSBC・AACは動画を見るにもゲームをするにも明らかに遅延が分かるため、そういった用途には使いづらいのがとても残念。
音の輪郭がすきっとしていてぼやっとした音が出ることがほとんどないことも手伝って、分離もよく聞こえます。
音の距離感はあまり離れていませんが抜けは良く、音場の狭さを感じにくいです。
その他
装着感
私の耳と付属イヤーピースでは耳珠より下側を押し込んでハウジングがやや斜めに入る状態になります。装着感だけで言えばTRN T200(レビュー)ほどではありませんが、特に不満は感じません。この形状としては普通くらいです。
音漏れ・遮音性
遮音性は普通です。音楽を聞きながらPC作業をしているとキーボードーの打鍵音が小さく聞こえます。
イヤーピースの穴を塞いでチェックした限りでは音漏れは気になりません。
連続再生時間
KZ S1Dの連続再生時間は3時間で、最近のBluetoothイヤホンとしては短めです。これががっかりマイナスポイントになっています。箱出し時点では満充電から”Battery Low”のアナウンスまで3時間ちょっとは持ちました。公称値通りです。
通信強度
通信強度は普通です。離れた位置の物陰やドアの向こうなど送信機から長く距離を取った時の遮蔽にはほんの少し弱めな気もしますがポケットや鞄にDAPやスマホを入れて聞く分には全く問題ありません。
自宅内で使いながらWi-Fi接続でネットを見ている限りでは、途切れたことはありませんでした。屋外では確認していません。
充電ケースに入れて一度接続が切れても次にケースから出したときには前回接続していた送信機と自動的に再接続します。ただし接続完了するまで少し待たされることが多いです。瞬時につながることはありません。ですが今のところ接続に失敗したことはありません。
タッチ操作
フェイスプレートのマーク部分がタッチセンサーになっています。センサーの感度は適度です。反応しすぎておかしな挙動になることもなかなか反応しないこともありません。
ホワイトノイズ
音が鳴っている時にサーッと小さく出ています。音源が無音ならさほど聞こえません。ノイズの大きさは送信機にもよるようなので、日頃どのBluetoothイヤホンを使ってもホワイトノイズが気になる機器を使っているなら、静かな音楽を聞いているときは気になると思います。
総評
Bluetoothイヤホンに多い低音を強化しているタイプではなく、すっきりとした明瞭な音色です。楽曲を選びにくい弱ドンシャリ。バランス的には付属イヤーピースは相性が良いので、装着感に問題がなければ変える必要はないと思います。
人の声が聞き取りやすく定位も良好なのでできれば動画試聴やゲームで使いたいところですが、SBC・AACにしか対応していないため遅延が大きくこれら用途には向いていません。バイノーラル録音の動画を見ていても不自然さが気になることはないようなのでとても残念。
KZ S1Dをおすすめできるのは、すっきりした音が好みで低音が盛られたTWSイヤホンが好きでない人、ドンシャリすぎるのを好まない人です。トーク部分が多いネットラジオにも良いです。
ストリーミング音源をよく聞く人にもおすすめできます。ご利用の環境でストリーミング音源は音がぼやっと気味に聞こえると感じている場合、S1Dなら適度にシャープに聞こえるはずです。また、アプリの影響なのかストリーミングの方がホワイトノイズが気になりにくいようです。
逆にKZ S1Dをおすすめできないのは、厚みと重みのある低音が欲しい人、静かな音楽を好む人、普段使っている再生機器にBluetooth接続した時にホワイトノイズが気になっている人です。また、3時間しか使えないので、使用時間が長い方が良い人にもおすすめできません。