[レビュー] NICEHCK Blocc(2芯 5N UPOCC 単結晶銅ケーブル)

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今回はNICEHCK Blocc(Amazon/AliExpress)のレビューです。NICEHCK BloccはAmazonでは13,099円、AliExpressでも通常価格は$100以上で販売されており中華リケーブルとしてはややお高めですが音の傾向を見るため低価格イヤホンとも合わせて比較しています。イヤホンごとの音の変化詳細が不要でしたら『音質傾向』からごらんください。

NICEHCK Blocc 2芯5N単結晶銅(UPOCC)リケーブルの白背景画像

製品仕様

  • ブランド:NICEHCK
  • 型番:Blocc
  • 芯数:2芯(1芯あたり0.06mm×96本)
  • 線材:5N UPOCC、ナイロン布巻き
  • コネクター:mmcx/CEIM 2pin/qdc
  • プラグ:3.5mm/2.5mm 4極/4.4mm 4極
  • 耳掛けチューブ付き
  • 2pin極性:耳掛け時の上が+、下が-

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NICEHCK Bloccは5N(純度99.999%)のUPOCC(Ultra Pure OCC?)の布巻きケーブルです。高級感がある反面タッチノイズがやや大きく外歩き用には向きません。また、少し重みがあります。固くはないので取り回しはさほど悪くありません。

付属品はセミハードケース、ケーブルバンドです。

NICEHCK Blocc 2芯5N単結晶銅(UPOCC)リケーブルの同梱品の画像

耳掛けチューブ付きです。2pinはCIEM対応。極性は耳掛けした時に上が+で下がー(KZ系と同じ)です。

NICEHCK Blocc 2芯5N単結晶銅(UPOCC)リケーブルの2pin端子の拡大画像

音の傾向は中高~高域が明瞭かつやや濃いです。中高~高音がよく出つつも刺激的すぎないので、逆に高音が出ているのにピークが高くないイヤホンではメリハリが弱まることもありました。低音はイヤホンの実力通り出るようです。

相性が良いイヤホン

KBEAR Hi7

KB EAR Hi7(Amazon/AliExpress)は大きく開いた背面ベントで開放感のある高音寄りのくっきりはっきり明瞭で透明感のある音色のイヤホンです。低音はやや控えめですが軽くはなく適度な重みと量もあります。ドライバー数は6BA+1DDです。

  • 2pin→mmcx変換アダプター(Amazon/AliExpress)を使用しています。
  • 高音のきつさが軽減
  • 中~高音域が濃くなる
  • 低音が少し強まる
  • 定位良好

KBEAR Hi7をおすすめする際には「再生機器によっては高音がきついと感じるかも?」という懸念点がありました。しかしBloccはHi7の持ち味を変えることなくキツさを適度に軽減してくれます。

BAが多く積まれているわりに濃厚さはさほどでもないHi7の、特に中~高音域が濃くなります。付属ケーブルよりも低音が出ているようで全体的に低音成分が増えたような音色です。かなり相性が良いと思います。

Echobox Nomad N1(黒ノズル)

Echobox Nomad N1は発売当初$399だったらしいのですが最近ではDROPで$100弱の投げ売り状態になっているイヤホンです。高解像度で音質の評価も高いのになんであんなに安くなっているのかは謎…。リファレンスの黒ノズルでは高音に強めな主張があるドンシャリ傾向の1DDイヤホンです。

  • 2pin→mmcx変換アダプター(Amazon/AliExpress)を使用しています。
  • 高音のシャリ感がなくなる
  • きらびやかさは衰える
  • ボーカルが音量的に少し強まる

高音のピーク(6Hzと9Hz)が少し弱ります。黒ノズル+付属イヤーピースでシャリシャリすると感じていたなら解消されると思います。ただし代償としてきらびやかさが衰えてしまいます。

Nomad N1をDROPの投げ売りで買ってはみたものの高音の主張が強すぎる、でもBASSフィルターは好みと違う、という人にはかなり聞きやすくなるはずです。ボーカルが低音のドンと高音のシャリに負けていると感じる人にも良さそうです。

LZ A5(黒フィルター)

LZ A5(Amazon)は既に製造終了しているLZの以前のフラッグシップ機です。日本での販売価格は29,800円。黒フィルターでは解像度の高い高音寄りドンシャリです。ドライバー数は4BA+1DDです。

  • 2pin→mmcx変換アダプター(Amazon/AliExpress)を使用しています。
  • 高音の主張が弱るが解像度は向上
  • きらびやかさは少し衰える
  • ボーカルが音量的に少し強まる

高音のピークが少しだけ弱ることで主張が弱るのは他のイヤホンと同じで、高音の解像度は向上したと感じました。ただしNomad N1と同様にきらびやかさがちょっとだけ犠牲になっています。

しかしLZ A5の付属シリコンイヤーピースは高音がちょっと減衰していますから、イヤーピースを変更することで高音をもうちょっと出してきらびやかさを回復させるとかなりいい感じです。

KZ AS16

KZ AS16(Amazon/AliExpress)は2019年の冬に発売された8BAイヤホンです。機器との相性が悪いと若干ハイ上がり気味になることがあり聴き疲れたり高音の主張が強すぎる場合があります。相性が良ければ抜けが良くもあっさりせず濃さと艶、タイトさが感じられる音色です。

現象そのものが出にくくなっているのか音の傾向でバランスが良くなったのかはわかりませんが、相性の悪い機器との組み合わせでハイ上がり気味になる現象が起こりにくくなりました。

AS16は高音のピークがすごく強いタイプではないためが、高音のピークが落ち着く傾向はあまり感じません。

NICEHCK NX7 Pro

NICEHCK NX7 Pro(Amazon/AliExpress)は2019年の冬に発売された4BA+2DD+ピエゾドライバー搭載のイヤホンです。低音が弱いと一部に不評だったNICEHCK NX7(Amazon/AliExpress)の改良版なようです。付属ケーブル(NICEHCK C16-3相当)は低音の厚みを増すタイプです。

  • 高音の主張が少し弱る
  • 低音の厚みが適度になる
  • 明瞭さが向上

NICEHCK NX7 Proの付属ケーブルは低音強化するだけでなく高音のピークも若干抑制気味なのですが、Bloccはそれよりも主張が弱るようです。

付属ケーブルが低音が厚くなるタイプなこともあってあっさりするかと思いきや、厚みは付属ケーブルほどではないもののどっしりさが衰えないことで低音が弱った印象はありません。

NICEHCK NX7 Proのレビューにも書いた通り付属ケーブルはちょっと厚みが出過ぎていて明瞭さの妨げになっています。Bloccではリケーブルによる低音の弱りを感じさせずに明瞭さが向上します。

相性が良いもののNX7 Proで採用されているTFZタイプが発売されていません。BloccのCIEM 2pinでも使えますがちょっと出っ張るかも…。

JadeAudio EA3

JadeAudio EA3(AliExpress)はFiioのサブブランドJadeAudioの最初の有線イヤホンとして発売された1BA+1DDのイヤホンです。13.6mmの大口径DDによる力強い低音と主張が強めの高音のドンシャリ傾向です。Knowles製BA(33518)を採用しています。

  • 高音の主張がやや弱まる
  • 低音が強まる
  • 全域が濃くなる
  • 解像度向上

EA3の付属ケーブルは低音弱めなため、Bloccにリケーブルするとかなりどっしりとした低音になり、低音成分が増えることで全域がやや濃くなります。ドンが強まってシャリが弱まる感じです。

若干シャリ寄りだったのがどっしり低音と解像度の高い高音のドンシャリになりました。かなり相性が良いです。ちなみにイヤーピースはAZLA SednaEarfit Short(Amazon)がとても良く合いました。

Tin HiFi T3

Tin HiFi T3(Amazon/AliExpress)はTin HiFi(旧Tin Audio)の1BA+1DDイヤホンです。Knowles製BAを採用しています。すっきりと明瞭で透明感のある硬質な音色で高音の主張がやや強めです。

  • 2pin→mmcx変換アダプター(Amazon/AliExpress)を使用しています。
  • 高音の凹凸のバランスが取れる
  • 低音の力強さが増す

T3+付属ケーブルの高音域は9kHzが強く、それに対してバランス的に1.2kHz、6Hzがほんのちょっと弱いためイコライザーで9kHzを少し下げたくなります。しかしBloccとの組み合わせでは9Hzが少し落ちることから1.2kHzと6Hzとのバランスが取れ高音が「シャーン」と響くのが解消、高音の解像度が向上します。

付属ケーブルは低音が少し弱っていたのか、Bloccに変えると力強さが増します。全体的に低音成分も増えた印象があり、あっさり気味に感じていたならちょうど良くなるのではないでしょうか。

SENFER DT6 Pro

SENFER DT6 Pro(AliExpress)は2019年末に発売された2BA+1DD+ピエゾドライバー搭載のDT6(AliExpress)後継機です。周波数特性からドンシャリなバランスですが高音が若干シャリ付いているので個人的にはDT6の方が好き。

  • シャリ気味な高音の解像度が大幅に向上

DT6 Proの不満点のひとつ、シャリ付き気味な高音のシャリ感が消えて大幅に解像度が向上しました。ただBloccに見合う価格帯のイヤホンで高音がシャリシャリするということは多くないと思うので、この部分の改善効果を狙って使うことはあまりないのかも…。

音質傾向

比較したイヤホン(傾向の評価のために低価格イヤホンも含む)との相性は以下の通りです。

イヤホン相性解説リンク
KB EAR Hi7本記事内解説
LZ A5(黒ノズル)本記事内解説
NICEHCK NX7 Pro本記事内解説
JadeAudio EA3本記事内解説
TinHiFi T3本記事内解説
SENFER DT6 Pro本記事内解説
Echobox Nomad N1(黒ノズル)本記事内解説
NICEHCK NX7
KZ ZSN Pro
BGVP DMG(銀ノズル)
LZ Z5A
LZ A6 mini(黒ノズル)
LZ A6(ダークグレーノズル)×
KZ AS12×

NICEHCK Bloccに感じた音の傾向は以下の通りです。

  • 中高~高音域がわずかに底上げされる
  • 中~高域が濃くなる
  • 高音のピークが高い場合わずかに抑えられる
  • 中高音域が少し近づくことがある
  • 低音域は概ね実力通り出る

中高~高音域に寄りすぎないバランスで高音の刺さりが強いイヤホンとの相性が良いです。

高音のピークが少し抑えられ刺激が軽減されます。4~9kHzのピーク、特に6kHzと9kHzに高いピークがある場合に落ち着かせてくれる効果が感じ取れました。

また、SENFER DT6 Pro(AliExpress)のように高音のピークが部分的に高すぎることが原因で高音がチャリチャリ低解像度になっている場合に大きな改善効果が見込めます。

ただし高音が聞きやすくなる代償としてきらびやかさや伸びやかさが衰えることがあります。例えばNICEHCK NX7は低音も出て高音の主張の強さが落ち着きとても聞きやすくなったのですが、高音の出音が特徴のイヤホンなためか、なんだか普通の音になってしまって魅力と個性が失われてしまいました。

NICEHCK NX7との相性は良いもののなんだか普通になってしまいました。

また、高音域がよく出つつも高音のピークがさほど高くない、いわゆる「聞きやすいドンシャリ」なイヤホンでは平坦になったりメリハリのなさを感じることがありました。

音域バランスの変化についてはほとんど気にならないイヤホンと中高~高音域が強まりすぎたと感じるイヤホンがありました。中高~高音域全体が若干底上げされるようで、KZ AS12(AliExpress)やLZ A6(Amazon/AliExpress)などでは中高~高音域が強くなりすぎました。

中高~高音域は濃い目です。また、中高音域が少し出てくるためボーカルが音量的に大きくなったり近づいたりすることがあります。ドンシャリでボーカルが凹んでいるイヤホンのボーカルを聞きやすくしてくれることが多いです。

低音は概ねイヤホンの実力通り出ます。そのため付属ケーブルが低音を出し切れていない場合にはどっしり濃いめに感じられるかもしれません。強めているのではなくイヤホンの実力を出してくれているというのが正しいように思います。

NICEHCK BloccとJadeAudio EA3とaune BU1の組み合わせの画像
イヤホンはJadeAudio EA3。低価格イヤホンですが実力があり、Bloccとの相性も良し。

NICEHCK NX7(Amazon/AliExpress)、NICEHCK NX7 Pro(Amazon/AliExpress)、SENFER DT6 Proなどのピエゾドライバー搭載機の高音も聞きやすくしてくれます。DT6 Proのようにシャリ付き気味の高音ならそれを抑え、解像度の向上が期待できます。ちなみにLZ A6 mini(Amazon/AliExpress)は強めの中高~高音域が更に強くなるため合いません。

高音が刺さる1DD機とも相性が良いだろうと思うのですが、改めてイヤホンの在庫チェックをしてみたところリケーブル可能で刺さる1DD機をあまり持っていなかったため実際には確認できていません。

ノズル交換式のイヤホンで高音強調ノズルが付いている場合、高音強調ノズルとBloccを組み合わせることでバランスを取るのも面白いです。

BGVP DMG+銀ノズル+NICEHCK Blocc+Symbio Fの組み合わせ。

まとめ

高音のピークが高すぎることが惜しいと感じていたイヤホンとの相性がとても良く、使えるケーブルだと思います。高音の刺さりに弱い人におすすめです。ただし高音の主張の強さが特徴のイヤホンでは聞きやすくなる代わりに個性が失われてしまうことがあります。

高音のピークが高くないイヤホンでも中高~高音域不足を改善し抜けと明瞭さの向上が期待できます。その場合は中高域寄りが強いドンシャリではないイヤホンの方が合います。

低音はイヤホンの実力通り出してくれるため付属ケーブルが低音軽めな場合にはBloccへのリケーブルでかなり強まることがあります。

個人的にはKBEAR Hi7との組み合わせがとても良かったので2pinを選択したのは失敗しました…。そのうちmmcxも買い足すかもしれません。相性の良い低価格イヤホンでは大きく解像度が向上することがありました。もっと細くてパーツがチープでも良いのでこの線材でもっと安価なケーブルを出して欲しいですね。

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