[レビュー] NICEHCK NX7 Pro – NX7の不評だった点を上手く調整した遊べる進化版

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今回はNICEHCK NX7 Proのレビューです。外装画像等のレビューがご不要であれば『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。

NICEHCK NX7 Proの白背景画像

製品仕様

ブランドNICEHCK
型番NX7 Pro
ドライバ構成4BA+2DD+ピエゾセラミックドライバー
インピーダンス58Ω
感度銀フィルタ107dB/mW,赤フィルタ108dB/mW,青フィルタ105dB/mW
再生周波数帯域20-25000Hz
ケーブル端子2pin(0.78mm)
付属ケーブル16芯銅線
  • DDはデュアルカーボンナノチューブ
  • 3.5mmアンバランスの他、Amazonでも2.5mmバランスの取扱いあり。AliExpressでは3.5mmバランス、4.4mmバランス版も販売しています。
  • AliExpressでのみ付属ケーブルの単体販売もあり
NICEHCK NX7 Proの外箱の画像 NICEHCK NX7 Proの箱の内側の画像

付属品は交換用のフェイスプレート(専用ドライバーと予備のネジ付き)とフィルター、複数のイヤーピース、ケーブルバンド、ポーチと盛りだくさん。

NICEHCK NX7 Proの同梱物の画像
充実した付属品。

交換用フェイスプレートはフィルターと同色の計3種類です。

NICEHCK NX7 Proの交換用フェイスプレートと交換用フィルターの画像
フィルターはイヤーピースで隠れるので合わせる意味はありませんが同色展開。

フェイスプレート表面は各色ともつや消し加工されています。2pinはイヤホン側に角張った土台があるTFZタイプです。土台部分用のカバーのあるTFZタイプのリケーブルだけでなくカバーのない2pinも使うことができますが、土台の角にやや丸みがあるqdcタイプのケーブルは使うことができませんのでご注意ください。

NICEHCK NX7 Proのハウジングの画像1
私は銀色のフェイスプレートを使っています。

ステムは短いわけではないようです。しかし私は耳が起きているので付属イヤーピースでは深く装着するとハウジングが結構当たります。起き耳で耳穴周辺が広い私はLサイズの付属イヤーピースでも中に落ち込みやすく隙間が空いてしまうため、若干浅めの装着になっています。

NICEHCK NX7 Proのハウジング画像2
ステムの長さは普通くらい、装着感は可も不可もなさそう。

音質

箱出し

箱出しからNICEHCK NX7(Amazon/AliExpress)よりも低音が出ています。エージングで更に低音の厚みが増すようです。長めに鳴らす必要性を感じました。

エージング200時間~

使用イヤーピースは付属のドーム型クリア(以下付属クリア)、ケーブルは付属ケーブルです。クリア以外のイヤーピースはサイズが合わなかったため評価できませんでした。

駆動力不足で耳障りさを感じることがあったため私のポータブル環境の中では強い味付けがなく駆動力があるaune BU1(Amazon)を主に使用しました。また、購入品は2.5mmプラグなため変換アダプター(Amazon)を使用しています。

銀フィルター

銀フィルターはバランスタイプです。個人的にはこれが一番好みでした。

高音の主張*
4.2
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
3.8
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.2
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 軽く中高音域寄り
  • 高音の主張やや強めだが刺さらず
  • 重低音は十分

周波数特性チェック用のスイープ音源を耳で聞いてチェックした限りでは低音は下の帯域から出ていて中音域にかけてさほど凹凸がなく中高音域がやや強めです。

高音域の抜けは良く伸びも適度です。主張は十分で刺さるほどではなく、鋭い金属音でも不快さは感じません。ただしこれには付属ケーブルが高音のピークを抑制気味なことも影響しており実力的にはもっと主張強めに出ています。そのためリケーブルした場合に高音がきつくなる可能性があります。

また、駆動力不足で歪むのか、高音が耳障りでバランスが悪く聞き疲れるようになりやすいです。相応の再生環境が必要なようです。

中音域はあまり凹凸がなく比較的フラットに聞こえます。ボーカルは遠からず近からず、音量的にも小さすぎず大きすぎず。演奏に埋もれてしまうことはありません。ただ現実の声よりもごくわずかに高めに出ていることがあると感じます。気にならないこともあるので声質によるのかもしれません。

低音域は20Hz近くから小さく聞こえ、重低音不足を感じることはなさそうです。30~40Hz付近がちょっとだけ盛ってありやや重さがあります。量はややドンシャリ傾向のイヤホンとしては十分で、厚みと太さもあります。バランス接続でも線が細くなったり密度感が不足している印象はありません。

しかし、おそらくNX7の評価を踏まえて低音を強化しただけでなく更に低音がよく出るケーブルを付属させたことで低音の量が微妙に多くなっているのではないでしょうか。低音の多い楽曲で中~高域の明瞭さと比較したときに低域側がいまひとつだと感じることがあります。

また、私の耳とNX7 Proとの組み合わせは装着が浅めになることと付属クリアの音の傾向的に低音が十分に拾いきれていないようです。耳のサイズにあったよりコシの強いシリコンのイヤーピースに変えることでもっと強い低音を引き出すことができます。

アタック感は音源通りくらいにしっかりしていると思います。

音の距離感は普通で奥行きもあまりありませんが中~高音域の抜けが非常に良いので音場が開放的に感じられます。分離は良好、定位もまあまあ良好です。でもバイノーラル音源で確認するとやはりちょっと距離が近めなように感じます。

赤フィルター

赤フィルターは中高域強調タイプで楽器演奏およびボーカル曲向きと解説されています。

  • 高音の主張が強まる
  • 低音が弱まる

NX7に一番近いのは赤フィルターだと思います。中を覗いてみると何も入っていないのでNX7 Pro本来の音を出しているのは赤フィルターなようですが、それでも初期装備のNX7と比較するとやや高音が抑えられています。

低音強化タイプの付属ケーブルでも低音域の明瞭さを邪魔しない程度の低音の量になるので、低音は最低限で良く高音好きな人は赤フィルターが良いでしょう。個人的には正直なところシャリシャリ気味なので赤フィルターは使わないと思います。

試しに私の耳でもきっちり深く密閉できる開口部の広いイヤーピース(SednaEarfit)に変えてみると中年の耳では刺さるほどではないものの一歩手前くらいの刺激の強い音が出ていました。耳の若い人は赤フィルターでイヤーピースを変更すると高音がきつく感じられたりバランスが悪く感じられることがありそうです。

青フィルター

青フィルターは低音強調タイプでPOPS、DJ、ダンスミュージック、電子楽曲向きと解説されています。

  • 高音の主張が弱る
  • 低音が強まる
  • 明瞭さのバランスが整う

銀フィルターで高音の主張が強すぎると感じる人でも青フィルターなら問題ない程度まで抑えられると思います。低音域も強まりベースラインもより強まります。こもりは感じません。電子楽器の音とはかなり相性が良いです。

高音の主張が和らぐことで銀フィルターで感じる中~高音域の明瞭さと低音域の明瞭さの差が縮まります。付属クリアで一番つながりが良く感じられるのは青フィルターかもしれません。

その他

装着感

私は耳が起きていることもあって付属イヤーピースではハウジングが耳に当たり少し装着しづらいです。また、装着角度が微妙にずれると定位に違和感を感じるバランスになりやすいので、なにかおかしいなと思ったらイヤーピースを軸にハウジングを動かしてみてください。

音漏れ・遮音性

ベント(通気穴)がありますがフェイスプレート表側ではなく耳側なので音漏れはさほど気にならないと思います。遮音性は普通です。

NICEHCK NX7 Proのハウジング画像3
DDの上にベントあり。

交換用フェイスプレート

NX7 Proには銀・赤・青のフェイスプレート、専用ドライバー、予備ネジが付属しています。交換は容易ですがフェイスプレートを外すと基盤が露出するため取り扱いに注意が必要です。頻繁に変えるものではありませんね。

NICEHCK NX7 Proのフェイスプレートを外した状態の画像
フェイスプレートを外すと中身が丸出しに。

再生環境と駆動力

スマホでも普通に聞ける音量が出せますが、NX7 Proは実力を発揮するために駆動力を必要とします。駆動力のない再生環境では低音はぼやっとしやすく高音には耳障りさを感じることがあります。

付属ケーブル

付属ケーブルは16芯高純度銅線で、16芯相応の太さはありますが柔らかく取り回しは良いです。たぶんNICEHCK C16-3(Amazon/AliExpress)と同じ線材ではないかと思います。高音がややマイルドで低音が増量傾向のケーブルです。AliExpressではAmazonで取り扱いのない3.5mmバランス、4.4mmバランスのケーブルのみ(AliExpress)を購入することもできます。

NICEHCK NX7 Proの付属ケーブルの画像
たぶんC16-3と同じではないかと。

付属ケーブルとの相性も悪くはありません。リケーブルすると大抵は付属ケーブルよりも高音が強まり低音が弱まるので、付属ケーブルに近いバランスを保てるものを現行品から探すと選択肢が限られます。高音が出るケーブルに変えて青フィルターを使うのも手かもしれませんね。

総評

NICEHCK NX7 Proは銀フィルター+付属ケーブル+付属イヤーピース(クリア)の組み合わせでは比較的万能型のやや中高音域寄りかつ低音十分、弱ドンシャリ傾向に感じられます。年齢が行くほどいい感じのフラットに近く聞こえそうなバランスです。さほど楽曲を選ぶ印象はありません。

NICEHCK NX7(Amazon/AliExpress)の初期装備で低音不足もしくは高音が強すぎると感じていた人の要望に応えたようなチューニングになっていると思います。

NICEHCK NX7 ProとSednaEarfitの組み合わせの画像
画像のイヤーピースはSednaEarfitです。

メリハリが効いていて硬質で、自然さよりも解像度優先な音色です。音域ごとの分離感が強い音なのでつながりの良さを求める人には向かないと思います。

付属ケーブルは低音を強化、高音は少しマイルドなためリケーブルするとバランスが変わることも多いです。付属ケーブルの音が気に入っているなら無理に変える必要はないのでは。

初期装備のNICEHCK NX7 Proをおすすめできるのは、硬質なハイブリッドイヤホンが好きな人、駆動力の大きい再生環境を持っている人です。

逆に初期装備のNICEHCK NX7 Proをおすすめできないのは、つながりの良さを重視する人、自然な音色を好む人です。また、駆動力の大きい再生環境がない人は耳障りさやバランスの悪さを強く感じる可能性があり、NX7 Proの実力を堪能できないでしょう。

NX7とNX7 Proのどちらをおすすめするかと聞かれたら、やはりおすすめしやすいのはNX7 Proです。

高音の主張が強めなフラット傾向に近いBAイヤホンが好きで、特に生楽器、更にはピアノや弦楽器の多い楽曲をよく聞く人はNX7がハマる可能性もある気がします。しかし再生環境との相性が悪いと相当に低い評価を下す人もいると思います。

その上でNX7はフィルター交換式ではないので好みの問題だけではなく機器との相性が悪かった場合やイヤーピース交換・リケーブルでバランスが変わってしまった場合に大きくは調節が効きません。また、相性が良い再生環境でエージングが十分でも付属ケーブルでは低音は必要十分くらいなのでNX7 Proよりも好みが分かれるはずです。

NX7 Proはフィルター交換、リケーブル、イヤーピース交換、再生環境選びによる変化もなかなか楽しいので、カスタマイズが好きな人には遊べるイヤホンだと思います。

記事公開時点でAmazon販売のNICEHCK NX7 Proはセール中です。3.5mmアンバランスは9,689円、2.5mmバランスは10,339円になっており、AliExpressでフォロワー値引きをしてもらって購入する場合との価格差はわずかです。特に3.5mmの方は今日の時点ではAmazonの方が安いです。