SIVGA SV021 Robin – DAP直挿しに向く鳴らしやすさは気軽かと思いきや慣らし運転必須?

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今回はSIVGA SV021 Robinのレビューです。SIVGAから製品提供を受けています。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。

SIVGA SV021をヘッドホンスタンドに掛けて斜め前方から撮影した白背景画像

製品仕様

  • ブランド:SIVGA
  • 型番:SV021
  • ドライバー:50mmポリカーボネート振動板
  • インピーダンス:32Ω
  • 感度:105dB
  • 再生周波数帯域:20-20000Hz
  • ヘッドホン重量:275g
SIVGA SV021 Robinの外箱の白背景画像 SIVGA SV021 Robinの箱の中の画像

同梱物は麻布の収納袋、ケーブル、3.5mm-6.35mm変換アダプターです。

SIVGA SV021と同梱物の白背景画像

ヘッドバンドとイヤーパッドはプロテインレザーです。非常に肌触りが良くキャメルカラーが上品です。反面、汚れはマメに拭き取っておかないと染み込みやすそうな感触です。木製ハウジングは無垢材が使用されています。高級感がありますね。

プロテインレザー:コラーゲン繊維をパウダー化し、特殊樹脂と融合させてできた人工皮革

SIVGA SV021を置いて斜め上から撮影した白背景画像
丁寧に仕上げられています。
SIVGA SV021をヘッドホンスタンドに掛けて正面から撮影した白背景画像

ケーブルは両挿し、ハウジングの真ん中に真下に向いています。

SIVGA SV021をヘッドホンスタンドにかけて横から撮影した白背景画像

木製ハウジングはブラウンがローズウッド、ブラックはゼブラウッドです。ピアノコーティングされています。ヘッドバンドの飾りステッチの仕上げも整っています。

SIVGA SV021の木製ハウジングの拡大画像 SIVGA SV021のヘッドバンドの表面加工拡大画像

アジャスターはカチカチと段階的に稼働します。微調整に問題ない調整幅です。ヘッドバンド外側からはアジャスターは見えません。金属部分はつや消し加工されています。

SIVGA SV021 Robinのヘッドバンドアジャスターの内側の画像 SIVGA SV021 Robinのヘッドバンドアジャスターの外側の画像

付属品

付属ケーブル

イヤーパッドと同系色の布巻き高純度OFCケーブルが付属します。線材自体は以前レビューしたSIVGA PHOENIXのケーブルと同じだそうです。プラグカバーの根本にはスプリングのガードが付いており断線しづらいように配慮されています。体に当たると布巻き相応にいくらかタッチノイズがあります。

SIVGA SV021の付属ケーブルの画像 SIVGA SV021の付属ケーブルのプラグ周辺の拡大画像

バランスケーブルが別売りされています。PHOENIXのレビューの際にバランスケーブルを買ってあったのでSV021でも使ってみましたが、若干低音が軽くなりやすい印象です。付属のアンバランスケーブルで十分だと思います。

  • SIVGA Dual 2.5mm to 4.4mm Replacement Audio Cable
  • プラグ:4.4mmバランス
  • ケーブル長:2m
  • AmazonSIVGA 2,500円/CN
  • AliExprsesSIVAG Official Store $20.00+送料$5.68

収納袋

SIVGAのロゴが入った麻の収納袋が付属します。仕立ては悪くありませんので、SV021の収納に使わなくても用途がありそうです。

SIVGA SV021に付属する麻袋の画像
縫製はきちんとしています。

音質

エージング

レビューのため到着後50時間以上はエージングを行いました。激しく変わった印象はありません。

評価環境

音源は主にwavとFLACです。Amazon MusicおよびYoutube、Youtube Musicの動画も使用しています。

主な評価機器は以下の通りです。Android OSでは再生アプリはNeutron Player(公式[英語])、PCからの再生はfoobar2000+ASIOです。

  • Shanling M6 ver.21 (ES9038Q2M *2 / 3.5mm 12~190mW@32Ω)詳細
  • HiBy R6Pro (ES9028Q2M *2 / 245mW+245mW@32Ω)詳細
  • Cayin N3PRO (AK4493EQ *2 / 3.5mm 250mW 真空管使用時 130mW@32Ω)詳細
  • XDUOO Link2 Bal MAX (CS43131 *2 / 3.5mm 200mW@32Ω)詳細
  • Shanling UA3 (AK4493SEQ / 3.5mm 125mW@32Ω)詳細
  • Xperia 1 ii (DAC詳細不明)詳細

付属ケーブル

高音域の音量
3.5
★★★★★
★★★★★
中高域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
3.0
★★★★★
★★★★★
中低域の音量
2.8
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
3.3
★★★★★
★★★★★
超低域の音量
2.8
★★★★★
★★★★★

使用前に重要なのは慣らし運転することです。私の手元の個体は軽く鳴らしてからでないと左右差が大きく、聴いていられません。最低でも2~3分は必要なようですが、実力通り鳴り始めるには20~30分は欲しいと感じました。特に低音の量が程よく出るまで時間がかかるようです。

左右のマッチングが整うまで鳴らした状態でレビューしていきます。

周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックすると、下は25Hz以下から聞こえるものの音量的には小さめ、35~40Hz付近わずかに強め、400~750Hz付近に浅く谷、3~4kHzやや強め、5.5kHzと7.5kHzにやや強いピーク、聴覚上は12kHzを超えると小さくなっていきます。音量を上げなくても15kHz辺りまで鼓膜に圧を感じるため、極端にガクッと落ちているわけではないようです。

高音域はすっきりと明るめで、伸びやかさは適度です。どちらかというと繊細で、か細くはないもののもう少し太さが欲しいと感じることがありました。刺激的ではなく刺さりや金属音は控えめです。同じ音源で他のヘッドホンと比べると金属音が音量的に小さめに聴こえます。

イヤーパッドに隙間があったり装着位置が良くないとチキチキとした高音が騒がしく聴こえる場合があります。気になる時は隙間が開いていないか確認しましょう。

また、高出力で鳴らすと低域がタイトになり、相対的に高域が強まりやすいです。パワフルなアンプを使用すると高音が多い、もしくは低音の重さ不足を感じるかもしれません。

中音域は少しだけ厚みがあり、全域の中では自然な範囲で解像度が高い音域です。機器由来以外の味付けは感じません。SV021において機器の個性の影響を受けやすい音域です。

ボーカルは素直で自然で魅力的だと思います。中~中高域にかけて音量的に強めなためボーカルが少しだけ強めです。ボーカルの歯擦音やブレスは適度で、日本人歌手の口元もぼやっとしません。ボーカル曲とは非常に好相性だと思います。

低音域の沈み込みは十分、適度にタイトで力強いです。量は多すぎず、下支えとして十分ながら全音域の中ではやや少なめで、濃さも控えめです。中低域は十分な厚みがありつつドンドン強すぎず、しかしキックの音に張りがあります。

超低域は十分出ており全体に厚みを付加しています。慣らし運転の影響が大きいため、不足すると感じる場合は鳴らし続けてみてください。30分ほどで安定してきます。

重低音重視のドンドン強めではないものの海外楽曲でも重低音の重さや伸びに不満はありません。機器が高出力すぎると軽くなることがありますが、出力が適切ならすっきり系の機器で軽くなることはなさそうです。

解像度は自然な範囲で高め、分離は良好です。音場の広さはオーバーイヤーの密閉型ヘッドホンとしては普通です。閉塞感はありません。

楽器の音では中低域が魅力です。低めのピアノ、チェロの音がリアリティある厚みと艶を持っています。楽曲ジャンルは選ばない方ではありますが、中高域が強いため器楽曲では出すぎている音があるのを感じることがあり定位も影響を受けています。映画を見ていて違和感を感じるほどではありませんでした。ややドンシャリ傾向相当の定位だと思います。

ポップスなどボーカル曲に非常に向いており、JPOPから海外楽曲まで楽しく聴くことができます。古めの音源は超低域がカットされていたり音量的に小さいため、変に力強すぎず聴き疲れない音色です。疾走感はさほど強くありません。長時間のリスニング向きです。

慣らし運転済みなら聴き心地が良い音色です。周波数特性はV字かW字ですが強いのは中~中高域で高域はさほど強くはなく刺激控えめ。超低域~中低域はドンドン強くはありません。フラットな機器で鳴らすと低音の厚みによってごく軽く低音寄りのようなそうでもないようなバランスです。聴き始めで鳴らし不足な間は中高域寄りのすっきりとしたややドンシャリのように感じます。

再生環境と駆動力

高出力なほど超低域がタイトになり相対的に高音の量が増えすぎる傾向があります。アンプを使う必要はなさそうです。少し前にレビューしたSIVGA PHOENIXにはスマホでも使える旨のアピール文がありましたが、やはりアンプを使った方が圧倒的に良かったです。SV021はスマホ直挿しでも思ったより普通に鳴ってはいるもののアタックの力強さに物足りなさを感じます。Xperia 1 iiでも音量は足り、私には50%ほどで十分でした。

SIVGA SV021とXperia 1 iiの組み合わせの画像
スマホ直挿しもナシというほどでは。

5万円前後で駆動力まあまあのDAPに直挿し、もしくはスマホとそこそこパワーのあるドングル型DACアンプで使うのに向いていると思います。

SIVGA SV021とHiBy R6Proの組み合わせの画像
ポータブル環境向きです。

Shanling M6 ver.21では器楽曲はイマイチなもののJPOPによく合い、Cayin N3Proはトランジスタモードも真空管の両モードでもまあまあ万能型、Tempotec V6は太く力強く、Zishan Z4は素直で少し刺激が抑えられます。どれも相性は悪くありません。機器の個性通りに鳴るようです。

機器側の音域バランスの傾向と出力のバランスによっては、主に中~中高域に本来そこまで聴こえなくて良いはずの音が大きめに聴こえるバランスになることがあります。必ずしも高出力すぎることが原因ではありませんので、ゲイン調節できる機器では全部試した方が良いでしょう。

その他

装着感

プロテインレザーのイヤーパッドは柔らかく肌への当たりが気持ち良いです。特筆すべきは中身のフォーム素材の絶妙な柔らかさです。眼鏡を掛けていてもうまく隙間を埋めてくれます。なのに柔らかすぎず、耳の周り全体を覆ってくれます。また、私はやや大きめな起き耳ですが快適にパッド内に収まっています。

SIVGA SV021のイヤーパッドの内側の画像
イヤーパッドは絶妙な柔らかさです。

けっこう密着感があるため夏は使いたいと思えませんでした。

また、プロテインレザーはいわゆる合皮であるため、長期的には加水分解します。湿気の多い日本の気候とは相性が悪いです。現時点では別売りイヤーパッドがありますが、長く使うための本革イヤーパッドも欲しいところ。

イヤーパッド周りは横向きにはスイングしません。私は起き耳でスイング機構がないと調整に手こずるためSV021も装着時は微調整に手間取ります。

SIVGA公式Xアカウントからイヤーパッドの外し方の動画が投稿されています。パッド全体を覆うように掴んで普通に引っこ抜くだけみたいですね。
SIVGA JPのポスト

音漏れ・遮音性

スリット状のベントがハウジング上部に開いており、そこから小さく音漏れしています。大音量で聴くなら周囲に聴こえる程度に音漏れしそうです。また、ここから外音が聴こえるらしく密閉型としては遮音性も低めです。

SIVGA SV021のベントスリットが確認できる白背景画像
上部にスリット状ベントがあります。

他のヘッドホンとの比較

SIVGA PHOENIX

SIVGA PHOENIXのレビューの中でPHOENIXと比較しています。

Sennheiser HD599 SE

Sennheiser HD599 SEはHD599のAmazon専売モデルです。単なるデザイン違いらしいです。価格は乱高下が激しく、最近の通常価格は26,400円です。プライムセール時には13,000円前後まで値下げされることもあるため実質価格は1万円台半ばなのでしょう。ちなみに15日23:59までプライム感謝祭でかなり安くなっています。

  • 【Amazon.co.jp限定】Sennheiser HD599 SE
  • Amazon.co.jp セール中13,980円
  • 高音域の音量:HD599 SE ≧ SV021
  • 中高域の音量:HD599 SE < SV021
  • 中音域の音量:HD599 SE ≦ SV021
  • 中低域の音量:HD599 SE ≧ SV021
  • 低音域の音量:HD599 SE ≦ SV021

開放型ヘッドホンが好きでこの価格帯の密閉型ヘッドホンを持っていないため、開放型ですがHD599 SEと比較していきます。

HD599 SEは伸びが良い落ち着いた音色で強すぎる帯域も弱すぎる帯域も感じないバランス型です。機器の出力はないよりあった方が良く、アンプを使用した方が音は良いです。

HD599 SEの優秀な点は音質が微妙なJPOPも気持ちよく鳴らすところです。さすがSennheiser。より万能なのはHD599 SEですが、そつなく万能型すぎて物足りないと感じる場合もあるでしょう。

HD599 SEと比べるとSV021の方が低域に量があってやや味付けを感じ中低域では逆にHD599 SEの方がソフトな量を感じます。SV021の方が全体的に厚い印象があり、どっしりと力強いです。これは密閉型と開放型の違いによるところも大きい気がします。

HD599 SEの方が軽いものの装着感はどちらも良いです。木製ハウジングが重量の面で不利ですが、SV021は木製としてはかなり軽いと思います。

総評

  • 肌触りが良いイヤーパッド
  • 鳴らしやすくアンプ不要
  • メガネ着用可
  • 慣らし運転しないと左右差が整わない
  • 慣らし運転しないと超低域が出きらない
  • 定位はドンシャリ型相応
  • DAP直挿し向き
  • ボーカル曲向き

聴き心地が良いややドンシャリ型です。周波数特性的には中高域が強いものの超低域がしっかり出て厚みがあることと高域が刺激的すぎないことで実力的にはごく軽く低音寄りにも感じられます。

SIVGA SV021 Robinの白背景画像
慣らし運転必須です!

中低域~中域を中心に自然な範囲で解像度が高く、ボーカルが魅力的です。器楽曲よりも圧倒的にボーカル曲と好相性だと思います。機器の出力が適切ならJPOPにも合います。

非力な機器では若干音量が取りづらいものの音質面では鳴らしやすく、DAP直挿しに最適です。再生機器の音色の傾向を引き継ぎつつ多くの機器で破綻せずに鳴ります。音色の傾向よりも出力の相性の方が重要です。

高出力なアンプを使用すると低音の重みが弱り、高音の主張と量が増えすぎてしまうことがあります。高音成分が多すぎると感じたら低出力な機器でも試してみると良いです。

難点は慣らし運転が必須なことです。いくらか鳴らすことで良くなるのではなく、私の手元の個体では左右のマッチングが整わず鳴らさないと違和感を感じます。左右差の違和感だけであれば数分でだいぶ良くなるのですが超低域が出切るまでに20~30分かかる気がします。私は使い始める前にしばらく放置して鳴らしっぱなしにしています。

慣らし運転によって特に超低域が増えてきます。短時間しか聴いていないとすっきりめなヘッドホンだと感じるはずです。また、高出力すぎると相対的に高音側に寄るため、アンプを使用して鳴らし始めるとなおさらすっきり寒色系に聴こえる可能性があります。

初期装備のSIVGA SV021をおすすめできるのは、高音が刺激的すぎず中低域がドンドン言わないボーカル曲向きヘッドホンを探している人、装着感が良い密閉型ヘッドホンを探している人、パワフルさに定評があるDAPやアンプの使用を想定していない人です。

イヤーパッドが柔軟でよくフィットし眼鏡による隙間ができにくいため、眼鏡ユーザーにも向いてます。

逆に初期装備のSIVGA SV021をおすすめできないのは、アンプ使用前提な人、器楽曲を中心に聴く人です。また、30分ほど鳴らしてようやく実力通りに鳴るため、手軽に持ち出してすぐに聴きたい人には向きません。

汗かきな人にもイヤーパッドが密着しすぎる気がします。肌触りは良いのですが夏場はかなりつらいタイプです。

SIVGAのヘッドホンは本来欧米市場をターゲットにしているということが音色からも分かります。PHOENIXはそれが顕著でしたが、SV021はJPOPが楽しめるバランスで日本人にも向いています。

SIVGAはAmazon倉庫にも在庫を入れており、日本人の中華オーディオマニアにも徐々に認知度が上がってきているようですね。いくつかの最新ヘッドホンは高評価されているようです。価格を考慮するとビルドクオリティが非常に高く仕上がりが美しいのも魅力です。今後に更に期待したいですね。

2023/12/21 SIVGA公式Xアカウント投稿のパッドの外し方へのリンクを掲載しました。