今回はKBEARブランドでプロモーション中のOpera Factory OS1 Proのレビューです。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。
- 私の耳は耳穴入り口付近から外耳道が太めです。これまでの経験上、深く装着しすぎるとバランスが崩れるイヤホンも少なくないためアジア人の平均から外れる程度には太めではないかと思います。
- イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
目次
製品仕様
- メーカー:Whizzer
- ブランド:Opera Factory
- 型番:OS1 Pro
- ドライバ構成:1DD
- インピーダンス:22Ω
- 感度:112 dB SPL/mW
- 再生周波数帯域:20-20000Hz
- ケーブル端子:2pin
- KBEAR/Opera Factory OS1 Pro
- セール中2,780円→Red&Blue 1,880円/Black 2,163円(10/31 23:45まで) 10/26
- $28 – Whizzer Official Store 10/26
- DDは10mm、グラフェン振動膜
- 樹脂ハウジング
- 付属ケーブルは5N OFC
外箱は低価格中華イヤホンにありがちな素っ気ないものではなくデザインされた化粧箱仕様です。同梱物の量が少ないわりに大きめではありますが見栄えは良いですね。
同梱物は接続済みのケーブル、シリコンイヤーピース1種類3サイズです。
フェイスプレートは左が赤に『JUNIOR』のロゴ、右が青で『OPERA FACTORY』のロゴが印字されています。無印OS1の別名が『JUNIOR』らしいのでOS1 Proにもその名前が付いているようです。
ハウジングにはラメが散りばめられており本体カラーRed&Blueの方はキャンディカラーのフェイスプレートが若い人向きな印象です。
ノズルフィルターはパンチング、2pinコネクターの土台は丸型です。
音質
評価環境はFiio X7 MarkⅡ(AM3D/可聴帯域外フィルタ:Slow Roll Off Minimum Phase)、ハイゲイン音量18前後(付属クリアシリコンイヤーピース使用時/ほとんど騒音のない屋内で平均55~56dB*1)で聴いていきます。
- 1. 平均が出せるスマホの騒音計アプリで計測しています。
駆動力および相性の比較としてZishan Z3(AK4490版/AKチップ不足により現行品はES9038Q2M AliExpress $48.63)、PC→iFi Audio ZEN DAC*2(公式製品情報/Amazon)、PC→aune BU1*2(代理店サイト/eイヤホン/ヨドバシ)、Xperia X Performance、iPod touch(第7世代)も使用しました。音源は主にFLACです。他にAmazon MusicおよびYoutubeの動画なども使用しています。
- 2. PCからの再生はfoobar2000+WASAPI(event)
- 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
- 高音の刺激は控えめ
- 低音は強め量多め濃いめ
- 音場やや広め
- 定位良好
周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックした限りでは超低域は20Hz以下まで聴こえ、30Hz付近がやや強め、聴覚上はさほど激しい凹みはなく緩やかにU字にくぼんでおり谷は1.2~1.3kHz辺りです。高域に極端には高いピークはありません。
周波数特性上は低音強めのドンシャリ型なようですが聴覚上は意外と凹凸が小さいのが印象的です。しかしフラットだと感じるほど超低域が弱くはないため、音楽を聴いていると高音の刺激が強くなく低音が強い低音寄りドンシャリ気味だと感じることが多いです。
高音域は刺激的すぎない範囲で十分に出ています。不快感を感じるような刺さりなどの強い刺激はありません。伸びは良好です。強い低音が多い楽曲ではあまり主張しませんが全体をぼやっとさせず不足がないだけの音量で出ています。解像度は低くはないものの高くもなく、生楽器中心の楽曲では高音の鋭さが物足りないと感じます。
高音の歪みを感じにくいです。しかし歪みが小さいというよりも高音が出過ぎないチューニングなのではないでしょうか。
中音域は低音の量の影響で濃いめでなめらか、落ち着いたボーカルが魅力的です。歯擦音は気にならず、しかし口元の息遣いが感じられる繊細さと生々しさも感じられます。もしもボーカル帯域が凹み音量的に小さめに聴こえたり後ろに下がっていると感じるなら装着の位置が悪いです。微調整してください。ボーカルがよく聴こえてクリアなのがベストボジションです。
中音域が多く出る楽器の音の濃密さと重厚さは力強い重低音とのバランスが良く気持ちが良いです。しかし演出的すぎると感じる人もいるかもしれません。解像度よりも雰囲気重視の音色です。
低音域は量がありながらも明瞭です。聴覚上超低域30Hz辺りがやや強いのが特徴的で、深く沈み込んで伸びて唸る重低音と力強いアタックが気持ち良く、OS1 Proの個性に繋がっています。この低音は付属ケーブルと付属イヤーピースが作り出している面もあるため変更すると失われやすいです。
低音の量や太さにも関わらず解像度も情報量も十分です。音の芯の部分が濃くしっかりしていてそこから広がる伸びやかな音がぼやけていません。ただし装着位置が悪いと量が増え過ぎたりドンドン強くなりすぎたりする場合があります。この点も意識して位置を決めると良いでしょう。
音場はやや広めで奥行きと立体感もあり、定位も良いです。Michael Jacksonの『BAD』(Youtube)は冒頭から繰り返される有名なあのメロディの後ろで16拍子のリズムが左右に動き続けていますが、それがかなりはっきりとわかります。
技術力のあるエンジニアによって立体感を持って作られた音源は格別です。逆に最近売り出し中の360 Reality Audio用に中途半端な知識で作られたJPOP音源は近い位置で無駄に音が激しく移動していてかなり気持ち悪いです。これはOS1 Proのせいではありませんし他のイヤホンでも同じなのですが、OS1 Proは定位が良いぶんすごく気になってしまいます。
また、古い音源や低音質な音源はぼやけがちで相性が良くありません。デジタル録音が主流になってからの、グラミー賞にノミネートされるようなボーカル楽曲はどれもかなり気持ちが良いです。古い音源もデジタルリマスター盤で聴くと魅力が生まれ変わりますので、新しめな音源で聴いて欲しいイヤホンですね。
大きめの音量で迫力を増して聴きたい音色ですが、刺激的すぎるキツい高音が出ないため思っていた以上に大きめな音量で長時間聴いてしまっていることがあります。セーフリスニングにご注意ください。
その他
装着感
耳に当たる側にやや丸みがありますが装着感にはさほど影響しません。深く挿入しすぎないための配慮かもしれませんね。
音漏れ・遮音性
きちんと耳にフィットしていれば音漏れの心配はあまりないと思います。遮音性は普通です。
再生環境と駆動力
高駆動力な方がタイトで音場は広く深い低音が出ます。スマホやiPod touchに直挿しでも普通に鳴りますが、持っているならアンプを併用したりある程度のパワーがあるDAPを使った方が気持ち良いと思います。
付属ケーブル
付属ケーブルはマイク付きのみです。低音をほんのわずかにすっきりさせています。
2pinはイヤホン側に丸い土台、ケーブル側には丸い覆いが付いています。イヤホン側の2pin穴はやや小さめで抜き挿しがかなり固いです。私は握力が弱いためfinal MMCX ASSISTで浮かせてからでないと抜くことができません。
市販のリケーブルも抜き挿しがキツく、あまり頻繁なリケーブルは破損が怖いです。付属ケーブルとの相性は良いので無理にリケーブルする必要はないと思います。
付属イヤーピース
付属イヤーピースはAET07に似た形状のシリコン製です。超低域をほんのわずかに持ち上げ重低音の唸りを強化しています。AET07もそうですが、アタック感を更に力強くする効果もあるようです。付属ケーブルと合わせてOS1 Proとの相性が良好だと思います。
私はこの重低音の唸りがかなり好みに合いました。イヤーピース単体でも売って欲しいくらいです。
他のイヤホンとの比較
CCZ DC-1『Coffee Bean』
CCZ Coffee Bean(Amazon 2,299円+500円OFFクーポン/AliExpress $15.95-16.79)はCCZの低価格機第1弾として発売された1DDイヤホンです。低音に個性がありボーカルが魅力でどんな環境でも使いやすいものの付属イヤーピースが音に与える影響が大きいのが注意点です。
- 高音の刺激:Coffee Bean > OS1 Pro
- 高音域の音量:Coffee Bean ≒ OS1 Pro
- 中音域の音量:Coffee Bean ≧ OS1 Pro
- 低音域の音量:Coffee Bean < OS1 Pro
- 低音の量:Coffee Bean < OS1 Pro
- アタック感:Coffee Bean < OS1 Pro
- それぞれの付属ケーブルと付属イヤーピースを使用した状態での比較です。
低音はOS1 Proの方が強く、ドン強め、量多め、濃いめ。OS1 Proの後にCoffee Beanで聴くと「Coffee Beanの低音の量ってこんなもんだった?」と感じるくらいの差があります。比較すると低音もだいぶ弱めに感じられます。
どちらも魅力はボーカルで、OS1 Proのボーカルはより立体感があって濃密です。Coffee Beanのボーカルも乾きのなさで高評価でしたがOS1 Proは更に上を行き、演出的なのに不思議な生々しさが感じられます。
伸びの良さと音場の広さと海外ボーカル曲の気持ちよさはOS1 Proが上回っているもののCoffee Beanの方が楽曲は選びにくいです。
ND NSK
ND NSK(AliExpress $8.80-9.90)は、おそらくKZのODMである『ND』から2021年晩夏に発売された低価格イヤホンです。10mm二重磁気+5ミクロンのシリコン結晶複合振動膜が採用された1DD機で付属ケーブルは銀メッキ線です。Amazonには取り扱いがありません。
- 高音の刺激:ND NSK ≒ OS1 Pro
- 高音域の音量:ND NSK ≒ OS1 Pro
- 中音域の音量:ND NSK ≧ OS1 Pro
- 低音域の音量:ND NSK << OS1 Pro
- 低音の量:ND NSK << OS1 Pro
- アタック感:ND NSK << OS1 Pro
- それぞれの付属ケーブルと付属イヤーピースを使用した状態での比較です。
NSKも人の声が落ち着いていて男性ボーカルが魅力的で、やや緩めでメロウな音色です。Coffee BeanやOS1 Proほど演出的な濃さはありませんがNSKの付属ケーブルは銀メッキ線で他2機種はOFC線なせいもあると思います。ボーカルも3機種の中ではあっさり気味です。
$10以下と非常に安価なNSKはタイトさや解像度など他の2機種から劣る部分は感じられます。$10以下にこだわらないなら強くおすすめするイヤホンでもありませんが私は結構好きなイヤホンです。低駆動力な機器に直挿しで使うのが非常に向くため最近は持ち出し用に重宝しています。
比較まとめ
比較した3機種はいずれも高音は刺激的すぎず、落ち着いたボーカルが魅力的なイヤホンです。その中でもOpera Factory OS1 Proは個性が強めです。重低音が多く使われた海外ボーカル曲の気持ち良さはOS1 Proが飛び抜けて良く、それら楽曲の専用になってもOS1 Proを買っても良いと感じます。
低音の強さ・量・濃さはOS1 Pro>Coffee Bean>ND NSKで、個性の強さ、音場の広さ、力強さもこの順です。楽曲の選び具合はこの逆順です。高音は強い順にCoffee Bean>OS1 Pro>NSKです。
OS1 Proは他の2機種と比較すると非常に低音が強めで、演出的で濃密な気持ち良さが感じられます。この中では最もあっさりしているのはND NSKですがあくまでCoffee BeanとOS1 Proが濃いだけとも言えます。
聴くのはボーカル曲中心ではあるものの極力楽曲は選ばない方が良いならCCZ Coffee Bean、海外ボーカル曲を多く聴くならOpera Factory OS1 Proがおすすめです。ND NSKは安さ重視で楽曲を選ばずに使いたくて低駆動力な機器に直挿しで使用するなら結構アリだと思います。なおNSKはAmazonには取り扱いがありません。
総評
- 相性の良い付属品
- 力強いアタック
- 質が良く力強い重低音
- 定位良好
- 海外ボーカル曲は抜群に気持ち良い
- JPOP不向き
- 低音質不向き
- 2pinが固すぎる
高音が伸び低音が包み込むようなやや広めの音場、濃密で演出的ながら不思議と生々しくも落ち着いたボーカル、なめらかな心地良さを感じさせつつも重低音の振動が体の芯を打つような力強さ、重量級の疾走感が魅力です。
電子音が多く使われ始めた80年代以降最近までの米国のボーカル曲との相性が抜群に良いです。30年以上前に聴いていた楽曲もデジタルリマスター音源で聴くと思い出とは異なる新たな立体感で音が迫ってきます。ただし低音質な古い音源との相性が悪いため、ある程度の品質の音源でないと真価は発揮されません。
JPOPとの相性は微妙です。力強く量の多い低音が仇となりぼやっとしやすく広めな音場や立体感も活かすことができません。しかしJPOPが合わないのは低音の量が多めのイヤホンにありがちです。日本の音楽業界の音作りとの相性でしょうね。
音楽を全身で聴く楽しさを思い起こさせる力強いイヤホンですが猛烈に相性の良いジャンルとそうでもないジャンルが分かれます。よく聴く楽曲がJPOPばかりなら単なる低音ホンだと感じるでしょう。また、極力ドンドン言わない方が良いなら別のイヤホンを選んだ方が良いと思います。
ある程度の駆動力があった方がタイトで音場が広いものの、スマホやiPod touchへの直挿しでもさほど不満なく鳴ります。
2pinの抜き挿しがかなり固いです。リケーブルで破損しないか心配になります。付属ケーブルですら相当に固いためイヤホン側の2pinの穴が小さめなようです。ですがOS1 Proと付属ケーブルとの相性は良く、無理に交換する必要性は感じません。
楽曲の選び具合はイヤーピースを変更するだけでも改善することが可能です。しかし付属イヤーピースとの組み合わせでないと唸る重低音が弱ってしまいます。私にとっては気に入っているポイントのひとつなので変更せずに海外ボーカル曲メイン機として使っていこうと思います。
初期装備のOpera Factory OS1 Proをおすすめできるのは、重低音が多く使われるようになって以降の海外(特に米国の最近の音源)のボーカル曲を中心に聴く人、高音の鋭い刺激が苦手な人、大きめな音量で音楽を聴くのが好きな人です。
逆に初期装備のOpera Factory OS1 Proをおすすめできないのは、力強い低音が好みでない人、JPOPを中心に聴く人です。
外耳道が太い人で浅めの装着が苦手な場合は音のバランスを崩しやすいためおすすめしづらいのですが、しかしこの重低音の魅力を存分に堪能できるのも外耳道が太い人なのではないかと…。
KBEAR/Opera Factory OS1 Proは10月31日23:45までAmazonで期間限定セール中です。通常時からAliExpressでの公式販売価格よりもAmazonの方が安いのでAmazonでの購入がおすすめですよ。
- KBEAR/Opera Factory OS1 Pro
- セール中2,780円→Red&Blue 1,880円/Black 2,163円(10/31 23:45まで) 10/26
- $28 – Whizzer Official Store 10/26