今回はTinHiFi T3 Plusのレビューです。外装画像等のレビューがご不要であれば『音質』から後ろもしくは『総評』だけご覧ください。
- 私の耳は耳穴入り口付近から外耳道が太めです。これまでの経験上、深く装着しすぎるとバランスが崩れるイヤホンも少なくないためアジア人の平均から外れる程度には太めではないかと思います。
- イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
目次
製品仕様
- ブランド:TinHiFIi
- 型番:T3 Plus
- ドライバ構成:1DD(10mm/LCP)
- インピーダンス:32Ω
- 感度:103dB/Mw
- 再生周波数帯域:20-20000Hz
- ケーブル端子:2pin 0.78mm
- TinHiFi T3 Plus
- セール中9,017円→2/3まで7,844円 – HiFiGO *Amazon倉庫に在庫あり。 1/25
- セール中$79→$69 1/25
- *TinHiFi T3 PlusはHiFiGOから提供を受けているため他セラーについては各自ご確認ください。
- DDはLiquid Crystal Plymer(LCP/液晶ポリマー)
- 付属ケーブルは4芯ケブラーコーティングOFC
ダイナミックドライバー(以下 DD)にはLiquid Crystal Plymer(LCP/液晶ポリマー)振動膜が採用されています。LCP採用のイヤホンにはMOONDROP Aria(公式/Amazon/eイヤホン/Yahoo!)、Campfire Audio HONEYDEW(公式/Amazon/eイヤホン/Yahoo!)があります。なお私はどちらも所有しておらず聴いたこともないため比較できません。
外箱はいつものTinHiFiらしい白いパッケージにブランドロゴ、内箱はクッション材でできた化粧箱です。
同梱物は黒い被膜のケーブル、シリコンイヤーピース2種類各3サイズ、フォームイヤーピース1種類3サイズ、スラブ綿のポーチです。フォームイヤーピースは箱の中には同梱されていませんでした。商品ページの画像には同梱物として写っていますので、もしも到着品の中に含まれない場合は購入セラーに問い合わせた方が良さそうです。
ハウジングはレジン、金属ノズルに金網フィルター、ケーブルコネクターは埋め込みではない2pinです。マーブル模様に軽くラメを散らした黒いフェイスプレートの仕上がりはとてもきれいです。フェイスプレートには丸いTinHiFiロゴマークの金色プレートが埋め込まれており表面に出っ張る部分はありません。現在はセラーによっては丸いロゴではなく『TINHiFi』の文字のロゴのものが販売されているようです。ちなみにHiFiGOの在庫は丸いロゴの方だそうです。
ハウジングにはイヤーフィンがあり比較的耳の形に沿う形状です。所有するTinHiFiイヤホンの中では最も装着感が良く、位置が安定しています。
10mmのDDはノズル下に配置されています。ダブルキャビティのスペース確保のためでもあるのでしょうか、このタイプのイヤホンとしてはノズルに近い位置ですね。
音質
TinHiFi T3 Plusには音の変化傾向が異なる3種類のイヤーピースが付属します。T3 Plusとの相性は良好です。付属品だけで使用していても大きな不満を感じないでしょう。
箱出し
箱出し時点では低音のタイトさが甘いため実力よりも低音強めで量が多く感じられ、相対的に中~中高域がより凹みやすいです。装着位置が良くないと特に女性ボーカルは他の音に紛れそうになります。
エージング
やや長めのエージングで低音がタイトになります。装着位置をシビアに調整しなくても女性ボーカル帯域が凹まなくなります。かなり変わりますので、注意深く聴いていればエージングしないで使用する人にも変化が感じられるのではないでしょうか。
評価環境
主な評価環境はiFi Audio ZEN DAC*2(公式製品情報/Amazon)、Fiio X7 MarkⅡ(AM3D/可聴帯域外フィルタ:Slow Roll Off Minimum Phase)、iPod touch 7Gです。付属クリアシリコンイヤーピース使用時/1kHzテストトーンをほとんど騒音のない屋内で平均約51dB*1、室温約18℃で聴いていきます。音源はFLAC(一部WAV)です。他にAmazon MusicおよびYoutubeの動画なども使用しています。
- 1. 平均が出せるスマホの騒音計アプリで計測しています。音楽再生時は平均58kHz前後です。
- 2. PCからの再生はfoobar2000+WASAPI(event)、USBケーブルはunibrain(楽天市場)、6.3mm→3.5mm変換アダプターはFURUTECH F63S-G(Amazon)です。
シリコングレーイヤーピース
付属シリコングレーイヤーピースはバランスを低音側に寄せて中~中高域を相対的に少し弱めています。最も奥行きが出やすいイヤーピースです。私は付属ケーブルとの組み合わせではこのグレーイヤーピースとZEN DACの組み合わせが気に入りました。
T3 Plusとの組み合わせでのバランスはやや低音寄りです。装着位置は高域のピークの1ヶ所が8kHz付近、声が高めの男性ボーカル~女性ボーカルが凹まず近すぎず、低音の量が増えすぎず、30Hz以下が弱らないのがベスト位置だと思います。
周波数特性チェック用のスイープ音源とトーンジェネレーターで耳で聞いてチェックした限りでは超低域は25Hz以下まで聴こえ、高域のピークは8kHz付近、中~中高域はわりとフラットです。やや低音寄りで緩いU字のややドンシャリ傾向と言ったところでしょうか。
高域には極端に強い帯域はなく主張しすぎないのに刺さる少し手前くらいの刺激もありシャープさときらびやかさも十分です。か細さや暗さも感じません。
反響や残響は音源本来よりもやや抑え気味なためライブ音源の臨場感はあまり再現されません。高音の伸びと抜けの良さもいくらか犠牲になっています。楽曲を選ぶというほどではないもののバイオリンの弦と弓が擦れる細やかな音が若干弱く、生楽器中心の楽曲ではもう少し解像度が欲しく感じることもあります。滑らかさは優秀ですし生楽器の細部を描写するにはある程度強い高音が必要ですからこの辺は好みの問題でしょうか。
中~中高域はやや艶があり伸びやか、人の声は落ち着いており歯擦音は控えめです。女性ボーカルがよく聴こえ男性ボーカルは優しく魅力的です。また、ピアノの音色が滑らかで濃く美しいです。意図的に極端に強められた帯域がないため特定の音が騒がしいこともありません。
箱出しの時点では装着位置が少しでもずれていると声が高い男性~女性ボーカル帯域が凹みやすく演奏に紛れ気味になることがあります。エージングせずボーカル曲をよく聴くのであれば最初のうちは別のイヤーピースを使用した方が良いかもしれません。
超低域~中低域は25Hz以下まで聴こえ沈み込みは深め、適度な量と張りを両立し、このイヤーピースが音色を濃くしています。重低音もしっかり主張するのに他の音域を邪魔することはありません。ダブルキャビティ構造が効いているのか低音の質が非常に良く、力強くタイトながらパンチが効きすぎていません。
低音のタイトさはエージングで大きく変わります。グレーイヤーピースを使用していて低音が支配的すぎるなら少し鳴らし込むと良いでしょう。
また、超低域30Hz以下の音量的な大きさが駆動力の違いで変化しやすいです。高駆動力であるほど強まり、全体のバランスがより低音寄りになります。
分離は適度で見通しも良いです。力強い低音が他の音域を邪魔することはありませんが、濃い低音が伸びやかに広がるため他のイヤーピースに変えて比較するとグレーイヤーピースでのみほんの少し影響していると感じるかもしれません。ですが音数の多い楽曲でもごちゃつくことはありませんし、私はこのグレーのイヤーピースを一番気に入っています。
定位も良好です。バイノーラル音源やゲームで確認した時に前方で鳴っている音が前方方向からのように聴こえるイヤホンは多くはなく「左でも右でも後ろでもなく前っぽい」くらいの感じですが、T3 Plusではやや前方からのように聴こえます。ただしイヤーピースの効果が非常に高いため、他のイヤーピースに変更すると前方定位については普通になってしまう場合があります。
音場の広さは横にやや広く、そのせいか「もうちょっと高さがあったらな」と感じることがあります。しかしそれは相対的なものであって高さ不足なわけではありません。高音が控えめなことで伸びと抜けの良さが少し犠牲になっているため音が遠くまで広がっていく感覚は得にくいです。
音場の高さと抜けの良さに関しては赤軸グレーもしくは市販の別のイヤーピースに変えることで改善可能です。
フォームイヤーピース
フォームイヤーピースはワンサイズのみです。私は外耳道が太く耳穴も広いためほぼ潰さずに押し込むことができます。外耳道が細い場合は内側が潰れてしまい高音が減衰するかもしれません。
シリコングレーイヤーピース(以下、シリコングレー)よりも低音の量が減り、軽く低音寄りなバランスです。高音の刺激はわずかに抑えられるもののイヤーピースの内側が潰れていなければ不足を感じるほどの高音の減衰はないと思います。
超低域が音量的に抑えられます。加齢や外耳道の形状の影響などで低音の聴こえが弱い場合は沈み込みが浅くなったように感じられるかもしれません。それでも十分に深いはずですが、シリコングレーと比べると物足りないと感じる可能性はありそうです。
低音の伸びは良好で、シリコングレーでは高音のわずかな減衰によって強めだった低音の張りが緩和されて自然です。付属イヤーピースの中では人の声が現実の声の高さに近いと思います。
なお外耳道の形状によってはあまり奥まで入らず鼓膜からの距離が遠くなり、音に影響するでしょう。私が適正位置だと感じる位置より更に低音が控えめに感じられ、かなりニュートラルに聴こえるかもしれません。
シリコン赤軸イヤーピース
シリコングレーよりも低音側への寄り具合が小さいです。伸びは控えめ、低音の量がやや減り、濃い音色ながらシリコングレーよりはあっさりめ、ボーカルの高音成分が少し増えます。
他のイヤーピースよりも中高域の上の方がよく聴こえ、女性ボーカルが前に出やすいです。低音の濃さや密度はシリコングレーよりも控えめになるため声の低い男性ボーカルの落ち着いた魅力が少し衰えたように感じます。
低駆動力な機器では更に低音への寄り具合が緩和されます。ニュートラルに近い方が良いなら赤軸グレーイヤーピースかつ低駆動力な機器で聴くのも良さそうです。
YYX4823+AET07
いつも評価の基準にしている味付け控えめな8芯高純度銅ケーブルYinyoo YYX4823(AliExpress)とacoustune AET07(Amazon)でもチェックします。
付属ケーブルよりも低音寄りで厚く濃いです。重低音は音量的に少し弱まり伸びが衰えます。解像度が高まりつつ濃いため、T3 Plusはリケーブルすることで解像度向上が期待できそうです。
その他
装着感
装着感は良好で長時間の使用も負担にならず体を動かした時にもずれにくいです。画像のシリコン耳モデルは小さめなためくぼみにぴったり埋まっていますが特別大きいわけではありません。
音漏れ・遮音性
ベントはイヤーフィン側の側面に1ヶ所、DDの上に1ヶ所です。耳に当たって塞がる心配はなさそうですし、音漏れも気になりません。遮音性はやや高めです。
再生環境と駆動力
高駆動力なほど30Hz以下が強まりやすく、低音が力強く重く主張するようになります。使用している機器によって低音に関しての評価が変わるのではないでしょうか。また、高駆動力な方がタイトに鳴り、明瞭で解像度が高く音場も広いです。
iPod touch直挿しでも問題なく音量が取れ普通に鳴ってはいるのですがアンプ使用時よりもぼんやりとしています。駆動力に定評があるDAPをお持ちでないならアンプを併用することをおすすめします。ホワイトノイズが出やすいアンプを使用してもノイズはほとんど聴こえません。
付属ケーブル
付属ケーブルはTinHiFi T5(Amazon/AliExpress)にも付属する200デニールのケブラーでコーティングされたOFC(無酸素銅)ケーブルです。柔らかく適度にしなやかで絡まりにくく、取り回しは良好です。
超低域がよく出ており高域の一部がごくわずかに弱るもののT3 Plusとの組み合わせではむしろ抜けが良くすっきりとしています。T3 Plusの実力よりも低音側への寄り加減が小さいようです。低音も高音も伸びがやや良いです。
付属イヤーピース
イヤーピースは3種類付属します。『音質』で評価した通り、シリコングレーは軽く低音寄り、シリコン赤軸はすっきりめ、青フォームはニュートラルな音色に近づきます。なおTinHiFiのフォームイヤーピースは単体販売(AliExpress)されており劣化してきても買い足すことが可能です。ですがワンサイズのみで、外耳道の細い人は入らないかもしれません。
他のイヤホンとの比較
TinHiFi T3
TinHiFi T3(Amazon 7,580円/AliExpress $59.80)は2019年発売の2月頃に発売された1BA+1DD機です。KnowlesのBAとPU+PEK(ポリエーテルケトン)振動膜の10mmDDを積んでいます。T3以降ブランド名がTin AudioからTinHiFiに変更になりました。スピーディーな疾走感とクリアな音色が特徴です。
- 高音の主張:T3 > T3 Plus
- 高音域の音量:T3 > T3 Plus
- 中音域の音量:T3 ≒ T3 Plus
- 低音域の音量:T3 < T3 Plus
- 低音の量:T3 < T3 Plus
- いずれも付属ケーブルと付属フォームイヤーピース(同じ種類の色違いが付属)での比較です。
T3はキリッと引き締まって疾走感のある音色で、T3 Plusとは傾向が異なります。力強いアタックと自然なボーカルに共通点を感じるもののT3 PlusはT3の直系後継機という意味の名称ではないような気がします。
はっきりとした中高~高音寄りで解像度の高さをわかりやすく感じるT3に対し、やや低音寄りのT3 Plusは解像度の高さよりも滑らかな聴き心地の良い音色です。T3は疾走感があり、T3 Plusはゆったりと落ち着いています。
TinHiFi T2 Plus
TinHiFi T2 Plus(Amazon 6,380円/AliEpxress $59)は2020年6月に発売された1DDイヤホンです。ニッケル亜鉛合金振動膜の10mmDDを搭載しアルミニウムハウジングを採用しています。ややウォームで音が柔らかに広がりつつも分離と見通しが良くボーカルが聴き取りやすいです。ベントがふさがりやすい位置にあり装着の加減に気を使う必要があります。
- 高音の主張:T2 Plus < T3 Plus
- 高音域の音量:T2 Plus ≧ T3 Plus
- 中音域の音量:T2 Plus ≒ T3 Plus
- 低音域の音量:T2 Plus < T3 Plus
- 低音の量:T2 Plus ≦ T3 Plus
- ボーカル:T2 Plus > T3 Plus
- いずれも付属ケーブルと付属フォームイヤーピース(同じ種類の色違いが付属)での比較です。
TinHiFi T2 PlusはT3 Plusよりも高音の抜けが良くすっきりとしており、ボーカル帯域が強く人の声がより現実の高さに近いです。T2 PlusはそれまでのTinHiFiイヤホンの$100以下では低音に量と厚みがある方でしたがT3 PlusはT2 Plusよりも更に低音に量と厚みがあり音色が濃く、両者を続けて聴き比べるとP2 Plusがウォームには感じられなくなります。
T2 Plusの付属ケーブルは銀メッキ線で低音を緩めているためか楽曲によっては低音側の緩みと高音側のシャープさに差が感じられます。リケーブルで改善されますが、付属ケーブルで使用するならT3 Plusの方が全体の統一感に勝っています。
ただしT2 Plusは耳に当たってベントが塞がりやすく、装着時のあそびも大きいため人によって若干異なる音色で聴いている可能性がありそうです。TinHiFiの筒型イヤホンも装着に個人差が出やすいためT3 Plusは特に装着のフィット感が高いです。
TinHiFi T4
TinHiFi T4(Amazon 11,880円/AliExpress $99)はカーボンナノチューブ10mmDDを搭載したステンレス鋼ハウジングの1DDイヤホンです。周波数特性がU字のややドンシャリ傾向でボーカル帯域は盛られていません。耳との密着面積が小さいせいかT2 Plusよりも金属ハウジングの影響が強いです。⇒レビューコメント
- 高音の主張:T4 > T3 Plus
- 高音域の音量:T4 ≧ T3 Plus
- 中音域の音量:T4 ≒ T3 Plus
- 低音域の音量:T4 ≦ T3 Plus
- 低音の量:T4 ≒ T3 Plus
- ボーカル:T4 ≧ T3 Plus
- いずれも付属ケーブルと付属フォームイヤーピース(同じ種類の色違いが付属)での比較です。
TinHiFi T4の音色の統一感、奥行き、低音の濃さ、滑らかさにはT3 Plusに近いものを感じます。しかしT4は金属ハウジングに音が響くため高音の広がりが勝っています。また、T4はT3 Plusよりも大人しい音色です。
T4はT3 Plusよりもボーカル帯域抑え気味なのですが低音と高音の違いにより相対的にはT3 Plusの方がボーカルは離れぎみに聴こえます。音場のゆったりさはT3 Plusの方が上です。
比較まとめ
TinHiFi T3とは傾向がだいぶ異なります。どちらかというと似ているのはT2 Plus、T4です。T2 Plusはボーカル曲向き、T4はやや大人しい優等生、T3 Plusは成熟した落ち着きが魅力ですね。
T3 Plusはこの中では唯一金属ハウジングではありません。高音の鋭いピークだけでなく金属ハウジング特有の響きもないため、古い機種からの高音の個性はだいぶ失われています。
しかしTinHiFiらしい雰囲気と共通点はT3 Plusにも感じ、所有するTinHiFiイヤホンで共通するボーカルの自然さが引き継がれています。強く感じるのは全域の統一感の進化です。T3 → T2 Plus → T4 → T3 Plusの順に優れています。
TinHiFiのイヤホンはいずれも良い出来ではあるのですが私の起き耳にはT3 Plusが最も楽に安定して装着可能なためそれだけでもポイントが高いです。
総評
- 優れた統一感
- 深く沈み込む良質な超低域
- 高いビルドクオリティ
- 違いを楽しめる3種類の付属イヤーピース
- ホワイトノイズが出にくい
- フォームイヤーピースが1サイズしかない
- 実力発揮に駆動力を必要とする
- エージングに伴う変化が大きい
非常に良い出来です。落ち着いた音色は聴き心地が良く、高音は刺激的過ぎないものの十分な鋭さときらびやかさを表現できています。3種類付属するイヤーピースの相性は良好で、いずれも音色を破綻させません。付属ケーブルも好相性です。
ビルドクオリティも高くレジンの加工は非常にきれいです。
TinHiFi T3 Plusは実力的にはやや低音寄りですが、3種類の付属イヤーピースだけでやや低音寄り、軽く低音寄り、すっきりめの3パターンに調整が効きます。
音楽を聴いていて気になることはありませんが私の手元の個体は左右で高域のピーク位置にわずかなズレがありました。軽微ではあり、誤差はおそらく3dB以下なため差を聴き取れない人も多いと思います。この価格帯の中華イヤホンとしてはかなり優秀な方ではありますが音色が気に入っているだけに惜しいです。
また、付属フォームイヤーピースは1サイズしかありません。別売りも1サイズのみです。耳穴大きめで外耳道太めな私の耳でジャストサイズでしたし、外耳道の太さ次第では使うことができないか、潰れて高音が減衰してしまう可能性があります。細いサイズも出して欲しいところです。
iPod touch直挿しのような低駆動力な再生環境でもわりと普通に鳴るものの、T3 Plusの実力は堪能できません。高駆動力なほどタイトかつ超低域が強まり音色に厚み、広がり、力強さ、生々しさ、明瞭さ、解像度が向上します。所有していないならこれを機会にアンプの導入を検討して欲しいと感じさせるイヤホンです。
TinHiFi T3 Plusという名称ですがT3の直系後継機ではなくT2 PlusとT4に少しだけT3のエッセンスを合わせた進化版だと感じました。TinHiFiの力量を感じる非常に良い出来なのですが、T3を含むTシリーズのTinHiFiのイヤホンにある高音の個性はやや失われています。あの高音のためには高域の強いピークだけでなく金属ハウジングが必要なのではないでしょうか。
初期装備のTinHiFi T3 Plusをおすすめできるのは重低音の質を重視している人、刺さりの強い高音が苦手な人、ボーカルが近すぎるのが苦手な人、落ち着いた音色が好みな人です。
逆に初期装備のTinHiFi T3 Plusをおすすめできないのは、TinHiFi T3の直系後継機としての音色を期待している人、生楽器の詳細さやリアリティを重視する人、低音寄りの音色を好まない人です。
私はかなり気に入っています。最近購入してよく使っているイヤホンの中では装着感が良く、私の起き耳でもズレてきません。落ち着いた音色は長時間楽しむのに向いています。付属グレーシリコンイヤーピースは男性ボーカルが魅力的なので男性ボーカル曲ばかり聴いています。
AmazonのHiFiGOで本日から安くなっており2月3日まで9,017円→7,844円です。記事公開時点では在庫もあり日本のAmazon倉庫から発送されます。
- TinHiFi T3 Plus
- セール中9,017円→2/3まで7,844円 – HiFiGO *Amazon倉庫に在庫あり。 1/25
- セール中$79→$69 1/25
- *TinHiFi T3 PlusはHiFiGOから提供を受けているため他セラーについては各自ご確認ください。
- *HiFiGOの春節休業は1月29日から2月6日までです。その間は発送も停止します。
TinHiFi T3 Plusは付属品との相性が良いためひとまずレビューは今回のみです。相性の良いケーブルやイヤーピースの組み合わせを見つけた場合はTwitter(@magnolia_time)や『イヤホン関係メモ』のページで紹介したいと思います。