[レビュー] TRI-i3 (1) やや量感と太さがある低域、高解像度な中~高域、広めな音場には立体感あり

当ブログの商品リンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。

今回はTRI-i3(Amazon/AliExpress)のレビューです。第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。外観画像などが不要でしたら『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。

TRI-i3の白背景画像

製品仕様

  • ブランド:TRI
  • 型番:i3
  • ドライバ構成:平面磁界駆動型ドライバー+1BA+1DD
  • インピーダンス:15Ω
  • 感度:103dB/mW
  • 再生周波数帯域:20Hz-40000Hz
  • ケーブル端子:mmcx

AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。

  • ★150本の限定生産品★追加生産されました。
  • 平面磁界駆動型ドライバーは10mm、DDは複合8mm
  • ハウジングはアルミニウム合金
  • 付属ケーブルは4芯単結晶銅

TRI-i3は限定生産品となっています。Easy earphonesによると限定数は150本だそうです。ただし複数のセラーで取り扱っており1店舗で150なのか各店舗150なのかは不明。追記:追加生産することになったそうです。

黒い外箱は過剰ではない程度に価格に見合ったきれいなもの。

TRI-i3の外箱の画像 TRI-i3の内箱の画像

付属品は4芯単結晶銅ケーブル、イヤーピース3種類、ポーチです。

TRI-i3と同梱品の画像
そのままポーチに入れるとぶつかり合って傷だらけになりそうなので使わないかな…。

金属ハウジングは美しい鏡面仕上げ。傷と手垢はかなり付きやすく、初日の撮影時にぶつけてしまったのかその日のうちに傷を付けていましました。収納方法にすら気を使うので傷を付けたくなければ持ち歩きは想定しない方が無難かもしれません。

TRI-i3のハウジングの画像1
手垢はもちろんかなり傷つきやすいです。

ステム先端のフィルターはパンチングメタル、ケーブル端子はmmcx、ベント(通気穴)はサイドに1ヶ所。

TRI-i3のハウジングの画像2
ベントはmmcx脇の1箇所のみです。

イヤーピースを止める段差はステムの途中にあり、サイズが合ったイヤーピースを奥までしっかり差し込めば外れにくいです。

TRI-i3のハウジングの画像3
ただしサイズと素材が合わないと抜けてきます。

漏斗状のステムはちょうど良い長さと角度で装着が良いです。

TRI-i3のハウジングの画像4

音質

箱出し

箱出しで最初に感じたのは音場の広さです。これはエージング後もキープされます。太さのある低音はエージングで少し締まります。

エージング200時間~

付属イヤーピース(白シリコン)

まず付属の白いシリコンイヤーピースで聞いて行きます。このイヤーピースで装着が悪いと低~中低域がぼんやりするので、エージングしてもスキッとしない時はサイズが合ってないか耳の形状との相性が悪くてしっかり塞げてないんじゃないかと思います。

高音の主張*
4.2
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.2
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • やや中低音域寄りフラット傾向
  • 高音は刺さらず
  • 低~中音域はやや太め
  • 音場広め
  • 解像度高め

周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは低音域の下の方からわりと音量が出ており、中低音域が少し盛り上がり相対的に中音域が谷になっていますが深くはありません。フラットに近めなものの音量を上げると弱ドンシャリ感が強まり鮮やかになりやすいです。やや中低音域寄り。

高音域はあまり強い主張はありませんが十分に出ています。刺さりは感じません。下の音域に太さがあるためか比較すると若干細さがあります。しかしそれは相対的なものであって、か細くはありません。

下の帯域から中高音域にかけてやや太さと濃さがあり、解像度が高く、立体感のある奥行きも感じられます。中音域にはさほど凹みはなく、遠さや音量的な小ささが気になることはあまりないようです。ただし距離感のある奥行きのせいかボーカルが出てきづらい楽曲があるようです。分離が良いため埋もれているというほどではありません。

歯擦音の強い英語圏の女性ボーカルでも耳障りさはありません。ブレスは強すぎず。人の声はやや落ち着きがありつつ少しだけ乾いています。私はドライなボーカルを好みませんが気にならない程度です。

低音域は箱出し時にはすぐに気づくくらいの太さがあるもののエージングすると少し締まりが良くなります。それでもやや太めで量もやや多め、濃さがあるものの上の音域に広がりすぎる感じはなく、しかし上の音域の音の太さと全体の濃さに影響しているようです。

アタック感は音量的にわずかに強めです。アタック感が少しでも弱いと気の抜けたような音色になる楽曲でも力強さを感じることができます。立ち上がりと伸びは適度、残響音は少し消えるのが早いような。

明瞭さは駆動力の影響を受けやすいです。駆動力不足では音の輪郭が甘くなりモヤッとしてしまうようです。

音場に広さと立体感が感じられます。響いているのでも伸びやかすぎるのでもない間延びのない広さです。箱出しで一聴して感じたのもこの音場の広さでした。

分離も定位も良好です。ただしこのイヤーピースは柔らかい素材なためサイズと装着位置がちゃんと合っていないと左右のバランスが崩れやすいです。定位がおかしいと思ったら使用サイズを変えてみてください。

特に中~中高音域の解像度が高く、細部までも聞き取りやすいです。低音域は特別高解像度という印象はありませんが他の音域とのバランスは取れています。

付属イヤーピース(赤軸グレー)

  • 付属白より高音の主張が少し強め

箱出し時は高音の主張が強めで刺さりを感じる人がいるかもと感じた赤軸グレーですが、エージングが終わると白シリコンよりも高音がはっきりしていて良いです。

ただし若干低音の太さとのバランスの相違が気になる場合があるかもしれません。

付属イヤーピース(グレーウレタン)

  • 高音の主張が和らぐ
  • 低音がややタイトになる

低音の輪郭の緩さが気になるようならウレタンの方が良いかもしれません。ただし高音の主張が和らぐので、ここがしっかり出た方が好みなら物足りないかもしれません。

その他

装着感

私の耳では装着感は非常に良いです。KZのイヤホンなどでは左L右Mのイヤーピースを選ぶことが多いですがTRI-i3では両方Mサイズを使っています。ハウジングの重さも装着してしまえば気になりません。

TRI-i3と付属イヤーピースの画像
装着感良し。

付属イヤーピースは白シリコンが一番バランスが良いと感じました。しかし傘が薄めで柔らかいため耳の形状やサイズに合わない場合は崩れて隙間ができやすそうです。似たバランスの市販イヤーピースはいくつか安いものがあったので次回おすすめイヤーピース編で紹介していきます。

音漏れ・遮音性

ベント(通気穴)はありますが耳に当たる部分の側面に小さい穴が開いているのみなのでここからの音漏れは気になるレベルではありません。遮音性も良い方だと思います。

再生環境と駆動力

平面駆動型ドライバーは駆動力がある再生環境で抜けが良くなる傾向があるらしいので、駆動力の大きいアンプやDAPを使った方が良さそうです。実際駆動力の小さいDAPやアンプ、スマホなどで鳴らすとモヤッとしています。

TRI-i3とaune BU1の組み合わせの画像
画像のアンプはaune BU1。音場が立体的になり相性抜群です。

付属ケーブル

付属ケーブルは4芯単結晶銅とのこと。TRI-i3との相性も品質もまずまずです。ややマイルド傾向で輪郭も柔らかめ、重低音がきちんと出るためTRI-i3との組み合わせでは特に中低域に寄り太さが増しやすい傾向があるようです。

TRI-i3の付属ケーブルの画像
付属ケーブルはマイルドめ。

低~中低域が太すぎると感じる場合やよりはっきりした音を好む場合はリケーブルをおすすめします。

総評

今年の中華イヤホンの中ではお気に入り上位に入るイヤホンです。付属ケーブルはわずかに柔らかめな音色ですが駆動力が十分ならばぼやけず重低音もよく出ていて付属イヤーピースとの音の相性も良いので、イヤーピース交換やリケーブルに興味がない人も満足度は高いと思います。

TRI-i3の画像
非常に良い出来のイヤホンです。

多少の凹凸はあるもののフラット傾向に近く、下の帯域からよく出ていることで太めかつ濃いめで力強さもあります。中~中高音域の解像度が特に高く、自然さよりも解像度優先な音作りで、しかしカリッとしすぎてはいません。箱出しはかなりデジタルチックで高精細な印象でしたがエージングによって少しマイルドになります。

比較的楽曲を選ばないバランスの良さだとは思うのですが、濃さと太さがあるので再現性の高さを求める人は気になるかもしれません。個人的にもクラシックなどではリケーブルした方が良かったです。

特徴のひとつである音場の広さは響くのでも伸びやかすぎるのでもなく間延びのない立体感があり、見通しも良いです。ただし駆動力不足だとぼやけた音になりやすいので駆動力のあるDAPもしくはアンプを使った方が良いでしょう。

まとめ

初期装備のTRI-i3をおすすめできるのは、解像度の高さを求める人、ややモニター的な音を好む人、駆動力のある再生環境を持っている人です。

リケーブルやイヤーピース変更に興味がない人にもおすすめできます。付属イヤーピースと耳の形状との相性さえ悪くなければ付属品だけで使っていても満足度は高いのではないでしょうか。

逆に初期装備のTRI-i3をおすすめできないのは、解像度の高さよりもより自然さを求める人、再現性の高さを求める人です。TRI-i3も自然さが全く足りないわけではありませんが現実に演奏を人の耳で聞いたときよりも細かい音まで聞き取れる高精細さがあるのでデジタルチックに感じる人はいると思います。また、音が太すぎると感じる人もいそうです。

TRI-i3のレビュー、第2回はおすすめイヤーピース編の予定です。TRI-i3についてはおすすめリケーブル編も予定していますが試したいケーブルがまだ手元に届いていないため公開は早くても年明けになる見込みです。

追記:レビュー第2回を公開しました。

AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。

コメント

  1. pm より:

    私も最近TRI i3を購入したのですが、私の個体はベントが2つありました。これって仕様変更がされたということでしょうか?

    • magnolia より:

      改めて確認してみたところ、やはりベントは画像に写っている1ヶ所のみです。

      最近ご購入なさったとのことですが、既にTRI-i3は終売していますよね。在庫処分シークレット福袋か中古品ですか?

      • pm より:

        中古品です。メルカリで購入しました。

        • magnolia より:

          確認する限り、海外レビュアーの画像も含めてベントは1個ですね。
          ただしググって引っかかるようなレビュアーはたいてい初期ロットでレビューしていますし、私のも初期ロットなはずです。

          ベントが複数開けられた改造品は存在するようです。
          ベントが2個の画像も海外サイトに1枚だけ見つけましたが既にページが消えており改造品なのか正規品なのか、掲載したのがレビュアーなのか業者なのかもわかりませんでした。
          セラーも把握していないことがあるため問い合わせても確実ではありませんが、気になるようなら聞いてみるのはアリだと思います。

          ということで私にはわかりかねます…。
          お役に立てず申し訳ないです。

  2. pm より:

    分かりました。ありがとうございます。

    自分でも調べてみたのですが、Twitterにて2021年2月のツイートにベントが2個空いているTRI i3が写っていました。
    URL:https://twitter.com/recable2020/status/1360461582795378691?s=20&t=PIr7ILaA7SqFL99B_QEnVQ
    もしかしたら、追加生産のどこかのタイミングで変更されたのかもしれません。