[レビュー] Yinyoo TOPAZ (1) 中低音域に寄りつつも自然な鳴りのバランス型

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今回はYinyoo TOPAZのレビューです。第1回は箱出しからエージング終了後までレビューして行きます。エージング後&付属ケーブルの最終評価だけでよろしければ『エージング200時間~』から後ろだけご覧ください。

Yinyoo TOPAZの画像1

関連記事があります。

  • 中華イヤホンには個体差・ロット差が生じることがあります。必ずしも本レビューと同様の音が出るとは限りません。
  • イヤーピース別に評価をしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
  • イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。

製品仕様

  • ブランド:Yinyoo
  • 型番:TOPAZ
  • ドライバ構成:4BA+1DD
  • インピーダンス:13Ω±20% @1KHz 1mW(0.126V)
  • 感度:106dB±3dB/1mW/ IEC- 711
  • 全高調波歪:(100mv入力時)@1khz:<3 %,0.01m, 1mW
  • 再生周波数帯域:20Hz-40000Hz
  • ケーブル端子:2pin(qdc/0.78mm)

AliExpressで不良品が届いた場合は英語で問い合わせる必要があります。また、迅速に交換返品に対応してくれるとは限りません。自信のない方・保証が欲しい方は割高でもAmazonでの購入がおすすめです。

  • 高域、中域はそれぞれBellsingのBA2機ずつ
  • 低域は合金振動板にバイオセルロースコーティングの10mmDD(SR002)
  • ハウジングは航空グレード7050アルミ合金をCNC削り出し

外箱は大きめです。

Yinyoo TOPAZの外箱の画像
光沢のある青い箱です。
Yinyoo TOPAZの内箱の画像
ポーチも入っています。

付属品は銀メッキケーブル、イヤーピース2種類3サイズ、収納ポーチです。

Yinyoo TOPAZと同梱品の画像
イヤーピースは2種類です。

つや消し加工されていてゴールドも渋め。ハウジングの内側は耳の形状に沿うようにカーブしていてわりとぴったり耳にはまります。イヤーピースだけで支えるタイプではないので長時間の使用も苦になりません。

Yinyoo TOPAZのハウジング画像2
ゴールドは金ピカではなくつや消しされていて渋め。

ハウジングの内側にベント(通気穴)が2つ開いています。ステムはやや長めで、イヤーピース止めの段差が付いています。ただこの段差の位置が中途半端かつ太さがあるため、同じタイプのYinyoo D2B4(レビュー記事)と同様に使用できるイヤーピースが限られます。

Yinyoo TOPAZのハウジング画像3
このステム形状だと使えない市販イヤーピースもあります。

TOPAZのケーブル端子はqdc(KZのCタイプ)です。

Yinyoo TOPAZの2pin端子(qdc)の画像
最近増えているqdcタイプ。
Yinyoo TOPAZを手の上に乗せた画像
金属ハウジングのわりに軽め。

音質

箱出し

箱出し初期装備ではやや重みと濃さのある低域寄りで高音は十分出つつ刺激的過ぎず。バイオセルロースはエージングの影響が大きいらしいので箱出しチェックは早々にエージングに回しました。

エージング200時間~

エージングは長めに200時間行いましたが、大体100時間かからずに音の変化は止まったと感じました。低音域がタイトになります。

使用ケーブルは付属ケーブルです。複数の再生環境で評価しています。

付属イヤーピース(赤軸グレー)

高音の主張
4.0
★★★★★
★★★★★
高音域の音量
3.8
★★★★★
★★★★★
中音域の音量
4.1
★★★★★
★★★★★
低音域の音量
4.0
★★★★★
★★★★★
アタック感*
4.2
★★★★★
★★★★★
  • 『高音の主張』は金属音などの目立ち具合です。
  • 『アタック感』は低音のアタック感の音量的な強さ(ドンシャリのドンの強さ)です。
  • 低音域≒中音域≧高音域
  • 高音域はやや控えめだが金属音のきらびやかさはある
  • 低音域には量感、やや重み、濃さがある
  • 中音域はさほど凹みなく量感、濃さがある

周波数特性チェック用のスイープ音源で耳で聞いてチェックした限りでは、音量バランスは低音域≒中音域≧高音域です。全域の音量差はさほど大きくはなく、中年の耳で聞いた時にはわりとフラット傾向に近く感じられます。高音が控えめかつ低音が下の方からよく出ていて量感とやや重みと濃さがあるため、音楽を聞いているとスイープ音源で聞いて感じるよりも低音寄りに聞こえます。

高音域は音量的にも刺激的にもやや控えめです。また、この赤軸グレーのイヤーピース(以下、赤軸グレー)は高音のピークが部分的にやや緩和されるため、例えば金物系楽器のきらびやかさは感じられるのですがスネアドラムの音はやや高音不足を感じてしまいます。

中音域は比較的凹みなく鳴っており、やや音場が広めに感じられます。ボーカルは近くも遠くもないことが多いです。少し濃いめで厚みがあります。中音域で鳴る楽器だけでなくボーカルもやや濃く、実際の声より少し低めだと感じます。

低音域は重低音も出ていて自然な密度の量感があります。音に太さがあり若干膨らむ感じがありますがこれはこのイヤーピースのせいも大きいので変更すれば改善できます。

低音のアタック感の音量的な強さはやや強めで、中高音域は強すぎず弱すぎず。アタック感が少しでも弱いと気の抜けたような音色になる楽曲も不満を感じない程度でした。

音場はやや広めです。分離は良く、分かれすぎている感じもなくまずまず自然です。定位も同じく、ピタッと決まりすぎず自然だと思います。

情報量と解像度はこの価格帯で付属ケーブル使用としては普通だと思います。

わりと自然な立ち上がりとキレなのはバイオセルロースの特徴でしょうか。反響はあまりないようです。

付属イヤーピース(ブラック)

ブラックの付属イヤーピース(以下、付属ブラック)はちょっとペラペラで柔らかいため大きめサイズで蓋をするような使い方にはあまり向きません。

  • 赤軸グレーより高音のピークが出る
  • 赤軸グレーよりは低音域が膨らまない
  • 赤軸グレーよりボーカルが少し近づく
  • 低音のアタック感が音量的に少し強め

音域間の音量バランスは赤軸グレーと大きくは変わりませんが高音のピークの一部が少し高く出るようです。赤軸グレーで感じたスネアの高音成分不足を感じにくいです。シンバルの高音も赤軸グレーよりも出ています。赤軸グレーで感じる低音域の膨らみも気になりにくいです。

付属ブラックのように口径が広めなイヤーピースでは中音域があっさりしてしまうことがありますが、Yinyoo TOPAZの中音域はやや濃いめなので適度な範囲を出ず、あっさり感は感じません。むしろ赤軸グレーでやや低めだと感じたボーカルが実際の人の声に近づいていると思います。

低音のアタック感も音量的に少し強めなので、赤軸グレーよりもドンシャリ感が強まります。

その他

装着感

比較的耳にフィットし、装着感は良いと思います。長時間使ってみましたが全く問題ありませんでした。

音漏れと遮音性

ベント(通気穴)はあるものの内側なため音漏れは小さく、遮音性もわりと良い方だと思います。

付属ケーブル

付属ケーブルは銀メッキとのことですが高音はあまり伸びず低域にややどっしりめの厚みが出る傾向があるようでイヤーピースとの相性次第では低音域に膨らみを感じることがあります。

Yinyoo D2B4(レビュー)の黒皮膜バージョンのような見た目です。ちょっと滑りが悪い程度で取り回しの悪さはさほど感じず、タッチノイズも大きくありません。ただし張りがあるきしめん状なため、しまう時に面に沿って巻かないとちゃんと丸まってくれません。

Yinyoo TOPAZの付属ケーブルの画像
付属ケーブルは2本をくっつけてきしめん状になっています。

再生環境と駆動力

スマホでも音量は取れますが駆動力不足のこもり感が感じられ、音の明瞭さが劣ります。リケーブルでいくらか改善可能なので、駆動力の小さい再生環境をご利用の場合はリケーブルをおすすめします。

Yinyoo TOPAZとYYX4829とXperia X Performanceの画像
安くて相性の良いYYX4829と。

総評

Yinyoo TOPAZのバランスは付属ケーブルでは明らかに中低音域寄りなのですが、例えばBGVP DMG(レビュー)の密度のある低音やYinyoo D2B4(レビュー)の濃い中低音のような目立つ個性をあまり感じない、リアルさも感じられる自然な鳴りです。幅広い楽曲を違和感なく聴くことができ、なかなかのバランス型だと思います。聞き疲れず装着感も良いので長時間のリスニングに向いています。

Yinyoo TOPAZの画像2
長時間聴いていられます。

付属ケーブルでは高音域および高音の主張は控えめです。赤軸グレーでは結構控えめ、ブラックのイヤーピースなら金属音が必要とする高音のピークはまあまあ出ますがスネアドラムが必要とする高音成分は少し物足りません。

しかしTOPAZの実力としてはもっと高音のピークを出すことができます。安価で相性が良いのはTOPAZのアップグレードケーブルとして販売されている4芯銀メッキのYYX4829(Amazon/AliExpress)です。高音が出せて低音が少しだけ軽くなり、より自然でオールラウンドに使えるバランスになります。

Yinyoo TOPAZとアップグレードケーブルのYYX4829を組み合わせた画像
同時期に発売されたアップグレードケーブル。

中音域は落ち着きつつも自然でなかなかリアルで、どちらかというとしっとりした音色です。付属ケーブルでは若干現実の音より低めに出ている気がしますが、こちらもリケーブルでもっと原音に近くなることが多いです。

低音域は下の帯域からわりとしっかり出ていて全体に量感とややどっしり感がありつつも低音がドンドンと音量的に強い楽曲でも圧迫感を感じない自然な密度です。低音が衰えるイヤーピースやリケーブルでも低音不足になりにくく、その分高音に振ったカスタマイズが可能です。

付属イヤーピースはひどく合わないわけではありませんが惜しい感じです。個人的に付属ケーブルとの組み合わせでは赤軸グレーはナシ、ブラックはまあまあアリ。付属ケーブルにおすすめのイヤーピースは次回レビューします。

初期装備のYinyoo TOPAZをおすすめできるのは、重心やや低めが好み、ある程度幅広い楽曲に合わせたい、高音の主張が強いのは苦手な人です。

付属ケーブルの控えめな高音は中低音域とのバランスがまあまあ取れていて聞きやすく、好みの楽曲次第では総合的には意外と不満を感じない人もいると思います。付属ケーブルと付属イヤーピース、もしくは付属ケーブルと市販の汎用イヤーピースへの変更で満足できる人もいるでしょう。

高音・明瞭さ・重心の低さに不満があるならリケーブル推奨です。安価なアップグレードケーブルも販売されていますし、もちろん単結晶銅など上位価格帯のリケーブルではより明瞭でクリアさが向上し、相応の音質向上が期待できます。個人的には銀メッキの方が相性が良いと感じました。

TOPAZについては久々にリケーブル編の準備をしています。qdcタイプが販売されている新着リケーブルを追加購入したのでそれも試してから公開します。AliExpressでの購入で到着まで時間がかかるため、リケーブル編の公開は月末近くになる見通しです。qdc対応の中華リケーブルは『中華リケーブル一覧(qdc/KZ Cタイプ)』からご確認ください。

逆に初期装備のYinyoo TOPAZをおすすめできないのは、高音がしっかり出ていないと不満な人、メリハリのある音色が好みな人、疾走感のある楽曲を好む人です。

リケーブルすれば高音は出るのですがそれでも中低音域寄りではあるので、高音好きな人には物足りないかもしれません。

Yinyoo TOPAZのレビュー、次回はおすすめイヤーピース編です。