今回からYinyoo V2のリケーブル編レビューです。その1では3千円未満のリケーブルについて評価していきます。V2はケーブルが下に向く掛け方と耳掛け(SHURE掛け)の2WAYが可能ですが、耳掛け型は2WAYでは使えませんのでご注意ください。
なお中華イヤホンはロットの違いや個体差(ばらつき)で音が違うことがあるため、Yinyoo V2のレビュー第1回をお読みになって付属ケーブルのレビュー内容がご自身の感じ方に近いかどうか確認していただけると、より参考にしていただけると思います。
結論だけでよろしければ『まとめ』だけご覧ください。
- 所有しているリケーブルの多くがmmcx端子なので、一部mmcx→2PIN変換アダプター(完売)を使用しています。
- イヤーピース変更の提案もしていますが、耳の形状によっては必ずしも私と同じ感じ方になると限りません。ご了承ください。
- ≒が使用されている場合は左から順に音量が大きいという意味です。
- イヤホンレビューの見方や用語の説明などは『当ブログのイヤホン・ヘッドホンレビューの見方(2018/10/24版)』をご覧ください。
共通の変化
3千円未満のものでV2をリケーブルした場合、程度に差はありますが同じ傾向の変化が見られます。
- 中音域がやや衰える
- 重み・厚み・広がりがやや衰える⇒締まる
- 分離と定位が良くなる
- 情報量が増える
- 分離と定位向上
特に低音の重み・厚み・広がりが衰えることによって音が締まります。相性の良い楽曲で感じられることのあるふわっと包まれるような感覚や音の間を埋めるような古い音源が艶っぽく聞こえるような感覚の衰えにつながり、タイトになるほどこれが失われる傾向があります。
アンプを使用する(もしくは駆動力のあるDAPを使用する)ことで更に音が締まりますが、重み・厚み・広がりも更に衰える傾向があります。一部ケーブルでは付属ケーブルと同様アンプを使わない方がバランスが良い場合があるためその点も気にして選んでください。
銅線
Yinyoo YYX4785(4芯純銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4785
- 芯数:4芯
- 芯材:純銅
- 耳掛けタイプ
- スライダー付き
- 1,489円(2018/12/25)
耳掛けタイプなため2WAYでは使用できません。
- 低音域≒中音域≧高音域
- 高音域の主張がやや強まった
- 低音のアタック感が音量的に少し強まった
- 低音が少しタイトになった
- 情報量の向上は大きくない
- 解像度は中低音域で向上
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧低音域≧高音域ですがアタック感が音量的に少しだけ大きくなったため、音楽を聞いていると低音域≒中音域≧高音域に聞こえることが多いです。
高音の主張がやや強まり金属音がやや強く出るようになりました。高音の凹凸の変化で締まったようです。 中音域はやや衰えました。低音域は豊満さが衰えたもののアタック感が強まっているので音量的な不足感はありません。
4芯なので音質向上は控えめですが、中低音域は解像度が上がったと感じます。
イヤーピースが合っていないと高音と低音の締まり具合に差が出ます。付属イヤーピースがダメならRHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース、クリスタルチップスなどがおすすめです。マイルドながら低音のアタック感があり高音に過不足のない音になります。より高音を出して弱ドンシャリ感を出したいならJVCスパイラルドットも良いと思います。
今回おすすめできるリケーブルの中では安価かつ汎用性が高く他のイヤホンに流用しやすいケーブルなので、お試しにもおすすめです。
Yinyoo YYX4753(6芯純銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4753
- 芯数:6芯
- 芯材:純銅
- ストレートタイプ
- スライダー付き
- 1,989円(2018/12/25)
かなりお安いですが音は悪くありません。ZO6255のレビュー(2)、audbos k5(TENHZ k5)のレビュー(2)、BQEYZ KC2のレビュー(2)でも比較しており、audbos k5(TENHZ k5)とBQEYZ KC2のリケーブル編ではおすすめリケーブルにランクインしています。
- 低音域≒中音域≒高音域
- 中音域が衰えた
- 低音域が強まった
- 低音のアタック感が強まった
- なんとなく気が抜けている
全域が同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧低音域≒高音域ですが、中音域が衰えて低音域が少し出てきてアタック感もやや強めなため音楽を聞いていると低音域≒中音域≒高音域くらいに感じられます。
中音域は音量的に衰えました。低音のアタック感は音量的に大きくなりましたが、低音域の下の方が弱ったのかだいぶ重み・厚み・広がりが抑えられてあっさりしました。
しかし、アタック感があるのになんとなく気が抜けたような音です。イヤーピース変更してもアンプを使っても改善しませんでした。相性が良くないようです。
HiFiHear HiF4774(8芯高純度無酸素銅)
- ブランド:HiFiHear
- 型番:HiF4774
- 芯数:8芯
- 芯材:高純度無酸素銅OFC
- 耳掛けタイプ
- 2,350円(2018/12/25)
耳掛けタイプなので2WAYでは使えません。
- 所有ケーブルがmmcx端子なのでmmcx→2PIN変換アダプターを使用しています。
- 低音域=中音域≧高音域
- 高音の金属音の主張がわずかに強まった
- 低音域がやや出てきた
- 低音のアタック感が少し弱まった
全域が同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≒低音域≧高音域です。若干弱まったものの低音のアタック感があるので音楽を聞いていると低音域=中音域≧高音域に聞こえることが多いです。
わずかですが金属音の主張が強まった気がします。気になるならクリスタルチップスが音の広がりを邪魔しすぎず良さそうですが、それでもまだ高音が強いならコンプライ Ts-400かコンプライ T-400ですね。
ふわっと感は比較的残っている方だと思います。アンプを使用すると締まるのにふわっと広がる傾向があるもののボーカルが近づくのが気になります。アンプなしで良いと思います。
わりと使いやすいマイルド系低音寄り弱ドンシャリになりました。他の銅線ほどタイトではありませんので、ジャズなど付属ケーブルで相性の良い楽曲を聞くならYYX4785よりはこのケーブルとコンプライの組み合わせの方が良いでしょう。
NICEHCK CT1(8芯高純度無酸素銅)
- ブランド:NICEHCK
- 型番:CT1
- 芯数:8芯
- 芯材:高純度無酸素銅
- 耳掛けタイプ
- スライダー付き
- 通常価格:2,550~2,650円(2018/12/25)
銅線の中ではすっきりとした音色のリケーブルです。耳掛けタイプなので2WAYでは使えません。
- 所有ケーブルがmmcx端子なのでmmcx→2PIN変換アダプターを使用しています。
- 低音域=中音域≧高音域
- 高音域の主張がほんのちょっと強まった
- 中音域が衰えた
- 低音がタイトになった
- 低音のアタック感が強まった
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≒低音域ですが、低音のアタック感が少し強まったので音楽を聞いていると低音域=中音域≧高音域に聞こえます。低音寄り弱ドンシャリ傾向です。
高音域は音量的も主張的にも少しずつ強まり、中音域は音量的に衰えました。低音のアタック感は付属ケーブルよりタイトで音量的にやや強めで、その影響か低音域全体も強まったように感じられます。
付属イヤーピースで締りのバランスが良くない場合はRHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース、高音を弱めたいならクリスタルチップスかコンプライ Ts-400(もしくはコンプライ T-400)が良さそうです。高音を出すタイプは出過ぎてしまいなんとなくバランスが良くなかったです。
アタック感強めで適度にタイトなので、マイルドなりに少しでもメリハリが欲しいならおすすめです。
Yinyoo YYX4769(8芯高純度7n無酸素銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4769
- 芯数:8芯
- 芯材:高純度無酸素銅線 7N OFC
- ストレートタイプ
- スライダー付き
- 価格2,750円(2018/12/25)
どちらかというとマイルドなタイプのリケーブルです。
- 所有ケーブルがmmcx端子なのでmmcx→2PIN変換アダプターを使用しています。
- 中音域≒高音域=低音域
- 高音がややシャープになった
- 低音のアタック感が強まった
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≧低音域です。高音がシャープになり目立つようになったことと低音のアタック感が強まったことで音楽を聞いていると中音域≒高音域=低音域に聞こえることが多いです。
高音域は主張が強まった風ではないのですがシャープになり耳につきやすくなりました。タイトになっているもののまだ緩めな低音との締まりのバランスが取れていないのでウレタンフォーム素材のイヤーピースが合う…のですが広がりが一層抑えられて単調になったり、それを補おうとすると低音が弱まったり一長一短です。
あまり相性が良くないようです。アンプを使ってもバランスが取れませんでした。
NICEHCK 型番なし(8芯OFC)
- ブランド:NICEHCK
- 型番:型番なし
- 芯数:8芯
- 芯材:OFC(無酸素銅)
- ストレートタイプ
- 2,950円(2018/12/25)
- 低音域=中音域≧高音域
- 高音の主張が強まった
- 低音のアタック感が少し弱まった
- ちょっとぼんやり
全域が同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≧低音域ですが、高音の主張が強まったことと中音域が少し引っ込んだことで音楽を聞いていると低音域=中音域≧高音域に聞こえることが多いです。
金属音とサ行の不快感につながる部分の主張がやや強まりました。しかし強すぎるわけではないこととあまりシャープでないのかさほど耳には付きません。中音域は音量的に衰えました。低音域は音量的には変化ないようですがアタック感が弱まったことでちょっと控えめになった印象を受けます。
全体的にぼんやりしていると感じる可能性がありそうです。ウレタンフォーム素材のイヤーピースで少し締まりますが、なんだかか弱くなったような印象を受けます。比較した中ではふわっと感が残っており悪くないのですが、もう少し力強さが欲しいというか、なんとなく物足りません。
Yinyoo YYX4783(8芯純銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4783
- 芯数:8芯
- 芯材:純銅
- 耳掛けタイプ
- 2,989円(2018/12/25)
このケーブルは4芯のYYX4785(本記事内解説)と芯材が同じなのか音の傾向も非常に似ており上位互換のような音色で、4芯か8芯かの違いしか感じないことが多いです。なお耳掛けタイプなので2WAYでは使えません。
- 低音域≒中音域≧高音域
- 中音域がちょっとだけ衰えた
- 低音のアタック感が少しだけ弱まった
- 低音が少しタイトになった
- 情報量の向上は大きくない
- 解像度は中低音域で向上
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≒低音域ですが低音のアタック感がややしっかりしているので、音楽を聞いていると低音域≒中音域≧高音域に聞こえます。
高音域はちょっとだけシャープになったのか少しシャッキリしました。中音域は微妙に衰えたと言うよりも低音のアタック感がしっかりめなことで衰えたかのように感じるのかもしれません。低音域は適度に締まります。
YYX4785(本記事内解説)と基本的には同傾向ですがあちらは4芯でこちらは8芯ということで情報量は8芯のこちらの方が向上しているように感じます。解像度は中低音域で向上しました。
イヤーピースが合っていないと高音と低音の締まり具合に差が出ます。付属イヤーピースがダメならRHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース、クリスタルチップスなどがおすすめです。マイルドながら低音のアタック感があり高音に過不足のない音になります。より高音を出して弱ドンシャリ感を出したいならJVCスパイラルドットも良いと思います。
銀メッキ
TRN v20(4芯高純度銅)
- ブランド:TRN
- 製造元リファレンス:v20
- 芯数:4芯
- 芯材:銀メッキ高純銅
- 価格:1,299円(2018/12/25)
- 中音域≧高音域≒低音域
- 低音域の厚み・重みが衰えた
- 低音のアタック感が衰えた
- 全体的に締まった
- 情報量は増えず
- 生々しさが失われた
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≒低音域です。銅線ケーブルほど厚みが出ないこともあって低音の重み・厚み・アタック感が衰え、全体的に弱々しくなりました。アタック感だけでも回復すべくradius DEEP MOUNTを使ってみたのですがV2の個性はほとんど失われてしまいました。
相性の良い楽曲で感じられる良さごと全部消えてしまうので、相性が非常に悪いです。
Yinyoo YYX4734 4芯銀メッキ7n高純銅
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4734
- 芯数:4芯
- 芯材:銀メッキ7n高純銅
- ストレートタイプ
- スライダー付き
- 1,900円(2018/12/25)
- 中音域≒高音域≧低音域
- 中音域がごくわずかに衰えた
- 全体的に締まった
- 解像度が落ちた?
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≒高音域≧低音域ですが、全体的に締まったことで音楽を聞いているとアタック感のある弱ドンシャリっぽいバランスに聞こえます。
また、シャキッとしたのですがそれだけというか、解像度が落ちたと感じます。音色が悪いわけではないのですが締まる以外に付属ケーブルに買っている部分がないように感じます。
YYX4768(4芯銀メッキ)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4768
- 芯数:4芯
- 芯材:銀メッキ
- 価格:2,180円(2018/12/25)
- 低音域≒中音域≒高音域
- 高音域がわずかに大きくなった
- 中音域がわずかに衰えた
- 低音のアタック感がわずかに衰えた
- 情報量が増えた
- 中高音域の解像度向上
- アンプ不要
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≒高音域≒低音域ですが、バランスが少し変わったものの各音域の音量差は小さく低音のアタック感が適度なので音楽を聞いているとアタック感のある低音寄りフラット傾向なように感じられます。
高音域は音量的にごくわずかに強まりました。中・低音域とのバランスではフラットなイヤホンの聞こえ具合に近いです。中音域も音量的にわずかに衰えましたが、中・高音域の解像度は向上したようです。低音域はアタック感がわずかに衰えました。
アンプの使用でアタック感が少しだけ回復し高音が少しだけ主張気味になり、響きが補われて広がりが出る傾向がありました。ですがあまりバランスが良くないと感じたのでアンプは使わなくて良いと思います。
イヤーピースはradius DEEP MOUNTが低音のアタック感がしっかりして中音域だけがぼんやりするアンバランスさも改善するので、付属イヤーピース等が合わない場合はおすすめです。
しっとり感がなくなり少し音色が乾き豊満さはそこそこ失われましたが、高音がシャープになり過ぎず低音はマイルドに締まりバランスは良いです。V2の中・低音域に飽和感を感じる、安価にリケーブルしたい、艶や生々しさが衰えても良いならおすすめです。ただしボーカルがあまり魅力的ではない気がします。ボーカル曲を聞きたい人にはおすすめできません。
Yinyoo YYX4731(4芯銀メッキ銅線)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4731
- 芯数:4芯
- 芯材:銀メッキ銅線
- スライダー付き
- 2,199円(2018/12/25)
付属ケーブルが銀メッキなら音のバランスをあまり変えずにちょっとだけ音質を向上してくれるケーブルです。しかし4芯なので向上具合はそこそこ…。
- 中音域≧高音域≒低音域
- 高音がややシャープになった
- 中音域がごくわずかに衰えた
全域が同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≒低音域ですが音量差は小さく、低音がアタック感で補われていることで中音域≧高音域=低音域に聞こえることが多いです。
高音域は一部分だけ出てきて少しだけ主張するようになり、締まりも増しました。中低音との締まりの違いを比較的バランス良くしてくれたのはaudio-technica finefitです。中音域はごくわずかに衰えました。低音域は下の方の帯域が弱ったようでやや締まりましたが、ある程度の重み・厚み・広がりが残っています。
しかしなんとく気合いの入った音が出ません。また、ボーカルがあまり魅力的ではありません。たまに良い感じに聞こえる楽曲もあるので相性が偏ったようです。あまり使いやすくはありませんね。
Kinoofi KBF4758(6芯銀メッキ銅)
- ブランド:Kinboofi
- 型番:KBF4758
- 芯数:6芯
- 芯材:銀メッキ銅
- ストレートタイプ
- 通常価格:2,100円(2018/12/25)
- 低音域≒中音域≧高音域
- 高音域の主張が少しだけ強まった
- 中音域がぼやけた
- 低音がややタイトになった
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧低音域≧高音域ですが、低音のアタック感が強めで締まりが適度にタイトなため音楽を聞いていると低音域≒中音域≧高音域です。
高音域はほんのちょっとだけ主張が強まり、まだマイルドではありますが金属音とサ行の刺さりに影響する部分が強まりました。中音域は若干衰えたようです。低音域はややタイトになり締まり具合が中音域に近くなりました。低音の重み・厚み・広がりが衰えましたがシャキッとしたわけではなく聞きやすい程度です。
しかし中音域の方がぼやけたような印象を受けます。また、中音域に凹みができたようで力の入っていない音が聞こえることがありました。相性が良くないようです。
HiFiHear HiF4764(6芯7n高純銅銀メッキ)
- ブランド:HiFiHear
- 型番:HiF4764
- 芯材:7n高純銅銀メッキ
- 芯数:6芯
- ストレートタイプ
- 価格:2,400円(2018/12/25)
- 所有ケーブルがmmcx端子なのでmmcx→2PIN変換アダプターを使用しています。
- 中音域≒低音域≒高音域
- 高音の主張がやや強まった
- 中音域が衰えた
- 低音域がややタイトになった
- 弱ドンシャリ感
- イヤーピースはクリスタルチップス限定
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≒低音域ですが、高音の主張が強まったことと低音のアタック感がしっかりめなことで、音楽を聞いていると中音域≒低音域≒高音域に聞こえることが多いです。
高音域は金属系とサ行の不快感に関係する部分が強まりましたが元々マイルドなので気にする必要はなさそうです。若干弱ドンシャリ感が出ました。中音域は衰え、低音域は中音域とのバランスが取れる程度にややタイトに締まりました。音の重み・厚み・広がりも衰えましたがV2の個性を垣間見られる程度です。
クリスタルチップスを使用するともう少し締まって響きが追加され、付属ケーブルに比べるとクリアに広がる印象になります。衰えた中音域も適度に補われるようです。低音の重み・厚み・広がりの衰え過ぎもこれまで試した銀メッキの中では小さいです。
アンプを使用すると高音の主張だけが強まる傾向があるためアンプなしで良いと思います。
イヤーピースがクリスタルチップスに限定されますが相性は悪くありません。マイルドで聞きやすい低音寄り弱ドンシャリです。
Kinboofi KBF4735(8芯銀メッキ銅線)
- ブランド:Kinboofi
- 型番:KBF4735
- 芯材:銀メッキ銅線
- 芯数:8芯
- 耳掛けタイプ
- 2,500円(2018/12/25)
いずれも相性はよくありませんでしたが、ZO6255のレビュー(2)とaudbos k5(TENHZ k5)のレビュー(3)でも比較しています。
- 所有ケーブルがmmcx端子なのでmmcx→2PIN変換アダプターを使用しています。
- 中音域≧高音域≧低音域
- 高音の主張が強まった
- 中・低音域がやや締まった
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧高音域≧低音域です。高音がややシャープで主張があることと低音のアタック感が音量的には出ているのにマイルドに聞こえるため音楽を聞いていてもバランス的には近い印象です。
高音域は金属音とサ行の不快感に関係する部分が強まり締まりました。突出し過ぎているわけではありませんが低音域と締まりのバランスが合っていないのでイヤーピースを選びそうです。中音域は適度に締まりました。それ以外の変化は大きくないようです。低音域は締まりましたが他の音域ほどではなく、しかし飽和感を感じない程度です。
ですが締まりのバランスが納得できるレベルまで整うイヤーピースがどうしても見つかりませんでした。
Yinyoo YYX4762(8芯銀メッキ銅線)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4762
- 芯材:銀メッキ銅線
- 芯数:8芯
- ストレートタイプ
- 価格:2,999円(2018/12/25)
ZO6255のレビュー(2)とaudbos k5(TENHZ k5)のレビュー(3)でも比較しており、ZO6255ではおすすめリケーブルにランクインしています。
- 低音域=中音域≧高音域
- 高音の一部が少し強まった
- 高音がややシャープになった
- 低音がタイトになった
- 情報量が増えた
- 中音域の解像度が上がった
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧低音域≒高音域ですが、低音のアタック感がわずかに強まったことで音楽を聞いていると低音域=中音域≧高音域に聞こえます。
高音の一部が強まったことでシャープに感じられるようになり金属音・サ行の不快感ともにちょっとずつ強まった印象です。中音域はあまり変化がないようですが、イヤーピースの相性が悪いと音がかなりくもります。丸みがあって穴が小さい形状のものが合うようでした。低音域は適度に締まってタイトになりました。低音域の下の方が衰えすぎていないのか重みと厚みの衰えが小さいです。
Sound Wave プレミアム イヤーピースを使うと更にタイトになりますが低音の重みのあるアタック感を保ちつつ、高音は出過ぎません。SONY ハイブリッドイヤーピースでは更に締まりますがSound Wave プレミアム イヤーピースよりも低音のアタック感が弱まります。
アンプを使用すると高音だけ締まる傾向があるようです。イヤーピースを厳選して整えたバランスが崩れるので使わない方が良いと思います。
イヤーピースさえ合えば悪くないと思いますが、意外と合わせるのが難しいです。
YYX4775(8芯銀メッキ)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4775
- 芯材:銀メッキ銅線
- 芯数:8芯
- 耳掛けタイプ
- 価格:2,999円(2018/12/25)
KZ ZS6のレビュー(2)でおすすめリケーブルに入っています。耳掛けタイプなため2WAYでは使用できません。
- 中音域≒低音域≧高音域
- 高音の主張がわずかに強まった
- 低音のアタック感が衰えた
- 低音域全体の音量は増した
- 音にパンチがない
- イヤーピースはコンプライ限定
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≒低音域≒高音域です。低音域が音量的に増したのですが低音のアタック感が弱まったため音楽を聞いている時のバランスも概ね似たようなバランスです。
中・高音域は音量的に変化はなさそうですが、金属音とサ行の不快感に関係する部分が少し出てきたようです。しかしどうしても抑えたいレベルではなさそう。低音域は前述した通り音量的に増しアタック感が弱まりました。低音域の下の方が少し衰えたため、厚み不足ではありませんが付属ケーブルのような重厚感はありません。パンチがないと感じます。
コンプライ Ts-500を使うと低音を上手く整えてくれるのですが高音が減衰することもあって音色が非常にマイルドです。個人的な好みからは外れますがこういう音色が好きな人もいるんじゃないでしょうか。
V2の低音は広がりすぎる、高音の刺激はいらない、強いアタック感もいらない、ともかくマイルドな音色を求めている人におすすめです。ただしイヤーピースはコンプライ一択かと。
その他
TRN TRX4791(8芯銀メッキ線と高純度銅線のミックス)
- ブランド:TRN
- 型番:TRX4791
- 芯数:8芯
- 芯材:銀メッキ線と高純度銅線のミックス
- 耳掛けタイプ(チューブ)
- スライダーなし
- 価格:2,289円(2018/12/25)
- 低音域=中音域≧高音域
- 高音域は音量的に微妙に弱まった
- 低音のアタック感が微妙に弱まった
全域がほぼ同じ音量の音源では音域間の音量バランスは中音域≧低音域=高音域ですが、低音のアタック感はそこそこあり、音楽を聞いていると低音域=中音域≧高音域に聞こえることが多いです。
高音域は音量的に微妙に弱まりました。中音域はあまり変化がないようです。しかし楽曲によってはこもっているような気がします。低音域は音量的に微妙に増えたのか、アタック感の弱まりを補えているようです。
しかし相性の良いイヤーピースを見つけても楽曲によってはぼんやりこもってしまうことがあります。締まるタイプのリケーブルなのでうまくいくかと思ったんですがイマイチでした。
TRN MHB8(銀メッキ線と高純度銅線のミックス)
- ブランド:TRN
- 型番:MHB8
- 芯数:8芯
- 芯材:銀メッキ線と高純度銅線のミックス
- 耳掛けタイプ(チューブ)
- スライダーなし
- 価格:2,290円(2018/12/25)
2018/11/24
840円OFF⇒ US$ 8.00⇒- 中音域≧低音域=高音域
- バランス自体は付属ケーブルに近い
- 高音域の主張がわずかに強まった
- 全域で締まる
全体的に付属ケーブルのバランスに似ています。音楽を聞いた時は低音のアタック感込みで低音域≒中音域≧高音域です。
AET07aではシャキシャキ過ぎずマイルド過ぎず、全域で締まります。弱ドンシャリ傾向です。やや重みと厚みのある低音域、聞きやすい中音域、出っ張りすぎない高音域でバランスが良いもののボーカルが近寄りました。ふわっとした広がりも音の隙間を埋めるような広がりも衰えます。
声が近すぎるのでボーカル曲には合わないと思います。おすすめには入れませんが、ボーカル曲を聞かないならナシとまでは。
HiFiHear HiF4777 銀メッキ高純度無酸素銅(OFC)
- ブランド:HiFiHear
- 型番:HiF4777
- 芯数:8芯
- 芯材:銀メッキ高純度無酸素銅
- 耳掛けタイプ
- 2,900円(2018/12/25)
- 中音域>高音域≧低音域
- 高音の主張が強まった
- 低音域が衰えた
- 低音のアタック感が強まった
- 全域で締まった
- ボーカルが近寄った
高音域の主張が強まり低音が衰えたもののアタック感は音量的に強まっており、音楽を聞いていると低音域≒中音域≒高音域に聞こえることが多いです。
ボーカルが非常に近寄るためかなり聞きづらいです。相性が悪いようです。
Kinboofi KBF4773 8芯銀メッキ&銅線ミックス
- ブランド:Kinboofi
- 芯材:銀メッキ&銅線ミックス
- 芯数:8芯
- 耳掛けタイプ
- スライダー付き
- 価格:2,999円(2018/12/25)
- 中音域≧低音域≧高音域
- 中音域が出てきた
- 距離感が近すぎる
音楽を聞いていると中音域=低音域≧高音域なのですが、どうにも距離が近すぎます。感じる以上に中音域が出てきているようです。気になりすぎるので評価はここまで。相性が悪いです。
まとめ
基本的にはどのケーブルも思った以上にV2の低音の個性が消える結果となりました。どうもあの豊満さ(あるいは飽和感)の要素の半分は付属ケーブルにあったようです。
V2の付属ケーブルは駆動力のある再生環境との相性がいまひとつなため、自分の再生環境とV2の相性が良くないならばリケーブルが効果的かもしれません。アンプ不要と記載しているケーブルも付属ケーブルのような不満を感じにくいです。
改めて3千円未満のリケーブルに共通の傾向は以下の通りです。
- 中音域がやや衰える
- 重み・厚み・広がりがやや衰える⇒締まる
- 分離と定位が良くなる
- 情報量が増える
- 分離と定位向上
銅線
この価格帯では銅線ケーブルの方が付属ケーブルの音色に近いです。おすすめに入った銅線ケーブルはいずれも音の傾向が似ています。
ちなみに先に書いておくと、汎用性が高い(V2との相性が気に入らなくても他のイヤホンに流用しやすい)のはYYX4785(本記事内解説)かYYX4783(本記事内解説)です。迷ったらこの2本のどちらかを買っておくと、先々リケーブルへの興味が続いた時に便利だと思います。
YYX4785(本記事内解説)・YYX4783(本記事内解説)>CT1(本記事内解説)>HiF4774(本記事内解説)の順にタイトで、アタック感はCT1>HiF4774>YYX4785・YYX4783の順に強いです。
銅線は太いタイプの方が相性が良いようで、そのせいかおすすめは全て耳掛けタイプです。2WAYでは使えませんのでご了承ください。ストレートタイプのリケーブルをご検討の場合は次回以降もご覧くださいね。
- YYX4785 4芯純銅
- 1,489円
- 耳掛けタイプ
- 低音域≒中音域≧高音域
- マイルド系低音寄り弱ドンシャリ
- 情報量の向上は大きくない
- 解像度は中低音域で向上
- アンプ使用で更に締まる
YYX4785(本記事内解説)は、おすすめの中で最も安価です。4芯なので情報量などの大幅な向上は望めませんが適度に締まり使いやすいバランスです。付属イヤーピースが合わない場合はRHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース、クリスタルチップス、JVCスパイラルドットが良いと思います。
- HiF4774 8芯高純度無酸素銅
- 2,350円
- 耳掛けタイプ
- 低音域=中音域≧高音域
- マイルド系低音寄り弱ドンシャリ
- 高音の金属音の主張がわずかに強まった
- 低音域がやや出てきた
- 低音のアタック感が少し弱まった
- アンプ不要
HiF4774(本記事内解説)では高音の金属音の主張がやや強まるため、気になる場合はウレタンフォーム素材のイヤーピースで抑えると良いです。今回評価した中ではタイト過ぎず、ふわっと感が残っています。付属ケーブルで相性の良い楽曲を聞くならこのケーブルとコンプライを使うのがおすすめです。
- CT1 8芯高純度無酸素銅
- 2,550~2,650円
- 耳掛けタイプ
- 低音域=中音域≧高音域
- マイルド系低音寄り弱ドンシャリ
- 高音域の主張が強まった
- 低音のアタック感はやや強い
- アンプ使用で締まる&広がる
CT1(本記事内解説)は今回評価した中では最も低音に重めなアタック感のあるケーブルです。緩くはありませんがタイト過ぎないので更に締めたいならアンプを使用すると良いでしょう。アンプの使用で広がりも少し回復します。付属イヤーピースで締まりのバランスが良くない場合はRHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース、クリスタルチップス、コンプライ Ts-400、コンプライ T-400が良さそうです。
- YYX4783 8芯純銅
- 2,989円
- 耳掛けタイプ
- 低音域≒中音域≧高音域
- マイルド系低音寄り弱ドンシャリ
- 解像度は中低音域で向上
- アンプ不要
YYX4783(本記事内解説)は1本目におすすめしたYYX4785(本記事内解説)をそのまま8芯にしたような音色です。もちろん8芯の方がより音質が向上します。アンプを使うとボーカルが近づく傾向があるため、気になる場合はアンプなしで良いと思います。付属品が合わない場合のおすすめイヤーピースはRHA デュアル・デンシティシリコンイヤーピース、クリスタルチップス、JVCスパイラルドットです。
銀メッキ
銀メッキリケーブルではケーブルによってフラットに近寄ったり弱ドンシャリに近寄ったりとバランスが変わることが多いようです。バランスや音の印象を変えたくないなら3千円未満の銀メッキリケーブルは向かないと思います。
- YYX4768 4芯銀メッキ(本記事内解説)
- 2,180円
- ストレートタイプ
- 低音域≒中音域≒高音域
- 低音寄りフラット傾向
- 高音域がわずかに大きくなった
- 中音域がわずかに衰えた
- 低音のアタック感がわずかに衰えた
- 中高音域の解像度向上
- アンプ不要
しっとり感がなくなり少し音色が乾き豊満さはそこそこ失われましたが、高音がシャープになり過ぎず低音はマイルドに締まりバランスは良いです。V2の中・低音域に飽和感を感じる、安価にリケーブルしたい、艶や生々しさが衰えても良いならおすすめです。ただしボーカルがあまり魅力的ではない気がします。ボーカル曲を聞きたい人にはおすすめできません。付属イヤーピースが合わない場合はradius DEEP MOUNTがおすすめです。
高音の主張と中・低音域の締まりのバランスが取れるイヤーピースがクリスタルチップスに限定されます。高音の主張が強まり低音が適度に締まるため弱ドンシャリ感があります。
- YYX4762 8芯銀メッキ銅線(本記事内解説)
- 2,999円
- ストレートタイプ
- 低音域=中音域≧高音域
- 低音寄り弱ドンシャリ
- 中音域の解像度が上がった
- アンプ不要
高音が部分的にシャープに強まり低音域の重厚感が衰えすぎないので低音寄り弱ドンシャリ感があります。付属イヤーピースでバランスが良くないときのおすすめはSound Wave プレミアム イヤーピース(更にタイトになりますが低音の重みのあるアタック感を保ちつつ、高音は出過ぎない)、SONY ハイブリッドイヤーピース(更に締まるがSound Wave プレミアム イヤーピースよりも低音のアタック感が弱まる)です。
- YYX4775 8芯銀メッキ(本記事内解説)
- 2,980円
- 耳掛けタイプ
- 中音域≒低音域≧高音域
- 高音も低音も穏やかに弱るマイルド系
- 音にパンチはない
- イヤーピースはコンプライ一択
比較したケーブルの中ではひたすらマイルドです。個人的な好みからは外れますがやんわり控えめマイルドが好みならアリかもしれないと思えるバランスです。
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- Yinyoo V2
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- 2018/11/12 [レビュー] Yinyoo V2 (1) – 低音がゆったりと心地よいイヤホン
- 2018/12/25 [レビュー] Yinyoo V2 (2) – リケーブル編その1(3千円未満)【本記事】