BQEYZ KC2のレビュー2回目はリケーブル編その1です。3千円以下のリケーブルについて書いて行きます。結論だけでよろしければ⇒『まとめ』だけどうぞ。
なお中華イヤホンはロットの違いやばらつきで音が違うことがあるため、できればレビュー第1回をお読みになって付属ケーブルのレビュー内容がご自身の感じ方に近いかどうか確認していただけるとより参考にしていただけると思います。
所有しているリケーブルの大部分がmmcx端子なので、ケーブルによってはmmcx→2PIN変換アダプターを使用しています。記載がなければイヤーピースはクリスタルチップスです。シリコンの方がお好きならAET07a辺りも良さそうですよ。
目次
付属ケーブル
BQEYZ KC2+付属ケーブルの音質は以下の通りです。
- 高音寄りフラット
- 高音は刺さるやや手前まで出ている
- 低音は不足なし
- わずかに反響音
- 音場広め
- クリアよりも音場
- 情報量はなかなか
- 解像度はもうひと息
- ボーカルが聞きやすい
- イヤーピース次第では少しこもる
イヤーピースの選択次第で高音の出具合とこもり具合が変わります。
少しだけ反響音を出して音場を広げているようです。反響音は断固NG!という方はイヤーピース次第で付属ケーブルを使う場合は多少気になるかもしれません。
価格帯と付属ケーブルであることを考えると情報量は多めなのですが解像度が追いついていないのが少々残念なところ。
銅線
Yinyoo YYX4753(6芯純銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4753
- 芯数:6芯
- 芯材:純銅
- ストレートタイプ
- スライダー付き
- 12ヶ月保証
- 1,989円(2018/09/09)
かなりお安いですが音は悪くありません。ZO6255のレビュー(2)とaudbos k5(TENHZ k5)のレビュー(2)でも比較しており、audbos k5(TENHZ k5)のリケーブル編ではおすすめリケーブルにランクインしています。
- やや高音寄りフラット
- 高音は刺さらず十分
- 厚みが増した
- ややマイルド
- 反響音が微妙に抑えられた
- 音場が微妙に狭まった
付属ケーブルも銅線らしいので、音域のバランスは概ね変わりないようです。低音域の下の方がよく出ているようで厚みが増しました。しかしそのせいでイヤーピースによっては付属ケーブルよりもこもりやすいようです。また、全体的にややマイルドになります。
反響音が微妙に抑えられたことによって音場が狭まりますが、わずかだと思います。分離は良くなり、情報量と解像度のバランスも付属ケーブルよりは良いのではないでしょうか。
クリアさの向上は感じられないので、スキッとさせたいなら向かないと思います。
おすすめ具合は付属ケーブルで極力こもらない物を見つけられているかどうかによります。付属ケーブルでこもると感じにくいイヤーピースを見つけられている、リケーブルに興味はあるがあまり投資できない、情報量と解像度のバランスを少しでも整えたいならおすすめできます。
NICEHCK CT1(8芯高純度無酸素銅)
- ブランド:NICEHCK
- 型番:CT1
- 芯数:8芯
- 芯材:高純度無酸素銅
- 耳掛けタイプ
- 12ヶ月保証
- 通常価格:2,550~2,650円(2018/09/09)
- 09/09時点で 300円値引き中
銅線の中ではすっきりとした音色のリケーブルです。所有しているのはmmcxなためmmcx→2PIN変換アダプターで試聴しています。
- フラットに寄ってきた
- 高音は刺さらず
- 低音は過不足なし
- 厚みが少し増した
- 反響音が少し抑えられた
- 音場はわずかに狭まった
高音がごくわずかに衰えてフラットに近寄りました。しかし高音が足りないと迫力不足になる楽曲でも問題は感じない程度です。シンバル系など高音の楽器の主張がちょっとだけ落ち着いて欲しいなら、特にウレタンフォーム素材のイヤーピースで聞きやすいバランスです。低音域から中音域にかけての厚みは増したと感じます。
少しだけ音が締まり反響音はやや落ち着いたようで、そのためか音場は微妙に狭まりましたが軽微です。分離と定位は良くなり、情報量と解像度のバランスも付属ケーブルよりは良いようです。
銅線にしてはすっきりしているためか、イヤーピースの選択によっては付属ケーブルで感じる軽いこもりを感じにくいです。シリコンでもウレタンでも付属ケーブルで使用していた種類のイヤーピースで問題ないでしょう。
アンプの使用で更に締まるのと、ちょっとだけ抑えられていた高音がまた主張し始めます。中音域から高音域にかけてがまた少し出てきて、なんとなく低音がおとなしくなったような印象を受けます。クリアさが劇的に向上するわけではないですし、締まる分だけ音場が狭まるのでアンプなしで良いんじゃないでしょうか。
高音の主張を程良く抑えたい、よりフラットに寄せたい、アンプを持っていない方におすすめできます。逆に付属ケーブルの音域のバランスを変えたくないなら高音の衰えが気になるでしょう。アンプ使用で付属ケーブルのバランスを維持でき、分離、定位、解像度がちょっとだけ良くなりますが、音場が狭まるため、アンプ使用前提ならもう少し両立できる他のリケーブルを探したくなります。
Yinyoo YYX4769(8芯高純度7n無酸素銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4769
- 芯数:8芯
- 芯材:高純度無酸素銅線 7N OFC
- ストレートタイプ
- スライダー付き
- 12ヶ月保証
- 価格2,750円(2018/09/09)
- 09/09時点 10%割引中
どちらかというとマイルドなタイプのリケーブルです。所有しているのはmmcxなためmmcx→2PIN変換アダプターで試聴しています。
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- 音域バランスは変わらず
- 全体的にややマイルド
- 低音のアタック感がマイルド
- 厚みが増した
- 付属ケーブルよりまろやか
音域のバランスは付属ケーブルとほぼ変わらないか微妙に高音が衰えたかと言ったところ。低音はしっかり出つつ厚みも増したように感じますが、アタック感がマイルドになった印象を受けます。
反響音の衰えがないようで、音場の広さは付属ケーブルから狭まってはいないようです。音の輪郭がやや緩む気がするので締まりの向上は期待しない方が良いです。それに伴い分離と定位は甘めで、解像度も付属ケーブルより高くなったとは感じません。
アンプの使用によってある程度締まります。しかし音場的に特に外側で広がっていた音が音量的に小さく(遠く?)なったようで、楽曲によっては迫力が低下します。
音場が狭まらないのは良いのですがすっきり感不足のような気がします。全体的に特別良くなったか、リケーブルするメリットがあるかと言われると良くも悪くもないです。
HiFiHear HiF4774(8芯高純度無酸素銅)
- ブランド:HiFiHear
- 型番:HiF4774
- 芯数:8芯
- 芯材:高純度無酸素銅OFC
- 耳掛けタイプ
- 12ヶ月保証
- 2,950円→2,350円(2018/09/09)
所有しているのはmmcxなためmmcx→2PIN変換アダプターで試聴しています。
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- 高音域に凹みあり
- 低音域の下の方が衰えた
- 音場が狭まった
- 分離と定位は向上
- 解像度アップ
高音域に凹んでいる部分があるようで、高音が抑え気味になったのと一部の音が音量的に小さく(遠く?)なりました。また、低音域の下の方も衰えたようです。
音場もちょっと狭まりました。分離と定位は良くなり、情報量と解像度のバランスも付属ケーブルよりは良いのですが、一部小さくなった音があるため向上を感じにくいです。
しかしアンプ使用で各音域の凹んでいた部分が出てきます。小型アンプで付属ケーブルのバランスに近くなります。狭まっていた音場も広さを取り戻し、アタック感も増します。しかしパワフル過ぎるアンプやバランス接続では、中音域から高音域が出てくることで低音域の下の方がまた凹んだようなバランスになってしまいます。
アンプなしではメリハリがなく全体的に平らになった印象です。良くなった点も多いのですが、音域のバランスとの調和がイマイチで全体的に残念な感じがします。小型アンプやあまりパワフルでないDAPなどがあるなら悪くないと思います。
銀メッキ
Yinyoo YYX4731(4芯銀メッキ銅線)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4731
- 芯数:4芯
- 芯材:銀メッキ銅線
- スライダー付き
- 12ヶ月保証
- 3,200円→2,199円(2018/09/09)
付属ケーブルが銀メッキなら音のバランスをあまり変えずにちょっとだけ音質を向上してくれるケーブルです。しかし4芯なので向上具合はそこそこ…。
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- 心持ちフラットに寄った
- 音が少しだけ締まった
- 音場への影響少ない
- 低音域の下の方がやや衰えた
- 解像度向上
- パワフルなアンプ使用
- 付属ケーブルとほぼ同じバランス
- 音場キープ
- 解像度向上
意識せず聞いている時は付属ケーブルと大きなバランスの変化は感じないのですが、よく聞いているとちょっとだけ高音が衰えてフラットに寄ったようです。
低音域は下の方が衰え、低音の迫力が高音の刺激に少し負けてしまっているような気がします。それによって低音が厚み不足のようにも感じられます。
わずかに締まったのか反響音が微妙に抑えられつつも音場は狭まっていないようです。広がり具合もより自然になって良い感じです。
解像度については付属ケーブルでは不満点のひとつでしたが、イヤホンの価格を考慮すると妥当かと思えるくらいまで向上しました。
パワフルなアンプを使用すると低音域の不足した部分が復活します。ただし相応のパワーが必要で、一番良かったのはスピーカーも鳴らせる据え置きアンプでした。しかし付属ケーブルとほぼ同じバランスに戻っただけなのであえてこのケーブルと据え置きアンプで使うかと言われると使い勝手が良くないですね。
パワフルなアンプとの組み合わせでは全体的に向上して良い感じです。ですがわざわざ据え置きアンプを使うより他のリケーブルを選ぶ方がKC2を使いやすいのではないかと思います。据え置きアンプの使用前提なら悪くないと思います。
Kinoofi KBF4758(6芯銀メッキ銅)
- ブランド:Kinboofi
- 型番:KBF4758
- 芯数:6芯
- 芯材:銀メッキ銅
- ストレートタイプ
- 12ヶ月保証
- 通常価格:2,100円(2018/09/09)
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- 微妙に高音寄りフラット
- 高音が少し衰えた
- 中音域にうっすら凹み?
- 低音は必要十分
- 音場がやや狭まった
- 分離と定位向上
高音は刺さらず不足なく出ており、低音は付属ケーブルと同じ程度の出方だと思います。ただ、軽微だとは思うのですが、中音域に部分的に衰えた箇所がある気がします。ほんのちょっとだけですが、音場の広さに影響が出ているように感じます。
分離と定位は良くなったのですが、解像度は付属ケーブルからあまり変化していないようです。
アンプ使用でアタック感は増して中音域の部分的な衰えも回復します。しかし低音域の下の方以外が出てきてしまい、相対的に低音が衰えたように感じて音の厚み不足な印象を受けます。
アンプの有無に関わらずなんとなくピンと来ませんでした。
HiFiHear HiF4764(6芯7n高純銅銀メッキ)
- ブランド:HiFiHear
- 型番:HiF4764
- 芯材:7n高純銅銀メッキ
- 芯数:6芯
- ストレートタイプ
- 12ヶ月保証
- 価格:2,400円(2018/09/09)
所有しているのはmmcxなためmmcx→2PIN変換アダプターで試聴しています。
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- フラットに寄った
- 高音域が少し落ち着いた
- 低音域の下の方がわずかに衰えた
- 音場の広さはほぼキープ
高音の上の方が少し落ち着きました。また、低音域の下の方が微妙に衰えたことでボワつきにくく、更にアタック感がわずかに弱まったことでマイルドになりました。しかし上と下が衰えたことで若干迫力不足を感じることがあります。
反響の具合や音場の広さはほぼキープしているようです。
分離と定位は良くなったと思いますが、解像度にはあまり変化が見られませんでした。
アンプを使用すると高音だけ復活します。シャカシャカとまでは行きませんが、低音がマイルドなのでシャリ感があるような気がします。
アンプなしだとおとなし過ぎ、アンプありでは付属ケーブルの低音だけがおとなしくなったような印象で、なんとも中途半端です。相性は良くないですね。
Yinyoo YYX4761(8芯銀メッキ銅)
- ブランド:Yinyoo
- 型番:YYX4761
- 芯材:銀メッキ銅
- 芯数:8芯
- ストレートタイプ
- 12ヶ月保証
- 価格:3,932円→2,999円(2018/09/09)
所有しているのはmmcxなためmmcx→2PIN変換アダプターで試聴しています。
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- フラットに寄った
- 中音域の上から高音域の下に衰え
- 低音は必要十分
高音が少し衰えてフラットに寄りました。中音域の上の方から高音域の下にかけてうっすら凹んでいる部分があるようで、一部の音が音量的に小さく(遠く?)聞こえます。音の広がりには貢献しておらず、音場が狭まった印象を受けます。
アンプなしでは物足りず、アンプを使用してもあまり良い変化は感じられませんでした。相性が良くないですね。
その他
NICEHCK 8芯銀箔メッキ高純度銅
- ブランド:NICEHCK
- 芯材:銀箔メッキ高純度銅
- 芯数:8芯
- 12ヶ月保証
- 価格:3,999円(2018/09/09)
- 09/09時点で400円値引き中
音場を広げる工夫が感じ取れるケーブルです。リケーブル単独のレビューを書いています。⇒[レビュー] NICEHCK 8芯銀箔メッキ高純度銅リケーブル
- 高音域
- 中音域
- 低音域
- 反響
- 音場
- 情報量
- 解像度
- フラット傾向
- ややマイルド
- 反響が少し抑えられた
- 中音域の上~高音域の下が衰えた
- 低音は厚みあり
中音域の上の方から高音域の下にかけて少しだけ凹みがあるようで、一部の音が音量的に小さく(遠く)なりました。音にはやや伸びが感じられるため、全体的にマイルドになった印象を受けます。音の遠さと音の伸びでやや大人しくなっているのか、迫力を感じるためには音量を上げたくなります。
反響音が落ち着きつつも伸びがあるおかげか音場はほぼ狭まっていません。しかし解像度などの向上は見られないので全体的に惜しい感じがします。
正直なところあまり相性の良さを感じませんでした。
まとめ
3千円以下のリケーブルのうちおすすめできそうなのは以下の2本です。
- 6芯純銅 YYX4753
- やや高音寄りフラット
- 高音は刺さらないもののかなり出ている
- 中音域から低音域の厚みが増した
- ややマイルド
- 反響音が微妙に抑えられた
- 音場が微妙に狭まった
6芯純銅 YYX4753(本記事内解説)はリケーブルに興味はあるもののあまり投資できない方のお試しとしておすすめです。大きく音質向上することはないので、投資できるならより価格帯が上のリケーブルの方が良いと思います。
- 8芯高純度無酸素銅 CT1
- フラットに寄ってきた
- 高音は刺さらず
- 低音は過不足なし
- 厚みが少し増した
- 反響音が少し抑えられた
- 音場はわずかに狭まった
8芯高純度無酸素銅 CT1(本記事内解説)は高音の主張が抑えられ柔らかに自然さが増しますが、特に銀メッキリケーブルの音が好きな方にはぼやけたと感じる可能性があります。締まりやクリアさを減らしたくないならおすすめしません。
しかし次回レビュー予定の3千円~5千円のリケーブルの中にはセールや値引きで3千円前後になっているおすすめケーブルがありますし、そうでなくとも数百円から千円程度の予算を足すだけで今回紹介したケーブルよりもかなり音質向上しますので、是非次回もご覧下さいね。
今回紹介したリケーブルの一部はZO6255のレビュー(2)とaudbos k5(TENHZ k5)のレビュー(2)でも比較しています。
2018/09/28追記:リケーブル編(1)~(6)+αを公開しました。リケーブル比較は結論だけでよろしければ第6回のまとめ記事だけでもどうぞ。
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- 2018/09/26 BQEYZ KC2におすすめリケーブルを2本追加(HiF4760、YYX4778)
- 2018/09/28 [レビュー] BQEYZ KC2 (6) – リケーブル編まとめ
- BQEYZ KC2
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